2017年9月定例市議会 野々村博美議員
企業主導型保育所の長野市の動向及び認可外保育施設の現況を含めた保育について
小・中学校、児童センターへのクーラー設置について
子供たちへの支援対策の強化について
任期付き職員としての弁護士有資格者の雇用について
ひとり親家庭のアンケート調査の実施について
税金滞納者に対する取り組みについて
企業主導型保育所の長野市の動向及び認可外保育施設の現況を含めた保育について
◆野々村博美
26番、日本共産党長野市会議員団、野々村博美でございます。
最初に、保育について伺います。
待機児童対策として国が強力に進めている企業主導型保育施設が、長野市内でも開所になりました。この保育施設の最大の特徴は、自治体の認可は必要なく、条件を満たせば申請が受理されることで、認可外保育所ですが、国から運営費、整備費の助成金が出ることです。保育士資格が半分で良いとされています。
過日、さいたま市の認可保育園でプールの死亡事故が発生しましたが、平成28年の教育・保育施設内での事故報告集計によれば、全国で862件の事故があり、そのうち83パーセントが骨折、死亡事故は13件、うち7件がゼロ歳児ということです。特に認可外保育施設での死亡事故が多い状況となっています。
平成27年、長野市は、幼児期の教育・保育の量の見込みを定め、量の確保を図る必要があることを子ども・子育て支援事業計画に定めました。その中で、待機児童はゼロが続いているものの、年度途中の入所が難しく、年度初めの入所のタイミングに合わせて育児休業から職場に復帰した人が3割以上いる状況をつかみ、年度途中でも円滑に利用できるよう、提供体制を確保していく必要があるとしました。
本来、教育・保育は人格形成の中で最も大切な時期を担う福祉制度で、公的な関与が強く求められます。認可の教育・保育施設を整備する必要があります。特に、最も切実な3号認定で不足が明らかになっていた地域でどのような対策が講じられたのか伺います。
今、必要なことは、公的保育の充実です。認可外を増やすような保育施策、子育て支援策をとることは避けるべきと考えます。見解を伺います。
また、企業主導型保育所の長野市の動向と、認可外保育施設の現況を伺います。
◎こども未来部長(上杉和也)
初めに、長野市子ども・子育て支援事業計画において、3号認定子供の保育事業に対し、利用定員が不足していた地域での確保方策についてお答えします。
本事業計画では、保育需要と利用定員の需給バランスを設定する単位として12の区域を定めており、12の提供区域のうち、古里、浅川、若槻及び長沼地区を1つのエリアとした提供区域では、平成28年4月1日現在では、満3歳未満で保育を必要とする3号認定子供の保育需要に対し、利用定員が52人不足をしておりました。
そこで、3歳未満児の保育の受皿として、既存の2つの認可保育所の利用定員を拡大するとともに、地域型保育事業を3件認可することで、計57人の利用定員を確保しております。
次に、認可外保育施設を増やすような施策は避けるべきとの御意見についてお答えします。
本市では、保育需要に対しましては、利用定員が不足した場合に、認可保育所等の利用定員の拡大や地域型保育事業を含む保育所の設置認可などにより対応することとしております。政策的に認可外保育施設を増やすことは考えておりません。
次に、企業主導型保育施設の本市の動向及び認可外保育施設の現況についてお答えします。
企業主導型保育施設は、本年8月に保育事業者から認可外保育施設としての届出が1件あり、9月中にも1件届出をされる見込みとなっております。また、本年9月1日現在、認可外保育施設として本市に届出のある施設は28施設あります。そのうち、事業所内の保育施設は13施設となっております。
◆野々村博美
認可外保育施設を政策的に誘導するという考えはないということを答えていただきました。ほっとしているところです。
しかし、実際には企業主導型保育施設が相次いで進出をしてくるという、やはりその背景には需要があると見込まれているために進出してくるわけであって、しっかりと市民要求に沿って認可保育園の整備を求めたいと思います。
