2018年12月定例市議会 黒沢清一議員
小・中学校の教職員の長時間勤務改善について
市の職員の時間外勤務改善について
全国学力・学習状況調査参加中止について
ハザードマップの作成、配布と防災・減災について
小・中学校の教職員の長時間勤務改善について
◆黒沢清一議員
小・中学校の教職員の長時間勤務改善について伺います。
教職員組合の勤務実態調査によると、1か月の平均超過勤務時間は80時間28分です。明らかに過労死ラインを超えています。また、休憩時間がゼロの回答は47.9パーセントです。給食の時間も気を抜けません。給食指導も行い、アレルギー除去食の配慮や指導もあります。早く帰れと言われても仕事が終わらないなどの声が学校現場で渦巻いています。
勤務実態調査で、教職員がゆとりを生み出すために特に精選、縮小したい事例のトップが、教育課程研究です。また、今年の長野県教職員組合長水支部の教育課程研究協議会実態調査の結果で、土日など休日に研究に係る勤務がありましたかの問いに、87パーセントが、はい、この研究により最も遅くまで行われた勤務は25時でした。勤務の終わりは平均20時25分です。これでは、超過勤務が前提になっているのが現状です。全国で教育課程研究協議会の研究授業を行っているのは長野と沖縄だけです。であるならば、多忙な現場の負担軽減のために、市教育委員会がリーダーシップをとって、研究、研究授業の改善を行うべきと考えますが、見解を伺います。
また、長野市のいわゆる指定研究授業も、主催者である市教育委員会が責任を持って負担軽減すべきだと考えますが、見解を伺います。
◎教育次長(永井克昌)
平成29年4月に文部科学省が公表した教員勤務実態調査によりますと、小学校教諭の約6割、中学校教諭の8割近くが過労死ラインを超えて働いているということが明らかになりました。
本市においても同様の実態があることを踏まえ、今年度、長野市の学校における働き方改革推進のための基本方針を策定するため、外部の有識者を初め、民間の事業所やPTA、校長会や教頭会、一般教員、事務職員、教職員の関係団体などの代表者にお集まりいただき、2回の懇談会を開催してまいりました。この懇談会の中では、給食や清掃指導もあり、休憩時間がほとんどなくて大変であるといった訴えが出される一方で、忙しい中でも研修会に参加すると困っていることが解決できる、先生方の良い授業がしたいという思いに応えられる環境づくりが大切であるといった意見も出されました。
議員御指摘の教育課程研究協議会についてですが、開催の趣旨は、小・中学校教職員が合同で授業を通して研究、協議し、義務教育9年間を見通した教育課程の改善及び教師の指導力の向上に資するとしております。学習指導要領の理念を理解し、具体的に授業の中で実現していくために、参観者が協議し合う本協議会の役割は重要であると認識しており、今後も大切に考えてまいりたいと思います。
議員御指摘の負担軽減につきましては、特別に準備された授業を行うのではなく、日常行われている授業を公開すること、準備する資料は必要最低限で作成すること等、これまで様々な配慮がなされてまいりました。市教育委員会といたしましては、勤務時間等の調査等で勤務実態の把握に努め、多忙な勤務にならないよう校長会や学校訪問の際に管理職へ指導しているところでございます。
また、市の研究指定校についてですが、以前は市内全ての学校を人権教育研究指定校としておりましたが、平成28年度からは教育課程の会場校や他の研究指定を受けている学校については、指導主事を派遣しての研究はしないこととしており、過度な負担とならないように努めております。
◆黒沢清一議員
ただ今答弁していただいたことについては、もう何十年も教育課程については校長会あるいは学校へ指導してきたんですが、こういう実態がまだあるということですから、市教育委員会、校長会、県教育委員会の三者でする協議会があると思いますので、ここへ問題提起や申入れを具体的に行うということをやるべきではないでしょうか、伺います。
◎教育次長(永井克昌)
教育課程研究協議会は、参加者の日頃の疑問や悩み、課題に感じていること、また、会場校の研究課題に立った授業改善につながる内容を協議し、質の高い授業づくりを目指して開催されるものであります。
市教育委員会といたしましては、これまで校長会や県教育委員会との懇談の機会を捉えて、教育課程研究協議会を単に前年度踏襲とせず、会場校や参加者にとって意義あるものとなるよう、運営方法や実施内容、開催校の選定等について検討するよう申入れをしてきております。
◆黒沢清一議員
具体策を是非進めていただきたいと。
次に、文部科学省の諮問機関である中央教育審議会、学校の働き方改革特別部会が、いわゆる教員の変形労働制の答申案を昨日まとめました。夏休みなど長期休業中、閉庁日を確保するなどして、勤務時間を短縮し、通常の勤務の学期中の大部分を1日9時間に近い労働時間とするものです。事実上、1年の大部分の期間で1日9時間近い労働を最初から容認することになってしまいます。文部科学省の変形労働制時間導入の、質問通告の時点ではイメージでしたけれども、昨日具体的に答申案になりましたので、答申案についての見解を伺います
