2018年12月定例市議会 佐藤久美子議員
加藤市長の政治姿勢について
加藤市長の政治姿勢について
◆佐藤久美子議員
日本共産党長野市会議員団を代表して質問をいたします。
多くの若者が長野に住みたいと思ってもらえる答弁を期待するところです。
なお、私たち市議団は、11月2日に、2019年度に向けての予算要望を重点要望68項目、分野別259項目、合計327項目にわたり加藤市長に提出させていただきました。是非新年度予算に反映させていただきますようお願いを申し上げます。
まず、加藤市長の政治姿勢について伺います。
消費税10パーセント増税についてです。
安倍首相は、10月15日の臨時閣議で、来年10月に消費税を10パーセントに上げると宣言いたしましたが、市民の暮らしと経済を破壊するもので、私たちは反対で、中止を求めます。
全国の家計調査によると、2人以上の世帯における消費支出は、安倍政権発足前に比べて21万円減り、実質賃金は18万円減っています。県内8万社が加入する長野県中小企業団体中央会が発行する中小企業レポート10月号は巻頭で、地域の中小企業、小規模事業者はアベノミクスの成果を実感できていません。それどころか、経営環境は一層厳しい状況が続くことが予想されますと訴えています。内閣官房参与を務める藤井聡京都大学大学院教授でさえ、日本経済が壊れると警鐘を鳴らしています。幾ら安倍首相が自画自賛しても、アベノミクスの失敗は明らかです。
増税対策として、消費税率の2.5倍の5パーセントのポイント還元、軽減されない複数税率、インボイス導入を掲げていますが、突然のばらまきで、8パーセント増税のときと同じ、場当たり的で現場を混乱させ、中小業者の負担を増やす愚策です。インボイス導入は、日本商工会議所も反対しています。
消費税増税に対する市長の見解を伺います。
8パーセントから10パーセントに税率アップで生まれる5兆円という財源は、アベノミクスで大きな収益を上げ内部留保が425兆円と言われる大企業に対して適正な課税を行うことで4兆円、株でもうけた人や大富豪など優遇税制の是正で1.2兆円、十分賄えます。消費税は所得の低い人ほど負担が重い逆進性を特徴としています。税制は累進課税が原則と考えますが、市長の見解を伺います。
消費税が導入され30年、高齢化社会、社会保障のため、財政再建のためと言われ続けてきましたが、うそとごまかしがはっきりしました。なぜなら、市民の負担は更に増え、国民健康保険料も上がり、介護保険の負担も増え、生活保護費が削減されています。30年間の消費税の税収は372兆円、一方、大企業法人3税の減税は291兆円で、78パーセントが減税の穴埋めです。また、政府が幼児教育と保育の無償化の費用負担を都道府県と市町村に押し付けようとしていますが、そのまま受け入れるのでしょうか、所見を伺います。
財政分野において、地方自治体本来の役割について伺います。
地方行財政の分野で、国は、公的サービスの産業化の旗印の下、引き続き行政改革を押し付け、校舎や公民館などの公共施設の統廃合、行政サービス縮小、公営企業の広域化を一層進めようとしています。その中で、公共施設等適正化管理推進事業は、2017年度3,500億円から2018年度4,800億円へ1,300億円の増、同様に、維持補修費は1兆2,621億円から1兆3,079億円と458億円の増、管理推進事業は財源の9割が地方債として手当てされると言いますが、長野市分としての見込みはどうなるか伺います。
歳出改革を主導する財務省と経済財政諮問会議の民間議員は、一昨年からの地方の基金増大に照準を合わせ、地方財政に余裕があるかのごとく宣伝し、地方財政削減の地ならしを進めています。最近10年間、地方の基金は7兆9,000億円増で、主な要因は不交付団体による増加額で、ほかは横ばいです。長野市は、平成19年から平成28年まで35億円増えています。また、この間、数十億円の基金取崩しを前提に予算を組みながら、決算では一桁になっています。基金増加を地方財政削減の口実にする国に対し、地方の将来不安を取り除くには、交付税増額を求めること、また、施設の長寿命化対策、老朽化対策に取り組むよう求めるべきではありませんか。見解を求めます。
そして、何よりも、住民の福祉の増進のため基金を活用すべきではありませんか。財政硬直化と社会保障の増大が進む中で、市単独の施策は困難と理事者は強調されますが、地方は国の出先機関ではなく、市民の暮らしを守るための行政機関であり、貧困と格差が進む中で、暮らしを守る財政運営を望むところですが、見解を伺います。
次に、国民健康保険に公費投入で保険料の引下げを求める立場で伺います。
11月1日、日本共産党は、高すぎる国民健康保険料引き下げ、住民と医療保険制度を守る政策提言を行いました。国民健康保険制度は、国民の4人に1人が加入し、国民皆保険の医療制度の重要な柱です。高過ぎる国民健康保険料が住民の暮らしを苦しめるだけでなく、構造的な危機となり、国民皆保険制度の根幹を揺るがしています。この危機を打開し、公的医療保険としての国民健康保険制度を立て直す必要があると考えるものです。全国知事会が公費を1兆円投入して、協会けんぽ並みの負担率に改善することを要望していますが、これに賛成し、提言したものです。全国でも保険料滞納者は全体の15パーセントで、これは長野市も15.6パーセントとほぼ同じ、公費投入で保険料引下げを求めるものです。
国民健康保険の構造的危機について、国民健康保険発足当時、政府は、国民健康保険は被保険者に低所得者が多いこと、保険料に事業主負担がないことなどのため、どうしても相当額、国庫が負担する必要があると認めていました。これは1962年の社会保障制度審議会の勧告です。しかし、1984年の法改正で、国民健康保険への定率国庫負担を削減したのを皮切りに、国庫負担を抑制し続けてきました。加入者の構成も7割が農林水産業と自営業でしたが、今では43パーセントが無職で、34パーセントが非正規雇用などの被用者で、合わせて8割になっています。長野市における国庫負担額の推移と加入者の構成の変化はどうでしょうか。構造的な問題との認識はあるか伺います。
公費投入への所見を伺います。
長野市は一般会計からの10億円の繰入れで市民の負担軽減を図ってきており、これは大いに評価されています。国民健康保険の都道府県化に伴い、国・県の指導で今後5年間に公費の繰入れ5億円の削減を目指し、そのうち保険料の値上げで2億5,000万円としていますが、具体的に国・県の公費繰入れは駄目だという指導はどのようにしているのか伺います。飽くまで保険料は長野市が決めるものです。また、繰入れをしていない県に対しても、国民健康保険特別会計への繰入れを行うことを求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
そもそも国民健康保険は、地方の努力の限界です。協会けんぽ並みの保険料にするには、国民健康保険にしかない均等割、平等割を廃止するしかありません。被用者保険の保険料は収入に保険料率を掛けて計算するだけですが、国民健康保険料は所得に保険料率を掛ける所得割と、世帯員の数に応じて均等割、各世帯に係る平等割を合算して算定、つまり、子供の数が増えるごとに国民健康保険料は引き上がる、まるで人頭税、子育て支援に逆行という批判の声が上がり、全国知事会は2015年、子育て支援の観点からの子供に係る保険料、均等割の軽減を国に要請、東京都議会も国への意見書を2017年に提出、埼玉県ふじみ野市では今年度4月から第3子以降の子供の均等割を全額免除する条例を平成29年12月定例会で可決しています。国民健康保険の均等割の子供分について減免するよう、是非市長会でも取り上げていただきたいと思いますが、市長の見解を伺います。
また、全国で均等割、平等割として徴収されている保険料がおよそ1兆円、公費を1兆円投入すればそれがなくなり、協会けんぽ並みの保険料にすることができますが、この提案に対する所見を伺います。
長野市の均等割と平等割が廃止されると、保険料はどうなるか。1例として、給与収入400万円、4人家族--30歳代の夫婦と子供2人の場合、2例、年金収入280万円、夫230万円、妻50万円、65歳以上の家庭、3例、所得300万円、自営業3人世帯--30歳代の夫婦と子供1人、この試算結果でどのくらいの負担軽減になるか伺います。
長野市の平成29年度国民健康保険特別会計決算は黒字です。ところが、来年に向けて公費の投入を削減し、2年に0.3パーセントの割合で保険料を引き上げ、5年間で2億5,000万円に上る負担増を行う計画です。10億円の繰入れを継続し、保険料の引上げをしないよう求めますが、見解を伺います。
また、県への納付金の見込み、来年度の保険料率の見込みについて伺います。
3つ目、都市内分権について伺います。
32住民自治協議会が本格的に動き出して10年になりますが、この間の活動をどのように評価されていますか。
初日の市長挨拶で取り上げていただきましたが、豊野では住民自治協議会の女性部が主催し、女性限定の避難所体験という企画を行いました。私もお米を0.5合と寝袋を持って会場に出掛けると、子供を連れた若い女性を初め、31人が集まっており、関心の高さを感じました。隣の女性に、どこで知りましたかと聞くと、保育園の掲示板のビラを見て参加したとのことでした。炊き出しの体験、避難所のトイレや囲いの設置、東日本大震災を実家で体験した女性の話、公民館での一晩泊まり体験で翌朝解散、こうした自主的な取組が、支所や危機管理防災課の男性職員の支えで実施され、会場のハザードマップで話が弾むなど、災害への喚起となりました。自分たちで企画し実践することで、苦労もあったと思いますが、手応えを感じておられたようです。こうした取組が全市的に広がってきていると思いますが、どのように評価しているか伺います。
