2018年3月定例市議会 佐藤久美子議員
主要農作物種子法廃止と長野市農業への影響について
市立公民館のコミュニティセンター化問題について
猟友会の見回りの負担軽減について
堤防道路の通行再開による赤沼地区の危険回避の要求
主要農作物種子法廃止と長野市農業への影響について
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
28番、日本共産党長野市会議員団、佐藤久美子です。
寒く長かった冬がすっかり春めいて、農家の方々もせん定作業などに追われる季節となりました。種子法廃止でも食の安全、食の源を守る立場から質問に入ります。
まず、主要農作物種子法廃止と長野市農業への影響について伺います。
昭和27年、戦後の食糧増産を目的として、稲、麦、大豆の種子に特化して、都道府県にその生産、普及を義務付けていた主要農作物種子法が、昨年政府与党の賛成で廃止法が可決、この3月末で廃止となります。国は、この法律の存在が民間企業の参入を阻害しているとして、突如廃止を強行したものです。
この問題について市民の関心は高く、市民団体主催の学習会が度々開かれており、参加者から遺伝子組換え農産物の流通や消費への不安と懸念が寄せられています。一方、種もみ生産農家の皆さんには、いまだに何の説明もされていない情勢です。
山田正彦元農林水産大臣が立ち上げた日本の種子を守る会の資料によると、世界では、トウモロコシ、大豆、菜種など、遺伝子組換え作物の栽培が広がっています。遺伝子組換え企業は、もともと化学物質を作っていた化学企業ですが、戦後、農薬製造から農業分野に進出しました。世界の種子企業の買収を盛んに行っており、現在、世界の種子市場の66パーセントが、6つの企業、モンサント、シンジェンタ、ダウ・ケミカル、デュポン、バイエル、BASFによって独占されている状況とのことです。山田氏は、アメリカのモンサント社は、既に除草耐性にモンサント社の除草剤ラウンドアップとのセットでコシヒカリを用意していると指摘しています。
このまま進めば、私たち日本人が世界で一番遺伝子組換え作物を食べることになります。遺伝子組換え食物の人体への影響について、知見が蓄積されていないこともあり、安全な食料を求める市民の間に懸念と不安が広がっています。そこで、次の事項について伺います。
長野市松代にある長野県原種センターは、県、市町村、JAなどの出資により1987年に設立され、1992年に施設整備が完了していますが、長野市の出資の状況はどうか伺います。
(28番 佐藤久美子議員 質問席へ移動)
◎農林部長(西島勉)
長野県原種センターの基本財産は10億550万円で、その出資内訳は、長野県が4億円、市町村が1億円、JA、種苗業者団体などが5億550万円となっております。長野市は、直接出資はしていませんが、市町村の1億円は宝くじの助成金を財源として、長野県市町村振興協会から市長会及び町村会に交付され、市長会及び町村会から長野県原種センターに出資されている状況でございます。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
約半分が県と市町村の出資ということであります。
都道府県の種子は、厳格に監査した優良品種を公共品種として、例えばコシヒカリは、1キログラム当たり500円などと安く安定的に供給されてきました。その地域に適した品種開発を手掛け、稲だけでも全国で300種になると言われています。種子は食の源でもあります。
現在長野市で生産されている稲、麦、大豆の種子の流通の仕組みと、品種と特徴はどのようなものか伺います。
◎農林部長(西島勉)
初めに、種子の流通の仕組みについてお答えいたします。
県内の各JAが長野県原種センターから原種を供給してもらい、県が指定したほ場で農家が種子を生産します。その種子を全農長野が全て買い上げ、農家に販売する仕組みとなっております。
次に、市内で生産されている稲、麦、大豆の種子の品種とその特徴ですが、稲の種子の品種は、主食用米のコシヒカリ、あきたこまち、酒米の美山錦、ひとごこちで、それぞれ、食味、作付けに適応する標高、収量、収穫時期に特徴があります。大豆の生産品種は、ナカセンナリで、晩生で草丈が長く、中粒で甘みがあり、適応地帯は中山間地域であります。麦の種子生産は行われておりません。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
長野市は大変標高差があります。その標高差に応じた品種が生産されておりまして、長野市に合った品種は守るべきものと感じるところであります。
遺伝子組換え農産物について、市民から表示や消費流通の不安と懸念が寄せられていますが、それについてはどう応えるか伺います。
◎保健福祉部長(竹内裕治)