また、無認可の保育園、13施設あるということで、事業所内を含めて28施設。やはり、そこにはまだまだ不足している現状があるという背景があるためだということも考えられますので、是非十分に認可施設で対応していただくようにお願いをしたいと思います。
また、地域型保育事業で不足分を補っているということなんですが、小規模保育事業、多分A型を採用されているかと思うんですけれども、全員が保育士の資格を持つ者であり、長野市としては、給食についてもケータリングは認めていないという方向だと思います。その辺も十分に自前の調理で、またしっかりとした保育の資格のある方を確保していただくように、改めてお願いをしておきたいと思います。
次に、保育士の処遇改善について伺います。
保育士の処遇改善については、再三にわたって求めてきました。本年度から、公立保育所の嘱託職員の賃金が6,000円アップ、17万1,000円となりました。また、本議会の補正予算では、国の改善策を受けて、私立を中心に処遇改善策が提示されました。これを見る限り、長野市の公立保育所の処遇改善策は不十分と考えます。せめて民間並みの賃金アップを求めるものですが、いかがでしょうか。
また、県内他の自治体では、経験年数の加算、クラス担任の加算などを設けています。長野市も一律ではなく、職員の皆さんの意欲を応援するためにも早急な改善を求めたいと思います。御見解と見通しを求めます。
また、全国的にも保育士不足は深刻で、今後無認可や企業主導型保育のように、無資格者が保育に当たる施設が増えてくることが懸念されます。また、非正規ではなく正規雇用を積極的に行うことが保育士の増員に確実につながり、子供たちの安全と保育の質の確保が保障されます。また、長野県立大学も開学いたしますが、保育士の養成のために積極的な学生支援を求めます。見解を伺います。
◎こども未来部長(上杉和也)
保育士の処遇改善策についてお答えします。
公立保育所の嘱託保育士の賃金につきましては、平成27年度に16万5,000円、平成29年度に17万1,000円に引き上げて処遇改善を図ってきているところでございます。国においては、平成25年度から順次民間保育士等の処遇改善を進めてきており、今年度からは月額給与のベースアップに加え、研修による技能の習得によりキャリアアップを図り、処遇改善できる仕組みを構築しているところでございます。公立保育所の嘱託保育士と民間の保育士の間では、雇用形態や給与体系が異なることから、一律に比較することはなかなかできませんが、保育士の確保のためには更なる処遇改善を図っていく必要があると考えております。今後、賃金のベースアップや職務内容、キャリア等を踏まえた嘱託保育士の処遇改善についても検討してまいります。
次に、保育士養成のための学生支援についてお答えします。
長野県内の保育士養成校へ入学する学生は、長野県社会福祉事業団が実施している保育士修学資金貸付事業を利用することができます。これは、無利子で月額5万円以内の学費相当額や、20万円以内の入学、就職準備金を貸し付けるもので、卒業後1年以内に長野県内の保育所等で5年間従事した場合に、貸付金が全額免除となります。この制度についても周知を図ってまいります。
また、本市の公立保育所では、毎年150人程度の保育実習生を受け入れており、保育現場での実習を通して乳幼児への理解を深め、教育・保育の技術を高めるとともに、保育士の仕事にやりがいや魅力を感じられるような取組を行っております。
今後、長野市私立保育協会とも連携して、市内の保育所等で働きたいと感じてもらえるよう、公立・私立の中堅保育士が共に市内の保育士養成校に出向いて、講義やゼミを通して、近年の教育・保育を取り巻く実情や、保育士として働くことの喜びや心構えなどについても伝えていく取組も開始をしたいと考えております。
小・中学校、児童センターへのクーラー設置について
◆野々村博美
是非、積極的に早急にお願いをしたいと思います。
次に、小・中学校、児童センターへのクーラー設置についてお伺いいたします。