次に、実態と課題について伺います。
現場では、役員のなり手がない、行政にやらされている、下請じゃないとの声も聴かれます。また、地域課題を自主的に解決していく次世代を育てようと苦労されていますが、市は現場での声をどのように受け止め、課題としているか伺います。
平成18年度から第一期長野市都市内分権推進計画が始まり、平成22年度に第二期、平成27年度から平成31年度が第三期計画で、来年最終年を迎えます。第四期推進計画を策定するに当たり、避けて通れない問題に事務局長の処遇問題があると考えます。住民の福祉の増進を目的として各地域で活動が行われ、支所や担当課の支えもありますが、やはり事務局長としての支えが最大で、私たちは市の職員を充てるべきと一貫して主張してまいりましたが、いかかが所見を伺います。
どの地域に住んでいても、安心して住み続けられる長野市を維持し、地域の課題に一緒に真摯に取り組み、地域活動を励ましてくれる存在が必要であり、また、継続性からも職員の事務局長配置が必要と考えますが、いかがでしょうか。
地方分権の課題や住民自治協議会が抱える課題を見える化するためにも、都市内分権審議会が重要な役割を果たすと思いますが、平成27年2月から3年以上にわたり開かれていません。また、住民自治協議会の連絡協議会も行われていますが、協議内容が公開されていません。私たち議会も継続性を持って現場の声をお聴きし、課題を共有したいと思いますが、なぜ審議会が開かれていないのか、協議会の議論の記録の公開を求めますが、見解を伺います。
また、自治基本条例の検討が先延ばしされていますが、持続可能な地域づくりのための長野市や住民自治協議会の役割や分担、また、地域によって大きく差が生じないように条例が必要と考えますが、所見を伺います。
4つ目、教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を目指す取組について伺います。
11月9日に日本共産党は、小・中学校の教員定数を10年間で9万人増やすことなどを柱とした政策、教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を、学校をより良い教育の場に、との提言を発表しました。教員の長時間労働が限界に達する下、政府も早急な是正を掲げていますが、肝心の教員増がなく不十分だと指摘、直近の過労死白書で教職員の約8割が業務に関するストレスや悩みを抱えるとともに、教員増を求めていることを挙げ、学校を安心して働き続けられる職場にすることを目指すものです。
そこで、伺います。
1日12時間近くに上る長時間労働の背景に、国が教員を増やさず授業数を増やしたこと、格差と貧困の広がりで学校の抱える課題が増えた上、全国学力テストや教員免許更新制、人事評価などの学校改革が拍車を掛けたこと、公立学校の教員が法律で例外的に残業代ゼロとされてきたという3つの根本問題を指摘しています。長野市での教員の長時間労働の実態とその原因をどのように捉えているか、伺います。
問題解決のために4つの提案を行っています。
1つ目は、持ち時間の上限を定め、そのための定数改善を行うこと。
現在1日5ないし6こまになっている受け持ち授業数を4こまを目安に減らし、小学校で週20こま、中学校で18こまを上限とする。そのために教員定数を10年間で9万人増やし、教員不足を招いている免許更新制は廃止する。数千億円の財源が必要ですが、先進国最下位の教育予算のGDP比を0.1ポイント引き上げるだけで可能です。カウンセラーなど教員外の専門職は、非常勤ではなく常勤にすること。
2つ目、学校の業務削減を国と自治体、学校現場の双方から推進すること。
業務改善に関する文部科学省通知や運動部活動に関するスポーツ庁ガイドラインを生かし、業務削減を大胆に進めること、現場に負担を与えている教育施策を削減・中止すること、何かを加えるのなら何かを削る、これを鉄則とすべきです。学校で教職員の話合いに基づき、不要不急の業務を削減・中止していく、部活動の負担軽減を進める。
3つ目は、教職員の働くルールを確立すること。
残業代を支払うことは、長時間労働の歯止め、適用除外は誤りで、きちんと支払うこと。残業時間の上限は1週15時間、月45時間、年360時間以内という内容で厚生労働大臣告示。来年には労働時間の把握が、行政・校長など使用者の法律上の強い義務となります。教育委員会は、時間把握と健康管理の責任ある体制をとるべきです。
4つ目、公立・私立学校での非正規教職員の正規化と待遇改善を進めること。
2001年の規制緩和によって、今、小・中学校の6人に1人が非正規教員です。教育に臨時はありません。基本的に正規にすべきです。教員は労働者であるとともに、教育の専門家です。子供たちは他者との人間関係で、一人一人が個性的に人として育ちます。その人間形成を支える教員の仕事は、広い教養や深い専門的な知識・技能が求められる尊い専門職です。その専門性を発揮するには、ふさわしい労働条件が必要です。同時に、教育者として一定の自主的権限や自律性が必要です。今のブラックと言われる異常な労働条件で、専門職に必要な自律性も奪われています。子供の実情や保護者の願いに応じた、柔軟で人間味のある教育が難しくなっているのではないでしょうか。
私たちは、こうした問題意識の下で提言を発表しましたが、こまの上限、業務の削減、労働時間の把握、教職員の正規化などの提言をどのように受け止めますか、見解を伺います。
平成30年3月市議会定例会で、長野市議会は全会一致で教職員定数の改善を求める意見書を上げています。1990年前後から不登校の増加、いじめ問題など、学校の課題が増えました。社会の反映として貧困と格差が広がり、子育てへの不安や困難が深まり、保護者との関わりも複雑さを増している状況です。多忙化を極める現場で、今必要なのは心の余裕や時間の余裕を持った先生方の存在です。学校の現場の業務を減らすための見直しは、どう進めているのか伺います。
5つ目、中山間地の活性化策と移住・定住施策について伺います。
地域おこし協力隊とその後の自立支援策について伺います。
地域おこし協力隊は、平成26年4月に採用した隊員のうち、8名が平成29年3月で3年間の任務を満了し、その後12名が3年間の任務を終了しています。そのうちお一人は学業に戻られたようですが、20人中19人が定住に向かわれています。定住の全国平均6割をはるかに超える実績ですが、定住を決意された要因は何があるのでしょうか。協力隊を募集する中での御苦労や、協力隊の取組によって地域がどのように変化し、その影響や実態をどのように評価しているか伺います。
地域おこし協力隊の皆さんは、1か月18万6,000円で最長3年間が保障されます。しかし、その後の自立支援について十分な施策になっているか伺います。
退任後、起業支援として100万円の国の補助事業があり、例えば農業のための軽トラックの購入などに使えるようですが、農機具、倉庫、住居など、一からそろえるには大変な苦労だとお聞きしています。新規就農支援の制度がありますが、150万円で5年間として、8年間の支援で定住者を増やしていくことはできるのか、伺います。今後も、地域おこし協力隊制度を継続されていくのか、国の見通しを伺います。
先日、女性議員と農村生活マイスター等の皆さんとの懇談会がありました。NPO法人食育体験教室・コラボの理事長で農業体験やみそ・納豆づくりをされている方、地域おこし協力隊卒業生で松代で無農薬米の生産に取り組む方、同じく卒業生で七二会でソルガムを活用した特産品の開発やチェーンソーを担いで山の中へ入って仕事をしている女性など、若い人の取組に勇気を頂きました。地域おこし協力隊の定住・自立支援策の今後の取組について伺います。
七瀬従前居住者用住宅を移住者向け住宅として一部活用することについて説明がありました。栗田の従前居住者用住宅は市営住宅にするとのこと、七瀬については移住者用を10戸、移住者体験用として2戸を家具付きにするとの説明でした。今後、市営住宅にしていくとの方針はそのままとのことでありますが、3年から5年を繰り返して入居になると、市営住宅にはできないということではありませんか。もし市街地の人材採用のためなら民間アパートに入居していただき、税金での住宅確保は筋違いではありませんか。今回の変更は、中山間地活性化のための移住者対策でしょうか。それとも、市街地の民間で働く人材確保の移住対策なのか、見解を伺います。
13中山間地域に市営住宅、定住促進住宅など45か所、教職員住宅は31か所があります。そのうち、戸隠、鬼無里、大岡、信州新町、中条地域の45団地293戸の入居数、空き家数、募集可能数を伺います。また、同じく、教職員住宅の状況はどうでしょうか。移住対策、移住体験も、まず中山間地に住んでいただく、これが必要ではありませんか。見解を伺います。
地域奨励作物と地域経済について伺います。
今定例会に、戸隠スキー場ほか3施設の指定管理者の指定について、株式会社戸隠へ指定するための議案が提出されています。今後、スキー場の施設更新等課題もありますが、地元の団体も参加する中での事業展開を注視したいと思います。同時に、そばと観光と雇用が循環している一つの例として注目をしています。
地域奨励作物支援事業と地域経済について伺います。