遺伝子組換え食品については、食品表示法により、遺伝子組換えである旨の表示が義務付けられております。また、遺伝子組換え食品でない場合には、任意で遺伝子組換え食品でない旨を表示することができます。
長野市保健所では、適切な表示が行われているか食品事業者に対して立入監視を行っている他、流通食品の抜き取り検査を行っております。平成18年度から実施している検査40検体について、現在までに違反はございません。
遺伝子組換え農作物に限らず、市民の食品への不安や懸念については、相談窓口、市ホームページ、出前講座など、様々な機会を通じて情報提供を行っております。食品の安全性を確保するため、今後も監視指導や情報提供にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
食物の安全性について、特に関心が高く、安全なものが食べたいという要望が高まっております。是非、応えていただきたいというふうに思います。
市内の信更町では、以前から種もみ栽培を行い、厳格な指導の下で生産されておられますが、種もみ生産農家へJAからの説明はないとのことであります。今後影響はないのでしょうか。伺います。
◎農林部長(西島勉)
JAグリーン長野に確認をしましたところ、平成29年度のJAグリーン長野採種部会の役員会等において、種もみ栽培は今後も今までと同じように栽培、買取りは実施されるというふうに説明をしているところでございまして、平成30年4月の採種部会の総会でも、全農長野、長野県原種センターが出席して、種子法廃止後も良質な種子の安定供給を図っていくことを説明する予定というように聞いております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
私も、実際に信更町へ行って、生産農家から直接お話を伺いました。消毒を厳格にするような通知も出されているということでありますが、しかし、今後こうした種子法廃止によっての影響がないのか、そのことはまだまだ未定な部分があると思いますので、是非、そうしたことがありましたら、説明も丁寧にお願いしたいと思います。
種子は、特定の企業の所有物ではないし、先祖代々、多くの人たちが自然と共に育んできた共有財産ではないでしょうか。農林水産省は、今後民間事業者との連携で種子の開発、供給が活性化し、我が国の優位性が高まれば外資との競争にも対応できると述べていますが、根拠は疑問であります。国や県に対して共有財産の種子を守る法的整備を含め対策を求めていくべきではないか。これについては市長の見解を伺います。
◎市長(加藤久雄)
種子法を廃止した国の考え方は、これまで都道府県が中心に行ってきた種子生産を、官民の総力を挙げて開発、提供する体制を構築する必要があるとしており、都道府県による種子の開発、供給ができなくなるものではありません。
また、長野県は、法が廃止された場合でも稲、麦、大豆の主要種子の安定供給はしっかり行うとしており、県としても、引き続き必要な予算を確保して、現在の種子供給体制を維持するとともに、長野県原種センターやJAグループなどと連携して良質な種子の安定供給を図っていくとしておりますので、動向をしっかり注視してまいりたいと思っております。
したがいまして、当面、新たな法令を国・県に求めていくことは、今のところ考えておりません。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
確かに、今、原種センターの運営は地方交付税の財源措置がありまして、運営をされております。そしてまた、その通知も出ております。ただ、主要農作物の種子がアグリビジネスのターゲットになったということは、長期的には、世界の遺伝子組換え企業が日本の種子市場を支配していくことが懸念されるところです。そして、生産者は、その企業の種子や肥料、農薬をセットで使わなければならず、消費者は遺伝子組換え作物をいやが応でも食べることになってしまいます。
例えば、ラテンアメリカの多くの国で、種子を保存したり共有することを犯罪とし、毎回種子企業から買わせることを強いる通称モンサント法が2012年度以降導入されようとしましたが、コロンビアでは全土ストライキが起き、グアテマラでは議会が承認しましたが憲法裁判で違憲の判決が下り、ベネズエラではモンサント法を禁止する法制定がなされています。
私は、日本の稲や麦、大豆を守ること、これは、長野市民の暮らし、そして命を守る上でも強く国・県に対策を求めていただきたいと思いますが、この点について、もう一度市長の見解を伺いたいと思います。
◎農林部長(西島勉)
ただ今、市長の答弁をということでございましたけれども、細かな部分もございますので、代わりまして私から答弁させていただきます。
