2018年6月定例市議会 竹内茂議員
長野市の雨水の流出抑制計画について等の質問
小学校、中学校のトイレ改修について
ひきこもりに対する長野市の支援策と個人情報の継承、今後の取組についての返答
◆日本共産党長野市会議員団(竹内茂議員)
15番、日本共産党長野市会議員団、竹内茂です。
市民が主人公の市政実現の立場で質問をさせていただきます。明快な答弁をお願いいたします。
治水対策について、雨水の流出を抑制させる観点から伺います。
6月になり各地で水害が心配される時期となりました。
近年は都市化により土地の雨水貯留浸透量が低下をし、短時間で多量の雨が河川に流出しやすくなっています。その結果、まちに大きな被害をもたらす都市型水害が多発しています。台風や温暖化の影響ともいわれている集中豪雨、取り分け最近は短時間で局地的に多量の雨が降るゲリラ豪雨が多く発生し、河川の氾濫が毎年繰り返されております。
私の住む北八幡川流域は、下流から河川改修工事が進められてはいますが、改修上流とそこにつながる大小の河川や側溝など、改善にはまだまだ時間を要することと思います。
これからも土地の貯水能力は宅地化などでますます低下するものと思い、将来に向け土地の貯水能力を高める努力は非常に大切な政策と考えます。
これらを踏まえ、長野市の雨水の流出抑制計画について説明を求めます。
都市型水害が深刻な都市では、宅地内の雨水対策が進められ、雨水貯留施設、雨水浸透ます、それらを結ぶ雨水浸透管、雨水浸透側溝から雨水の透水性舗装に至るまで助成金を設けて普及に努めています。
そこで、長野市の建築物の雨水貯留浸透施設について伺います。
長野市建築物防災指導要綱では、下流域の水害防止のために、雨水処理対策として地下浸透方式に構造基準を設けております。
しかし、努力目標的な指導要綱のため、取り組み方は業者により大きなばらつきがあり、工事費用も掛かることから、実際にはほとんど行われていないのが実態と思います。
長野市では雨水貯留施設、俗に言う雨水タンクのみの助成制度を設け、普及に努めていますが、平成18年度には1,000件を超えた申請が減少し続け、昨年度は71件にとどまっています。この設置数の減少は長野市民の防災意識の反映とも思われます。雨水貯留施設助成金の申請減少の原因をどう分析し、どう対策を強化していくのか、説明を求めます。
雨水貯留浸透施設全般の整備を個人で行うにはお金も掛かります。市民の防災意識を高め、助成制度もしっかり設けて、市民の理解をいただきながら、土地の貯水能力、防災能力を高めていくことは、今から考えていかなければいけない大切な課題と考えます。
雨水貯留浸透施設全般への助成制度を検討すべきです。考えを伺います。
土地の大型開発には対策がとられていると思いますが、小規模な宅地化には対策がとられていません。小規模な宅地化にも対策が必要と思いますが、長野市の考えを伺います。
また、太陽光発電パネルが設置され、周囲に一気に水があふれるようになったと苦情も寄せられています。太陽光発電パネルなど、大きな面積がある工作物にも雨水流出抑制対策が必要と考えますが、長野市の対応を伺います。
(15番 竹内 茂議員 質問席へ移動)
◎建設部長(金井良雄)
まず初めに、雨水の流出抑制計画についてお答えします。
本市の雨水処理事業は、公共下水道事業として昭和42年に分流式の雨水処理事業に着手し、その後必要に応じ計画の変更を行い、事業を実施しております。本計画は公共下水道区域内の東部、下流、上流の3処理区に区分し、67の排水区により雨水を排除するもので、排水路の改修や新設、雨水流出抑制施設としての雨水調整池、内水排除を目的とした排水機場などの治水施設の整備はもとより、官民一体による雨水流出抑制対策の促進として、各戸への雨水貯留施設助成事業を展開し、総合的な治水対策に取り組んでおります。
現在、近年の浸水被害の実績や整備効果などを踏まえ、優先順位の高い地域を中心に雨水きょ整備を進めており、平成29年度末の整備率は33.2パーセントとなっております。
また、雨水流出抑制施設については、公共施設用地などを活用した配置計画を行い、効率的に整備を進めてまいりますが、宅地化に伴う用途地域の変更等により、雨水流出量が増加した場合については、下流域の負担を減らすため、雨水調整池を新たに設けるなど、雨水きょ計画の見直しにより対応をしております。