◎教育次長(永井克昌)
変形労働時間制について見解を述べさせていただきます。
文部科学省は、変形労働時間制の狙いを、休日の増加による労働者のゆとりの創造、時間外・休日労働の減少による総労働時間の短縮を実現することと説明しております。
変形労働時間制を導入した場合の勤務時間のイメージによりますと、例えば平日の勤務時間を1週間当たり3時間長くすれば、年間15日間の休日が増えるということが試算されております。中央教育審議会特別部会の委員からは、教職員の心身の負担を軽減することができる、休みをとりやすい環境をつくり、教職員の仕事の新たな魅力として位置づけられるとの肯定的な意見がある一方、抜本的な解決策ではない、健康リスクへのはね返りがあるということを危惧すると、導入に慎重な意見も出されております。市教育委員会といたしましては、昨日の新聞で出されたのは一応素案という形になっておりますので、今後の中央教育審議会の答申や国の動向を注視しつつ、長野市の学校における働き方改革を着実に推進してまいりたいと考えているところでございます。
◆黒沢清一議員
今回の答申案は、非常に際限のない時間外労働に道を開くという、こういう大変危険を伴っています。労働時間の改善というのは緊急であって、しかも子供の教育条件として極めて重要な位置を占めていますので、是非進めていただきたい。
市の職員の時間外勤務改善について
◆黒沢清一議員
市の職員の時間外勤務改善について伺います。
市長は、6月市議会定例会で私の質問に、個々の職員の時間外勤務の実態からは、健康を害する危険が高いとされる月100時間を超える時間外勤務を実施した職員は平成29年度実績で延べ66人おり、特定の職員に業務が偏る状況も見られ、健康被害防止の観点からも早急に改善すべき課題と考える、所属長を中心に、長時間勤務の改善に努めると答弁しました。その後、具体的な改善が図られたか、市長に伺います。
◎市長(加藤久雄)
時間外勤務による長時間労働は、職員の健康被害や事務効率の低下といった点から、働き方改革を推進する上で、まず初めに手をつけるべき課題と考え、これまで取り組んでまいりました。本年度は6月の部課長会議で、全所属長に向けた業務の点検と長時間労働を防ぐ意味での業務の平準化に早急に取り組むよう指示したところであります。
この動きに呼応いたしまして、職員労働組合でも独自に組合員に対し、時間外勤務の縮減を図るためのアンケート調査を実施しており、労使双方で歩調を合わせた取組が進められているところであります。その結果、昨年度と比較いたしまして、本年度の時間外勤務につきましては改善の傾向が現れております。具体的には、4月から9月までの実績を、特殊要因である選挙事務を除いて比較いたしますと、月45時間以上の時間外勤務者数は、昨年度は463人であったのに対し、本年度は346人であり、117人減少しております。特に100時間以上の長時間勤務は、昨年度の36人から本年度は16人に約6割減少しております。これらの結果は、本年度取り組んでまいりました内容が効果として実を結んだものというふうに考えております。
さらに、こうした取組に加えまして、例年繁忙期となります4月に行っている人事異動について、その一部を10月に分散する試みを実施したところであり、業務繁忙期の職員の負担を軽減するとともに、事務処理ミスの防止にもつながると期待しております。
この他、例年予算編成作業が始まる10月から年度末にかけまして時間外勤務が増加する傾向があることから、去る11月の部課長会議におきまして、各所属長に対し、所属全体を広く見渡し、職員の勤務時間に十分目配りするよう指示したところであります。引き続き、時間外勤務の縮減の効果が図れるよう、削減に向けて取組を進めてまいります。
◆黒沢清一議員
縮減が進んでいるということは、大変いいことだと思います。引き続き、是非よろしくお願いします。
全国学力・学習状況調査参加中止について
◆黒沢清一議員
全国学力・学習状況調査参加中止について伺います。
もう二度といじめたりしないでくださいの言葉を残して、2016年8月、13歳で逝った葛西りまさん、当時青森市の中学2年生、青森市いじめ防止対策審議会は、今年8月に自殺の主要な原因はいじめとする報告書を市の教育委員会に答申しました。その中の一つに、競争的学校環境の一因となり、児童・生徒にストレスを与えている全国一斉の学力・学習状況調査の実態や在り方を検討する、子供のいじめ、自殺、精神疾患等を引き起こす過度な競争をなくすための教育システムを構築するとしています。
また、学力日本一を誇る福井県が、昨年12月、県議会で全会一致で教育行政の根本的見直しを求める意見書を可決しました。超党派の議員が全会一致で上げた意見書の中で、命を守ることを最優先とし、過度の学力偏重を避けるなど3項目が盛り込まれています。
