議会報告

2018年12月定例市議会 竹内茂議員

長野市立小・中学校へのクーラー設置工事の発注方法について

ながの環境エネルギーセンターのPPP、DBOについて

サウンディング型市場調査とPFI手法の関連について

Park-PFI手法について

  

長野市立小・中学校へのクーラー設置工事の発注方法について

◆竹内茂議員
 長野市立小・中学校へのクーラー設置工事の発注方法について伺います。
 長野市立小・中学校へのクーラー設置の具体化が提案されたことは、大変うれしいニュースです。季節は冬を迎えますが、来年も予想される猛暑、酷暑対策、子供たちのために万全の準備を進めてほしいと思います。
 長野市は、クーラー設置方法を従来型で進めると表明しました。クーラー設置は特殊な工事ではありません。県都長野市として、このクーラー設置工事を早期に短期間で、しかもPPP/PFI手法によらないで設置を進めることは、全国の市民や業者をも励ますものと確信するものです。
 加藤市長も、11月26日に長野市空調設備協会と長野市電設業協会に協力を求め、懇談したとの報道にも大変うれしく思いました。長野市内の業者が力を合わせれば、短期間で早期に広範囲で一斉に行うことが可能と考えます。地域の子供たちのために、地域の業者が取付け工事をする、理想的なスタイルと思います。
 この効果を一層高め、広く力が発揮できる仕組み、経済効果を高めるためのポイントは、工事の発注方法にあります。クーラー設置工事は、発注の細分化と入札を一抜け入札にして、広く工事を行き渡らせることを提案しますが、所見を伺います。
 多くの自治体では、一抜け入札を要綱まで作成して実施しています。この際、長野市の一抜け方式への入札の考えもお伺いします。

◎教育次長(松本孝生)
 本事業は、今回の補正予算案だけでも24億円にも上る大変大きなプロジェクトでございます。地域経済への波及効果と夏の暑さへの災害対応的な緊急性や、国庫補助制度活用による整備に係る時間的な制約も考慮すると、発注方式の工夫が必要と感じております。
 これらを踏まえ、本事業については、一括で発注するのではなく、地域性や事業規模など一定の基準により、複数の学校をグループ化して実施したいと考えております。
 議員御提案の、いわゆる一抜け入札方式は、複数の競争入札案件において落札者が重複しないよう、あらかじめ定めた開札順序で落札者を決定し、既に落札者となった者については、それ以降に落札決定する案件の入札について無効にする入札方式でございます。
 本市では、運用基準に基づき、発注する工事の種類や工期、入札参加条件等が重複する場合に、この方式も選択できるようになっております。競争性確保などからも支障がないか十分に検討の上、本事業発注の際の採用について検討してみたいと考えております。

◆竹内茂議員
是非広く仕事を行き渡らせるためにも、一抜け方式で今回お願いしたいというふうに思います。
 次に移ります。
 PPP/PFI手法に反対の立場からお願いします。
 全国では、PFI手法による失敗事例が数多く発生しています。私は、長野市が市立小・中学校へのクーラー設置工事をPFI手法によらない選択をしたことを高く評価するものです。
 国は、1999年にPFI法を成立させました。PFI法の第1条には、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して公共施設等の整備等の促進を図るための措置を講ずること等により、効率的かつ効果的に社会資本を整備するとともに、国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供を確保し、もって国民経済の健全な発展に寄与するとあります。
 バラ色の法律に思われましたが、全国的にPFI手法の採用が進まず、国はPFI手法を拡大するため、2011年、2013年、2015年と法改正を進めています。この2015年には内閣府・総務省通知を出し、人口20万人以上の地方公共団体はPFI手法を優先的に検討するための指針を決定し、公共事業ではPFI手法を優先的に検討することとしました。
 長野市でも、長野市PPP/PFI手法導入優先的検討方針を改定、昨年から適用させて、これにより、長野市でも本年4月、長野市PFI等活用ガイドラインを策定したと理解しています。
 国は、がむしゃらに大企業優先のPFI手法を地方公共団体に求めています。公共事業に当たっては、まずPFI手法で検討すること、PFI手法を採用しない場合は理由を報告せよなど、あからさまです。
 このPFI手法の問題点を建築行為に限って考えてみても、1、品質から性能への転換です。今まで公共建築は、建設大臣指定の仕様書と厳格な工事監理で品質が確保されてきました。この品質が民間工事でも一つの基準とされ、建築水準を支えてきました。
 しかし、PFI手法では、それすらも施工者の良心に委ねられ、コスト削減の対象となります。発注者の地方自治体が立ち入る権限が全く与えられないのがPFI手法です。例えて教室のクーラーでいえば、教室内の温度が指定温度以下にできれば、どのような方法でも材料でもよくなり、方法とか材料など、発注者が検査、指摘する権限はありません。全てが施工者の良心に任されてしまうわけです。
 2番、工事は様々な業種が協力し合って進められます。今までの公共建築では、下請企業などとの関係は契約内容の公表が義務付けられています。PFI手法では、全てを一括して任せるわけで、これにも何ら関われなくなり、低価格での下請発注、人件費削減になり、結果として低レベルの公共建築物とならざるを得ないなど、問題点は山積みです。
 長野市には、今後予定される公共施設を小・中学校クール化プロジェクトのようにPFI手法を採用しない理由を堂々と国に伝え、品質の良い公共建築物を、地域経済活性化の立場も踏まえ進めるよう要望しますが、所見を伺います。
 PFI手法では、各分野の下請企業の請負金額の報告の義務もなければ、調査に答える必要もなく、人件費の削減、使用材料の品質低下も心配される。これで優れた公共施設ができるはずもなかろうと思いますが、所見を伺います。

