2018年3月定例市議会 野々村博美議員
生活保護の問題について
日本の生活保護制度について
しなのきプランと生きる力について
ベストセラー本「君たちはどう生きるか」を通して考える現代の教育の在り方について
高齢化社会を支える地域包括支援センターの充実について
大門・バスターミナル両連絡室廃止について
生活保護の問題について
◆野々村博美
26番、日本共産党長野市会議員団、野々村博美でございます。
最初に、生活保護の問題について伺います。
政府は来年度、最大5パーセントの生活扶助基準の引下げを行う方針を決めました。一般低所得世帯のほうが生活水準が低く、均衡がとれていないという理由です。しかし、民主医療機関連合会の生活保護受給者への聞き取り調査では、最低生活が保障されているはずの生活保護制度がいかに厳しいものであるか、その実態を生々しく伝えております。
3食きちんとご飯を食べたい、普通の生活がしたい、老齢加算が廃止されたため老人クラブはやめた、親戚、友人の葬儀に出られない、孤独になった、下着は数年に一遍しか買えない、命の叫びとも言うべき声が寄せられています。生活扶助基準を引き下げるのではなく、貧困対策の強化こそ求められています。
さらに、生活保護の問題は利用者だけへの影響にとどまりません。住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などに連動します。憲法第25条に明記された生存権を保障する最後のセーフティーネットであり、全ての国民の権利に関わる重大な問題です。扶助基準の引下げによって、現在、各種公共料金の減免が適用になっている人たちへの影響が懸念されます。また、この間、就学援助については、生活保護基準の引下げの影響がないよう配慮されてきましたが、今後の対応と減免対象者への影響について伺います。
◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
今回の生活保護基準の見直しは、厚生労働省において、生活保護基準の水準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか検証した上で行われているものであります。
各世帯の受給額は減額となるケースがある一方で、増額となるケースもある見込みです。減額となるケースでは、世帯の影響に十分配慮し、検討結果を機械的に当てはめることのないようとの指摘がされていることを踏まえ、減額幅の緩和措置が講じられることとされております。
議員御指摘のように、生活保護の保護基準は、国民に保障される最低限の生活水準としての基準に使われております。基準の見直しに伴い、他制度に生ずる影響について、厚生労働省では、国の制度については生活保護基準額が減額となる場合に、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう対応することを基本的な考え方とするとしております。
また、地方単独事業については、国の取組を説明の上、その趣旨を理解した上で各自治体において判断するよう依頼するとされているところでございます。
このようなことから、準要保護児童・生徒への就学援助は、前回、平成25年度の生活保護基準の見直しにおいても同様の考え方の下、その影響が及ばないよう対応したことを踏まえ、今回の見直しにおいても、前回と同様の配慮をしてまいりたいと考えております。
この他、市営住宅使用料などの地方単独事業にあっても、引き続き国の動向を注視しながら対応してまいりたいと考えております。
◆野々村博美
就学援助以外の減免についても、是非、御配慮をお願いいたします。
特に今回の引下げは、子育て世帯を直撃します。母子加算が2割削減されます。政府は新たに、高校生まで児童養育加算を拡大するとしていますが、影響についてお伺いいたします。
◎保健福祉部長(竹内裕治)
今回の有子世帯に対する加算の見直しは、平成30年10月から実施予定で、その中の母子加算の見直しについては、生活扶助本体と同様に、3年間を掛けて段階的に加算額を改定するものであります。
現行の月額では、子1人は2万1,200円が、見直し後では1万7,000円、約2割、4,200円の削減、子2人は2万2,890円が2万1,300円、1割弱、1,590円の削減ですが、子3人は2万3,740円が2万3,900円と僅かに増額、さらに子4人は2万4,590円が2万6,500円と1,910円の増額、子5人は2万5,440円が2万9,100円と3,660円の増額となっており、減額される者もあれば、増額される者もあるといった状況でございます。
本市では、現在、母子加算を受けている世帯が127世帯あり、その内訳は、子1人が63世帯、子2人が32世帯、子3人が23世帯、子4人が7世帯、子5人が2世帯あります。
なお、児童養育加算につきましては、現行は3歳未満と第3子以降の小学校修了前が1人月額1万5,000円で、3歳以上中学生までは1人1万円支給していたものが、見直しでは1人一律1万円となり、高校生まで支給を拡大することとしております。
本市では、現在、児童養育加算を受けている世帯が141世帯、249人で、高校生は62世帯、72人おります。