遺伝子組換えの種子に対する法制度としましては、国におきまして、通称カルタヘナ法という法がございます。正式名称は遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律でございます。この法に基づきまして、生物多様性影響評価検討会がそれぞれ科学的な評価を行い、問題がないもののみが輸入、流通、栽培される仕組みとなっております。これに違反して国内に流入した場合は、国は、遺伝子組換え種子の使用者等から必要な事項の報告を求めることができ、職員が立入検査等により遺伝子組換え種子を無償で収去させることができるなど、国が遺伝子組換え種子の使用者等を管理、指導する体制となっております。
また、県においては、今後もしっかりと高品質な種子の生産と提供を継続していくと説明しておりますので、動向をしっかりと注視してまいりたいと思います。したがいまして、新たな対策を求めることは、当面考えておりません。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
新たな対策を求める必要はないとの答弁でありましたが、種子法が廃止されたことは事実であります。つまり、財政的な措置も含めて、根拠法がなくなったわけですので、今後ともしっかりと、県に対しても、種子を守る立場で市長としても発言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎市長(加藤久雄)
佐藤議員のお気持ちは十分分かるわけであります。ただ、日本の国民も、入っているものと入っていないものと、遺伝子組換えと組換えでないものについてはしっかりと判断されておるというふうに思っておりますし、日本国民は、どちらにしても、そういう形で進んでいくと思っております。
市立公民館のコミュニティセンター化問題について
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
種子の源は命の源でもありますので、是非とも、今後とも積極的に県に求めていただきたいと要望しておきます。
次に、市立公民館のコミュニティセンター化問題について伺います。
私たち日本共産党長野市会議員団は、市立公民館の指定管理者制度導入には反対してきました。しかし、市は強引に導入を進め、平成29年度までに全館への導入を目標としましたが、現在9館、進捗率31パーセントです。指定管理者制度導入への住民自治協議会の同意が進まない状況で、今度はコミュニティセンター化を進めるという方針が提案されました。指定管理者制度導入の検証がいまだされていませんが、いつまでに行うのか答弁を求めます。
指定管理者制度を導入した9館について、直営のときと何が変わったか。一番の変化は人件費の削減です。昨年9月市議会での私の質問に対し、市の直営時と比べ、導入によって人件費は、3,970万4,843円減り、9館平均では約440万円の削減と答えておられました。職員の引き揚げに伴うものだと認めながら、職員に頼ってしまう傾向があるのでと合理化されましたが、職員はプロです。市民が頼るのは当然です。
また一方、社会教育主事の資格がありながら、16人はその専門性は生かされていない部署での配置です。防災、人口減少、各産業分野の後継者不足など、地域課題の解決に向けて、学習の入り口は多種多様です。市立公民館全てに社会教育主事を配置し、地域住民のやる気を引き出し、援助し、支え合う地域をつくる専門職として、大いに力を発揮していただくべきだと考えます。市は、社会教育主事の資格を取ることを推奨しながら、全ての市立公民館に指定管理者制度導入を目指すとは、理解に苦しみます。検証をしっかり行うべきと考えますが、所見を伺います。
◎教育次長(松本孝生)
市立公民館への指定管理者制度導入に当たりましては、現在9地区が移行しております。住民の自治活動の拠点として、また、生涯学習・社会教育活動の拠点施設として、住民の手による地域に根差した地域振興を目指し、運営を受託していただいた地区から順次進めております。
指定管理者制度導入の検証としましては、事務事業評価の他、モニタリング調査を実施しておりまして、講座の新設などの積極的な取組や、地域独自の物産の開発に加え、利用者アンケートでは、市立公民館が活用しやすくなり、指定管理になってからとても充実したという御意見も頂いており、指定管理者制度移行の効果が出てきております。
一方で、人材の確保が難しい状況であったり、時間を掛けて検討を行う地区もあり、計画どおりに実施できていない状況ですが、公民館事業や地域づくりに興味のある人材の発掘も視野に入れ、助言や情報提供など、支援に努めてまいりたいと考えております。
次に、社会教育主事についてですが、資格取得のための社会教育主事講習の開催は4年に1度であること、講習では一定の期間に多くの単位を取得する必要があること、また、一定の実務経験が必要であることなどから、容易に取得することは難しい状況にあります。しかしながら、本市では、少しでも多くの職員が資格を取得するように努めているところです。
