2018年9月定例市議会 阿部孝二議員
農林業振興対策特別委員会の報告
◆阿部孝二議員
農林業振興対策特別委員会の報告をいたします。
本委員会は、平成27年10月に農林業の振興による中山間地域を含めた地域の活性化対策について、調査研究を行うため再設置されました。以来、農林業に関係する施設を視察するとともに、関係する団体、市民との意見交換会などを実施して、本市の農林業における現状の把握を行い、それぞれの課題を解決するために、調査研究を重ねてまいりました。
初めに、ジビエ振興について市当局に要望いたしました主なる事項について申し上げます。
本委員会では、本年1月に先進的なジビエ肉処理加工施設の視察を実施しました。岡山県美作市の獣肉処理施設、地美恵の郷みまさかでは、地元はもとより、大阪圏、首都圏にニホンジカやイノシシなどのジビエ肉の販売ルートを増やすとともに、ペットフードの商品化等、利用拡大に取り組み、収益を向上させていました。
本市においては、平成28年11月に策定された長野市ジビエ振興計画に基づき、捕獲されたイノシシとニホンジカをジビエとして有効活用し、農業被害の軽減と中山間地域の活性化を図るため、平成31年度の稼働を目指し、長野市ジビエ肉処理加工施設の整備を進めており、この度、農林水産省のジビエ利用モデル地区にも選定されたところであります。施設整備に当たっては、隣接する道の駅中条でのイベントが開催される際に、従来どおり駐車場を開放するなど、地域の意向に配慮するとともに、ジビエを扱う飲食店、宿泊施設、観光施設など販売先を拡大し、安定した収益につながるような販売計画とするよう要望しました。
次に、4月に開催した農業委員会との意見交換会の場で、市当局に要望いたしました主なる事項について申し上げます。
本市の農業就業人口は年々減少するとともに、農業者の平均年齢は上昇し、後継者不足及び高齢化が進んでいます。農業の担い手確保に当たっては、青年・定年帰農者、あるいはIターン、Uターン者など、多種多様な就農希望者が農業に従事しやすい環境整備を図ることが重要と考えます。Iターン、Uターンで就農を希望する方が最初に相談する可能性が高い本市の移住・定住相談デスクや、その他の関係する部署と連携し、総合的な就農相談ができる体制をとるように要望しました。
また、中心的な担い手となる認定農業者の子弟の就農を促す親元就農者支援事業の対象年齢を45歳未満から50歳未満に引き上げることを検討するよう要望しました。
次に、5月に開催された市民と議会の意見交換会では、本委員会のテーマとして、農地の有効利用と耕作放棄地対策について意見交換したところであります。本市の農業・農村を取り巻く状況として、農業者の高齢化と後継者不足により人手不足が深刻であるという御意見が多数ありました。
一方、大学生の参加者からは、学生が農業を手伝える機会があれば良いという御意見がありました。幼児から小学生の頃までは農家の手伝いが経験できる機会があったが、実際に農業を経験したいときに、そのような機会がないと感じているとのことであり、参加を呼び掛ければ、大勢の大学生に参加してもらえるのではないかとの提言を頂きました。
本市の農業者の高齢化と後継者不足の解決策として、農業公社が実施している農家の農作業が忙しい時期にお手伝いをしていただく農作業お手伝いさん事業を広く周知するとともに、大学生などの学生にも農業の新たな担い手として活躍できる機会の充実が図られることが期待されます。
次に、本委員会では、開設から2年目になる長野市農業研修センターについて調査するとともに、研修状況の現地視察を実施したところであります。長野市農業研修センターは、定年帰農者、農業に関心のある市民、農業への参入を希望する企業など、多様な人材を農業の新たな担い手として育成するため、平成29年4月に開設されました。
昨年度の受講生に対して行ったアンケート結果では、農地のあっせんや農産物の販路、需要が見込まれる野菜など農業に関する情報提供の希望があり、研修課程修了者への支援として、適切な情報提供がされるように要望しました。
また、研修課程修了者に、今後の農業への関わり方に関する農業意向調査を実施しているところですが、長野市農業振興アクションプランの重点施策にも掲げられている多様な担い手づくりと農地の有効利用の推進に長野市農業研修センターがどの程度寄与しているのか検証の上、研修課程を充実させていくように要望しました。
最後に、本委員会に調査研究を通じて、農業者の高齢化と後継者不足の問題が更に浮き彫りになりました。これらの課題に対しては、まず、認定農業者の育成、農業者の組織化支援、農業の集約により中心的な担い手となる農業者の育成を図る必要があります。また、農業公社、農業委員会、ながの農業協同組合及びグリーン長野農業協同組合などとの更なる連携を図り、新規就農者の支援、農業研修センターの研修による新たな担い手の確保が必要であり、議会としても、引き続き調査研究に取り組んでいかなければならないと考えております。
以上で報告を終わります。