議会報告

2017年12月定例市議会 滝沢真一議員2

子供、障害者の医療費および窓口完全無料化について

新しい総合事業について

就学援助費の事前支給について

学生支援について

子供、障害者の医療費および窓口完全無料化について

◆滝沢真一議員
 13番、日本共産党長野市会議員団、滝沢真一です。市民こそが市政の主人公という立場から質問いたします。
 まず初めに、子供の医療費、障害者の医療費について。
 長野県でも、子供の医療費が窓口無料化されます。請願や署名など、長年にわたる市民運動がいよいよ実ることになります。しかし、1レセプト当たり500円の受給者負担金は残ったままとなり、完全無料化とはなりません。子供の貧困が社会問題となる中、この500円の負担金が、所得の少ない家庭には大変大きな負担となります。県内でも、受給者負担金を300円程度に抑えていたり、完全無料としている自治体もあります。長野市としても、500円の受給者負担金を廃止することを求めます。見解を伺います。
 また、障害者の医療費については、今回、窓口無料化は実現しません。私の周りにも、障害を持った方がいます。収入源は1か月8万円余りの障害年金だけ。彼は、病院で検査を受けた際、手持ちのお金が足りず、採血を断ったこともあるそうです。働けたとしても、障害者施設の月額工賃は県平均で1万5,000円程度、利用料も取られます。障害者には、収入面だけでなく、病気にかかりやすい方、両親の高齢化などによって頼る人がいない方など、より困難を抱えた方も少なくありません。
 経済的ハードルによる受診抑制は、貧困層だけを医療から遠ざけることになり、病気の重症化を招きます。県がやらないのであれば、市が市民のために独自に無料化を実施すべきではないでしょうか。
 県内でも、坂城町のさかき福祉医療費サポート資金貸付制度など、独自の窓口無料の取組が行われている自治体もあり、これは、国のペナルティーの対象にもなりません。障害者の医療費の窓口での無料化を求めます。見解を伺います。
 また、現物給付方式へのシステム改修について、将来的な障害者への対応も前提として、この機会に同時に進めれば、費用も軽減できるのではないでしょうか。見解を伺います。
     (13番 滝沢真一議員 質問席へ移動)

◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
 初めに、子供、障害者の医療費に係る受給者負担金の廃止についてお答えいたします。
 本市の受給者負担金は、平成28年度の実績で、子供で約2億4,000万円、障害者やひとり親世帯を含めた全体では約4億4,000万円となっております。受給者負担金を廃止した場合、費用の全てを市の一般財源で賄う必要があり、多額の財政負担が生じます。そのため、受給者負担金については、現行の1レセプト当たり500円を維持することとしております。
 次に、障害者の現物給付につきましては、現物給付を実施した場合、国民健康保険に対する国の負担金等が減額され、多額の歳入減が生じます。そのため、障害者につきましては、医療機関からの通知によって、2か月ほど後に受給者に対して福祉医療費を振り込むという現在の自動給付方式を継続することとしております。
 なお、坂城町のさかき福祉医療費サポート資金貸付制度でございますが、福祉医療に関連する貸付制度であり、内容はそれぞれで異なりますが、同様の制度は、本市も含め、県内58市町村で実施しております。貸付制度は、毎月膨大な数の支払等の事務処理が必要な福祉医療費の支給方法として代替できるものではなく、真に医療費の支払が困難と認めた受給者に対して行っている制度ですので、御理解をお願いいたします。
 最後に、福祉医療システムの改修ですが、福祉医療システムは、内部的には、子供、障害者、ひとり親世帯の3つのシステムがあり、それぞれを連携させて運用しております。今回の改修では、障害者やひとり親世帯についても一定の改修が必要であることから、そのための対応は予定しております。