今年7月の猛暑には、熱中症に対する警戒が至るところで呼び掛けられました。しかし、子供たちが日中の多くの時間を過ごす学校も、児童館、児童センターも、暑さ対策は保健室へのクーラー設置など、最低限となっています。特に夏休み中の児童館、子どもプラザはうだるような暑さの中で、子供たちも指導員も一日を過ごさなければなりません。全ての教室と、放課後子ども総合プランに対応する全ての施設にクーラーの設置が急務の課題と考えます。実施するための予算はどの程度になるかも含め、市教育委員会及びこども未来部の見解を伺います。
◎こども未来部長(上杉和也)
放課後子ども総合プランの施設のクーラー設置についてお答えします。
放課後子ども総合プランは、暑さが厳しい夏休みにも開設し、長い時間を施設で過ごしていることから、エアコン設置の御要望を多く頂いております。このため、プラン施設には計画的にエアコンの設置を進めているところであり、まずは低学年の利用が多い児童館、児童センターについては平成24年度から平成27年度の4年間で計画的に設置を進めた結果、現在、各児童館、児童センターに最低でも1台のエアコンの設置が完了しております。
また、小学校内にある子どもプラザについては、教育委員会と連携して、校舎改修などの機会に子どもプラザとして使用する教室にエアコンの設置を進めており、49か所中、設置済みが14か所、本年度中に設置の予定が4か所となっております。今後、未設置の31か所についても、引き続き教育委員会と連携しながらエアコン設置を進めてまいります。
予算額でございますが、電源工事の有無など、また教室の広さなど幅がありますが、1か所当たりの工事費として、おおむね数百万円が必要になるという見込みでございます。
◎教育次長(松本孝生)
小・中学校の全教室へエアコンを整備する場合の費用でございますが、現段階で、他の自治体導入例などから、本市においては少なくとも総額で40億円は超えるものと見込んでおります。御指摘のとおり、近年は猛暑日が続くことも多く、教室内の暑さ対策も検討すべき大きな課題であると認識しております。このことから、現在、教育委員会では、他の自治体の状況や機器製造メーカーへの聞き取りも含め、調査、研究を進めているところでございます。
◆野々村博美
児童センターの指導員の方のお話をお聞きしました。ここは100人以上が登録していて、夏休みは五、六十人が利用していたということです。クーラー設置は畳の部屋に1か所、クーラーの直下のみ少し涼しい程度だと。遊戯室、図書室は扇風機、熱中症対策の温度計・湿度計のアラームが、この夏、二、三回鳴ったけれども、子供を避難させる場所がなかったと。畳の部屋は満杯状態、具合が悪い児童がいても寝かせておく場所がない。折り畳みのベッドはあるが、広げるスペースがない。親が迎えに来るまで事務室の床に寝かせるような状況であったと言っています。お母さんや指導員さんたちの間では、来年有料になったら改善してもらえるんでしょうねと、専らこの夏は話題になったとのことでした。せめてお金が掛かっても、早急にクーラーの設置を求めたいと思います。
学校施設については、他の自治体の状況を見てというお話でしたけれども、しかし、実際長野市の市立長野中学校は全ての教室にクーラーが設置されています。これは、お母さんたち、親からすれば非常に不公平感があるわけです。私ども、今は市長選挙に向けてアンケートをとっております。何百通と返ってきていますが、その中にたくさん、市立長野中学校は全ての教室にクーラーが入っているということが書かれておりました。この不公平感は何としても無くしていただかなければいけないと思います。再度御答弁をお願いいたします。
◎教育次長(松本孝生)
先ほど申し上げましたとおり、コストが掛かるということが、まず第一の状況でございます、イニシャルコストとかランニングコストも含めてですけれども。それから、今おっしゃいましたように、市立長野中学校は付いていると。
これから整備していくに当たって、公平性を保ちながら、市内小・中学校は79校ございます。この辺をどういうふうにやっていったら良いか。この辺を課題として捉えております。
それから、県内市の状況、それから中核市の状況を調べたところ、長野市は決して遅れている状況ではなくて、大体似たような状況かなというふうには感じております。
ただ、こういう中ではございますけれども、課題としては認識をしておりますので、引き続き調査、検討は進めてまいりたいと考えております。