その他、今回の有子世帯に対する扶助の見直しでは、教育扶助や高等学校等就学費の多くが増額となっており、また、大学等進学準備給付金が新設される予定など、支援策が講じられているところであります。
日本の生活保護制度について
◆野々村博美
小さなお子さんを持っている世帯にとっては減額になると思われます。是非、子供の貧困問題が非常に深刻になっている中で、そこへの御配慮をしっかりとしていただくように、心からお願いをしておきたいと思います。
次に移ります。
日本の生活保護制度は、厳しい基準と徹底した受給者へのバッシングによって、本来なら生活保護を受けることができる人たちがその権利を行使できない状況になっており、数々の悲劇が生まれてきました。
おにぎりが食べたいとメモを残して餓死したケース、介護者が亡くなり餓死した障害者、電気が止められ、ろうそくを使い火事になって焼死したケース、枚挙にいとまがないほどの悲劇を生んできました。そして、犠牲となったほとんどの方々が、一度は行政の窓口に相談に行っていましたが、支援がなされないまま追い返されるという事態が繰り返されてきました。まず、貧困世帯が権利として生活保護制度を利用できるよう、生活保護を受けることは恥とするスティグマをなくし、捕捉率をアップすることを求めます。長野市の取組と見解を伺います。
◎保健福祉部長(竹内裕治)
厚生労働省は、平成22年4月に生活保護基準未満の低所得世帯数の推計についてという報告書を出しております。
この中で今後の対応として保護世帯比、いわゆる捕捉率でございますが、は生活保護の申請意思がありながら生活保護の受給から漏れている世帯の割合を表すものではないが、資産や稼働能力等を活用してもなお生活保護の要件を満たし、かつ、生活保護を受給する意思のある方が生活保護を受けられないことがあってはならないことであり、改めて、地方自治体に対しその旨を通知し、徹底していくと述べております。
本市といたしましては、生活保護を必要とする方には適切に支援を行い、相談に来られた方に対し丁寧に説明することで、生活保護への偏見やスティグマの解消に努めております。
生活支援課では専門の面接相談員を配置しております。相談相手の立場に立った上で、話をよくお聞きし、生活保護の申請の意思のあった相談者に対しては、申請権を侵害することなく、申請を受理するよう適切に対応しております。
また、生存が危ぶまれるような急迫した状況の場合は、申請がなくても生活保護を行うということもさせていただいております。
民生委員と連携して、地域で生活に困窮している方がいた場合には、生活支援課の相談窓口につなげていただくようお願いをしております。
また、生活保護に至る前に早期に支援を行う第2のセーフティーネットとして、まいさぽ長野市を設置しております。ここでも生活保護の必要な方を把握した場合には、まいさぽ長野市の職員が生活支援課に同行し、生活保護申請に結び付けていく対応をさせていただいております。
今後も関係機関と連携を図り、最後のセーフティーネットとして十分機能するよう適切な生活保護の実施に努めてまいります。
しなのきプランと生きる力について
◆野々村博美
スティグマをなくしていく努力を、是非お願いしたいと思います。
次に移ります。
しなのきプランと生きる力について。
昨年12月、福井県議会は教育行政の根本的見直しを求める意見書を可決しました。
福井県は全国学力テストで10年連続トップクラスです。この実績を行政も教育委員会も誇ってきました。これに対して県議会は現状の検証を訴える意見書を可決しました。
その内容は、学力日本一を維持することが本県全域において教育現場に無言のプレッシャーを与え、教員、生徒双方のストレスの要因となっていると考える、これでは多様化する子供たちの特性に合わせた教育は困難と言わざるを得ないと、厳しく現状を批判するものです。
意見書が出されたきっかけは、昨年3月の教師の厳しい叱責によって傷ついた中学校2年生の男子生徒の自死です。意見書は、教員の不適切な指導の背景には、学力を求める余り、業務が多忙化し、精神的ゆとりを失ったのではないかと懸念しています。
この意見書を報道した赤旗新聞日曜版に、意見書採択に向けて尽力された県会自民党の斉藤新緑福井県議会議員が思いを語られていました。
学力テストの平均点を上げることにどれほどの意味があるのか。尋常でない多忙化の下、教員のストレスは限界に達している。この状態を解決しない限り、再び同じような事件を防ぐことはできないと考え、意見書をまとめた。子供たちには問題意識を持って多様なものの見方、考え方、生き方を学んでほしいと述べられていました。
長野市はどうでしょうか。教職員が過度なストレスにさらされている状況は同じではないでしょうか。長野市教育委員会は、全国学力テストに加え、独自にNRTを実施していますが、来年度、新たに中学校2年生にも実施されます。現場の先生方からも繰り返し廃止が求められています。
全国学力テストやNRTによって測る子供の学びではなく、一人一人の子供たちとしっかり向き合う中で、全ての子供たちの学力と人格の健全な発達に責任を負う教育行政になることを願うものです。教育長の見解をお伺いいたします。