◆滝沢真一議員
 1レセプト当たり500円の受給者負担金を廃止すれば多額のお金が掛かるのは、確かにそのとおりです。ただ、この500円が払えずに医療機関に掛かれない、こういう子供がいることも実態だと思います。是非、長野市で暮らす子供たち、そしてその家庭のために、市の支援をお願いしたいと思います。
 それから、障害者の医療費について、窓口無料化をした場合には、多額のペナルティーが発生するということだったのですが、これはどの程度の額なのでしょうか。市としては払えないほどの額なのでしょうか。
 それと、このシステム改修について、障害者についても行うということだったのですが、これは窓口無料化をしても大丈夫なように改修されるということなのか伺います。

◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
 障害者の現物給付を実施した場合ですが、推計になりますが、1レセプト当たり500円の場合で、国民健康保険特別会計に対し約1億円台後半の減額が発生するというふうに予測しております。
 それと、システム改修の件でございますが、仮に、将来障害者等の現物給付が行われる場合には、細かい変更などの一定の改修が必要となりますけれども、基本的な部分の改修は今回実施済みということになりますので、次回やるとしても、今回ほど大規模な改修にはならないというふうに考えております。

新しい総合事業について

◆滝沢真一議員
 障害者の医療費の窓口無料化が1億円台後半ということであれば、是非、長野市で暮らす障害者の方々のために無料化を行っていただきたいと思います。要望して、次に移りたいと思います。
 次に、新しい総合事業について伺います。
 介護保険制度の改悪によって、要支援1、2の訪問介護と通所介護は、市町村が行う新しい総合事業となりました。政府は、更に、要介護1、2の在宅サービスを介護保険の給付から外すことを提案しています。安倍政権の下で、既に、要支援1、2の176万人の在宅サービスが介護給付から外されています。この上、要介護1、2の240万人のサービスまで介護給付から外したら、要支援、要介護と認定されている人の実に65パーセントが介護給付の枠外に置かれてしまいます。高い保険料を払って、要支援、要介護と認定されても、6割以上の人がサービスを受けられない。これでは、国家的詐欺と言う他はありません。これ以上の改悪は断じて許されることではありません。
 長野市では、住民主体サービスについて地域から不安の声が上がる中、各地区に検討会を設置し、地域を市がバックアップできる体制がつくられました。また、古牧地区や鬼無里地区などを先頭に、それぞれの努力が始まっています。この住民主体サービスでは、地域のボランティアなどにサービスが移行し、責任の所在やサービスの地域間格差、足の確保など、様々な課題があると考えます。
 その中でも、移動手段の確保が難しいという声がよく聞こえてきます。鬼無里地区では、鬼無里の湯の車を使っての送迎を行っていると聞きました。しかし、これはどこの地区でもできることではありません。6月市議会の生出議員の質問への答弁では、乗合タクシーの活用、デイサービスセンターの車を借り上げてボランティアが運転することを検討するなど、今後各地区に設置する検討会で関係者との意見交換により可能な手段を検討する、市としても有効な方法を検討したい、とのことでした。
 確かに、移動手段を確保する力のある地区もあります。しかし、中山間地域のように利用者が広範囲に住む地域、市街地でも高齢化が進んだ地域など、地域によって様々な実情があります。検討会を設置するとしても、介護予防・日常生活支援総合事業は市町村が行う事業です。長野市内どこに住んでいても、必要な方が必要なサービスを受けられるように、地域間格差を生み出さないためにも、移動手段の確保については、市が最後まで責任を持って行っていただきたいと考えます。見解を伺います。
 同様に、生活支援コーディネーターの配置についても、地域任せにせず、市が責任を持って構築すべきだと考えます。見解を伺います。
 また、地区の申請時、受領時の手続が複雑で分かりにくい、もっと手続を簡略化してほしいとの意見もあります。見解を伺います。

◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
 新しい総合事業の住民主体サービスにつきまして、利用者の移動手段は、サービスを提供する団体が確保することになります。地区ごとの検討会等の場で御意見を伺う中では、御指摘のとおり、通所型住民主体サービスを検討する際に、移動手段の確保が課題になっているところが多く見られます。
 市といたしましては、社会福祉法人から車両を借り上げるなど、先駆けて移動手段の確保を行っている事例を、地区の検討会や地域福祉ワーカーの会議で情報共有を進めておりますが、今後、検討会等においては、市の職員も一緒になって、各地区の実情に応じた移動手段の確保について検討を進めてまいりたいと考えております。併せて、車両を借り上げた場合の運営経費への補助について、検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、生活支援コーディネーターの配置につきましては、各地区住民自治協議会の地域福祉ワーカーが生活支援コーディネーターの役割を担うように進めております。現状で31地区に配置済みとなっております。市といたしましては、地域福祉ワーカー連絡調整会議や生活支援コーディネーター業務研修会を開催し、活動事例の情報共有を図るとともに、外部講師による講演、国・県主催の研修会等の資料を活用した研修など、生活支援コーディネーターの育成について、更に充実を図ってまいります。
 高齢者のニーズを把握するために実施する意見交換会等においても、地域福祉ワーカーだけで開催することが困難な場合は、準備の打合せや当日の進行など、市の職員が協力しながら進めております。さらに、今年度は、各支所の地域きらめき隊も地域福祉ワーカーの活動を支援しながら、各地区の検討を進めているところでございます。引き続き、地域福祉ワーカーへの協力体制を整えながら、生活支援体制整備事業を推進してまいりたいと考えております。
 次に、補助金申請に関する手続の簡略化につきましては、各地区で生活支援体制整備事業の説明に際し、申請書類が煩雑で申請しづらいなどの御意見を頂いているところでございます。補助金交付に当たっては、国の地域支援事業実施要綱やガイドラインに基づく交付要件に合った活動となっているかを確認するために、交付申請書等への記載項目や添付書類が多くなっていることから、申請が煩雑になっているものと思います。このため、現在、申請書類の簡略化が可能であるか検討を進めているところであります。

◆滝沢真一議員
生活支援コーディネーターについては、地域の方からも、ボランティアセンターなどから専門的な知見を持った人を配置してほしい、地域ではやり切れない、こういう意見も伺っています。地域間格差を生まないためにも、全市、どこに住んでいても同じようなサービスが受けられるために、是非、市自身が最後まで責任を持って、地区と一緒に取り組んでいただきたいと思います。
 住民主体サービスを公民館で行う場合には、耐震化やトイレのバリアフリー化の問題があります。大きな改修には補助が付かないため、地域公民館に限らず、使いやすい施設の活用も検討するとのことですが、現時点での実施場所の確保状況と今後の見通しを伺います。また、耐震化やバリアフリー化の進んでいない古い地域公民館を使わざるを得ない場合には、新しい総合事業の補助金は使えませんが、市の予算で改修工事を行っていただけるのか伺います。

◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
 通所型住民主体サービスの実施場所の確保につきまして、介護サービス事業所を対象に行った調査では、市内64事業所で地域の介護予防の活動に貸出しできるスペースがあるとの回答があり、このうち40事業所からは、無料の貸出しが可能という回答がございました。調査結果は、随時、地域福祉ワーカーや地区の検討会に情報提供しております。これらの事業所の中には、地区からの依頼で検討会に参加しているところもありますので、今後、貸出しスペースの活用について、具体的な検討が進むところもあるのではないかと考えております。
 自主的な介護予防の活動では、市内で119グループが活動中で、地域公民館等に会場を確保して、活動を継続しております。また、高齢者向けのサロンが、地域公民館等を会場として、市内で多数開催されております。これらの活動状況から、多少足腰の弱い高齢者も参加できる定期的な通いの場や住民主体サービスの場にも活用できる地域公民館は、ある程度確保できるのではないかと考えております。今後も、介護予防や生活支援のために活用できる施設について、地域福祉ワーカーや地区の検討会による調査を進め、住民主体サービス等の活動の場の確保を進めてまいりたいと考えております。
 次に、補助金の交付についてでありますが、市内には、地域の皆様が設置、運営している地域公民館が500余りあり、教育委員会では、地域住民の皆様が、自治活動及び社会教育活動を行うための集会、学習等の用に供する施設である地域公民館の施設整備に対し、地域の経済的負担を軽減するため、補助事業を実施しております。具体的には、バリアフリー化、老朽化対応などの改修工事の場合には、一定の基準を設け、限度額180万円として、対象経費の3分の1を補助しております。
 地域公民館は、地域住民の自治活動、コミュニティ活動の拠点として利用される施設であることから、補助事業の実施に当たりましては、緊急度や危険度を考慮しながら、地域の皆様と相談しつつ、執行しているところであります。
 なお、住民主体サービス等の実施場所として、地域公民館に限らず、軽微な施設改修が必要な場合は、その経費を新しい総合事業の補助金の交付対象に含めることについて、検討を進めてまいりたいと考えております。