全国学力・学習状況調査は、しっ皆調査であるがゆえに、様々な問題が起きます。全国学力・学習状況調査によって結果が数値化されれば、競争が生まれます。テストは全国一律のものです。しかし、受ける子供たちはみんな背景や実態が違います。子供の背景や実態を全く考えずに平均化することに意味があるのでしょうか。こうした、非常に問題のある全国学力・学習状況調査への参加は中止すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
また、事前に過去の問題の指導、全国学力・学習状況調査を想定した宿題などをどのくらい実施されているか、市内の学校の実態について伺います。
◎教育長(近藤守)
全国学力・学習状況調査は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童・生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証しその改善を図ることや、学校における児童・生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てることを目的として行われております。
本市の本年度の調査結果につきましては、具体的な指導改善の方向や第二期しなのきプランの重点と関連させた分析結果を公表しており、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた学校の取組や本市の教育施策の検証に役立てております。したがって、今後も、全国学力・学習状況調査を本市の児童・生徒の実態把握と指導改善に生かし、子供たちの学習の充実につなげてまいりたいと考えております。
そこで、過去の問題の指導とか全国学力・学習状況調査を想定した宿題などが実施されていることは直接に今把握しておりませんけれども、そのような指導をすることについては推進しておらず、当日、子供の実態そのものが出るようにということをしないと、このテストの意味がないと思っております。
◎教育次長(永井克昌)
後半の質問について私からお答えさせていただきます。
全国学力・学習状況調査の調査問題は、学んだことを活用する力を問う問題が含まれており、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善のための参考になるものが多く含まれております。
例えば、本年度の中学校の数学では、放送委員会がお昼の放送で流すリクエスト曲を選曲する場面を取り上げ、統計や確率の学習で学んだ内容を総合的に活用して考える問題が出題されました。このような日常的な事象を数学で解決していく学習は、実生活での応用が期待できるものであり、新学習指導要領で狙っている児童・生徒が学ぶことの意義を実感することにつながる教材となるものであります。
文部科学省が所管する国立教育政策研究所でも、過去の問題を授業の題材として取り上げることは指導改善につながることから、積極的な活用を促しております。本市においても、学んだことを活用する力を付けるために、過去の問題を授業の題材として取り上げたり、宿題に活用している学校があることは承知しておりますが、そのための特別な調査は実施しておりません。
今後も、全国学力・学習状況調査については、調査の目的が達成されますように、文部科学省通知により引き続き指導してまいりたいと考えております。
◆黒沢清一議員
全国学力・学習状況調査については、非常に問題のある中身だというふうに私は思っています。そこで、全国教職員組合の今年の調査によると、事前宿題とか事前学習とか、そういったものを出された学校は約44パーセントあったそうです。これについて各校の実態を調査するとか、アンケートは考えませんか、伺います。
◎教育長(近藤守)
先ほど申し上げたとおり、長野市では事前に特別な取組をするということは推奨しておりませんので、やっていないものと思っております。調査については、今のところ行ってはおりません。
◆黒沢清一議員
しかし、実態は、通常の市販のテストの裏の最後のページのところに、全国学力・学習状況調査を想定した問題、テストが載っているというのも事実なんですよね。ですから、そういったことも含めて、これは要望ですけれども、是非実態を調べていただきたい。
ハザードマップの作成、配布と防災・減災について
◆黒沢清一議員
ハザードマップの作成、配布と防災・減災について伺います。
災害問題に詳しい河田関西大学特別任命教授は、災害は、8年間は大きな関心事で、15年後には被災世帯の40パーセントは危険と思わなくなり、甚大で広範な災害でもその記憶は30年、40年で薄れ、100年後には忘れられてしまうと言っています。
篠ノ井のある方が古文書の一部を調べました。更級、塩崎長谷の地域を1620年から1898年まで調べた結果、11回土砂災害、水害が起きています。大きなものは3回、1898年には77人が犠牲になっていました。長野市では、平成27年に土砂災害のハザードマップも作成し、該当の地域にも配布し、注意を呼び掛けています。また、長野市のホームページにもあり、有効です。今年度、NTTと協力して作成した防災・防犯タウンページは全戸配布で活用が期待されます。しかし、塩崎の長谷越の地域のイエローゾーン、レッドゾーンを示されたものが十分表示されていません。