◎教育長(近藤守)
福井県を例に教育の在り方について述べられた議員の御指摘のように、一人一人の子供としっかりと向き合う中で、全ての子供の学力と人格の健全な発達に責任を負う教育行政を目指すということは、私も同じ思いであります。
ところで、テストには様々なものがございますが、私は大きく分けると、子供の学力を測るものと、教員の指導改善を図るものの2つがあると考えております。
後者のテストについて、私はかつて一人の生徒から教えられたことがございます。30年ほど前のことですが、ある中学校で1年生の担任をしておりました。
私が担当している社会科の定期テストでは一定程度の理解を示してはいるものの、数学がほとんど理解できていない生徒がおりました。夏休み前の懇談会で数学の問題を目の前で解かせたところ、その生徒は基礎的な計算方法-四則でございますが、が理解できておりませんでした。
この生徒は、もしかしたら小学校のときに十分に算数を伸ばしてもらえずにいたのかもしれません。あるいは、休んでいたときがあり、学ばなかった内容であったのかもしれません。中学校に入学後、数学の教科担任がそのつまずきを理解せずに進めていたのかもしれません。
この生徒のことを思い出す度に、私も含め、教員は自分の指導について客観的にしっかりと振り返ることが大切だと思い起こします。
今となれば、現在のようにNRTを実施し分析できていたら、もっと早くこの生徒のつまずきに気付き、伸ばす方策が見付かったのではないかと思います。
NRTは知識を問うだけではなく、その子の学び方など、大勢の目で分析することによって、子供に寄り添った指導をすることの可能性があると思います。
子供一人一人が持っている力は皆異なります。どの子も自分の力を伸ばしたいと思い、保護者も我が子の成長を願うと思います。この願いの実現のために、一人一人の子供に寄り添って指導する教職員の力量向上が一層大切となってまいります。
市教育委員会では、今後もNRTや全国学力・学習状況調査を通して、一人一人に適した学習の仕方や必要な指導を見付け出すことにより、本市の子供たちの知・徳・体をバランスよく伸ばし、次世代を担う子供たちの生きる力の育成を目指してまいりたいと考えております。
ベストセラー本「君たちはどう生きるか」を通して考える現代の教育の在り方について
◆野々村博美
学校現場には、学力テスト、NRT、他にそれぞれの学校で行っているテストがあると思います。
やはりテスト漬けになっていることは本当に懸念されることであり、本当に先生方の指導力の向上になっているのか、それが結果的には時間的な余裕をなくしているのではないか、様々な問題もはらんでいますので、是非現場の先生方ともよく話し合っていただいて、負担の少ないやり方を考えていただきたいと思います。
また、来年度からは道徳と英語の教科化がされますけれども、先ほどもお話がありましたサポート体制をしっかりと強めていただくこともお願いをしておきたいと思います。
次に移ります。
80年前、吉野源三郎によって書かれた小説、君たちはどう生きるかの漫画版が昨年マガジンハウスから出版され、半年で170万部を突破するベストセラーとなっています。
原作は、軍国主義の暗い時代、労働運動や民主的な運動が激しく弾圧され、言論や出版の自由が奪われていた時代に児童書として企画されたということです。
漫画版を私も読んでみました。15歳の少年コペル君が自らの頭で考えながら科学的な物の見方や、いじめや、貧困問題に触れながら、日常の生活を通して成長していく姿が描かれています。
そして、コペル君の成長を温かく見守りながら彼を励まし、人間として何が大切かを、押し付けではなく気付かせていくおじさんからのメッセージが、私たち大人の生き方にも大きな示唆を与えてくれる小説でした。
押し付けられたものではなく、自らの力で考え、行動することのできる人間に成長してほしいという思いが伝わってきました。正に今、教育に求められているものではないでしょうか。教育長の御所見を伺います。
◎教育長(近藤守)
議員に御質問され、君たちはどう生きるかを慌てて読みました。読みが浅いことはお許しください。
議員御指摘のとおり、先が見えない時代を生き抜く子供たちにとって、押し付けられたものではなく、自らの力で考え、行動することのできる人間、自分で自分を決定する力を持っている人間に成長していくことは、過去も現在も、そして未来も教育に求められていると私も思います。
当時の軍国主義一色の時代に、次世代を担う子供たちに希望を託し、周りに流されず、自分でよく考えて行動する人間になってほしいという筆者の願いを感じました。
父親が亡くなり、母と子だけの生活の中に、主人公の気付きや思いに共感し、主人公と共に成長し支えていくおじさんの存在の大きさや、主人公の成長を静かに見守る母親の深い愛情や、気持ちのすれ違いがあったりする中で互いに成長し合う友の大切さを感じました。
ところで、現在は少子化を含む大きな社会変化の中で、家族というきずなや人間関係が希薄になりつつあるように思います。主人公に生きる示唆を与えるおじさんや、愛情深く子供の成長を見守る母親、互いに高め合う友の存在がまれな世の中になっているような気もいたします。