◆滝沢真一議員
地域公民館のバリアフリー化などには限度額180万円、対象経費の3分の1の補助が出るということなんですが、地域公民館の中には、トイレがいまだに和式であったり、広い部屋が2階だったりするようなところも多いと思うんですが、そういうところで、この住民主体サービスをやる場合には、かなり大規模な工事も必要になってくると思いますが、新しい総合事業を行っていく上で、公民館を積極的にきちんと改修していただきたいと思うんですけれども、トイレの改修や何かには、そのお金は使えるんでしょうか。

◎教育次長(松本孝生)
 先ほど保健福祉部長がお答えしました内容ですが、トイレ等についても補助金の対象としております。これは限度額180万円ということで、ただ、これは補助率が3分の1でありまして、3分の2は地元に負担していただくという制度であります。
 我々としても、地域公民館への補助金というのはできる限り確保するように努めておりまして、例年どおりの金額は確保しているところでございます。こういったものを、優先度を付けながら対象としているところでございます。

就学援助費の事前支給について

◆滝沢真一議員
市が地域公民館でもこういうサービスをやっていくんだと決めたからには、きちんと、施設整備の面でもお金を出してほしいと思います。
 次に進みます。
 次に、就学援助費の事前支給について伺います。
 就学援助費のうち、中学校1年生に支給する新入学児童生徒学用品費が、中学校入学前の支給となります。該当の児童の保護者の皆さんは大変喜んでいます。しかし、小学校の入学準備金については、入学後の支給となっています。
 小学校の入学準備金の前倒し支給は、既に幾つかの自治体で実施されています。南箕輪村では平成30年から実施、伊那市でも平成30年3月から実施となっています。伊那市では、経済的に困難な家庭の新小学校1年生へ4万6,000円を支給し、ランドセルなど入学用品を購入することができます。該当者の次年度の所得が変化しても、返還を求めることはありません。2017年3月の文部科学省の通知では、中学生だけでなく、小学生も対象としています。他の自治体にできるのであれば、長野市にもできるはずです。市も、要保護世帯、準要保護世帯の小学校の入学準備金の前倒し支給について前向きに検討されているかとは思いますが、今後の見通しを伺います。
 また、高額な中学校の修学旅行費は大変な出費です。入学準備金と同様に、修学旅行費についても前倒し支給を求めます。見解を伺います。