また、助成制度を用いた各家庭や事業所への雨水貯留施設の設置については、現在3,786基を整備しており、今後、下水道10年ビジョンなどを踏まえ、平成38年度の設置数4,727基を目標にPR活動を行い、設置を促進してまいります。
次に、建築物の雨水処理対策及び雨水貯留施設助成制度における設置数の減少の原因と対策の強化についてお答えします。
市では昭和61年に長野市建築物防災要綱を定め、建物を建築する際には雨水浸透ますの設置や駐車場を浸透性のある舗装にするよう指導を行ってまいりました。
また、平成15年には住宅等の雨水浸透施設に係る具体的な構造基準として、長野市雨水浸透施設技術指針を定め、雨水の流出抑制を促進しております。市ではこれまでの指導啓発により、建築確認申請に際し、そのほとんどに雨水浸透ますの設置が計画されている状況から、雨水を敷地内で処理することについては、事業者はもとより広く市民にも一定の理解が得られていると考えております。
雨水貯留施設助成制度における設置数の減少の原因につきましては、平成18年当時、浅川ダムの建設及び浅川の河川改修関係で、この制度がマスコミに多く報道され、浅川流域の皆様を初め、市民の皆様の防災に対する意識が高まり、申請が殺到したものと推察しております。
その後、雨水タンクの斬新さが薄れ、設置数の減少に至ったものと考えております。
本制度は、雨水の貯留による流出抑制だけでなく、貯留水を水資源として利用することや、災害時の生活用水としても利用できることから、これらの目的を丁寧に説明する広報活動が必要と考えており、広報ながの、FMぜんこうじなどによる周知に加え、今後は市民会議のながの未来トーク及び工事説明会など、あらゆる機会を通じて市民の皆様にPRするなどの強化を図って、設置数の増を図ってまいりたいと考えております。
次に、雨水貯留浸透施設全般への考えについてでございますが、雨水貯留施設につきましては、前段でお答えしたとおり、今後も市民の皆様へしっかりとPRをし、設置数の増を図ってまいります。
また、浸透施設につきましては、敷地の土質により浸透処理が適切でない地域もあり、一律に助成制度の対象とすることができないことから、現時点での制度拡充は考えておりませんが、今後は市のホームページや広報ながのによる雨水浸透ますの設置などの周知啓発に努めるとともに、建築確認申請などに合わせた指導を徹底し、住宅の雨水流出抑制対策の推進に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、市が整備をする雨水調整池については、雨水きょの整備と合わせ、上下流のバランスに配慮した配置計画により、効率的な事業の推進を図ってまいります。
次に、宅地開発における雨水貯留浸透対策の強化についてでございますが、都市計画法に基づく開発許可に当たり、開発区域外へ排出される雨水については、放流先の排水能力が十分確保されているかなどの検討を行っております。
また、併せて開発区域の面積が1ヘクタール以上の場合には、県の流域開発に伴う防災調整池等技術指針に基づき、必要に応じて雨水の流出を抑制する防災調整池等の設置を求めており、1ヘクタール未満の場合については、長野市開発許可審査基準に基づき、雨水流出量の増加分を敷地内で貯留浸透させる指導をしております。
なお、開発許可が不要な1,000平方メートル未満の宅地開発につきましても、建築基準法に基づく位置指定道路が築造される場合などには、今後雨水貯留浸透施設の設置について指導啓発を行ってまいりたいと考えております。
今後とも開発許可制度などの運用に当たりましては、引き続き的確かつ厳正な審査、検査体制を図る中で、雨水の流出抑制貯留対策に努めてまいります。
最後に、太陽光発電パネルに関わる雨水流出抑制対策についてお答えします。