平成27年度から枝豆も加わり、小麦、大豆、ソバ、枝豆と4品目で、奨励交付金が年間3,831万7,000円、この交付金は特に中山間地域の耕作放棄を防ぎ、生産者の耕作意欲を高めていると考えますが、評価をどのように行っていますか。
高齢化が進む中山間地で軽量な産物、例えばピーマン、また、特に市場で人気が出ている高原トマトが付け加えられないかとの意見をお聴きしますが、対象作物の検討などはどこで行っているのでしょうか。地域奨励作物支援事業は、地域経済の確かな要になっていると考えますが、その成果と課題、対象作物の拡大はどうか、見解を伺います。
過疎地域高校生通学費補助金制度について伺います。
13中山間地域の中で、過疎法の適用を受けている戸隠、鬼無里、大岡、信州新町、中条の高校生の通学費補助金制度について、昨年度の申請者数が42人と、対象者と思われる251人の17パーセントとお聞きしました。この制度は、合併地区の切実な要望を聴き、私たち市議団も一貫して取り上げ、過疎債の適用対象になるとのことで制度設計に至った経過がありますが、利用者が余りに少ないが、制度設計が実態に合っていないということでしょうか。どのように分析されているか、伺います。
また、信更地区の皆さんから、制度の見直しで対象地区の拡大を含む切実な要望が寄せられております。財源を過疎法だけに求めると、対象の拡大は困難となり、同様な交通費が生ずる他地区からの公平性を求める声と矛盾が生じます。ここで、いま一度、高校生の通学費補助の観点から、全市的に見直すべきではありませんか。以前、他会派から提案があった、おでかけパスポートのように、18歳まで公共交通利用には、(仮称)学習パスと私が勝手にネーミングをしましたが、取り入れるなど、抜本的な施策の転換が必要ではありませんか。移住・定住の促進策とバス路線維持を目的に制度の拡充を求めますが、見解を伺います。
6番目、公共施設の老朽化対策と個別施設計画策定に向けて伺います。
長野市が保有する公共施設の数は815、延べ床面積は約154万平方メートル、そのうち35.5パーセントが学校教育施設です。
資料を御覧ください。
写真は、長野市立豊野東小学校です。建設から38年経過し、雨漏りしている体育館と、さびがひどくなった体育館の屋根であります。全校生徒171人の学校です。公共施設分析評価は、一次、二次評価とも継続保全です。豊野地区で10月に行われた加藤市長を迎えてのながの未来トークの、自由討議の場で同窓会の役員から、小学校の雨漏りをどうしてくれるのかと意見が出されました。先日、教育長、教育委員会に、正式に地域の役員と申入れをさせていただきました。学校施設の耐震化がほぼ終わり、小中学校クール化プロジェクトも来年度には60校一気に進むと。しかも、従来工法ということで評価をいたします。ただ、同時に、雨漏り、水回り、トイレ改修、プールのペンキ塗りなど、老朽化に伴う深刻な問題が放っておかれているのではないか危惧するところであります。学校施設における現場からの要望はどのようなものが何件あり、どう対処されているか伺います。
学校施設の維持修繕費の推移は、どのようになっていますか。過去5年間の推移を見ると、小学校で年平均7,970万円、1校当たり147万5,000円、中学校では年平均3,586万円、1校当たり143万4,000円となりますが、全校79校の平均で突発的修繕が必要なことも生じ、現場から要望されたことが解決できない状況です。早い段階で対応すれば、少ない経費で済むのに、手遅れで大改修になることはありませんか。子供たちが毎日通い、勉学に励む学校の施設について、安全性確保のため、早急な対応が必要です。これが私の学んだ学校と、誇りを胸に毎年卒業する子供たちがいますので、最低限の維持補修、ちゅうちょなく行うべきです。また、災害の避難所指定になっているところでもあります。維持修繕費の増額が必要と考えますが、見解を伺います。
特に教育委員会所管の施設数が多い実情ですが、個別施設計画を作っていく体制は職員数も含めて十分整っているのか伺います。
若槻地区で老朽管の破裂による断水が発生しました。上水道管は40年以上経過したものが414キロメートル、毎年20キロメートルの更新を行っているが、予算もあり、前倒しはしないと市長の記者会見でした。水道料金は5年前に7.86パーセント、昨年5.49パーセントの引上げ、一般家庭にすると17.2パーセントの引上げで、50年後の運営計画を立てています。上水道施設の改修・更新費用にこれ以上利用者負担を求めることは無理があると考えますが、国や県の財政支援はどうなっているのか、また、上水道料金の今後の見通しを伺います。
新耐震基準の非木造施設を長寿命化し、80年使用した場合でも、改修・更新費用は3,681億円と試算されています。今年度内に中長期保全計画を策定し、改めて改修・更新費用の見通しを立てたいと議会答弁されていますが、進捗状況はどうか。国の支援策や市債の活用、基金の積立てなど想定目標額を設定し、活用する分野や事業も検討するとのことですが、費用の見通しと財源について伺います。
また、建築基準法第12条点検について伺います。
3年ごとに有資格者による劣化状況の点検が義務付けられていますが、学校と市営住宅以外の294施設は、公共施設マネジメント推進課において3年に分けて点検業務を委託する包括発注を行うと説明を受けました。学校施設と市営住宅の点検はどのような形で行い、結果と対策はどのように進めるのか伺います。
7つ目、待機児童対策について伺います。
今定例会初日に、地元紙が待機児童の問題を報道いたしました。記事は、12月から来年2月分の保育施設への入園希望を募ったところ、入園希望の3歳未満児83人のうち、4割超の37人は希望の施設に空きがなく、待機児童となる可能性があるとのこと、今までも年度途中の入園ができないなど隠れ待機児童の実態もありましたが、現実の問題となり、働く女性が増え、さらに来年から保育の無償化が始まれば、もっと深刻な問題になります。保育の質を落とさないことと同時に、待機児童を出さないためには、認可保育所を増やすしかありません。今まで対応いただいていますが、正規保育士と嘱託保育士の処遇改善を含め、思い切った対策をとるべきではないか、所見を伺います。
◎市長(加藤久雄)
初めに、消費税増税に関する見解をという御質問についてお答えいたします。
我が国では、少子高齢化の進行によりまして、社会保障制度の充実・安定化、財政の健全化が喫緊の課題となっております。取り分け現役世代にとりましては、社会保険料などの負担の増大が懸念されているところであります。
消費税は現役世代のみに負担を集中させず、広く負担を求める制度であります。また、景気等社会情勢に左右されない安定的な税収をもたらすため、今後、増加の一途をたどることが見込まれる社会保障財源としてふさわしいものと考えております。今後の財源の確保という観点から見て、来年10月に予定されている消費税率の引上げが確実に行われることが重要となります。また、消費税の一部は、本市にも地方消費税交付金として交付され、社会保障施策などの貴重な財源となっております。
なお、先月国が発表しました、経済政策の方向性に関する中間整理には、消費税の引上げ時の経済対策として、キャッシュレス決済時の5パーセントポイント還元など9項目の骨格が示されており、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応するとしております。税率引上げは市民の皆様の生活に影響があることから、長野市といたしましても、今後の国の動向を注視してまいります。
次に、税制は累進課税が原則ではないかという御質問についてお答えいたします。
累進課税は、所得が多くなるにつれて税率が上がることにより、格差を是正し所得再分配を行うものであります。一方、消費税は、その財源から公的サービスの提供によって、所得の再分配を行うという考え方に立つようになりました。国民が負担した税を基に、一定の社会保障について平等にサービスが提供されます。
来年10月に予定されている消費税率の引上げ分に係る使い道について、政府では、新たに教育負担の軽減、子育て層支援、介護人材の確保などを加えるものとしているところであります。私といたしましても、税制度につきましては、多くの納税者が不公平感を持たず、経済社会へ影響が少ないことが重要であると考えております。税の内容や税率について、個人や企業などの行動がどう変わり、それがひいては経済や雇用にどう影響を及ぼすのか、税体系全体での検討が必要ではないかと思っております。国におきましては、国民全体にとってどのような税制の形が好ましいのかを具体的に議論を行っていくものと考えております。
次に、幼児教育・保育の無償化に伴い発生する費用負担についてお答えいたします。
中核市市長会では、費用負担に対して、今年の5月、地方自治体に負担を生じさせることなく、国の責任において着実に推進するよう国に提言し、また、全国市長会では、今年の11月、無償化は国が提唱した施策であり、国の責任においてその財源を全額国費で確保するよう提言しております。
なお、地方自治体の代表として、全国知事会、全国市長会及び全国町村会等の地方6団体の会長が国と協議を行う中で、無償化は国の責任で必要な財源を確保するとともに、地方と十分協議するよう要望しているところであります。
国は、費用負担として、私立保育所は国が2分の1、都道府県及び市町村は4分の1、公立保育所は、市町村が全額負担するとしています。また、地方自治体の要望に対しまして、初年度の2019年10月からの半年のみ費用を国が全額負担することや、システム改修などの事務費は2019年10月から2021年3月までの1年半、国が全額負担するとしていますが、国と地方自治体の考えにいまだ隔たりがあります。