また、子供が自ら考える前に大人が手を差し伸べ過ぎたり、安全を重視する余り子供の行動を狭めたりして、子供自らが選択していくことも少なくなってきているようにも思います。
そこで、第二期しなのきプランの家庭の7つの取組や、長野市大人と子どもの心得八か条を更に推あ進するとともに、学校教育はもちろんのこと、社会全体で家庭を中心に子供自らが自らの成長を見詰めて促していけるような社会になってほしいと私としては願っております。よろしくお願いいたします。
高齢化社会を支える地域包括支援センターの充実について
◆野々村博美
私はこの本がベストセラーになっていることに大きな希望があり、真剣に人生を考え、いじめや格差で苦しむ若者への励ましになり、生き方を模索する青年に多くの示唆を与えていると思いました。こういう小説を多くの若者が読んでいると思うことが本当にうれしいことでありました。
学校にこそ、コペル君のおじさんのような先生がいてほしいとも思いました。それには先生方に、やはり時間的な余裕を持ってもらい、深い学識と人間力のある、人間的な魅力を持つ多くの先生方に存在していただきたい。そういう人たちに子供たちが囲まれて生活することを心から願いたいと思います。是非とも御尽力をお願いしたいと思います。
次に移ります。
高齢化社会を支える地域包括支援センターの充実について伺います。
介護保険制度が創設されてから20年が経過しました。介護保険料は当初から2倍以上にアップされました。改定介護保険法は、地域包括ケアシステムの構築も、要支援サービスの見直しも、その多くが市町村の裁量に委ねられています。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題に向け、また単身高齢者世帯が急増する中で、どのような高齢化社会を支える地域社会をつくっていくのか、各自治体の力量が試されています。
日本共産党長野市会議員団は、保険あって介護なしと言われる、国の責任を放棄しているこのやり方を決して良いとは思っていません。しかし同時に市民が安心して暮らせる地域社会をつくっていく責任を長野市は負っていかなければなりません。加藤市長にはその御覚悟がありますか。
私たちは全て税金で賄えとか、介護施設やその職員を全て長野市直営にすべきと主張しているのではありません。限られた財政の中でも、長野市が自ら地域と高齢者の生活実態をつかんだ上で、環境整備、ネットワークづくり、困難者への支援など何をすべきかを考えることが求められていると思います。市長の見解を伺います。
◎ 市長(加藤久雄)
私は公約であります、私の政策の一つとして、守る、市民の皆様の安全と生活を断固守りますということを掲げております。
これまでに経験したことがない少子高齢化、人口減少時代にあって、市民誰しもが生き生きと暮らし、高齢となっても住み慣れた地域で、その人らしく安心して暮らせることができるまち、そんな長野市を築きたいという思いからであります。
団塊の世代が後期高齢者となります2025年には、医療や介護を必要とする高齢者が増加するとともに、ひとり暮らし高齢者など高齢者のみの世帯も増え、さらに、それによる様々な課題が生ずると見込まれているところであります。
このように、高齢者を取り巻く社会情勢が大きく変化する中で、市が責任を持って現状を的確に捉え、さらには今後の高齢化の進展を初めとする様々な社会変動やニーズをしっかりと見極め、高齢者が安心して生活できるよう、必要な施策を一つ一つ先送りすることなく真正面から確実に実行してまいります。
その中で、健康づくり、介護予防、医療・介護、住まい、生活支援といった一連のニーズに対しまして、切れ目なく包括的に提供するための地域包括ケアシステムの構築が急務と考えております。
このため、来年度から組織の見直しを行いまして、地域包括ケアシステムの構築を中心に担当する地域包括ケア推進課を新設することとしたところであります。
地域包括ケアシステムの構築に当たりましては、行政のみならず、市民を初め、医療・介護、福祉などの関係者が協働、連携の下、一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
なお、本年度、職員が地区へ出向き、地域包括ケアシステムについて御説明を重ねてきたところ、おかげさまで市民の皆様の御理解も進んできております。
市が責任を持って地域包括ケアシステムの構築を進めていくところではありますが、来年度予算では、大きなテーマといたしまして予防を掲げております。まずは、高齢者となっても、できる限り介護が必要とならないよう、市民の皆様が日頃から御自身の健康に関心を持ち、健康づくり、介護予防に努めていただけるよう、意識改革にも取り組んでまいりたいと思っております。
◆野々村博美
健康づくり、そして介護予防、しっかりとやっていただくという、その意気込みについてはよく分かりました。是非、期待をしておりますので、積極的な取組をお願いしたいと思います。