子供たちへの支援対策の強化について
◆野々村博美
どんなにお金が掛かったとしても、これはやらざるを得ないと思います。今の地球温暖化の下では、子供たちに豊かな学力を保障する、また公平・公正な行政をやっていくためにも、是非子供たちの教育環境を良くしていくために、これは力を尽くしていただきたいと思います。
次に、子供たちへの支援対策の強化について伺います。
学習支援の充実について。厚生労働省は生活困窮者自立支援法の一環として取り組んでいる学習支援事業、その対象者に高校中退者、中卒の子供たちにも広げるとし、自治体への補助金を増額するための予算要求をしたと報道されました。長野市の現況と、対象者の拡大に対する対応について伺います。
また、ひとり親家庭子ども生活・学習支援事業については、昨年度より拡大していただき、大変好評と伺っております。この事業についても対象を広げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。見解を伺います。
◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
私から、生活保護世帯を含む生活困窮世帯を対象とした学習支援につきましてお答えいたします。
本市では、現在の対象者を小学生から高校生までの児童・生徒としておりまして、今年度は昨年度の24人を上回る28人が既に申込みをしております。このうち、高校生は昨年中学3年生であった3人が継続を希望していることから、支援を行っているところです。現在、高校生に当たる年齢で生活保護を受給している人は79人ですが、このうち、高校に在籍しているのは73人となっています。高校に在籍していない6人は、障害がある人、ひきこもりのため他人との接触が難しい人などとなっております。c
厚生労働省が平成30年度予算概算要求に当たって、議員御指摘のとおり、高校を中退した人、中学卒業後進学していない人などを含めた高校生世代への支援を強化することを考えていることから、本市においても国の動向に注意を払いながら、支援が必要な人への対応を検討してまいります。
◎ こども未来部長(上杉和也)
私からは、ひとり親家庭の高校中退者や中卒者に対する学習支援についてお答えいたします。
本市で実施している学習支援事業は、国の子どもの生活・学習支援事業を活用しており、この国の事業は、ひとり親家庭の子供に対し、放課後児童クラブ等の終了後に、基本的な生活習慣の習得支援、学習支援などを行うことを目的としていることから、小・中学生が利用する仕組みとして捉えています。
高校中退者や中卒者の方につきましては、学び直しの支援をすることで、より良い条件での就職や転職に向けた可能性を広げ、安定した雇用につなげていく支援が必要とも考えます。
このため、本市では昨年度から学び直しの支援として、高等学校を卒業していないひとり親家庭の親を対象とした高等学校卒業程度認定試験合格支援給付金事業を実施しているところですが、今年1月からは二十歳未満の子供にも対象を拡大しております。この事業は、高等学校卒業程度認定試験の合格を目指すため、民間事業者などが実施する対策講座を受講する場合、その受講費の一部を支給するものですが、まだ利用がされていないことから、まずは、ひとり親家庭の高校中退者や中卒者の方に利用していただくため、制度の周知を図ってまいりたいと考えております。
◆野々村博美
生活困窮者、高校生79人、多くの子供たちがいることが分かりました。この子供たちの未来を保障していくために、拡大はやはり非常に大事な課題だと思っております。小・中学生、高校生、そこまで支援できれば、相当に貧困の連鎖を断ち切るための大きな力になっていくんじゃないかなと改めて痛感をしたところですので、是非積極的な取組をお願いいたします。
高校までは何とか進学しても、その後、やはり専門学校、大学へ行くというのには、その格差というのが大きな有意差が出てまいりまして、大学、専門学校へ行く子供たちが少なくなってしまっているというのが現状です。また、過日お話をお聞きしたシングルマザーのお宅では、忙しい生活の中で、学習支援の案内を市からもらったんだけれども、封を切るのが遅くなって申込期限が切れてしまったということでした。余裕を持って御案内をいただきたいと思うんですけれども、現状はどのようになっているのかお伺いいたします。