太陽光発電施設を設置する場合には、関係する法令等について、関連部局と事前に協議し、必要な手続をとること、また、長野市太陽光発電施設の設置に関するガイドラインで大規模発電施設となる施設や砂防指定地などの届出拡大区域で、定格出力20キロワット以上の施設を設置する場合は、事前に隣接する土地の所有者や居住者及び地元区長への説明会を実施し、事業内容を周知するとともに、説明会で出された意見、要望への対応策を届出書へ記載し、市へ届け出ることとしております。
このように雨水対策を含めた設置に関わる不安な点などについては、設置者がそれぞれ立地状況に合った対策等について、説明する機会を設けることによって解消され、発電施設が設置されています。
しかしながら、集中豪雨などにより発電施設からの雨水流出が原因と思われる、いっ水被害が生じた事例もあることから、今後、国、県の動向に注視するとともに、関係部局と連携を図り、雨水の流出抑制対策を検討してまいります。
◆日本共産党長野市会議員団(竹内茂議員)
小規模な宅地化にはなかなか指導が及ばないと思うんですが、例えば近所に数軒の住宅ができたら、うちの玄関先にまで水が押し寄せてしまったというような事例が多く寄せられております。きめ細かな今後の検討をお願いして、次に進みます。
小・中学校のクーラー設置のニュースは信濃毎日新聞でも大きく取り上げられ、多くの市民から喜びをもって受け取られました。
共産党市議団は早期よりクーラーの設置を訴え続けてきました。ようやく実現に向けた取組が始められ、市民と、それから粘り強く運動されてきた教職員の方々とも喜びたいと思います。
長野市ではこの小・中学校へのクーラー設置工事を最適な整備方針を決定する参考にするため市場調査を実施するとのことで、予定ではサウンディング型市場調査への参加希望者を受け付け、説明会も終わったところと思います。
このサウンディング型市場調査への参加希望者がどのような業者なのか、お伺いをしたいと思います。
私はこのクーラー設置工事は大手企業ではなく、地元業者が力を合わせて行い、地域経済が活性化するような手法、そして地元業者の皆さんが子供たちのために工事ができた、仕事にもなったと共に喜び合えるような施工方法とすることが非常に大切と考えます。クーラー設置工事はコスト削減、経済的かつ効率的な手法だけの視点ではなく、地域経済活性化の視点を踏まえた選択を求めるものです。見解を伺います。
そして、今、長野市ではこのクーラー設置工事に限らず、サウンディング型市場調査なる手法が取り入れられ始めています。行政が発注する工事は常に地域経済の活性化も大きな視点、役割と考えます。このサウンディング型市場調査が地域経済の活性化にどう役立つのか説明を求めます。
◎教育次長(松本孝生)
現在、長野市立小中学校クール化プロジェクトに関するサウンディング型市場調査を開始したところでございます。
どんな業者の皆様が参加されているかということでございますが、いろいろな業界の方がおられまして、例えば設備関係の方々、あるいはメーカーの関係、それからリース等の事業を行っている皆さん方、あと金融関係とかいろいろございます。会社の総数とすると41社ということになります。
この調査に当たって、事業者へ提示している実施要領では、経済的かつ効率的な整備手法を検討するため、ハード、ソフト両面からの取組による室温適正管理に対する提案、そしてランニングコストも含めたコストの最小化に対する提案だけでなく、議員御指摘の地元雇用などの地域貢献につながる取組等についてのアイデアも併せて募集することとしております。
6月1日に開催した事前説明会、今申し上げましたように41社の出席がございまして、7月に行う予定の対話にも多くの事業者の方々に御参加いただけるものと期待しております。
調査により得られた結果を検証して、本市にとってどのような手法が最適であるのかを十分に検討してまいります。
◆日本共産党長野市会議員団、竹内茂議員
最後に質問しました、このサウンディング型市場調査が地域経済の活性化にどう役立つのかという観点について、一言答弁をお願いします。
◎教育次長(松本孝生)
これは文字のとおり大手企業で受注をされて、なかなか地元にお金が落ちないということがないようにといいますか、できるだけ地元の皆様にお金が回るように、地域経済の活性化につながるような観点ということも含めて、実施要領の中にうたってございます。