◎教育次長(松本孝生)
 本市では、中学校1年生に対する新入学児童生徒学用品費について、平成30年4月の入学者から、8月支給を前倒しし、入学前の3月に支給できるよう準備を進めております。実施する上で課題としていた、支給後に他市町村へ転出した場合の対応や、いつの時点の所得を用いて対象者を認定するかなどについて、事務処理の方針を決定し、実施のめどがついたことから、本議会において補正予算をお願いしているところでございます。
 御質問の小学校1年生に対する前倒し支給につきましては、まだ小学校に在籍していない3,000名を超える子供の保護者の中から、就学援助の対象者をどのように把握するかや、申請受付から支給までの事務処理の流れをどのように構築していくかなど、中学生への前倒し支給に比べて検討すべき課題が多くございます。
 こうした実情から、小規模の自治体では実施例がございますが、県内19市のうち実施しているのは4市であり、また、本市同様に規模の大きな中核市になると、2市という状況でございます。しかしながら、他自治体でも小学生への入学前支給の検討が進められてきておりますので、中学校1年生への前倒し支給を着実に実施した上で、他市の事例も参考に、事務処理体制を整え、前倒し実施について検討してまいりたいと考えております。
 次に、修学旅行費につきましては、学校ごとに掛かる経費が違うため、定額支給の新入学児童生徒学用品費とは異なり、実績に応じた実費を支給しております。保護者の負担軽減は大切なことでありますが、前倒し支給を実施している自治体からの聞き取りでは、旅行後に精算業務が必要になり、不参加の場合に保護者から返還していただくことになるなど、保護者や学校の負担が増える一面もあるということでございます。
 また、中学生の修学旅行にはまとまった費用が必要になることから、各学校では、中学校1年生の段階から毎月旅行積立てを行っており、旅行前に一括して集金をしているわけではないことや、新入学児童生徒学用品費とは違い、県内市で実施しているのは1市であり、多くの自治体が、本市と同様に旅行後の支給としていることなどを考慮すると、実施に当たっての課題が多いものと考えております。修学旅行費については、平成26年度に12月から8月に支給を繰り上げたところですので、御理解をお願いいたします。
 なお、就学援助制度については、平成17年度の三位一体改革により準要保護児童・生徒への国の補助金が廃止され、一般財源化されたところでございますが、制度を安定的、継続的に運用していくため、国に財政支援拡充を求めていくことも必要であると考えております。

◆滝沢真一議員
小学校の入学準備金の事前支給については、是非、他の自治体の事例も参考にしていただいて、できるだけ早く実現をお願いしたいと思います。
 それと、修学旅行費についてなんですが、各学校によって額が違うということを、今言われましたけれども、それでも、積み立てている額と同額を支給してもらって、余ったら返してもらえばいいと思いますし、修学旅行に参加できなかったら、それは返してもらえばいいと思うので、やろうと思えば実現できると思うのですが、もう一度お願いします。

◎教育次長(松本孝生)
 先ほども申し上げましたとおり、実費支給という形にならざるを得ないということで、中学校1年生のときから、各学校では積立てをしております。多少積立ての金額、それから期間等は違っておりますけれども、積立てを始めたときから、家庭の事情で対象者になったり、ならなかったり、こういった事情もございます。
 それから、まず、県内ではまだ1市だけ、中核市でも5市ということで、この辺、長野市としては遅れているわけではないと思っておりますので、他の事例も、研究については進めさせていただきたいと思いますが、現状で御理解をお願いいたします。

学生支援について

◆滝沢真一議員
中核市で5市実施しているということであれば、是非、そこについても調査していただきたいと思いますし、県内でも他の市に先駆けて、長野市が本当にリーダーシップをとって進めていただければと思います。
 次に、学生支援について伺います。
 来年4月、長野県立大学がいよいよ開学します。また、清泉女学院大学、長野保健医療大学の看護学部の開学も予定されています。少子高齢化・人口減少が進む中、長野市に若者たちが学ぶ場所ができることは、大変明るい話題です。
 しかし、この間、大学の授業料は上がり続けてきました。1975年に3万6,000円だった国立大学の授業料は、現在53万円です。私立大学では更に高額となります。そんな中、奨学金の利用者は学生の半数を超えています。現在、日本学生支援機構の奨学金は、ほとんどが返済しなければいけない奨学金です。さらに、返済の際に利子が付く第2種奨学金の利用者数は、無利子の第1種奨学金の利用者数の2.5倍となっております。それでも、学生は奨学金を借りざるを得ないのが実態です。
 ここには、学費の高騰と共に、大学生の貧困化の問題があります。下宿生の仕送り額は、仕送り10万円以上は、1996年の65.6パーセントから、2016年には29.2パーセントに激減しています。また、仕送りゼロは現在8パーセントもいます。親の所得の低下も大きく影響しております。平均世帯収入は、1994年の664万円から、2015年には545万8,000円に、122万円もダウンしています。これで、どうやって子供の学費を払えるでしょうか。
 市は、長野県立大学に10億円、清泉女学院大学に4億3,250万円、長野保健医療大学に3億円を支援する予定となっています。しかし、学校施設などハード面だけでなく、ソフト面、学生自身への支援も必要ではないでしょうか。長野市の未来を背負って立つ、本市で学ぶ若者たちに、市独自の無利子の奨学金、給付制奨学金を創設することを求めます。これは、卒業後、市内に住み、働くことで給付制となるなど条件を付ければ、若い世代が長野市に定住することにもつながります。また、市内で暮らす学生のための家賃補助を提案します。見解を伺います。