社会教育法では、社会教育主事を教育委員会事務局へ置くことと規定されております。本市では、教育委員会事務局に2名の他、市立公民館に5名を配置し、7名でチーム体制をとり、連携しつつ、社会教育、生涯学習の推進を図っているところでございます。
指定管理者制度を導入している市立公民館に対しましては、個別に会計事務などの研修を実施する他、直営公民館と合同で、社会教育主事の資格のある職員を講師に、事務職員研修や新任職員研修、情報交換や公民館の運営を研究する公民館主事会を開催するとともに、家庭・地域学びの課の社会教育主事が各公民館からの相談を受けて、指導や助言を行っております。このように、社会教育主事による指導と助言を各館に行っていくことで、公民館事業が推進できるものと考えております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
市の教育委員会としては、実際には平成29年度までに全館導入を目指してきました。しかし、9館にとどまっています。成果もあるけれど課題もあるということですが、そこはきちんと検証をして議会にお示しいただけますか。
それから、私は、市立公民館全館に社会教育主事を配置すべきと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
◎教育次長(松本孝生)
目標29館全てということがクリアできていないという状況についての検証ということでございます。
これは、先ほど申しましたように、御説明をして、理解をいただいた地区からお願いをしていくと、こういうスタンスでございますので、これからも地道に進めていきたいと思っておりまして、今時点では、検証中でございます。先ほど申しましたが、いい評価も頂いていますので、このようなことで考えております。
それから、全館に社会教育主事を配置という御要望でございます。
先ほど申しましたが、社会教育法では教育委員会事務局に置くことと規定されております。その中で、できるだけ市立公民館にも置くように努めているところでございますが、ただ、人事異動がございまして、ずっと市立公民館にいるというわけにもまいりません。公民館活動、こういったことでの知識、経験というのは、市のいろいろな業務にも生かせると思っておりますし、また戻ってくる機会もございます。こういったことで、いろいろな職員の連携の下に進めていくというふうに考えておりますので、必ずしも全館でなくても、公民館事業は推進できているものと考えております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
今回、市の直営公民館も指定管理者が管理する公民館も、それぞれ数館でモデル的にコミュニティセンター化を進めるという方針が示されましたが、なぜ拙速に進めるのか、明確な理由を示していただきたい。
約70年前から行ってきた社会教育法の下での公民館運営を変更するには、市民が納得する理由や根拠が必要です。年間100万人の市民が利用している公民館です。物の物販をしたい、福祉事業に利用する、放課後の学習の場として利用したい。でも、社会教育法の制限があり対応できないので、適用除外して地方自治法所管に移すと説明しますが、具体的に何が問題でしょうか。社会教育法第23条との関係で説明をお願いします。
◎教育次長(松本孝生)
市立公民館のコミュニティセンター化への検討につきましては、かねてより、市立公民館が利用しにくい、不便だという声を頂き、市立公民館の在り方について研究、検討を進めてきておりました。昨年の7月、住民自治連絡協議会理事会で説明後、全地区の住民自治協議会から個別に意見を聴取し、さらに、公民館長会での協議、検討、長野市社会教育委員会議への諮問、答申など、地域や関係機関と協議、検討を重ねてまいりました。各地区の住民自治協議会との意見交換では、市立公民館のコミュニティセンター化の構想について、おおむね賛成の意向でありました。
また、社会教育委員会議から、施設の利用状況や住民要望が多様化していることから、各地域の実情を鑑み、地域の特性を十分考慮する必要がある。そのために、モデル地区設定による試行を実施し、課題を洗い出すとともに、その対応を図りつつ、これからの時代に合った制度を導入することが望ましいとの答申を頂きました。
そこで、答申に基づき、利用者の立場から市立公民館をより使いやすくする方法を研究した結果、施設利用を緩和することで、地域の特性を踏まえ利用しやすく改善し、社会教育の一環として公民館事業を継続させるモデル実施の方針を定めたものであります。