◆日本共産党長野市会議員団、竹内茂議員
併せて児童館、児童センター、子どもプラザへのクーラー設置についても緊急課題と考えています。
来年度には全施設に1部屋以上設置が完了されるとお聞きをしていますが、これからの時期、子供たちは大変な過密状態の中で夏を迎えます。夏休みなどは一日をそこで過ごすわけです。放課後子ども総合プランを有料化したわけですから、施設整備の責任は一層重いものがあります。
児童館、児童センター、子どもプラザの子供たちが過ごす全部屋に早急なクーラーの設置が必要と考えます。取り分け遊戯室など一番大きな部屋へのクーラー設置状況と設置予定を伺います。
◎こども未来部長(北原千恵子)
放課後子ども総合プランは暑さが厳しい夏休みにも開設し、児童は、議員がおっしゃるとおり朝から夕方まで長い時間を施設で過ごしていることから、エアコン設置の御要望が多くございます。
このため、児童館、児童センターなどプランを実施している施設には計画的にエアコンの設置を進めているところでございます。
まずは、低学年の利用が多い児童館、児童センターに平成24年度から平成27年度の4年間で計画的に設置を進めました。また、小学校にある子どもプラザにつきましては、教育委員会と連携して、校舎改修などの機会に子どもプラザとしても使用する教室にエアコンの設置を進めており、49か所中18か所で設置済みとなっております。
まずは、今年度と来年度の2年間で未設置の子どもプラザ31か所のエアコン設置を優先的に進めることとし、今年度は15か所の子どもプラザに設置することとしております。
長野市社会福祉審議会からプラン事業の利用者負担について、昨年1月に答申を頂いた際に、プランの充実を利用者に実感していただけるよう努めることとの附帯意見を頂いており、本市といたしましても引き続きハード、ソフトの両面から放課後子ども総合プランの充実を進めてまいりたいと考えております。
それによって児童館、児童センターの未設置の居室についても、今後検討してまいりたいと考えております。
◆日本共産党長野市会議員団、竹内茂議員
児童館、児童センターなど遊戯室へのクーラー設置状況はいかがでしょうか。ちょっとお答えいただきたいと思います。
◎こども未来部長(北原千恵子)
児童館、児童センターにつきましては、まずは1部屋ということでやってきたところでございます。
よって、遊戯室などまだ大きな部屋については付いていないのが実情でございます。ですので、その辺も含めまして、これから検討してまいりたいと、そのように考えております。
やはり、まずは病気になったときなどに休息するところを大前提として、一番優先してまいりましたので、今後その辺を計画的に順次やっていくと、そのような検討をしていきたいと考えているところでございます。
小学校、中学校のトイレ改修について
◆日本共産党長野市会議員団(竹内茂議員)
◆15番(竹内茂議員) 遊戯室など一番子供たちが伸び伸びと遊べる場所であります。そこには全くまだ手が付いていないということで、全体として本当に遅れているということを改めて認識しているわけでありますが、早急な設置をこちらもお願いをしたいと思います。
小学校、中学校のトイレ改修について伺います。
今、学校では夏の暑さ対策と共にトイレの改修要望が本当に多く寄せられています。
生徒たちの中には臭い、汚い、暗いとトイレに行くのを我慢している子供までいると聞きました。
今、学校以外では洋式便器が当たり前になり、子供たちは既に和式便器を使用したことのない世代ですが、学校の便器は半数以上が和式便器です。子供たちは入学して初めて和式便器を体験し、当然のことながら汚してしまう子も多いと聞きます。臭いについても深刻で、これは老朽化した配管、それから便器の構造に問題がありそうで、汚水配管を含めた大規模な改修が必要と思います。
トイレ改修は教育委員会としても努力されていることとは思いますが、遅々として進んでいないのが現状です。平成28年、この時点ではトイレ改修は建設から30年以上経過している校舎126棟に限っても57棟、45パーセントが残されています。年間数棟ずつ改修がされているようですが、これではとても老朽化の改善に追い付かない状況です。