◎総務部長(倉石義人)
 PFI手法には、良質で低廉な公共サービスが提供される、財政負担を平準化する、民間の事業機会を新たに創り、経済活性化に貢献するなどのメリットがあると言われております。
 また、PPP/PFI手法は、導入することが目的ではなく、良質で低廉な公共サービスを提供していくための手段であり、先進事例として地元事業者の参画に配慮し、PPP/PFI手法を導入する場合の事業者公募に当たって特定目的会社、いわゆるSPCの構成企業に地元事業者を含めることを条件にすることで、地域経済活性化につなげていこうとする事例もございます。
 公共施設の老朽化対策は全国的な課題でありますが、全国平均を上回る施設を保有する本市においては、従来どおり公共の資金とノウハウだけで今後の施設整備を進めていくことは困難であると考えております。
 PPP/PFI手法導入によって積極的に民間のノウハウや資金を活用することは、持続可能な行財政運営の一助になると考えており、PPP/PFI手法導入優先的検討方針にのっとり、今後も検討対象事業については、従来手法とPPP/PFI手法を比較検討し、より効果的な事業手法を採用してまいりたいと考えております。
 次に、PFI手法では、人件費の削減、使用材料の品質低下が心配されるため、優れた整備ができるかとの御質問にお答えします。
 PFI手法は、仕様発注から性能発注へ転換することで、施設の運営までを想定した民間事業者の創意工夫を生かした施設整備を実現するものでございます。
 一方、事業者の業務状況を把握した管理や指導をしなければ、公共サービスの質の低下を招く可能性も否定できないことから、事業の各段階において専門家やコンサルタントの意見も聞きながら事業を進めていくことになります。
 また、PFI事業契約においても、建設業法、入札契約適正化法に基づく施工体制台帳等の提出を求めることが一般的であり、従来手法との大きな差異はないものと認識しております。
 PFI手法を導入する場合は、長野市PFI等活用ガイドラインに基づき、事業者の募集に当たっては要求水準書、事業者決定後は基本協定書や事業契約書に基づく管理、指導を行うことにより、品質を含め公共サービスとしての水準を確保してまいりたいと考えております。

◆竹内茂議員
  私も、昨年12月市議会定例会の準備のために、クーラーを設置した福岡市に視察に行きました。そこはPFI手法でクーラーを設置したということでありました。
 もちろん工事そのものは地元の人たちが下請としてやったようでありますが、その問合せに対して、下請企業がどの程度の金額で行ったのか、その辺は全く不透明で、お答えもできないということでありました。PFI手法は、そういうふうに不透明さが大変高い方法であります。是非検討をお願いしたいと思います。

ながの環境エネルギーセンターのPPP、DBOについて

◆竹内茂議員
 ながの環境エネルギーセンターのPPP、DBOについて伺います。
 ながの環境エネルギーセンターが、来年3月完成を迎え、稼働します。ながの環境エネルギーセンターは長野広域連合での事業ではありますが、長野市とも深い関係があることから質問させていただきます。
 ながの環境エネルギーセンターは、PPPのDBO方式として進められております。そのこともあり、私たちはこの事業のチェックが何らできません。長野市は今後大量の電力も買い取る計画であります。この巨大プロジェクトの内容がチェックできないと考えていますが、長野市としてどのようにお考えなのか、お伺いします。

◎環境部長(井上隆文)
 ながの環境エネルギーセンターの施設の運営、維持管理業務の主体は長野広域連合であり、長野広域連合がその業務状況を的確に把握し、必要な指導や監視を行う責務を負っていると認識しております。
 長野広域連合では、ながの環境エネルギーセンターの運営に当たって、試運転中である現在から既に担当職員が施設に常駐し、施設内で適正な指導、監視体制を整えております。
 また、事業者の業務状況を適正に評価するための厳格な運営モニタリングを実施し、その結果について随時長野広域連合議会、構成市町村及び地元地区に報告することとしており、それぞれの立場に立ったチェック体制も確保されていると理解しております。
 長野市といたしましても、施設所在地であるとともに、隣接して本市の資源化施設が稼働していること、そして、何よりも信頼関係の下、施設の受入れに同意をいただいた松岡区及び大豆島地区の皆様に対する責任として、長野広域連合としっかりと連携し、適正な施設運営がなされるよう努めてまいります。

