2019年3月定例市議会 滝沢真一議員
最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書の採択を求める請願を不採択とすべきものとした経済文教委員会委員長報告に対しての反対討論
◆滝沢真一議員
請願第5号最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書の採択を求める請願を不採択とすべきものとした経済文教委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。
世界の主要国の最低賃金は、フランス1,326円、ドイツ1,201円、アメリカのカリフォルニア州では1,525円などとなっています。多くの国は貧困解消や格差是正にとって最低賃金が果たす役割を重視しています。世界の主要国に比べても、日本の現状は余りにも立ち遅れています。この間、アベノミクスによって大企業の内部留保が増えましたが、労働者の実質賃金は下落し、消費支出も減少し続けています。
その一方で、物価は上昇し、現在の最低賃金では憲法が保障する、健康で文化的な最低限度の生活をすることはできません。最低生計費は、2017年に全国13都府県、16都市で行った調査では、25歳の単身者で月22万円から24万円必要となり、全国どこでもほぼ同額となっています。時給に換算すると1,300円から1,400円となり、大幅な賃上げが必要です。
また、最低賃金の最高額と最低額の地域間格差は広がり続けており、2006年に109円だった格差は、2018年には224円へと拡大しています。地方では、賃金が高い都市部で仕事を求める若者が地元を離れる傾向が出ています。労働力が不足し、苦境に立たされている地方の企業も少なくありません。年々広がる地域間の格差が地域経済を疲弊させていることは明らかであり、これは長野市にも当てはまる問題です。
委員会では不採択とすべきとして、賃金は地域や職種によって違いが生ずるもの、最低賃金を全国一律にするというのは現実的に無理がある、との意見が出されました。しかし、実際には全国どこでも最低生計費に大きな差はなく、どこで暮らしていても同じぐらいの所得が必要となります。
また、同一労働同一賃金の観点からも、全国に展開するチェーン店やコンビニエンスストアでは、どこでも同じ仕事をしているのに、賃金に差があることは不合理そのものです。急激な賃金上昇は雇用者への負担となる、との意見も出されました。だからこそ本請願は、最低賃金の改善と共に、中小企業への支援を国に対して求めているのです。
アメリカでは、3年間で最低賃金を41パーセント引き上げ、540万人の賃上げを実施したとき、5年間で8,800億円の中小企業支援、減税を実施しました。フランスでは、3年間で11.4パーセント引き上げたとき、中小企業の社会保険料負担を2兆2,800億円軽減しました。
しかし、日本は、2013年から2015年までの4年間で僅か87億円しか支援していません。最低賃金を引き上げても中小企業がやっていけるように、大企業による単価の買いたたきなど、下請いじめを厳しく規制するとともに、社会保険料の負担軽減や賃金助成など、中小企業の賃上げに本格的な支援を行うべきです。
医療・介護施設や保育所などには報酬の引上げや補助金の増額が必要です。国がこうした支援を行えば、全ての企業で最低賃金を抜本的に引き上げることは十分にできることです。
以上のことから、請願第5号最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書の採択を求める請願への賛同を求め、私の反対討論といたします。