2018年3月定例市議会 野々村博美議員
請願第3号生活保護基準引き下げ中止について国に意見書の提出を求める請願を不採択とした福祉環境委員会委員長報告への反対討論
26番(野々村博美議員) 26番、日本共産党長野市会議員団、野々村博美です。
請願第3号生活保護基準引き下げ中止について国に意見書の提出を求める請願を不採択とした福祉環境委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。
生活扶助基準は、既に2013年8月から段階的に引き下げられ、2015年には住宅扶助基準及び冬季加算も削減されており、今回、更に引き下げられれば、全体の生活保護費の切り詰めが続くことになります。
ナショナルミニマムである生活保護基準の引下げは、利用者だけでなく最低賃金、市民税非課税世帯や就学援助など、福祉政策を利用している多くの低所得世帯に影響を及ぼします。また、デフレが言われていますが、価格が下がっているのは耐久消費財などであり、食料品などの生活必需品、光熱水費は軒並み値上がっており、今でさえも、健康で文化的な最低限の生活が保障されているとは言えない、厳しい生活水準がもっと厳しくなり、利用者の嘆きに心が痛みます。
今回の引下げの最大の問題は、生活保護基準以下で暮らす多くの人たちを含む一般低所得世帯-第1・十分位と言われる、この階層と比較をしたことで、このような比較を行っていけば、保護基準の際限のない引下げにつながっていきます。
国の社会保障審議会の生活保護基準部会の委員は、長年貧困研究に携わってきた専門家ですが、第1・十分位との比較には批判的であり、引下げの方針を認めてはいませんでした。にもかかわらず厚生労働省は、基準引下げ先にありきで、強引な結果を導き出しました。
弁護士会などからも厳しい抗議声明が出されていますが、この間、引下げがどのような影響を与えているか、検証もなされていないことが指摘をされています。
また、子供の貧困対策が大きな社会問題となっているにもかかわらず、子供のいる世帯も第1・十分位と比較し、扶助費を下げ、更に母子加算の削減も行いました。幼少期、学齢期の生活環境の改善こそ、貧困の連鎖を断ち切るためには大切です。
いじめ、虐待、ネグレクトの背景には深刻な貧困問題があります。この解決に逆行する今回の政府方針に対して、大きな国民的な世論でやめさせなければなりません。
最後に、捕捉率の改善について申し上げます。
過日、日本共産党志位和夫委員長が国会で質問をした際に、安倍首相は、生活保護への偏見を無くす、保護を必要とする方には確実に保護を適用する方針、と答弁をされました。
かつて、生活保護バッシングの嵐が吹き荒れていたときの不正受給対策、給付水準の適正化が急務としていた、当時の国会答弁とは明らかに変わりました。
長野市福祉事務所でも適正な運用が行われていることは承知していますが、少なくとも困窮している市民が人格を否定されたと感じ、保護受給をためらうような対応は是正をされなければなりません。窓口でのプライバシーが守られること、また財布の中身も点検するような相談対応は改めていただきたいと思います。
以上を申し上げまして、良識ある議員各位の御賛同を心から願い、討論といたします。