社会教育法第23条は、政治活動、宗教活動とともに、専ら営利を目的として事業を行い、特定の営利事業を援助する行為を行ってはならないと規定されており、営利目的での公民館利用を禁止しているため、地元企業と協働し、新しい特産物を商品化した場合、地域づくりにつながる物販やPRが、営利事業を援助する行為に当たるため行うことができません。地方自治法の所管に移すことで、条例や規則等で制限を掛けながら、地域活動や地域振興につながる物販やPRの行為が可能となってまいります。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
地元企業との共催での物販について、どれだけの例があるでしょう。それは口実に過ぎません。
これまでに、市は、公民館長会、公民館主事会、住民自治協議会、社会教育委員会議にコミュニティセンター化を進めるということで説明会を開催しています。そこで出された意見にどう対応するのか伺います。
貸館に社会教育利用優先をどのように確保できるか、企業利用に選別は可能か、使用料の徴収など業務量の増加にどう対応するか、中山間地域では逆に他の施設の用途廃止につながらないか、生涯学習センターがコミュニティセンターの中核になるとの位置づけですが、今までとの違いも含め説明を願います。29館の市立公民館の館ごとに対応が違い、複雑になれば、利用しにくくなるとの声にどう応えるのでしょうか。また、モデル公民館はどう決めていくのでしょうか。
◎教育次長(松本孝生)
まず、1つ目、貸館に社会教育利用優先をどのように確保できるかにつきましては、現在新しく制定を検討しております条例や規則等で、社会教育目的での利用とそれ以外の利用について、申請受付の時期をずらして定め、優先すべき社会教育の利用から申請を行うことができるような運用などを考えております。
次に、企業利用に選別は可能かにつきましては、申請の時点で利用内容を確認いたしますので、企業利用の選別は可能であるものと考えます。
使用料の徴収など業務量の増加にどう対応するのかでございますが、現在公民館で行っている目的外利用に係る徴収事務の延長と考えており、業務量については、地域性や施設の設備等に違いがあることから、モデル的に試行する中で、どの程度の業務量になるか把握してまいります。
次に、中山間地域では逆に他の施設の用途廃止につながらないかでございます。各施設にはそれぞれ設置目的があることから、直ちに用途廃止にはつながるものではないと考えます。ただし、将来的に施設の老朽化等による建替え等の検討を行う際には、代替機能が確保できれば、用途廃止の検討につながる可能性はあるものと考えます。
次に、生涯学習センターの位置づけにつきましては、社会教育、生涯学習を担保していくために、中央公民館的な役割を果たす場となるよう検討してまいります。コミュニティセンターの機能を高めるよう、講座の企画補助、職員に対する研修や管理運営に対する相談等、家庭・地域学びの課と共に支援していく体制を整えるものでございます。
次に、モデル試行により市立公民館の館ごとに対応が違い、複雑になれば利用しにくくなるのではないかということでございます。一時期は複雑になることもあると思いますが、モデル試行を踏まえて統一する予定であります。
最後に、モデル公民館の選定に当たりましては、これまでに頂きました御意見等を参考にしながら、直営、指定管理の公民館の中から、地域性、施設規模、利用頻度等を勘案して数館を選定してまいりたいと考えております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
結局は、利用しにくくなることをもっと増やすというふうに私は考えます。大変複雑に、4種類もの館が出来るということでありますので、私は、かえってこれは利用を阻害するものだと考えます。
住民自治協議会事務局長の賃金は年間120万円がベースとなり、地域いきいき運営交付金に上乗せされており、公民館長の賃金は198万円がベースと承知していますが、待遇の差は地域づくりの連携の阻害要因にならないか。10年後、20年後を見据えた地域づくりを考えるとき、貸館事業が中心になり、目先の利益優先になると、地域の活力が失われていくのではないか、支え合いの地域づくりができるのか、所見を伺います。
◎教育次長(松本孝生)
市立公民館長の賃金につきましては、もともと市全体の賃金体系の中で、業務量や内容を勘案して決まっております。指定管理者制度を導入した公民館長につきましても、同様の職務で、基本的にはフルタイム勤務をしていただいているため、同程度で賃金を算定しているものでございます。一方、住民自治協議会事務局長の賃金につきましては、地域の実情に応じて各地区同じとは限りませんが、地域いきいき運営交付金に人件費として120万円が算入されているものでございます。