私は、幼児教育・保育の無償化は、国が責任を持って財源を確保すべきと考えており、引き続き国と地方6団体が行う協議の動向等に注視し、適切な対応を図ってまいります。
次に、公共施設等適正管理推進事業についてお答えします。
国は、公共施設等の老朽化対策と適正化管理を推進するため、後の元利償還金が地方交付税として措置される、公共施設等適正管理推進事業債を平成29年度に創設し、本市においても、皐月保育園の改築事業や旧フルネットセンターの改修、道路の長寿命化などに活用しております。
なお、長野市公共施設等総合管理計画においても、今後も必要とする施設については、集約化、複合化、長寿命化を図ることとしており、これからも有利な起債を積極的に活用してまいります。
次に、国への要望でありますが、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額及び地方交付税総額の確保や、道路、橋りょうなどの長寿命化対策に係る自治体の負担軽減について、市長会などを通じて要請しているほか、長野市議会からも意見書を国に提出していただいたところでございます。私自身も、総務省、国土交通省など所管省庁に直接出向き、本市財源の確保に尽力しているところでございますが、更に努めてまいります。
次に、住民の福祉の増進のために基金を活用すべきとのことにつきましては、ふれあい福祉長寿社会福祉基金など特定目的基金を活用しているところでありますけれども、財政調整基金につきましても、災害復旧など緊急の財政需要への対応の他、不足する福祉給付費の財源などに活用しているところであります。市民の暮らしを守る財政運営は、守る、育てる、つなぐの私の政策の根幹でもあります。今後も、福祉施策を初め、防災、土木、産業、教育などあらゆる施策において、地方自治の本旨である住民の福祉の増進を念頭に、適切な財政運営に努めてまいります。
次に、国民健康保険に関し、保険料均等割子供分の減免についてお答えいたします。
長野市の国民健康保険料は、所得に応じ賦課する所得割、被保険者の人数に応じて賦課する均等割、世帯ごとに賦課する平等割の3つの方式で算出しております。このうち均等割につきましては、被保険者の年齢を問わず、同額で計算することとしております。
子供に係る均等割保険料の軽減措置につきましては、以前から市町村が要望している案件であります。全国市長会においては、平成30年6月6日の提言において、子育て世帯の負担軽減を図るため、子供に係る均等割保険料を軽減措置する支援制度を創設するよう国に求めております。また、中核市市長会でも同様の要望を行っております。提言に基づき支援制度の検討が進むよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
次に、公費の1兆円投入について、均等割と平等割をなくすという御提案については、財源確保が大きな課題となっております。まずは、平成30年度から投入された国の3,400億円の追加支援の継続と、国による財政支援の拡充を求めるべきと考えております。将来にわたり安定的で持続可能な制度とするためには、市長会提言にもあるように、長期的には医療保険制度の一本化などの検討も必要ではないかと考えております。
都市内分権についてのうち、住民自治協議会の活動の評価についてお答えいたします。
本格的な住民自治協議会のスタートから10年目を迎えました。各住民自治協議会におきましては、地区まちづくり計画や地域福祉活動計画の策定によりまして、地区の将来像や目標を定め、その実現に向けて進められております。また、自分たちの地域は自分たちでつくるという熱意を持って、市から依頼している必須・選択事務などに限らず、それぞれの地区の課題解決や活性化に向けた活動に自発的に取り組んでいただいております。このように、各地区の住民自治協議会の取組も、この10年で地域に根差した活動として、また、継続的、自立的な活動として定着してきたものと評価しております。今後、引き続き持続可能な住民自治協議会の活動について、支所長を中心に市全体で支援してまいりたいと考えております。
また、今年度、豊野地区で実施していただいた疑似避難生活体験は、避難生活への不安を解消するとともに、非常持ち出し品の必要性や地域の支え合いの在り方を考える機会として、地域が主体となって実施していただいているものでありまして、非常に熱心に取り組んでいただきました。
疑似避難生活体験は、昨年戸隠地区でも実施した他、安茂里地区や信州新町地区の住民自治協議会などでは、地域の危険箇所を確認する災害想像ゲームDIGなどを実施していただいております。これらの防災活動を通じて、いざというときの隣近所の助け合いの精神が重要であるとの認識が広がりつつあるものと感じているところであります。地域の皆様が、自分たちの住んでいる場所の特性や危険性を把握し、地域に合った訓練などを実践していくことは、防災意識の高揚と地域防災力の向上につながるものと考えておりますので、引き続きこれらの活動を積極的に支援してまいりたいと思います。
◎総務部長(倉石義人)
私からは、初めに、住民自治協議会の事務局長への市職員の配置についてお答えいたします。
本市が推進する都市内分権の目的は、地域の住民ニーズや特性に配慮した施策が求められている中、地域住民の皆さんと市の協働による取組を行うことで、地域の個性や声を生かしながら、地域の実態に即したまちづくりを進めていくことにあります。
住民自治協議会の事務局長に市職員を配置した場合は、住民自治協議会と支所の双方に職員が配置されることとなり、対等の立場での協働という趣旨から離れてしまうことから、地域の中から適任者を選出していただくことが適切であるものと考えております。
一方で、市職員の経験や知識などを踏まえた中で、退職後に地域の皆様が事務局長に選出いただいているケースもあることから、引き続き地域での人材として、経験等を生かしていただくよう検討をお願いできればと考えております。
また、地域づくりなどの活動につきましては、これまでも支所長を初めとする支所職員に地域づくりに積極的な人材を配置し、支援等を行っておりますが、各地区での活動の継続性の確保の観点も含め、引き続き適切な人事配置に努めてまいりたいと考えております。
次に、公共施設の老朽化対策と個別施設計画策定に向けてのうち、初めに、個別施設計画を作っていく体制についてお答えいたします。
計画の策定作業の中では、個々の施設の役割、利用状況や運営の状況、老朽度や将来的なコストなどを捉えた分析が必要であり、主に施設所管課がその業務を担っていくことになります。
ただし、策定のマニュアルとも言うべき個別施設計画策定方針は、公共施設マネジメント推進課が策定し、方向性を示し統一的に進めていくことで、施設所管課の負担の軽減を図っております。
また、施設所管課に任せるだけではなく、公共施設マネジメント推進課が包括的に進捗を把握し、公共施設等総合管理計画との整合やエリアマネジメントの視点から、全庁的取組の調整役を果たしてまいります。
所管する施設数が多い所属ほど作業量が多くなりますが、公共施設マネジメント支援システムや庁内共有サーバー等を活用しながら、他の所属の策定状況を参考に作業を進められるような環境を整えるとともに、計画策定作業が一時的に集中し、他の業務が滞ることがないよう平準化に努め、平成32年度の計画策定に向け、段階的に作業を進めてまいります。
最後に、中長期保全計画の進捗状況と費用の見通しと財源についてお答えいたします。
先ほどの布目議員に対する答弁と重複いたしますが、長野市公共施設等総合管理基金の規模や基金を活用する事業を検討するため、今後40年間の中規模改修、長寿命化改修、更新に係る費用を中長期保全計画としてまとめる作業を行っております。
試算に当たりましては、一般的な施設については、マネジメント支援システムのデータを活用して算出するとともに、5,000平方メートル以上の大規模施設については、業務委託により実施をいたしました。現在、集計作業中でありますが、2038年までの20年間に旧耐震施設の建替え時期が集中すること、2021年からは新耐震基準の建築物の長寿命化工事を始める必要があることから、今後20年間をどのように乗り切るかが大きな課題になっております。
また、財源につきましては、過去の事業費における国庫補助金や起債の状況を推計し、今年度内に基金の規模や当面の活用の考え方を示してまいりたいと考えております。
◎企画政策部長(西島勉)
中山間地域活性化策と移住・定住施策についての御質問のうち、七瀬の従前居住者用住宅を移住者向け住宅として一部活用することについてお答えいたします。
今回、従前居住者住宅を移住者向けに活用することを検討した理由は、移住者と市長との懇談会において出席者から、職が決まらなければ住宅も貸してもらえない、逆に住宅が決まらなければ職も決まらないとの発言がありまして、移住される方が職と住を同時に確保することは大変ハードルが高いこと、また、他の自治体でも、企業の社宅や国の集合住宅などを取得し移住者向けに使用している事例があることを参考に、本市においても移住しやすい住環境を確保することができないかと考えたことに端を発しているものでございます。