長野市の教育委員会としてどう取り組んでいくのかを伺います。
また、トイレ改修は国庫補助金を活用して進めているようですが、国庫補助金に頼り過ぎているために、その枠内での改修しか進まない状況を改め、スピード感を持って取り組む必要があります。未来を背負う子供たちに清潔なトイレ環境を整えてあげましょう。
小学校、中学校のスピード感を持ったトイレ改修の今後の取組を伺います。
◎教育次長(松本孝生)
本市の学校施設は昭和40年代後半からの児童・生徒の急増期に合わせて集中整備をしてきておりまして、現在その老朽化への対応が大きな課題となっております。
中でもトイレに関しては、ライフスタイルの変化に伴い、各家庭においても和式から洋式へと大きく変化してきていることから、学校施設についても昭和60年代より改修時に各トイレに1台の洋式便器を設置することといたしました。
その後、平成17年頃からは各トイレの半数から3分の2程度に、平成25年頃からは各トイレに和式を1台残して、他の全てを洋式にするよう段階的に洋式便器数を増やしながら整備を進め、今後の整備においては大便器の全てを洋式化する方針としております。
便器の洋式化に加えて、臭気や漏水などの課題があるトイレについては、配管を含めた抜本的な改修が必要となるため、今年度は国の補正予算を活用して、平成30年3月補正で予算を確保し、小・中学校4校、4校舎のトイレ改修工事を行っているところでございます。
今後の計画的かつ早期整備に向けて、改めて現在、建年の古い施設から現況調査を行っており、緊急度を把握した上で着手順位などを改めて整理したいと考えております。
学校施設はトイレのみならず、屋根や壁、給排水配管などの老朽化対策や長寿命化改修が喫緊の課題であり、これらの改修工事には多大な時間と事業費を要します。限りある財源の中、トイレを含めた今後の学校施設の整備に当たっては、国庫補助金を初めとする特定財源の有効活用とともに、事業費の平準化を図りながら計画的な整備を進めてまいります。
◆日本共産党長野市会議員団(竹内茂議員)
私の通学区の小学校は耐震化工事は終わっていますが、初期の耐震化工事ではトイレ改修が行われませんでした。残念ながら大変な異臭は隣の教室から上階まで広がって、悪い環境の中で子供たちはかわいそうでなりません。また、隣の小学校は築28年ですが、先ほどの30年のリストにも入っていないはずであります。ここも既に臭いに悩まされており、ずらりと和式便器が並んでいる状況です。
このトイレ改修、本当に待ったなしだと思いますので、取組をお願いしたいと思います。
ひきこもりについて伺います。
私は今年の春先、Aさんのお兄さんの相談に乗りました。このAさんは現在30代半ばです。小学校の中学年でいじめが原因で不登校となり、以降、中学校も全く登校できませんでした。学校の対応を尋ねてみましたが、記憶の中では中学3年のときに一度進路相談に学校に行った、そんな記憶だけだったそうです。25年近くがひきこもりの状態でした。外出といっても家の玄関に届く牛乳を取ってくることとの説明には驚かされました。
相談を受けて、長野市社会福祉協議会のまいさぽ長野市と連絡をとり、まいさぽ長野市の懇切丁寧なサポートとこのままではいけないという本人の意思に支えられ、徐々に外の世界に出られるようになってきました。まいさぽ長野市の活動に敬意を表すと同時に、情報の伝達の難しさを痛感し、せめてこのAさんの場合、教育現場から福祉分野に情報が伝達できていたら、もっと早く適切な支援ができていただろうと思ったものです。
ひきこもりは年々増え続け、更に高年齢化が進んでいる様子で、全国ひきこもり家族会連合会の調査では、2005年には28.1歳だった平均年齢が、2018年には34.4歳になっています。
中学校卒業時に進学も就職もできず、そのまま家に引きこもってしまう人を家居と呼ぶのだそうです。
長野市のひきこもりの実態、家居の実態を伺います。
ひきこもりの問題は大変深刻で、この家居の人も含め、一人でも多くの人に支援を広げることが行政に求められていると思いますが、行政内での実態は個人情報管理に縛られ、情報の伝達が全くできていないのが現実ではないでしょうか。