同時に、もうそれでは間に合わなくなってしまった人たちが既に多数います。その皆さんには福祉が必要です。それに対して、残念ながら長野市は、高齢者福祉課の名称を変えております。やはり安心して暮らせる長野市への期待感というのは、この高齢者福祉課の名前を変えたことによって、私は非常に大きく揺らいでしまったんじゃないかなというふうに懸念しております。一言そのことは申し上げておきたいと思います。
続いて、昨年夏行われた委託地域包括支援センター18か所のアンケート調査結果を拝見し、大変厳しい状況であることを痛感いたしました。
まず社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャーと、どの職種も定着率が低く、1年未満が32パーセント、1年から3年が43パーセント、合わせれば3年未満が75パーセントに及んでいます。
委託料については、増額を望むところが11か所、新たな加算を求めているところが18か所、生活支援体制整備に地域包括支援センターとして関わっているかどうかは、余りない、ほとんどないが14か所に及んでいます。
直営地域包括支援センターにもっと積極的な支援や改善を求めているところは12か所ありました。また、委託地域包括支援センターと直営地域包括支援センターで課題、方針が共有できているかとの問いには、16か所で余りできていない、全くできていないという回答です。自由記載には、人員の増員、困難ケースの丸投げに対する批判など切実な声が寄せられています。
全体を通して痛感したことは、地域包括支援センターの業務は非常に多忙で、それに見合った待遇も保障されておらず、個々のケースへの対応に追われ、高齢化社会を支えていく地域づくりをどうしていくのかという、最も大切なネットワークづくりは成功していないということです。
どうしたら2025年問題に向き合えるのか、行政、住民自治協議会、長野市社会福祉協議会、福祉関係者との連携を強く求めていることを痛感いたしました。
そこで2点伺います。
1点目は、職員の待遇改善を行わなければ、専門職の定着、新人の育成が困難になっている委託地域包括支援センターに対して、委託料を増やす、各種加算を増やすなど財政保障を行うべきと考えますが、見解を伺います。
2点目として、長野市は来年度、北部に続いて南部の直営地域包括支援センターを廃止し、中部地域包括支援センターに統合するとしています。基幹的機能充実を図るためとしていますが、充実されるのか大変懸念されます。
平成25年度、地域包括支援センターが設置された段階では、3か所の直営地域包括支援センターに32人の職員が配置されました。平成26年度に北部地域包括支援センターが廃止され22人に減員され、その後も減員され、昨年は18人にまで減っています。
その間、委託地域包括支援センターが増やされた経過もあると思いますが、介護保険法が改定される度に地域包括支援センターの業務は増え、さらに虐待や貧困、困難ケースが増える中で課題は山積となっています。
来年度、地域包括ケア推進課が設置されることになりましたが、直営地域包括支援センターを統合し、ますます民間任せの地域包括ケアシステムの構築ではなく、直営地域包括支援センターの体制を強化して対応していくことを求めます。見解を伺います。
◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
まず、委託地域包括支援センターに対する財政保障についてですが、地域包括支援センターを運営する法人には、包括的支援事業等業務委託により運営経費等を支払っております。
平成27年の制度改正に伴い、包括的支援事業に新たな事業が追加され、地域包括支援センターの業務も増えることとなり、運営体制の強化が必要となったところであります。
そこで、市では長野市地域包括支援センター運営協議会に諮りながら、平成28年度に委託地域包括支援センターの人員配置と委託料の見直しを行ったところであります。
見直し前は人件費に相当する包括的支援事業費を1センター当たり専門職3人体制で1,500万円としていましたが、専門職1人を増員できるよう500万円を増額し、1センター当たり2,000万円といたしました。
1人当たりの人件費は、中核市で比較しますと、平成29年度の調査結果では、23都市が400万円台で、本市の委託料は中間的な水準となっております。
なお、見直し前においても、高齢者人口が6,000人を超えている地域包括支援センターで、担当区域内に地域包括支援センターを補完する在宅介護支援センターを設置していない地域包括支援センターには、加算として委託料を277万5,000円増額するよう対応しております。
今後も高齢者人口が増加し、地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域包括支援センターの役割はますます大きくなると考えられます。今後の包括的支援事業の動向も勘案しながら、適切な委託料等について長野市地域包括支援センター運営協議会にも諮りながら研究してまいりたいと考えております。
次に、直営地域包括支援センターの体制強化でありますが、現在、直営地域包括支援センターは基幹型として地域包括支援センター間の連絡調整、統括支援等の各センターの活動をバックアップし、全体を取りまとめる業務を中心に行っております。