長野駅周辺第二土地区画整理事業の施行に伴い建設した従前居住者用住宅の後利用につきましては、2棟のうち、栗田住宅は市営住宅として早期に利用できるよう検討しておりますが、七瀬住宅につきましては、土地区画整理事業に伴う中断移転等により仮住居として必要とする世帯がまだあり、当面従前居住者用住宅としての使用が必要となりますので、その空き住戸分を有効活用するために暫定的に利用するものでございます。
活用目的は、移住・定住への足掛かりとするための仮住宅で、入居期間は3年程度を限度とする予定でございます。移住希望者のニーズは様々でありまして、自然豊かな中山間地域を希望される方、利便性を重視してインフラの整備されている市街地周辺を希望される方、また、市街地周辺で何年か住んだ後、中山間地域に住むことを希望される方など幅広いニーズがありますので、今回検討している移住者向けの仮住宅への入居条件は、将来中山間地域へ定住するか、市街地に定住するかは特に限定しない活用方法を考えております。
次に御質問の中山間地域の市営住宅などの状況ですが、全293戸のうち、入居済みの戸数は169戸で、残りは空き戸数ですが、そのうち老朽化や耐震性不足等により募集できない住戸を除くと、募集可能戸数は56戸となっております。教職員住宅は、31戸のうち18戸が入居中、13戸が募集中であります。
長野市内での移住先につきましては、中山間地域の過疎化の現状を踏まえ、中山間地域空き家改修等補助金などにおいて引き続き支援を行ってまいります。
◎地域・市民生活部長(増田武美)
私からは、最初に、都市内分権について、役員のなり手不足等についての御質問にお答えいたします。
まず、役員のなり手がないとの声があることにつきましては、私が今年度、市内全地区の住民自治協議会を訪問させていただきまして、現場の生の声をお聴きしております。多くの地区は、定年延長による役員の高齢化や後継者不足により人材確保が難しい状況であり、このような課題については十分認識はしておりますが、解決の難しい問題であるとも認識しております。
課題解決・解消に向けましては、まずは役員の負担軽減を行い、併せて、現在の活動内容を見直し必要な事業を見極めるとともに、組織のスリム化も必要であるというふうに考えております。少子高齢化、人口減少により、人材確保は重要な課題の一つとして、知恵を出し合って対応していかなければならないと考えておりまして、引き続き住民自治協議会とこれらの課題について共有しながら、市としましても対応してまいりたいというふうに考えております。
また、行政にやらされている、下請じゃないとの声につきましては、市から依頼する事務につきましては、必須・選択事務に位置づけて実施していただいておりまして、その必要な費用については地域いきいき運営交付金により措置しております。加えて、地区活動支援担当である支所長や担当課によるサポートも行っているところでございます。
先ほどのような声が聞こえてくるという状況につきましては、行政や住民自治協議会との協働によるまちづくりを推進する体制について、市民の理解が得られていないことが要因として考えられますので、住民自治協議会に対しましては、主体性を尊重しながら、支所や事業推進に関わる担当課からの支援を小まめに行い、市民の皆様に対しましては、広報や市のホームページなどを通じて住民自治協議会の活動を紹介し、市民理解の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
続きまして、都市内分権審議会及び住民自治連絡協議会並びに自治基本条例についてお答えいたします。
都市内分権審議会が平成27年2月から開催されていないことにつきましては、住民自治協議会の活動が軌道に乗ってきた側面もあることから、取り急ぎ協議するテーマがなく、開催を見送ってきたという状況でございます。
しかしながら、現在の第三期都市内分権推進計画が来年度で最終年度を迎えることから、今後、現計画の検証を行うとともに、今後の方向性などを協議いただくため、都市内分権推進審議会を開催してまいりたいというふうに考えております。
また、住民自治連絡協議会の論議の記録の公開でございますけれども、長野市庁内会議における会議録の作成に関する指針に基づきまして会議録の作成を行っておりますので、現在でも請求による公開は可能となっております。今後、市のホームページへの掲載を含め、見える化については検討してまいりたいと思います。
次に、自治基本条例の必要性につきましてでございます。
第三期長野市都市内分権推進計画では、自治基本条例の制定は、住民自治への市民意識の高まりを見極めながら検討していくということとしております。本市では、既に住民との協働により地区独自の活動が定着しております。また、組織や役割分担や業務内容についても、市と情報共有しながら、地区の実情に合った内容としてお決めいただいております。このことから、市として統一した基準を示すことは、地区住民活動が定着し、地区として決定したことにかえって逆行することとなるおそれもあるため、自治基本条例の制定によるのではなく、自分たちの地域のことは自分たちでつくるべく、各住民自治協議会の自律性を尊重し、積極的にまちづくりに取り組めるよう支援してまいりたいと考えております。
続きまして、地域おこし協力隊とその後の自立支援についてお答えいたします。
初めに、定住を決意された要因は何かでございますが、本市の定住率は9割を超え、全国平均の約6割を大きく上回っておりますが、その要因としましては、募集者が考える隊員のミッションと隊員となる応募者のやりたいことを募集時に双方で十分にマッチングさせている点、また、隊員の居住と活動範囲が同じ地域内であることから、日常的に住民との密接な関係にあり、地域への愛着が深まりやすい点、さらに、住民自治協議会を初めとする地域や支所などが地域を挙げた支援体制で臨んでいる、その影響が出ていることと考えております。
次に、地域がどのように変化し、その影響実態をどのように評価しているかでございます。
住民には見慣れた自然や文化、地域で暮らす住民の知恵などに、隊員が興味を示して地域を肯定的に捉えることにより、住民が自信や誇りを取り戻し、地域の価値や可能性について気付くきっかけにつながっているというふうに捉えております。
また、隊員の取組に刺激を受けた住民の諦め感がやる気へと変化するなど、外部からの人的支援が住民の意識変化に与える影響は大きく、本制度の導入による活性化の効果は高いものと考えております。
自立支援につきましては、隊員に対しましては、勤務時間中はミッションや地域活動に専念するよう指導しておりますが、ミッションに沿った内容であれば、勤務時間中であっても自立に向けた準備や試行活動なども認めておりまして、柔軟な勤務内容となっております。
また、隊員の起業を支援する制度として、長野市地域おこし協力隊起業支援事業補助金を設け、これまでに任期を満了した15名の隊員がこの制度を活用して起業に取り組んでおります。加えて、隊員と地域や支所等がコミュニケーションをとる中で、将来の意向や退任後のイメージを共有して、その実現に向けた相談に乗っておりますことから、自立に向けて十分な支援を行っているというふうに考えております。
次に、協力隊の任期と新規就農支援の合計8年間の支援で定住者を増やすということはできるかという質問でございますが、国の農業次世代人材投資事業は、準備型の資金として、45歳未満で就農する者が就農前に研修する場合に年間150万円を最長2年間、経営開始型の資金としては、45歳未満で独立自営就農する認定新規就農者に対し、年間最大150万円を最長5年間交付するというものでございます。現在までに地域おこし協力隊の任期終了後に認定新規就農者の支援対象となった者が、平成30年6月から就農した1名のみでございます。地域おこし協力隊の任期終了後に新規就農した方が定住していただくことは十分可能であると考えておりまして、新規就農者となる意欲を持つ地域おこし協力隊員には、青年等就農計画の作成段階から相談に乗るなど、必要かつ十分な支援をしており、これを継続してまいりたいというふうに考えております。
次に、地域おこし協力隊制度の今後の国の見通しでございます。
総務省では、地域おこし協力隊員数を平成36年度--2024年度には8,000人を目指して拡充していく方針であるということですので、今のところ継続されていくものというふうに考えております。
次に、隊員の定住自立支援策の今後の取組についてでございます。
引き続き、勤務内容や資金面などについて地域を挙げた相談体制による支援を行うとともに、特に仕事や住宅などについては、隊員のプライベートに配慮しつつ、隊員の意向に沿った相談支援を行い、任期終了後に隊員が自立し定住できるように支援してまいりたいと考えております。
次に、過疎地域高校生通学補助金制度についてお答えします。
初めに、利用者が少ないが、制度設計が実態に合っていないのではないか、どのような分析をしているのかについてですけれども、初年度の実績は、高校生、これは中学卒業生ということですが、生徒数251人に対して42人の生徒の保護者に交付いたしました。この制度は、過疎地域を対象に、移住・定住の促進、バス路線の維持、過度に大きい通学費負担の是正を目的として、市街地へ通学する生徒のバス定期代の一部を補助するというものでございます。
補助申請が約2割弱と少ない要因としましては、地元の高校へ通学する生徒がいることに加え、保護者の中には、高額となる通学費に対する自衛策として、市街地の勤務先へ通勤する際などに子供を便乗させ送り迎えをしているケースも少なくないと聞いておりまして、これらのことが要因と考えております。