◎ 企画政策部長(増田武美)
 まず、御提案の市独自の奨学金制度の創設についてお答えいたします。
 大学や専修学校等、高校卒業後の進学率が向上し、全国的には7割を超える一方で、ひとり親世帯、生活保護世帯及び児童養護施設の子供たちについては進学率が低く、家庭の経済的背景と学力や大学等への進学率に相関関係が見られるとの調査結果がある中、国では、意欲と能力のある若者が経済的理由により進学を断念することがないよう、奨学金制度の拡充を図っております。
 今年度には、住民税非課税世帯で、一定の学力及び資質要件を満たす学生に対し、新たに給付型奨学金事業が開始されております。また、従前からの無利子奨学金事業につきましては、貸与基準を満たしているにもかかわらず、予算上の制約から貸与を受けることができなかった希望者を解消するとともに、成績基準を撤廃し、必要とする全ての学生に貸与できるように拡充してきております。
 さらに、今月4日、人づくり革命と生産性革命の政策パッケージ案を固め、教育無償化など人づくり全体で2兆円規模とするとの報道がされております。その内容は、住民税非課税世帯を対象とした国立大学の入学金と授業料を免除、私立大学には更に一定額を上乗せするなどの減免策に加え、給付型奨学金の更なる拡充、また、非課税世帯に準ずる世帯についても給付型奨学金を一定程度拡充して支援することなどが閣議決定され、詳細な制度設計の後、平成32年4月から実施するとのことでございます。
 市独自の奨学金制度につきましては、従前より高等学校等に通う生徒を対象にしたものはございますが、今後、これら国等の動きを注視し、制度の在り方について研究してまいりたいと考えております。
 次に、市内で暮らす学生のための家賃補助につきましては、国による奨学金の拡充案に生活費を含めた内容が想定されていることから、一定の支援が図られるものというふうに考えておりまして、本市といたしましては、国による新たな奨学金制度の動向に注視してまいりたいと考えております。

◆滝沢真一議員
今、国によって、平成32年4月から新しい施策もやられるということを言われましたけれども、今、これだけ少子高齢化と言われて、長野市に若い世代に定住をしてもらわなければいけない、こういうときに、長野市に住んでもらう若者たちに市が直接支援する、そのための制度をやってほしい、こういう提案をしているんです。
 また、現在の国の奨学金、この先のものは分かりませんけれども、1学年2万人、全学生のたった2パーセントしか対象になっていません。そういう中で、長野市で若い人たちに学んでもらう、それから、家庭を築いて暮らしていってもらう、そのためにこそ、今、市が力を発揮しなきゃいけないときなのではないでしょうか。加藤市長に考えを伺いたいと思います。

 ◎ 市長(加藤久雄)
 景気が回復しているといっても、なかなか給料が上がらない、また、更に格差が広がっている。こういう中で、学生がなかなか帰って来ないということを踏まえれば、奨学金制度というのは非常に重要だというふうに考えております。どちらにいたしましても、この問題につきましては、調査、研究して考えていきたいというふうに思っております。

◆滝沢真一議員
是非、前向きの調査、研究をお願いしたいと思います。
 今、開学が予定されている2つの看護学部、これは飽くまで民間の学校です。民間の学校に7億円を超えるお金を簡単に支払うだけでなく、長野市で学ぶ学生たち自身への直接支援をお願いして、私の質問を終わります。

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