◎ こども未来部長(上杉和也)
今年度の学習支援の募集は、当初、6月29日から市ホームページへの掲載と、対象家庭への申込書類の送付により、土、日を2回含む7月10日までの12日間で行いました。定員に余裕があったことから、最終的には8月7日まで募集期間の延長を行いました。市ホームページでお知らせするとともに、7月21日には改めて申込みをされていない方全員に追加募集のお知らせをお送りしているところでございます。今後も募集期間につきましては、できるだけ余裕を持って設定してまいりたいと考えております。
◆野々村博美
よろしくお願いいたします。
次に、以前にも御紹介をいたしましたけれども、昨年、福祉環境委員会で明石市を視察いたしました。明石市は大変子育て支援が充実しておりますけれども、その一つが、現在年3回だけの支給になっている児童扶養手当の毎月支給です。是非長野市でも実施していただきたいと思いますけれども、御見解を伺います。
この視察には上杉部長も御同行いただき、児童扶養手当申請時の相談事業など、長野市でも今年度から実施していただいております。その成果と今後の課題などお伺いいたします。
◎ こども未来部長(上杉和也)
初めに、児童扶養手当の支給についてお答えいたします。
児童扶養手当は、児童扶養手当法において、毎年4月、8月、12月の3期にそれぞれの前月までの分を支払うとされていることから、御質問のありました明石市では毎月支給をするために、支給月以外の月は貸付によりまして児童扶養手当の1か月分に相当する額をお支払しているということでございます。受給される方への貸付は、明石市の社会福祉協議会が無利子で行っており、年3回の児童扶養手当の支給の際にそれぞれ返済をしていただくという仕組みだそうです。また、今年度はモデル事業として実施をされているということで、希望者等全員ではなく、19名の方を対象に、家計簿の作成等に御協力をいただきながら実施しているとのことであります。この方法を全部の対象者、あるいは希望者に拡大するためには、返済時の手続等、更に検討を要する点もあると伺っておりますことから、今後も引き続き情報収集をしながら研究に努めてまいります。
また、国は支給回数を現在の年3回から6回に増やすことを検討し、2019年度にも開始したいとの考えであるという報道がありました。このことから、今後、国の動向についても注視してまいります。
次に、児童扶養手当申請時の相談事業についてお答えいたします。
児童扶養手当の現況届は、毎年8月に対面で受付をしておりますが、今年度8月13日の日曜開庁日にも現況届の受付ができるようにしましたところ、80名の利用がございました。
また、併せて、子育て、生活、就労などに関する様々なひとり親家庭の悩みに対し、弁護士や行政書士、ハローワークなど各専門家が相談に応じるひとり親家庭のワンストップ相談会を開催いたしました。相談会は、養育費や面会交流など弁護士への相談が13名、相続に関する行政書士への相談が3名、ハローワークへの相談が3名など、延べ24名の方に御利用いただき、中にはお一人で複数の専門家に相談されたケースもありました。今回の取組により、平日に休みを取りにくい、ひとり親家庭の保護者の方の利便性を図ることができたものと考えております。
課題といたしましては、相談内容が弁護士に集中したことから、他の専門機関への相談の利用を更に図るため、広報の際に各相談機関への具体的な相談内容を示すなどして、更なる利用を呼び掛けてまいりたいと考えております。
任期付き職員としての弁護士有資格者の雇用について
◆野々村博美
大変良い取組だったと思います。是非積極的に、これをもっと多くの皆さんも利用できるように、また工夫をしていっていただきたいと思います。