次に、この事業を全市的に見直すべき、おでかけパスポートのように18歳までの公共交通機関利用には政策の転換が必要、移住・定住の促進とバス路線維持を目的とする制度拡充についてお答えいたします。
本制度は、過疎地域が市街地から特に遠距離な地域であることから支援するものでございます。対象者を全市的に拡大した場合、現在の制度とは別の目的を持った新たな視点での制度創設となると考えられます。18歳までを子供運賃の対象とする子育て支援は、12歳から18歳までの子供運賃とすることを想定することとなりますので、負担の軽減を図ることでは子育て支援につながるものですが、多大な財政負担が想定されることから、現時点での導入は難しいと考えております。
なお、バス路線維持につきましては、利用者増にはおでかけパスポートが効果的であると考えておりまして、この利用促進を図るとともに、より効果的・効率的な運行に向け、不断の見直しを行うことでバス路線の維持につなげてまいりたいと考えております。
◎保健福祉部長(竹内裕治)
私から、国民健康保険に公費投入で保険料の引下げを求めることについて何点か御質問いただきましたので、順次お答えいたします。
初めに、本市における国庫負担額の推移と加入者の構成の変化につきましてお答えいたします。
まず、本市における国庫負担額の推移ですが、昭和60年度の国庫負担額は約44億円でございました。平成に入りまして数度の制度改正の後、平成17年度には県も負担することとなったこと、平成20年度には前期高齢者交付金が導入されたことなどから、単純には比較できませんが、平成29年度決算においては約100億円となっております。
本年度から本格実施となった国保制度改革により、財政運営の仕組みが大きく変わり、国では--国全体の話ですが、平成27年度から毎年1,700億円、平成30年度からは3,400億円の公費投入の拡充を行っております。しかしながら、市町村の国保財政の運営は依然として厳しい状況です。先ほど市長答弁にもありましたように、市長会等を通し、今後も国の財政支援の確実な実行と更なる拡充を引き続き求めてまいりたいと考えております。
なお、国民健康保険の加入者の職業別等の構成につきましては、本市では集計は行っておらず、統計資料はございません。
次に、構造的な問題との認識につきましてお答えいたします。
国民健康保険は、高齢者の加入割合が高い、加入者の所得水準が低い、小規模の保険者が多く財政が不安定になりやすい、保険者ごとの医療費、保険料の格差が大きいなどの構造的課題を抱えていると認識しております。本年度からの国保制度改革により、公費の拡充に加え、県が財政運営の責任主体となったことにより、財政運営の安定化が図られるものと期待するとともに、国民健康保険の構造的な課題の改善状況について注視してまいりたいと考えております。
次に、国・県の公費繰入れに関する指導についてですが、県では、国民健康保険法第82条の2に基づき、県と県内市町村の共通認識の下に、国民健康保険の安定的な財政運営を図るため、長野県国民健康保険運営方針を策定しております。
平成30年1月の厚生労働省からの通知なんですが、国民健康保険保険者の赤字削減・解消計画の策定等についてという通知の中では、都道府県は、国保運営方針に市町村ごとの赤字の解消又は削減の目標年次及び赤字解消に向けた取組を定めることとしております。このため、県運営方針では、赤字である決算補填等を目的の法定外繰入が発生した市町村は、その解消計画を策定し、計画的に解消・削減していくこととしておりまして、県は着実な解消につながるよう指導・助言を行うとしております。
県に対しまして国保会計への繰入れを行うことを求めることにつきましては、国が示しておるんですけれども、都道府県健康保険運営方針策定要領というのがございまして、それにおいてなんですが、都道府県国民健康保険特別会計は、原則として必要な支出を国保事業費納付金や国庫負担金等で賄うこととしております。県からの独自の繰入れについては、この考え方に反することとなります。また、国保改革による新たな運営体制がまだ始まったばかりでもございます。現時点において、本市として求めることは考えておりません。
なお、本年8月から現物給付方式となった子供の福祉医療に関する、いわゆる国保ペナルティーにつきましては、国の減額調整措置の2分の1を県に負担していただいたところでございます。
続きまして、長野市の均等割と平等割が廃止されると保険料はどうなるのかについてお答えいたします。
例1の30歳代の夫婦と子供2人の4人世帯では、お一人の給与収入が400万円だとすると、現行の保険料額は37万2,550円で、均等割・平等割分を除きますと、所得割のみになりますので24万9,310円となりまして、12万3,240円の減となります。
例2の65歳以上の夫婦2人世帯では、夫の年金収入が230万円、妻の年金収入が50万円だとすると、この世帯では均等割・平等割について2割軽減となります。保険料額は14万2,580円、そこから均等割・平等割分を除きますと、所得割分のみの8万2,390円となり、6万190円の減となります。
例3の自営業所得が300万円の30歳代夫婦と子供1人の3人世帯では、保険料額は38万4,930円、そこから均等割・平等割分を除きますと、所得割のみの28万5,690円となり、9万9,240円減となります。
次に、国民健康保険料の引上げについてお答えいたします。
国民健康保険特別会計事業勘定における平成29年度決算の歳入歳出差引額は9億9,308万3,000円で、ここから前年度繰越額を差し引き、基金積立金を加えた額は8億8,353万5,000円でございました。
しかしながら、見た目においては黒字となっておりますが、差引額のうち4億円ほどは平成29年度分国庫負担金等の精算による返還に充てる予定であり、加えて、金額は未定ではございますが、平成31年度における交付金等の精算財源としての活用も予定しております。さらに、今後県の激変緩和措置の縮小が想定されることから、厳しい財政運営の中、繰越金の活用も見込んでいるところでございます。
本年策定した長野市国民健康保険事業第一期健全化計画では、一般会計からの法定外繰入10億円のうち、5億円を5年間で削減することを目標としております。国民健康保険料のうち、医療分の所得割については、国保事業費納付金を県に支出するために必要なものとして、県から本市に示されました平成30年度標準保険料率9.06パーセントに段階的に近づけるため、健全化計画では、現在の7.9パーセントを平成31年度に0.3ポイント引き上げ8.2パーセントとすることとしております。
平成31年度納付金と標準保険料率につきましては、来年1月に県から示される予定となっております。平成31年度の本市保険料率については、標準保険料率等を参考に決定してまいりたいと考えております。
なお、被保険者の皆様には、広報等を通じて国民健康保険の厳しい財政状況について、そして料率見直しの必要性について丁寧に説明してまいりたいと考えております。
◎こども未来部長(北原千恵子)
私から、待機児童対策についてお答えいたします。
本市においては、これまで待機児童の発生は確認しておりませんが、女性の就業率の向上に伴いまして、今後もゼロ歳児及び1歳児を中心としました保育需要の増加が見込まれるため、待機児童対策は喫緊の課題であると認識しております。
本市の認可保育所等につきましては、全体として保育需要に見合うだけの利用定員は確保できておりますが、近年、公立・私立保育所共に保育士不足が慢性化し、保育士の配置基準上、必要となる人員を確保できず、地域によっては希望する保育所等に入所できない状況となっており、代替の教育・保育施設を提案するなどして利用調整を図っております。
保育人材を確保するため、民間保育士については、平成25年度から国・県の助成金を活用し、着実に処遇改善を実施するとともに、公立の嘱託保育士についても、今年度から一律の月額賃金を、保育士としての経験年数に応じた5段階の賃金区分に見直すなど、保育士の就業促進や離職防止を図る対策を推進しております。また、本市の正規保育士についても、退職者を上回る新規採用に鋭意努めております。
今年度からは、都内及び県内各地で開催される就職相談会への参加、円滑な職場復帰を目的とした育児休業中や潜在保育士向けの研修会及び体験実習の実施、また、保育士募集チラシの市内全戸回覧や、ツイッターやユーチューブ等を活用した保育士募集動画の配信など、広報活動にも積極的に取り組んでおり、市内において増加しているゼロ歳児及び1歳児の保育需要に見合う保育士の確保について、私立保育所と共に連携しまして、引き続き取り組んでまいります。
◎農林部長(横地克己)
中山間地域の活性化策と移住・定住施策についてのうち、私からは地域奨励作物、地域経済についてお答えいたします。
地域奨励作物支援事業は、農地の遊休荒廃化の防止と地産地消の推進を目的に、平成16年度から小麦、大豆、ソバの3品目について出荷量に応じて奨励金を交付しており、平成27年度からは枝豆を追加するとともに、中山間地域の単価を平地の2倍に引き上げて現在に至っております。
奨励金の評価につきましては、遊休荒廃化防止の観点からは栽培面積をもって、また、地産地消の観点からは出荷量の推移をもって評価することが適当と考えています。
事業開始した平成16年度と平成29年度を比較しますと、栽培面積は、小麦が0.2ヘクタールから113ヘクタールに、大豆が19ヘクタールから79ヘクタールに、ソバが13ヘクタールから185ヘクタールに増加しておりまして、農地の遊休荒廃化の防止に寄与していると考えております。