◆竹内茂議員
 是非私たちにも少なからず情報が伝わるように、お願いしたいと思います。

サウンディング型市場調査とPFI手法の関連について

◆竹内茂議員
 サウンディング型市場調査とPFI手法の関連について伺います。
 今、長野市では、様々な公共事業でサウンディング型市場調査が行われています。小・中学校クーラー設置でも行われました。
 企業の立場での民間の意見を聴き、飽くまで初期の参考にするものとの説明でしたが、企業としては利益に結び付かない意見など、あり得ないものと考えます。
 1、サウンディング型市場調査で企業意見を聴くことを否定はしませんが、市民の意見こそよく聴くべきと考えます。
 2、また、この手法では企業秘密の面もあることから、不透明な部分も発生します。行政と提案企業との癒着の温床になりかねない面があることも心配されます。これをどう払拭するのか。
 3、サウンディング型市場調査は、PFI手法を前提としたものであってはならないと考えますが、以上3点について所見を伺います。

◎総務部長(倉石義人)
 初めに、市民意見こそよく聴くべきとの御質問にお答えします。
 サウンディング型市場調査は、その事業が持つ市場性の確認や事業手法を検討するため、民間事業者と市が対話する手法であり、サウンディング型市場調査を行うことで市民からの意見聴取を省略したり、軽んじたりするものではございません。むしろ市民からの要望について、その実現性を確認し、最適な事業手法を選択していくための対話であります。
 次に、提案企業との癒着の温床になりかねないのでは、との質問にお答えします。
 従来型のコンサルティング会社などを通じて、特定の事業者に声をかけてヒアリングを行うものではなく、広く参加事業者を公募し、希望する事業者と対話する方式ですので、公平性の確保につながる手法であると考えております。
 また、調査結果についても、事業者の同意を得られた範囲で公表しており、可能な限りの透明性も確保しておると考えております。
 今後も、事業手法検討段階におきまして、公平性の確保を図りながら、広く民間事業者と意見交換を行う方法として活用してまいりたいと考えております。
 最後に、サウンディングはPFI手法を前提としてはならないとの御質問にお答えします。
 繰り返しにはなりますが、サウンディング型市場調査は、その事業が持つ市場性の確認や事業手法を検討する際の対話であり、あらゆる可能性を持って行うものでございます。
 PFI手法を選択する場合には、市としてバリュー・フォー・マネー等、PFIが従来手法より有利であることを検証しなければなりません。その上で民間との連携が市民益を生み出す場合に、PFIを初めとする公民連携手法を採用することになると考えております。

◆竹内茂議員
 是非公開性の高い調査にしていただきたいと思います。

Park-PFI手法について

◆竹内茂議員
 Park-PFI手法について伺います。
 昨年、都市公園法が改正され、Park-PFIが創設されました。Park-PFIも、事業の不透明さはPFIと変わるものではないと考えています。
 加えて、都市公園内に収益を目的にした施設を造るわけですから、一層の住民意見の反映が求められます。また、建蔽率12パーセントなど、かなりの規模の工作物が建設可能ともなります。収益のみに目を奪われず、市民の声をよく聴き、市民目線での公園整備を進めてほしいと考えますが、所見を伺います。

◎都市整備部長(羽片光成)
 Park-PFIにつきましては、平成29年6月に都市公園法が改正され、公園施設として民間事業者が飲食店などを設置することについて、公募により選定する手続となる公募設置管理制度、いわゆるPark-PFIが創設されました。
 これは、公募により選定された民間事業者が、公園の使用料を支払って飲食店等を設置することに伴い、その店舗の収益により周辺の広場や園路等の公共部分を整備したり、公園管理の一部を担ってもらったりするものでございます。
 この制度は、公園利用者には飲食施設等が設置されることによりサービスが充実し、公園の利便性、快適性が高まることとなり、一方で、民間事業者は広場と店舗を一体的に整備することで質の高い空間を創出でき、話題性と相まって収益の向上が期待され、公園の維持管理の充実にもつながるものと考えております。
 このように、公園利用者、公園管理者、民間事業者の三者がともにメリットがある制度であり、既に全国で事業が進められております。
 建蔽率につきましては、最大で12パーセントまで設置可能ではありますが、その中には本来公園としての基本施設であるトイレやあずまやなどが含まれた面積であり、民間事業者に設置いただく店舗面積については、公園全体のバランス等を考慮して適正な面積を設定してまいりたいと考えております。
 まずは、公募前に事業全体の進め方について地元の住民の皆様との合意形成を図るとともに、また、公募条件の設定に際しましても意見を伺いつつ、事業に反映できるところは反映しながら、十分な合意形成の下、慎重に進めてまいりたいと考えております。討論相手の発言入ります。

◆竹内茂議員
 PFI関連で質問させていただきましたが、PFIは資金調達からメンテナンスまでそっくりそのチームに任せるわけであります。失敗事例が数多く寄せられております。この手法には十分注意をして、長野市としても取り組んでほしいとお願いをしまして、質問を終わります。

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