センター運営の基本方針、事業の実施方針に関することなど、市と委託地域包括支援センターの合意形成を図るとともに、担当区域を超えた課題や重点事業について連携や情報交換、課題の解決に向けた検討などを行っております。
また、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組として、在宅医療・介護連携支援センターを核とした在宅医療・介護連携の推進、ケアマネジャーに対する研修や連絡会の開催による包括的、継続的ケア体制の構築、地域ケア会議の開催を支援する体制の整備等を通じて、保健、医療、福祉の枠を超えた多職種連携によるケア体制の構築を進めております。
委託地域包括支援センターに対する支援といたしましては、センター職員が事業への理解を深め、資質向上が図られるよう研修の充実を図り、研修会には全職員が参加できるよう努めております。
また、虐待や貧困、困難ケースに対応するため、直営地域包括支援センターでは、弁護士相談や認知症初期集中支援チームケア会議等を実施し、専門家からの助言を得る機会を確保することで、委託地域包括支援センターの活動をバックアップするとともに、職員の対応力向上を図っております。
このように、直営地域包括支援センターでは多くの基幹型業務を担っているところでありますが、更にその役割が高まってきているため、この度、平成30年度から南部地域包括支援センターを中部地域包括支援センターに統合し、今まで中部地域包括支援センターと南部地域包括支援センターに分散して企画、実施していた基幹型業務を中部地域包括支援センターに集約し、業務の効率化と機能の強化を図ることとしたものであります。これにより、委託地域包括支援センターに対する支援の強化にもつながるものと考えております。
なお、南部エリアにおける市民からの相談に対応する体制や委託地域包括支援センターの業務を支援する機能は、篠ノ井支所内に維持いたしまして、市民の利便性等を確保してまいります。
◆野々村博美
直営地域包括支援センターで困難ケース、それから様々なネットワークづくりとか、それぞれの委託地域包括支援センターに対する支援とか、強化していくという方向は分かりました。
ただ、実際には、南部地域包括支援センターを引き揚げることによって残った機能というのは相談窓口だと思うんですね。しかし、大切なことは、篠ノ井支所には福祉事務所の分室も設置されているわけですから、本来だったら、やはりそちらの南部地域包括支援センターをもっと充実させていくことのほうが、もっと委託地域包括支援センターを支援できる体制を強化できるのではないかと思いますが、一本化するよりも、南部とそして中部と両方で直営地域包括支援センターで全体を見るという方向のほうが、今の高齢化社会を支えていく体制としては良いと思うんですけれども、その辺そういう考え方はなかったんでしょうか。
◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
基本的に、先ほども申し上げましたけれども、篠ノ井支所内に中部地域包括支援センター篠ノ井支所駐在という形で機能は残す予定でございます。
具体的に申し上げますと、今、職員6人ですが、1人中部地域包括支援センターに移すという形で、基本的な形はそれほど変わらないというような状況でございますので、いわゆる基幹的な部分について、企画ですとか、その辺については、中部地域包括支援センターで一括してやりますけれども、市民の皆さんに御迷惑が掛からないように進めてまいりたいと思っておりますので、よろしく御理解のほどお願いいたします。
◆野々村博美
しかし、実際には、直営地域包括支援センターの基幹型を強化するといっても、人員の配置そのものが、当初32人いた方々が、今、最終的には18人ですか、来年も18人の体制でいくかと思うんですけれども、やはりそこの人員の削減というのは非常に大きな影響が出ているのではないかと思います。非常に委託地域包括支援センターも大変だし、直営地域包括支援センターも大変になっている。やはりそこを解決するには、体制的に強化していくことが大切かと思います。
その辺、人員の強化、それから、なかなか資格を取得することができない状況もあるようですけれども、専門職の配置に苦労されているかと思うんですけれども、それを解決していくためにも、やはりそこは今、層を厚くしていかなければいけないのではないかと。
先ほど市長からは、断固市民を守り抜くという強い決意が示されましたので、やはり地域は高齢化の問題は本当に今深刻です。ですので、そこはしっかりと体制的にも保障していただきたいと思うんですけれども、市長、いかがでしょうか。
◎ 市長(加藤久雄)
本当に高齢化社会になって様々な問題が生じているわけでございます。その中でいかに人材をうまく活用するか、そして市民へのサービスを向上させていくかということが一番重要でございます。そういう意味では、的確に部長のほうで答弁したと思っております。よろしくお願いします。
◆野々村博美
やはり行政は効率だけでは測れない、やはり人の配置が本当に大事だと思います。