次に、明石市の視察で、私どもが非常に参考になった一つに、任期付き職員として弁護士を雇用しているということでした。現在、長野市でも要保護児童対策協議会が頻繁に開かれている。また、教育委員会ではスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなど専門職による教育と福祉、医療の連携体制が強化され、いじめや虐待、貧困など、困難な子供たちへの支援策が強化されてきました。また、いじめ困難事例についての第三者機関の設置もされる状況が生まれています。日常的に司法との連携が切実となっているのではないでしょうか。顧問弁護士はいますが、日常業務の中で関わっていただかなければならない、こういう事態も増えています。任期付き職員として弁護士有資格者の雇用を求めたいと思います。市長の見解を求めます。
◎ 市長(加藤久雄)
本市におきましても、子育てに関する様々な相談の中には、司法と関係するケースがございますけれども、日常的に法律的な判断を必要とするといったことはなく、法テラスに協力を得るなどによって対応できているところでございます。このため、現時点では子育てに関する分野において弁護士資格を有する職員の採用は予定していないところでございます。
一方、本市でも昨今、土地の権利関係や課税など、様々な業務で司法的な知識、判断を求められる場合が増えていることも事実であります。こうした中、本議会におきましても、訴訟事件、調停事件などの増加による弁護士経費について、予算の増額をお願いしているところでございます。また、条例の改正をお願いしております教育委員会の長野市いじめ問題調査・解決チームにつきましても現在2名の弁護士に委員となっていただいており、行政と弁護士との関わりも強くなってきているところでございます。さらに、地方分権の進展に伴い、地域の実情に合った独自の条例制定などの必要性が高まる中で、法的な知識を備えた職員の育成も重要となっております。弁護士資格を有する職員の採用については、情報収集を行うとともに、先行する自治体の任用事例も踏まえながら研究してまいりたいと思います。
ひとり親家庭のアンケート調査の実施について
◆野々村博美
時間がないので、前向きな検討をお願いいたします。
次に、ひとり親家庭のアンケート調査の実施について伺います。
長野県では、一昨年、子供の貧困対策強化のために、ひとり親家庭実態調査を行い、1万人近くの回答を得、多くの子供たちの切実な生の声が把握されました。それを受けて、松本市でも昨年実施され、1,000件以上から回答が寄せられています。子供の進路や食事について、世帯の収入によって有意な差が認められる結果となっており、家庭の経済状況が子供の養育環境に大きな影響を与える様子が浮かび上がったということです。長野市でもリアルな実態を把握し、その上で貧困の連鎖を断ち切り、一人一人の子供たちに寄り添った施策が打ち出されるよう求めたいと思います。見解を伺います。
◎ こども未来部長(上杉和也)
議員御指摘の長野県ひとり親家庭実態調査は、県内の児童扶養手当受給資格者を対象に行われたもので、本市ではこの調査結果について、県からのデータ提供により、本市分について集計をし、分析を行ったところでございます。
今年度、県では市町村との協働により、子供の貧困対策や子育てと仕事の両立支援を図ることを目的に、子どもと子育て家庭の生活実態調査を実施しており、8月に調査票が発送され、現在、委託事業者において集計中とのことであります。
この調査は、住民基本台帳から無作為抽出した小学校1年生と5年生、中学校2年生、高校2年生に当たる16、17歳の子供がいる県内1万2,000世帯を対象にしており、本市では約2,400世帯が対象となっております。調査では、子供には将来の夢や生活状況の他、食事や悩み事など、保護者には就労状況や子供との関係、公的支援状況、収入状況など様々な項目をお聞きしており、保護者の婚姻の状況等についても含まれていることから、ひとり親家庭の実態についても、この調査で把握できるものと考えております。
今後、調査結果がまとまった後、県から本市分のデータの提供を受けることとなっていることから、まずはこの調査結果を参考に、一人一人の子供たちに寄り添った支援等を検討してまいりたいと考えております。
◆野々村博美