次に、貸館事業が中心となることによる地域活力の喪失の懸念についてですが、本市では、平成18年から取組を始めた都市内分権の進展により各地区に住民自治協議会が設置されると、地域や市民の活動が活発化し、地域活動やまちづくり活動の場として市立公民館の利用の要望が増えてまいりました。議員御指摘のとおり、目先の利益優先ではなく、支え合いの地域づくりを進める中、貸館事業に特化せず、社会教育・生涯学習の推進を図り、その活動環境を確保しながら、自治活動のより多種多様な活動の場として施設を運営してまいりたいと考えております。
地域の団体や地域の皆様に御利用いただけるように、地域の実情に合った柔軟な施設運営を進めていくことはもとより、これまで培ってきた公民館活動を引き続き推進し、支え合いの地域づくりを進めてまいりたいと考えております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
住民自治協議会が指定管理者になっております。雇用は住民自治協議会になるわけですね。そういう中で、住民自治協議会の事務局長と公民館長の賃金に差があることに、非常に感情的なものが生ずると。実際に、住民自治協議会と公民館との関係性においてトラブルが発生しているとも聞いております。そういうことを更に一層広げていくことにならないのか、そのことについて教育委員会はどのように考えておられるのか。
私たちは、決して導入に賛成ではありませんけれど、地域というのは、それぞれがお互いの善意に基づいて連携をしていく、それで支え合いの地域づくりができていくのではありませんか。そういう中において、こうしたことをそのままにしておいて支え合いの地域づくりができるというのは、私は見解が間違っていると思いますが、いかがでしょうか。
◎教育次長(松本孝生)
住民自治協議会が全て立ち上がっている中で、それぞれ地域ごとに地域の独自性を発揮されて、いろいろ活動していただいております。そういう中で、公民館長と事務局長の賃金が同一であるべきだということについて、一概に教育委員会から申し上げられませんが、教育委員会としては、いずれにしろ、公民館事業がそれぞれの地域性を踏まえてしっかりやっていただけるように算定をしているところでございます。支え合いという観点からの御指摘につきましては、今後とも地域・市民生活部ともよく連携をとって、協議等をしてまいりたいと思っております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
地域活動、それから支え合いの地域づくり、このことを念頭に、きっちりと検証していただきたいと思います。
今、市民から求められている切実な要望は、公民館の施設老朽化に対する改修要望です。洋式トイレの設置、エレベーターの設置、不具合が生じているところが多々あり、その改修こそ急ぐべきであります。公共施設の維持管理が喫緊の課題ではないか、現場の声を尊重し、一層利用者が増え、使いやすいような改善を行い、社会教育の拠点としての充実を望むところですが、所見を伺います。
◎教育次長(松本孝生)
現在の公民館の約半数は、昭和40年代から50年代に建設されたもので、施設の老朽化が進んでいるのも事実でございます。本年度は、3つの公民館の建替えに着手し、施設の複合化を進めているところでございます。長野市公共施設等総合管理計画に沿って順次対応していくことを今後とも考えておりますが、不具合が生じている設備の修繕についても対応が必要となり、緊急性や安全性を考慮した上で優先順位を決めるなど、できる限り工夫して努めているところでございますので、御理解をお願いいたします。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
平成25年の文部科学省生涯学習政策局長の社会教育法第23条第1項第1号の解釈についての通知について、どのような内容か説明を願います。
◎教育次長(松本孝生)
この通知は、公民館が社会教育法第20条に掲げる目的を没却して、専ら営利のみを追求することや、特定の営利事業に対して特に便宜を図り、それによって当該事業に利益を与えることを禁止するもので、公民館が営利事業に関わることを全面的に禁止するものではないことを示しております。また、具体例として、施設命名権の売却や地域の芸術振興のための個展における作品の販売の扱いが公民館でも可能であることと、それに伴う留意点が示されております。
このような形で社会教育法第23条第1項第1号、これは公民館における禁止事項でありますが、この解釈について周知が図られているところでありますが、個々の事例の判断は難しく、全国的には公民館の首長部局への移管やコミュニティセンター化が進んできております。