直営地域包括支援センター、委託地域包括支援センターも非常に苦労をしているようです。専門職を雇用することが非常にもう大変になっている。厳しい環境の中で、なかなか定着していただけないという状況も生まれています。
やっぱりそこを支えながら地域社会を守っていかなければならないわけですから、そこは長野市としてやはり人員をしっかりと配置する、そのための新たな雇用もやっぱりしていただく、また、長野市は看護学部が設置される中で多額の支援をしているわけですから、将来にわたっては、そこからしっかりと雇用もその分野に拡大していく、そういう方向はお持ちなのかどうか、是非お伺いしておきたいと思います。市長の御見解をお伺いします。
◎ 市長(加藤久雄)
非常に今人材不足、様々なところで人材不足の中で、どうやって効率的に、いかに市民サービスを上げていくかということが一番重要でございます。
そういう意味では、先ほどお話ししたような体制をつくっていくということでございますし、看護学部が長野にできるということは、そういう意味では、長野に就職する機会が非常に大きくなるということでは、長野にとりましては非常に大きなプラスになるというふうに期待しております。
大門・バスターミナル両連絡室廃止について
◆野々村博美
若い人たちの就職も是非長野市にしていただくように、その辺は先を見通して、看護学部、学生さんへの支援もその立場で行っていただいて、長野市に是非就職していただけるように、しっかりと待遇もよくして配置も厚くして人材確保をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、最後になりますけれども、市民サービスの低下になりはしないかと懸念をされております大門・バスターミナル両連絡室廃止について伺います。
今年10月から大門・バスターミナル両連絡室を廃止する方針で、その理由として、コンビニ交付の拡充が示されました。
しかし、コンビニ交付はマイナンバーカードがなければ利用できません。マイナンバーカード申請率は10パーセント、交付率は8パーセントにすぎませんが、現在の年代別の交付状況をお伺いいたします。
◎地域・市民生活部長(竹内好春)
マイナンバーカードの年代別の交付状況についてお答えいたします。
初めに、本年2月1日現在の本市のマイナンバーカードの申請数は3万8,468件で、申請率は10.1パーセントとなってございます。
また、実際に交付した枚数につきましては、最新の情報では3月1日現在で3万4,300枚で、本市の全人口に対する交付率は9パーセントとなりました。
さて、本年2月1日現在ですが、長野市民がマイナンバーカードを所有している年代別の割合ですが、所有者全体に対する割合で最も高い年代は、60代から70代で43.5パーセント、次いで40代から50代が23.8パーセント、続いて80代から90代が14.3パーセント、20代から30代が13.7パーセント、そして10代以下が4.7パーセントとなっておりまして、40代から70代が全体の4分の3を占めているというような状況でございます。
また、年代別の人口に占めるマイナンバーカードの所有者の割合でございますが、最も高い年代が60代から70代で15パーセント、次に高い年代が80代以上の12.7パーセントと、高齢者年代が比較的高い所有率となってございます。
一方、40代から50代は7.5パーセント、20代から30代が5.9パーセント、10代以下が2.3パーセントという比較的低い割合となっているような状況でございます。
◆野々村博美
今御答弁がありましたように、マイナンバーカードを所持している率というのは高齢者が比較的多い、60歳代以上が6割を占めている。コンビニエンスストアを利用している方の多くは若い世代、20代から30代の交付率は僅か13パーセントと、これではコンビニ交付の拡大はこの2つの連絡室の廃止の理由にはならないと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
◎地域・市民生活部長(竹内好春)
議員御指摘のとおり、我々も本来は利用年代というのはもっと若い年代、会社勤め等で忙しい年代が、市役所の開庁時間にかかわらずこの利用を受けていただきたいということが最も目指すところでございます。
ただ、やはり現在のサービスが2種類にとどまっているということで、逆に言えば、これを4種に増やすことで、皆さんにこの利便性を広く周知することで、これをまた更に普及させてまいりたいと考えて現在進めておるところでございます。
◆野々村博美
過日、大門連絡室を利用するという司法関係者から怒りの声が寄せられました。
裁判所、法務局などが集中する地域は官庁通りと言われ、多くの司法に関わる方々のオフィス街となっています。
大門連絡室は、例えばDV被害の方の戸籍や住民票などを大至急とり、そのまま警察署に駆け込むこともある。あるいは、大変複雑な戸籍の調査なども依頼し、応えていただいている。非正規職員の方だが、熟知されていて本当に助かっている。法律事務所や司法書士に相談する方の中でマイナンバーカードを所持している方の割合などごくごく少数。とてもコンビニエンスストアで代用できるものではない。代理人申請が多いというが、その裏には多くの切実な市民の生活があるとされました。