長野県がやることで長野市がやらなくてもいいということではないと思います。やはり、長野市として独自の取組、独自の聞き取り、そういうものが求められているのではないでしょうか。先日お話ししたシングルマザーの方は、県の実態調査の声を聞いて、我が家のことを言っていると思った。中学生を2人育てながら夜勤の仕事もこなしている。子供は定時制高校へ進学を決めた。毎日子供たちに食べさせること、お金の工面で心配が尽きない。夜勤明け、朝職場で5分の時間をもらって、朝御飯を食べたかどうか、子供たちに電話をする、子供たちの声を聞いて本当にほっとする。そういう声を寄せていただきました。
やはりこういう生の声を聴くことによって、一人一人の子供たちに懇切丁寧な支援策を立てることができるんじゃないかと思うんです。是非基本の自治体として、県がやるから良いという姿勢ではなく、是非長野市として取り組んでいただきたいと思います。強く要望をしておきます。
次に、格差社会への対応について伺います。
2011年1月、仙台高等裁判所秋田支部で国民健康保険の一部負担金減免が認められなかったのは違法と控訴審判決が言い渡され、市側が上告を断念したために判決が確定をいたしました。この制度は、国保加入者の3割の医療費一部負担を、著しく収入が減った場合や自然災害、その他特別な事情があると認められたものについて減免するとした制度です。多くの場合は、そんなに困っているなら生活保護を受給すべきとされ、利用できないのが実態です。長野市は要綱が作られており、平成28年度2人の方が利用をしています。厚生労働省は、昨年度、この制度の一部改正についてという通知を出しています。また、市町村の判断による対象範囲を国として制限しないとも、全国生活と健康を守る会の交渉で答えています。長野市としても、もっと多くの生活困窮者が利用できるよう見直すべきと考えますが、見解を伺います。
◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
被保険者が医療機関の窓口で支払う一部負担金は、関係法及び本市の要綱により、減免及び徴収猶予を行っており、平成28年度は2世帯が対象となりました。このうち1世帯につきましては、病気により事業ができなくなったため、生活が著しく困難となった場合に該当し、もう1世帯は東日本大震災により被災された方へ減免を行ったものでございます。
国保を取り巻く環境は非常に厳しい中、本市では低所得者世帯に対しては保険料そのものの軽減を行い、平成28年度は加入世帯の半数に当たる約2万6,000世帯に対し、総額で約8億4,000万円の軽減措置を行い、市民生活への配慮を行ってまいりました。
医療費の一部負担金の減免につきましては、恒常的低所得者の範囲をどのように設定するかにもよりますが、仮に保険料の所得割が賦課されていない世帯を対象とした場合は、加入世帯の約4割、約2万世帯が該当することになります。このため、現在の厳しい財政状況の中、一部負担金の減免範囲を見直すことは困難であると考えております。
なお、生活状況の変化に伴い、一部負担金や保険料の納付が困難となった場合は、担当課へ御相談いただく中で丁寧に対応してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
税金滞納者対する取り組みについて
◆野々村博美
次に移ります。
滋賀県野洲市は、くらし支えあい条例を制定し、税金を滞納した人たちに対しては、取立てより支援と宣言をしています。例えば、滞納者への督促状に、困っていませんかというチラシを同封し、相談に来るように促しています。生活困窮者と認定されれば税金を減免するとしています。是非とも長野市も敷居を低くして、相談に来やすい対策をとるように求めたいと思います。答弁をお願いいたします。
◎ 財政部長(平野智也)
本市におきましても、生活保護や生活保護に準ずる方と認められる場合、又は所得が皆無になるなど生活が著しく困難となった方などが減免の対象となる場合がございますので、関係部局との情報共有や連携を含め、収入や資産の状況などに応じ、個別に相談をお受けしております。