先日、経済文教委員会で視察に行った日野市での取組では、福祉分野と教育分野が一体となって、切れ目のない支援、総合的な相談や支援に取り組んでおりましたが、こちらでも18歳までの支援が限度で、その時点でデータを遮断しておりました。ひきこもりの支援を広げるために、行政としてセンターを設け、教育分野から福祉分野に切れ目のない情報が登録され、伝達される必要があると思います。
登録には個人の同意が必要でしょう。ひきこもりの人たちの中には知られたくないと考える方々が多くおり、問題を一層難しくしています。それを解消させるためには啓もう活動とサポート体制の周知が必要と考えます。登録制度を完備し、自主的に登録していただければ、個人情報の壁は乗り越えられると思います。
ひきこもりに対する長野市の支援策と個人情報の継承、今後の取組について伺います。併せてサポート体制を更に充実させて、一人でも多くに支援ができるように目配りできる体制、ゆとりあるサポートができるよう願うものです。
サポート体制の充実強化の見解を伺います。
ひきこもりに対する長野市の支援策と個人情報の継承、今後の取組について
◎保健福祉部長(竹内裕治)
ひきこもりは本人にとって就学や就労ができないなど、自立と社会参加の機会が失われ、こうした状況が長期化すれば社会生活への復帰が著しく困難になってまいります。また、家族にとっても精神的、経済的に大きな負担が掛かり、更には社会にとってひきこもりが増えることで活力の低下にもなります。最近では、ひきこもりの長期化とそれに伴う家族の高齢化が大きな問題になっております。
御質問にございました方の例のように、不登校からひきこもりにつながる場合があります。現在、不登校の児童・生徒につきましては、教育委員会から小・中学校に派遣されますスクールソーシャルワーカーがその家庭の状況を把握し、福祉分野を含めた各専門機関と連携調整を図り、その児童・生徒と家庭の支援を行っております。
しかしながら、卒業や中退など学校を離れてからひきこもりになりますとスクールソーシャルワーカーからの支援を受けることができないことから、市が行っておりますひきこもりに関する各種の支援を御利用いただけるような取組を行っていくことが必要と考えております。
御質問にございました家居とその実態ということでございますけれども、学校を離れてからひきこもりになった一方に、市が行っているひきこもりに対する支援を利用できる取組を行っていかなきゃいけないというふうに考えておるんですが、ちょっと今その辺の実態については把握し切れていないというところでございます。
本市のひきこもり対策につきましては、ひきこもりの方やその家族に対しまして、保健所において家族がひきこもりの知識を学ぶひきこもり家族教室、ひきこもりの家族が自由に話す場としてのひきこもり家族会、精神科医師による精神保健相談などの支援を行っております。
また、地域の身近な相談業務を行います各地区の民生・児童委員の皆様は、ひきこもりの方がおられる世帯を含め地域の方々の状況を把握し、様々な相談に応じ、福祉サービスの紹介や相談支援、専門機関につなげる活動を行っております。
さらに、ひきこもりにより生活困窮に陥った方への支援といたしましては、まいさぽ長野市において様々な問題を抱えた方の相談をお受けし、各連携機関につなげ、必要な支援を行う自立相談支援事業を実施しており、ひきこもりや孤立状態にあり仕事に就けないなど、生活の悩みや経済的な困り事を抱えている方に対して、相談員が一緒に考え、解決に向けたお手伝いをしています。
また、就労を希望するものの直ちには就労することが困難な方に対しては、一般就労に向けて支援や就労機会の提供を行う就労準備支援事業等を実施するなど、きめ細かな相談支援を行っております。
その他、ひきこもり相談支援機関であります長野県ひきこもり支援センターや勤労意欲はあるものの様々な悩みや困難を抱えた若者の相談の場でありますながの若者サポートステーション等と連携し支援を行っております。
今後はひきこもりの方やその家族が学校を離れた後も早期に各種の支援を御利用いただけるよう、教育現場と福祉分野の切れ目のない情報伝達を含めまして、各種支援の周知方法など検討を行ってまいりたいと考えております。