また、現在文部科学省におきましては、公民館、図書館、博物館等の公立社会教育施設を地域づくりの核として活用するための方策として、首長部局への移管等についての検討を始めております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
先ほど社会教育法の適用を除外をするというようなものについても、この通知によって、きちんと位置づけをすれば販売することもできるということであります。
ですので、要綱を変える、あるいはそういうふうな指導をすることによって、公民館事業として位置づけるということを皆さんが専門的にアドバイスする必要があるんではないでしょうか。
市民の課題解決への主体的取組を支援することを通じて、市民の学習満足度を高め、人間尊重の精神や連帯感の醸成と自治能力の向上を図ること、これが公民館の重点目標であります、この長野市の公民館に大きく書かれております。
今、長野市の市立公民館のコミュニティセンター化はこうした方向に合致していますか。決して市民からはそういう声は聞こえておりません。それよりも、私は自治能力の向上を図るために専門的な知見を使ってアドバイスする。そして、施設の老朽化については確かに3館建替えでありまして、予算的にも盛られています。
しかし、包括外部監査の中でもほとんど全て指摘されておりますが、例えば豊野公民館は築後46年です。雨が降れば中に水が入ってきます。2階のベランダの柵は本当にぼろぼろであります。そうしたことを放置していて、なぜコミュニティセンター化だけを拙速に進めるのですか。そんなことは市民は決して納得できません。私はこの方向の撤回を求めるものですが、所見をお願いします。
◎教育次長(松本孝生)
いろんな施設的な不備、不具合というのはおっしゃるとおりでございますが、できる限り努めているところですので、それは御理解をお願いいたします。
それから、コミュニティセンター化というのは、先ほどから申し上げましたように、今までいろんな声を頂いておりました。住民自治協議会から、都市内分権を進める中で、もっと地域活動に使えるような施設に公民館があるべきだというような声も受けていたところであります。
コミュニティセンター化自体は今までやってきた従来の公民館活動、これは何も変わるものではございません。むしろこれを機会に生涯学習センターを中央公民館的な位置づけにして、より支援していくような形を考えております。
その上で、施設の利用について、少し緩和をするという方向でございますので、従来の長野市がやってきた公民館活動を変えるというものではございません。
飽くまでも個人の学びを地域の住民自治だとか、地域活動、まちづくりに有効に生かしていただけるように制度的に考えた結果でございますので、御理解をお願いいたします。
猟友会の見回りの負担軽減について
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
私は歴史の検証に耐えられないと思いますので、そのことは強く申しておきます。
次に、猟友会の見回りの負担軽減を求めて伺います。
若穂に続いて中条地区に2つ目のジビエ肉処理加工施設が設置されるということで期待が高まっていますが、処理頭数はどのくらいを目標にするか、猟友会などの体制は整っているのか、若穂との役割分担はどうしていくのか伺います。
猟友会の役員の方から、おりやわなを掛けた場合、見回りに行くのが大変負担になっているとの訴えが寄せられました。高齢化という問題もありますが、負担軽減のためにおりやわなにセンサーを取り付けて、見回り負担を軽減することはできないか、見解を伺います。
◎農林部長(西島勉)
最初に、ジビエ肉処理加工施設での処理頭数ですが、長野市ジビエ振興計画では年間600頭としておりますが、現在取りまとめを進めている実施計画では、施設稼働3年目には年間1,000頭を実現することとしております。
次に、猟友会との協力体制ですが、役員の皆さんへ説明した上で、市内13の猟友会組織の皆さんと移動式解体処理車や軽保冷車を活用した個体搬入の方法や委託単価など、収集方法等について協議を行っているところです。
次に、若穂の処理加工施設ですが、本施設は若穂の猟友会員が主体となって運営する民間施設で、若穂地区で捕獲された個体を処理していますので、市が中条地区に建設する施設については、それ以外の区域から個体を収集することにより、役割分担をしていきたいと考えております。
若穂地区では地区を挙げてジビエツアーなどのイベントを開催し、わかほジビエが広く認知され、取引先も拡大していますので、市内の2つの施設が連携してPR活動などに取り組んでまいります。
最後に、猟友会員の見回り負担の軽減についてですが、近年ICTを活用した鳥獣被害対策用のセンサー等が開発されており、県内では塩尻市でこのようなセンサーでけものが捕獲されたことを感知し、メールで知らせるシステムの実験が行われております。センサー購入費が1機当たり5万円から10万円程度掛かり、くくりわなを1人で20か所以上設置する狩猟者も多くいることから、狩猟者の経費負担が多額となる課題がございます。