また、市税などの納付が困難になった方に対しましては、広報ながの及び市のホームページにおきまして、早目の納付相談についての記事を掲載しております。さらに、市税の督促状を送付後、滞納が続いている方に対して送付する最初の催告書には、分割納付などの納税相談について御案内を記載しております。また、滞納している方に対しましては、滞納となった背景に、収入の減少、多額の負債、業績の悪化などの悩みがある場合がございますので、収納課ではその悩みにいち早く気付き、まずはその悩みを解決するための関係機関へ適切につなぐという役割を果たすことができるよう、職員研修を実施しております。今後とも画一的な対応とならないよう留意するとともに、他の納税者との公平性を欠くことのないよう、適切な納税相談と徴収に努めてまいります。
◆野々村博美
困っていませんか、その一言がとても大切だと思います。よろしくお願いいたします。
生活保護の過払いについて、長野市の職員のミスによる過払いについては、それは請求しないとすべきだと思いますが、改めて見解を伺います。
◎ 保健福祉部長(竹内裕治)
生活保護法第63条では、被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない、とされています。
新聞等の報道では、明石市の場合がございまして、明石市は、市職員が保護費の支給に当たり複数の業務を怠るなど、いわゆる業務け怠が原因により過大支給した生活保護費は、市側の過失のため返還を求めない方針という報道がありました。ただ、本件を明石市に確認したところ、現在、この事案については兵庫県を通じて厚生労働省と協議中で、確定はしていないとのことでございます。
また、長野県によりますと、県内他市の事例において厚生労働省に確認したところ、職員による手違いがあった場合でも、生活保護法第63条が適用されるものの、福祉事務所からの一方的な返還のお願いとならないよう、生活保護受給者の方に丁寧な説明をし、対応するよう指導があったとのことです。
本市福祉事務所といたしましては、今後の動向を注視しながら、これまでどおり、生活保護法第63条の法令を遵守するとともに、生活保護受給者の方と会話を重ねながら生活の実情を捉え、一方的に返還を求めることなく、丁寧な説明をした上で返還を求めてまいりますので、御理解をお願いいたします。
◆野々村博美
もんぜんぷら座についてですが、NTTコールセンターとの契約は来年3月末となっていますけれども、結論先にありきの検討ではなく、慎重に対応することを求めたいと思いますが、今後の見通しについて伺います。
◎ 都市整備部長(上平敏久)
もんぜんぷら座は、平成15年のオープン以来、多くの市民の皆様に御利用をいただいており、今後の在り方については、利用者や各テナント、周辺地区の皆様など関係する幅広い市民の皆様の御意見を頂く中で慎重に検討すべきものであると考えております。
そこで、様々な御意見を頂くための外部組織として、中心市街地活性化基本計画評価専門委員会に、もんぜんぷら座検討部会を設置し、10月より検討に着手してまいりたいと考えております。
構成につきましては、テナントを初め市民、地元、商業などの関係団体等に、公募と学識経験者を加えた体制で進めてまいります。
次に、コールセンターを運営しているNTT東日本サービスとの今後の契約見通しについて申し上げます。
この契約では、双方から6か月前までに更新しない旨の申出がないときは2年間更新するという規定となっており、いまだありませんけれども、今月末までに申出がない場合は、来年4月から平成32年3月末までの2年間、契約更新の見込みとなるものです。なお、先ほど申し上げた、もんぜんぷら座検討部会にはNTT東日本サービスにもテナントとして参加をしていただく予定であり、部会での検討とともに、引き続き来年3月末の契約更新を見据え、契約内容について両者で協議をしてまいりたいと考えております。
◆野々村博美
この施設は多くの団体が利用し、更に料金も安いために、市民も使う、多くの若い学生さんたちも利用しているということもあり、本当に慎重に、急ぐことなく、結論を先に決めてしまうのではなく、じっくりと検討していただきたいと思います。
以上申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。