そもそもコンビニ交付の場合、代理人申請はできません。その代理人が最も多く利用するこの2つの連絡室の廃止は、大きなサービス後退です。また、第一地区に暮らす高齢者の方は、バスの便が悪く、とても市役所までは行けないとおっしゃっておられました。
利用者の実態調査、その皆さんの意見を聴くべきではないでしょうか。御答弁をお願いいたします。
◎地域・市民生活部長(竹内好春)
大門・バスターミナルの両連絡室の廃止についてお答えしたいと存じます。
初めに、設置の経過でございますけれども、大門連絡室は昭和54年から、バスターミナル連絡室は昭和45年から設置して利用いただいているものでございます。
両連絡室は、現在、市民窓口課の出先窓口ということで、証明書の発行が主な業務でございますが、現在の証明書の発行枚数につきましては、税証明を除きますと年間約7,000件で、ピーク時と比べますと、大門連絡室では約50パーセント、バスターミナル連絡室では約75パーセントの減少という状況でございます。
また、本市では平成28年10月からコンビニ交付サービスを開始いたしまして、マイナンバーカードがあれば、住民票の写し及び印鑑登録証明書が全国のコンビニエンスストアで取得できるようになりました。
加えて、本年10月からは戸籍証明と所得証明の交付を追加する予定で現在準備を進めておるところで、これにより利便性が一層向上することとなります。
こうした変化を踏まえまして、本市では両連絡室の在り方を検討してまいりました。
まず、利用件数については、コンビニ交付の開始もあり、今後も減少が予想されること、また、比較的近距離に本庁がある他、周辺にはコンビニエンスストアも35店と多いため、今後マイナンバーカードの普及率やコンビニ交付の認知度が高まれば、利用者の更なる増加が見込まれ、市民サービスの向上につながっていくと考えているものでございます。
また、長野市公共施設マネジメント指針でも、証明書発行等の窓口業務は、情報通信技術の発展状況などに応じて施設に頼らないサービス提供も検討していくとしております。こうしたことから、両連絡室につきましては廃止する方向にしたものでございます。
次に、議員御質問の代理人申請につきましては、先ほど申し上げたとおり、両連絡室の近距離に本庁があり、窓口には業務に熟知した職員を配置しております。また、緊急時、あるいは複雑な戸籍調査などについては、あらかじめ電話をいただければ、来庁までに準備をいたしまして速やかに対応することができる対応をとっておりますので、そちらを御利用いただければと思います。
また、利用者へのアンケート調査についてでございますけれども、先月までに第一から第五地区の全てで説明会を実施しましたが、その際に頂きました御意見、御要望、あるいは、今後第一から第五地区については全戸回覧等で周知をきちんと図っていきたいと考えておりますので、その中で寄せられる要望等に真摯に対応するとともに、今後の窓口サービスの向上をきちんとしていきたいと考えておりますので、現在のところ実施は考えてございません。
今後、両連絡室の廃止による市民サービスの低下を防ぐために、コンビニ交付の普及を図り、施設に頼らないサービスの提供を更に推進してまいりますので、御理解と御協力をお願いしたいと存じます。
◆野々村博美
現に利用されている方の声は聴かないということですか。
◎地域・市民生活部長(竹内好春)
これから地元の調整が図られた後に、両連絡室の廃止についてきちんと報告してまいりたいと思います。
その中で、御意見等がありましたらきちんとお寄せいただきたい旨を説明して、それに対して、頂いたものについては、先ほど申し上げたとおり、できる限り対応していくということで、アンケートというのは考えていないということで御了解をお願いしたいと思います。
◆野々村博美
それでは、利用者の声を聴かないまま廃止を決めて、決めてから声を聴くという姿勢ではありませんか。それはおかしいじゃないでしょうか。再度お願いします。
◎地域・市民生活部長(竹内好春)
先ほど議員が御指摘のとおり、官庁街ということで、弁護士事務所、あるいは司法書士等の方が使うことが多いという特徴もございまして、これからそういう方への、きちんとその団体等へ連絡をしまして、利用者には周知するということで、この廃止の方針につきましては、行政改革の大綱とか、それから情報通信の関係ですとか、全て庁内合意を経ながら順次決めてきたものですので、大方この方針は変わらぬものとして、ただ、市民サービスの低下はできるだけ防ぎたいというのが私どもの本心でございますので、それに沿っての対応をきちんとさせていただきたいと考えております。
◆野々村博美
代理人の利用が最も多いところで、その皆さんの声を聴かないで廃止だけを決めていく、それは全く市民サービスの低下に他ならないと思います。
マイナンバーカードそのものが非常に多くの危険性をはらんでいるので、これからも若い人たちがこれを申請するかどうかは非常に疑問です。そういう中でコンビニ交付を拡大することには反対です。
以上です。