また、出荷量も、小麦が0.6トンから358トンに、大豆が31トンから71トンに、ソバが11トンから115トンに増加しておりまして、地産地消の推進が図られているものと考えております。
次に、対象作物の検討ですが、平成16年度に地域奨励作物支援事業を創設した際に、小麦、大豆、ソバを対象作物とした理由としまして、この3品目は市内での消費量が多いにもかかわらず、国内自給率は10パーセントから20パーセントと低いことから、地産地消を推進するため品目を限定的に定めたものでございます。
平成27年度に追加した枝豆は、大豆が鳥獣被害に遭いやすいということから、早い時期に収穫できる枝豆の出荷をJAが重点的に進めていたことから対象としたものでございまして、いずれにいたしましても、市とJAとの協議を経て、市が対象作物を決定しております。
次に、成果と課題ですが、成果といたしましては、特に小麦、ソバを栽培する農業者の規模拡大の動機付けとなり農地の利用集積を促したこと、また、奨励金の6割が中山間地域に交付されていることから、中山間地域の農家の耕作意欲の向上と地域の活性化に貢献しているものと考えております。
課題といたしましては、大豆及びソバの場合、栽培面積は増えているものの、出荷量がここ数年横ばい傾向にあるということが挙げられます。
最後に、対象作物の拡大についてですが、中山間地域では、別に山村畑作地域活性化事業によりまして、ピーマンやトマトなどの優良種苗の購入に補助をしておりますので、現状で御理解をお願いしたいと思います。
◎建設部長(金井良雄)
私から、公共施設の老朽化対策と個別施設計画策定のうち、建築基準法第12条点検についてお答えします。
学校施設については、建築基準法に基づく点検に加え、非構造部材の耐震性や、文部科学省の求める劣化状況の評価等を含め、業務委託による点検を既に実施しております。
また、市営住宅等については、管理運営を委託している指定管理者が建築基準法に基づく点検を実施しており、建築物の点検については3年ごとに点検し、エレベーターなどの建築設備につきましては1年ごとに実施しております。
学校施設及び市営住宅等の点検結果につきましては毎年報告があり、これらの法定点検で明らかになる施設の劣化状況については、個別施設計画における現状分析と評価に反映され、緊急性が高いものから計画的な修繕を実施するなどの対策を行っております。
今後も、引き続き定期的な点検を行う中で、施設管理者及び施設所管課において施設の適切な維持管理に努めてまいります。
◎教育次長(松本孝生)
私から、学校施設の老朽化対策についてお答えいたします。
初めに、御心配をお掛けしております豊野東小学校の体育館につきましては、先日、改めて豊野地区住民自治協議会長他、地元の皆様にお越しいただき、雨漏りについては、これまで発生の都度現地確認をしながら対応に努めてきたこと、今後、更なる工事を予定していることなどを説明させていただいたところでございます。
市立小・中学校施設は、児童生徒の増加時期に集中して整備した多くの施設を中心に、老朽化対策が急務となっております。これまで不燃化対策、耐震対策や冷房設置など、その時々の課題を優先して膨大な予算を投じて整備に取り組んでまいりました。今後は、大変多くの学校施設を抱える中で、少子高齢化が進む将来を見据え、国の支援を最大限に取り入れながら、公共施設マネジメントの視点を持ち、選択と集中の下、無駄なく計画的に老朽化対策を進めていかなければならないと考えております。
学校施設の維持修繕は、学校庁務職員が行う日常的な施設の点検や小破修繕、学校配当予算の中で学校が行う小規模な修繕、学校要望を受けて教育委員会が行う施設修繕や改修と、大きく3つに区分されます。教育委員会では、学校ごとに担当職員を置き、建築課職員と共同で学校との連絡を密にしながら、日常的な連携と緊急対応ができる体制を整えております。
このうち、教育委員会が行う修繕等に係る学校現場からの要望は、平成29年度当初の件数は合計で710件、要望内容は、トイレや水回り、雨漏りなどの老朽化対策、冷房設置など工事で対応する内容から、備品の更新や清掃などメンテナンスに関わるものなど多岐にわたります。
受けた要望については、現況確認の後、状況を集約し、安全面や健康面、緊急性などの観点から、小学校、中学校ごとに、市内全校比較の上、着手順位を決めております。できる限り現年度の工事等で対応しておりますが、大規模な改修を要するものについては、国庫補助制度の活用など財源を確保の上、次年度以降に予算要求して対応するほか、緊急度の低いもの等は運用面での工夫などに努めております。
次に、学校配当の修繕料や工事材料費を含めた学校施設の維持修繕費については、近年、1校当たり年額平均で約190万円、年間総額1億4,000万円程度で推移しております。今後策定する長寿命化計画に基づき、計画的かつ抜本的な施設改修を行うこととしているため、計画ができるまでの間は、緊急性を第一として、一定の予算の枠内で対応しているものでございます。
維持修繕費増額をとのことですが、厳しい財政状況の中、選択と集中により、めり張りある対応をしてまいりたいと考えております。併せて、国庫補助制度の活用を含めた財源確保に努めるとともに、さらに国へも十分な予算の確保を要望してまいります。
◎教育次長(永井克昌)
私からは、初めに、長野市における教職員の長時間労働の実態とその要因についてお答えします。
平成30年度当初に実施いたしました、教職員の勤務時間等の調査によりますと、1か月間、1人当たりの時間外勤務時間の平均は、小学校において約59時間、中学校では約69時間となっております。小学校では、ここ3年間増加傾向にあり、平成28年度の調査と比較しますと、本年度は6時間程度増加してきております。一方、中学校では、直近3年間の調査において減少傾向が続き、平成28年度の調査と比較しますと、本年度は4時間程度減少してきております。中学校については、県のスポーツ活動指針に沿った部活動運営となるよう進めてきたことの結果と思われますが、依然として、小学校、中学校とも長時間勤務であることに変わりはありません。
こうした長時間労働の背景には、いじめ、不登校、発達障害のある児童・生徒への支援、教育相談、生徒指導、保護者対応など、学校に求められる業務が年々増加してきていることが要因としてあるのではないかと考えられます。議員御指摘の格差、貧困といった課題も、これらの要因に少なからず影響を与えているものと思われます。
また、学校に対する社会からの様々な要請もあります。例えば、総合的な学習の時間が開始された頃には、国際理解教育、情報教育、環境教育、福祉健康教育などの新たな教育が取り入れられ、最近ではICT教育、主権者教育、プログラミング教育なども付け加えられてきております。こうした新たな教育は、過去の新たな教育に上積みされ、学校での指導内容が増加する中、それらを教職員の努力により解決していこうとしている点も、長時間労働の要因の一つと考えられるところです。
次に、4つの御提案についての見解を述べさせていただきます。
初めに、議員御指摘の持ち時数などの長時間勤務の要因となっている様々な課題につきまして、定数改善によりその多くが解決できるのではないかと考えております。つきましては、平成30年3月市議会定例会において全会一致で可決されました教職員定数の改善を求める意見書を御提出いただきましたことに、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
市教育委員会といたしまして、全国都市教育長会、全国市町村教育委員会連合会、中核市教育長会など様々な機会を捉えて、県と共に国に要望書を提出する等、教職員定数の改善を働き掛けているところでございます。
2つ目の業務削減につきましては、中央教育審議会においても御提案と同様の意見があり、それらの意見が取りまとめられ、学校における働き方改革に関する総合的な方策として出されております。この方策を踏まえ、さらに、文部科学省から学校における働き方改革に関する緊急対策が、県からは学校における働き方改革推進のための基本方針が示されたところであり、本市においても基本方針を策定すべく取り組んでいるところでございます。
3つ目の労働時間の把握につきましては、今年度中に市内全ての小・中学校において、タイムカード等により一人一人の勤務状況を客観的に把握できるよう導入を進めております。また、各校には安全衛生委員会を設置し、教職員の健康管理に努めているところでございます。
最後の非正規教職員の正規化と待遇改善についてでございますが、学校現場では、正規の教職員による学級担任、非正規教職員による学級担任も、子供から見ると同じ先生であります。このことから、市教育委員会といたしましては、同一労働同一賃金の実現のために、国会で本年6月に成立した、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律にのっとった待遇の改善が実現されるよう動向を見守っているところです。
次に、学校現場の業務を減らすための見直しについてお答えいたします。
市教育委員会では、今年度中に、長野市の学校における働き方改革推進のための基本方針を策定する予定でございます。そのために、本年度、外部の有識者を初め、民間の事業所やPTA、校長会や教頭会、教諭、事務職員、教職員の関係団体などの代表者にお集まりいただき、2回の懇談会を開催いたしました。