資料を御覧ください。
1枚目は、タウンページでイエローゾーン、レッドゾーンの多い塩崎の長谷越は載っていません。2枚目は、長野市の作ったハザードマップ、長谷越地域のイエローゾーン、レッドゾーンもしっかり載っています。そこで、今後土砂災害ハザードマップ、タウンページ配布、周知の計画について伺います。
また、河川や沢のえん堤の現地調査を計画的に実施すべきと考えますが、見解を伺います。
さらに、静岡県では、2002年から中高生が地域の防災訓練に参加する取組をスタートさせました。静岡県では、古くから地域防災訓練を12月の第1日曜日に行っています。年間75万人ぐらいが参加します。県民の約5分の1が参加するという規模です。そこに地元の中高生が参加します。地域の防災力アップのためにも、中高生の参加を考えてはどうでしょうか。見解を伺います。
◎危機管理防災監(島田斉)
ハザードマップの作成と配布、地域の防災力アップについてお答えします。
本年9月発行の長野市版防災・防犯タウンページ土砂災害編につきましては、議員御指摘のとおり、一部の土砂災害警戒区域等が掲載されていない状態となっております。誌面の都合もありますが、今後発行に当たりましては、協力をいただいているNTTタウンページ株式会社との協議を進め、できるだけ広いエリアを掲載できるよう調整してまいります。
なお、詳細な内容につきましては、土砂災害ハザードマップで確認いただくことができ、希望者の方には危機管理防災課及び支所で配布している他、市のホームページでも確認いただけます。
防災・防犯タウンページの今後の作成、配布の計画につきましては、昨年の地震編、今年の土砂災害編に続き、来年は洪水編を発行する予定であり、その後も3年サイクルで3つの災害に応じた防災・防犯タウンページを発行し、市内の全戸、全事業所に配布してまいります。
次に、地域の防災訓練への中高生の参加につきましては、自助、互助、共助の意識向上につながる良い取組と考えており、これまでも山王小学校で事業所との連携による防災教育を実施した他、信州大学附属長野小学校では、子供たち自らが考え避難所の開設や運営、食料の自炊などを行う避難所体験訓練などを行ってまいりました。来年度は、長野県総合防災訓練が長野市を会場に開催される予定であることから、県や教育委員会等と連携し、小・中学生や高校生が参加する防災訓練の実施について積極的に支援を行ってまいります。
◎建設部長(金井良雄)
私から、えん堤の現地調査を計画的に実施すべきについてお答えします。
砂防えん堤等の維持管理は、土砂災害を防止する上で欠かせないものであり、管理者である県がえん堤の機能に支障が生じないよう、パトロール等の調査を行うこととしております。しかしながら、市内のえん堤数は約1,300基と多いことや、山間地にあるということから、地域の皆様に流木や土砂の堆積状況などの情報提供をお願いしております。
このような中、市では、昨年の九州北部豪雨により土砂災害が多発したことを踏まえ、本年4月に各区長宛て、えん堤等の異常堆積箇所の情報を市が行う土木事業要望の現地調査に合わせて御提供いただくことを改めて依頼したところでございます。提供された情報は市が取りまとめ、県へ提出した後、状況によっては、県、市、地元の皆様で現地調査を実施しております。
議員御指摘の全てのえん堤を計画的に現地調査することは、限りある職員数では長い期間を要することになり、こうした点を考えますと、まずは地域の皆様から情報を御提供いただくことで、えん堤の状況把握が進むものと考えております。
よって、当面はこの方法を維持しつつ、砂防えん堤の調査の在り方については、今後県と相談していきたいと考えております。
今後も、県、市、地域の皆様との連携により、既存えん堤の保全に取り組むことで、地域の安全確保に努めてまいりますので、御理解をお願いいたします。
◆黒沢清一議員
先ほどのハザードマップのことについては、恐らく長野市、様々これだけ広いところですから、なかなかカバーするというのは困難なところもあると思うんですけれども、最大限、是非減災、あるいはゼロを目指して頑張っていく必要があるかなと思います。
東日本大震災のときに、当時該当の地域の皆さんだけではなく、私どもも大変大きな教訓を得たというふうに思います。てんでんこという言葉が、そのときを機会に私たちのものになっていったり、東日本大震災で大変な被害を受けた子供たちが、避難所でまず大変な状況の中で精神的な開放をするのに、子供たちが津波ごっこをしたそうです。津波が来たと言って、友達と一緒に逃げる。それを何回か繰り返すうちに落ち着いてくるという、そういう遊びをする自らの力を持っているということだと思いますので、非常に大きな、私たちは教訓を得たと思いますし、ですから、先ほどありましたように、教育が非常に重要ですので、また取組をよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。