他市の取組等を十分調査し、猟友会の皆さんと情報共有を図りながら、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。
堤防道路の通行再開による赤沼地区の危険回避の要求
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
ジビエはやはり食味からいけば冬の狩猟が最高だと考えます。ところが、冬は足場が悪いということで、この見回りが大変な負担になっているということを聞いております。ぜひ、一緒になって考え、負担軽減のために御尽力いただきますようお願い申し上げます。
次に、堤防道路の通行再開による赤沼地区の危険回避を求めて伺います。
千曲川堤防道路の拡幅整備の進捗状況と今後の計画について伺います。特に、長沼地区の堤防道路から国道18号線の赤沼交差点に出る道路は、子供たちの通学路にもなっており、大変危険であり、国道側から進入禁止の時間規制が掛けられています。しかし、抜本的に通行量を減らすためには、堤防道路の小布施橋方面、県道南志賀公園線への通行再開を望むところです。調査費もついている箇所と伺っていますが、今後の見通しについて伺います。
ぜひ、この道路の通行の再開による危険回避を求めるところです。答弁をお願いします。
◎建設部長(島田純一)
初めに、千曲川堤防道路の拡幅整備の進捗状況についてお答えいたします。
この事業は、国が村山橋から落合橋付近までの区間で進めております千曲川左岸堤防整備事業に併せて、堤防上にある市道若里村山堤防線について、標準幅員を7メートルに拡幅整備するものでございます。現在、村山橋、屋島橋間2.8キロメートルにつきましては、道路の設計が完了しておりまして、残る屋島橋、落合橋間2.5キロメートルにつきましては、地元の皆様と設計協議を行っているところでございます。
工事は国の堤防整備と一体的に、市道の通行を確保しながら行う予定であり、平成33年度の全線完成を目指しております。
次に、長沼地区から小布施橋付近の県道南志賀公園線までの堤防道路の通行再開についてお答えいたします。
この堤防道路につきましては、国が千曲川の維持管理のために整備した道路ですが、従来は多くの一般車両が通行していた経緯がございます。国は堤防道路を河川施設に位置づけていることから、本来一般車両は通行できないこと、また地元から堤防を横断する農耕車両の安全確保について要望があったことなどから、平成22年に一般車両の乗り入れができないよう車止めを設置して、現在に至っております。
その後、国に対しまして改めて通行再開の可否について確認した際に、現状の河川管理道路としては一般車両の通行を認めることは困難であること、その一方で、自治体が堤防敷地を占用して道路を整備した後、公道として管理することは可能であるとの見解を得ております。
また、議員の御指摘にもございました長沼地区から国道18号線への県道区間につきましては、堤防上の道路が通行できないこともあり、通勤時の抜け道として多くの車両が通行している中で、危険にさらされている児童・生徒等への早急な安全対策が求められております。
このため市では、これらの課題の解決策として、県に対し堤防上への県道整備について要望活動を行ってまいりました。県では調査を進めているとお聞きしておりますが、事業化に向けては、関係機関や地元との調整、協議に多くの時間を要することが予想されます。
引き続き、地元とも連携を図りながら、県に対し堤防への県道整備の実現に向けて、強く要望してまいりたいと考えております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
確かに平成22年に通行止めになったという、その経過については、私も聞き及んでおります。
どのような調査がされて、実はあそこは桜堤が事業完了しております。新たな拡幅事業は必要ないと考えていますが、通行再開のためには何が課題か、何が必要でしょうか、答弁願います。
◎建設部長(島田純一)
県の調査内容につきましては、測量を実施しているとお聞きしています。
通行再開の課題といたしましては、現在の堤防上の道路は河川管理用道路であることから、一般車両が安全に通行できる構造となっていないため、規格に合った道路を整備していく必要があるものと考えております。
◆経済文教委員会委員長(佐藤久美子議員)
私も地元の住民自治協議会の皆さんにもちょっとお話を伺いましたけれども、今は通行止めというよりも、あそこを通行再開していただいて、赤沼の危険回避を求める声のほうが大勢の世論になっているということでありますので、今後ともよろしくお願いいたします。
これで終わります。