基本方針の中で検討してきた内容は、各種調査の精選と簡素化、部活動の負担軽減、勤務時間の割り振りの着実な運用、留守番電話による対応、学校閉庁日の設定、定時退勤日の設定、市教育センター研修講座の検討など合計18項目となり、それぞれ、より効果的で実行可能な具体的な取組となるよう検討を重ねているところでございます。これらの取組を推進することで、教職員の時間外勤務時間をできるだけ縮減し、当面は1か月80時間を超える教職員をゼロにすることを目指したいと考えております。
◎上下水道局長(戸谷富雄)
私から、公共施設の老朽化対策と個別施設計画策定に向けてのうち、水道事業における財政支援と水道料金の今後の見通しについてお答えを申し上げます。
初めに、水道事業に対する国の補助制度といたしましては、厚生労働省所管の生活基盤施設耐震化等交付金があり、40年以上経過した基幹管路の更新事業を対象として、事業費の3分の1が交付されるものでございます。現在、その制度を活用し更新事業を実施しておりますが、基幹管路以外は対象外となるため、日本水道協会等を通じ、水道関係補助金・交付金の採択要件の緩和と拡充について国へ要望をしております。なお、県の財政支援は、現在のところございません。
次に、水道料金の今後の見通しでございますが、平成28年度の料金の見直しの際に実施いたしました、今後50年間の財政シミュレーションでは、年間約22億円の老朽管解消事業を含めた建設改良費は合計で約2,090億円、企業債償還金が1,010億円など、50年間の資本的支出の総額が約3,100億円に上ること、さらに、将来の老朽管の更新や耐震化の財源として資産維持費の増額が必要であること、また、企業債の借入れを抑制し将来世代の負担軽減を図る必要があるなど、人口減少時代の中で財源を確保しながら健全経営を維持し、水道事業を持続していくためには、定期的な値上げが必要となります。
なお、4年ごとの水道料金の見直しの際には、改めて財政シミュレーションを実施し、水道事業経営戦略の検証と見直しを行うとともに、より一層の経費削減などの企業努力により、利用者負担をできる限り軽減してまいりたいと考えております。
◆佐藤久美子議員
市長に伺います。
豊野でのながの未来トークの後、すぐに現地に視察に行ってくださったとお聞きします。ありがとうございます。
そこで何を見て、何を感じ、どのような指示を出していただきましたでしょうか。それについて伺います。
同じ豊野東小学校のことですが、教育委員会に伺いたいと思います。
学校施設は79校あります。膨大で老朽化も著しい現場を見ておられ、対応し切れない状況があると思いますが、児童の安全は大丈夫でしょうか。
同じ豊野東小学校で、今年理科室でごみ箱の中だけ燃えるぼやがありました。しかし、理科室は、一昨年度から漏水のため元栓が閉められ、水道の水が出ない状況です。理科室は実験で薬品もアルコールランプも使います。それでも、対応は見送りされたままです。地域の人たちは俺たちの学校という意識が大変強く、今回の雨漏りの点については、ブルーシートを張るために屋根に上る人が出てくるかもしれません。その一人は私です。全市的に施設の修繕は喫緊の課題だと考えます。エアコン設置やトイレ改修とも連携し、児童・生徒の安全のために早急に解決することを求めますが、いかがでしょうか。
◎市長(加藤久雄)
当日10月6日、豊野のながの未来トークでの自由討議におきまして、豊野東小学校の同窓会の役員からお話がございました。体育館の雨漏り、また、屋根のさびについて何とかしてほしいと、こういうお話があったわけでございます。私も、終了後、今お話のように直ちに現場を見させていただきました。職員の方もおられましたので、中も入らせていただきました。当日は雨が降っていなかったんですけれども、バケツがいっぱい置いてありました。これはひどい状況だなと。また、外を見ましたら、本当にみっともないぐらいさびが出ておるということでございまして、施設の安全・安心も含めまして、体育館がしっかりと使用できるということは非常に重要なことでございますので、教育委員会に直ちに指示をしたところでございます。
ただ、今、お話のように、耐震は大体学校は終わりました。しかし、それから後の改修は、これからほとんど進んでいない状況という中で、今回冷房を進めていくという中で、今後、トイレ、今のお話のように雨漏り等を含めて緊急にやっていかなきゃならないということでございます。そこら辺も踏まえまして、できるだけ児童に迷惑にならないような環境をつくっていく必要がある中で、対応を至急やらさせていただきたいと思います。
◎教育次長(松本孝生)
先ほど答弁いたしましたとおり、また、市長、今申し上げましたとおり、児童・生徒の安全や健康面を第一に考えて、施設の修繕に取り組んでいるところでございます。
豊野東小学校につきましては、雨漏り対応につきましては、近日中に工事を発注する予定でございます。できる限り早期に対応に努めてまいりたいと考えております。
限られた財源の中、建築基準法第12条点検だとか、現在策定中であります個別施設計画、こういったものに沿って、全力で対応してまいりたいと考えております。また併せて、引き続き学校現場との連携というのは非常に大事ですので、この辺は密に行いまして、しっかりと対応してまいりたいと考えます。討論相手の発言入ります。
◆佐藤久美子議員
県都長野市の長野市立小学校です。こういう状況を今まで放ってきたということが、非常に私は残念に感じております。すぐに工事発注ということでありますが、是非、シーリングを行っていただいているようですが、それも3年、5年というものでありますし、雪の降る前に、何としてもすぐに対処していただきたい。そうでなければ、私自身がブルーシートを張りに上りますので、そのことだけはしっかりお伝えしておきたいと思いますので、対応方お願いいたします。
国民健康保険料のことで伺います。
先ほどの部長答弁で、0.3パーセントを引き上げて8.2パーセントへというお答えがありました。保険料の滞納で、実は全日本民主医療機関連合会の調査で、全国で昨年1年間で手遅れ死が63人に上っています。社会保障のための予算額が伸びているのは、国の施策に基づく結果でもあります。例えば、年金の引下げで生活保護受給者が増えるというようなことであります。このままだと、国保制度がもたないと思います。公費投入で新年度の値上げを回避するように切望いたしましたが、もう一度その点についての見解を伺います。
◎保健福祉部長(竹内裕治)
先ほども市長答弁にもございましたけれども、今、国では、全国的には3,400億円という規模の公費を投入しているところでございます。さらには、もう少し拡充してほしいということも全国市長会を通じて要望を上げているところでございますので、その辺のところも踏まえまして、市からも要望を上げていきたいというふうに思っております。
◆佐藤久美子議員
先ほどの1例、2例、3例で私が質問させていただきましたが、例えば30歳代の夫婦と子供2人の均等割・平等割が廃止されますと、1か月約1万円の保険料の引下げになります。つまり、これだけ暮らしが厳しくなり、また、様々な負担が増える中で、国民健康保険の皆保険制度、先ほども構造的危機のところで、それはそのとおりだと言われましたけれども、非常に国民健康保険制度そのものが大変な状況になっております。私たちは、そういう意味で、1兆円投入すれば、平等割と均等割が廃止できるんだと。そういう意味で、ここについては是非とも強力にここを求め、市民の負担を減らすこと、決して、長野市が長年公費投入で保険料を抑えてきた、この努力は大変なものです。それについては敬意を表します。しかし、広域化に基づいて次年度の保険料、ここは上げないという答弁を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎保健福祉部長(竹内裕治)
先ほど来お答え申し上げていますように、国からは赤字補填となる法定外の繰入れは解消するようにという指示が出ております。直ちにというわけではございませんけれども、それは順次解消していくということでございます。その辺のところは財政健全化計画に基づいて順次対応していきたいというふうに考えておりますので、この計画につきましては、今年作成したところでございますので、まずはそれに沿った形でとりあえずは進めていきたいというふうに考えているところでございます。
◆佐藤久美子議員
私は、この制度については国と戦っていただきたいと思います。市民の暮らし、国民健康保険料の負担、そして構造的なものとして、先ほども部長のほうで特徴を述べられたとおりであります。そういう意味で、国に対して、公費を投入して保険料を抑えていかなければ、滞納者が増え、そしてまた、滞納によって短期保険証で医療機関にかかるのが遅れれば手遅れ死するわけであります。このことは、国と戦っていただきたい。そして、公費を投入して保険料を抑えるのが地方自治体の役目なんだという立場で、是非ともこれは国に対しても強力な運動の働き掛けをお願いしたいというふうに思います。
今、るる質問させていただきましたが、市民の暮らし、非常に厳しくなってきております。負担が増えてきている中で、しかし、そのために地方の財政、そしてまた、優先度をどこに置くか、ここのところが重要だと私は考えたところであります。
今回、学校の施設で私の地元の学校の問題を例にさせていただきましたが、ここだけではありません。是非とも現場の皆さんの要望をきちんと酌み上げ対応していただきますよう、そして、子供たちの安全な学校の施設を守っていただきますよう心からお願い申し上げたいと思います。