議会報告

2017年6月定例市議会 野々村博美議員

請願第15号改正「組織犯罪処罰法」(共謀罪)の廃止を求める請願、請願第16号「共謀罪」と同趣旨の「テロ等組織犯罪準備罪」を創設した組織犯罪処罰法の廃止を求める請願を不採択とした総務委員会委員長報告への反対討論

◆野々村博美議員
◆26番(野々村博美君) 26番、日本共産党長野市会議員団、野々村博美です。
 請願第15号改正「組織犯罪処罰法」(共謀罪)の廃止を求める請願、請願第16号「共謀罪」と同趣旨の「テロ等組織犯罪準備罪」を創設した組織犯罪処罰法の廃止を求める請願を不採択とした総務委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。
 安倍政権は、内心の自由、表現の自由を脅かし、民主主義の根幹に関わる共謀罪を、参議院法務委員会での採決を飛ばして中間報告という禁じ手を使っての数の横暴で強行しました。
 加計学園問題に蓋をするために共謀罪だけ強行して国会を閉会にしたことは、国民の更なる怒りを巻き起こしています。正に議会制民主主義を破壊し、国民を愚弄する行為です。
 共謀罪の最大の問題は、何を考え、何を合意したかが処罰の対象となる心の中--内心を処罰するということです。それは、具体的な行為があって、初めて処罰するという刑法の大原則を根本から覆すものです。思想や内心の自由を侵してはならないと定めている憲法第19条に反する違憲立法に他なりません。
 政府は共謀罪をごり押しするために、国民を欺くうそを幾つも重ねてきました。
 1つは、テロ対策という偽りです。政府は、国際組織犯罪防止条約の批准のためと言いますが、この条約はマフィアなど経済犯罪に対応するものであり、テロ対策の条約ではありません。そのことはこの条約を締結するための国連の立法ガイドを作成したニコス・パッサス教授が条約の目的はテロ対策ではないと断言していることからも明らかです。そもそも日本政府自身が条約の起草過程で、テロリズムは本条約の対象にすべきではないと主張していました。
 第2は、一般人が対象とならないという偽りです。この問題について、政府の答弁は衆議院と参議院で食い違ったり、法務大臣と法務副大臣、また法務大臣と刑事局長の答弁が違ったりと、ごまかしの答弁を繰り返し、次々とぼろが明るみに出ました。
 参議院での審議で政府は、環境保護団体や人権保護団体を隠れみのとした場合には処罰されることがあり得ると言いました。さらに、組織的犯罪集団の構成員ではない周辺者が処罰されることがあり得るとも言い出しました。しかし、隠れみのかどうか、周辺者かどうかを判断するのは捜査機関です。結局、広く一般市民を対象に日常的に監視することになるのです。
 国会論議の中で政府は、風力発電所に反対する市民運動を監視し、情報を中部電力に流していた岐阜県警大垣署による市民監視事件について追及されましたが、謝罪も反省もせず、適正な職務だったと開き直りました。既に行われている市民監視を適正と開き直っている政府が一般人は対象にならないと言って、一体誰が信用するでしょうか。
 5月18日、国連人権理事会が任命した特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏から共謀罪がプライバシー権や表現の自由への過度の制限になると強く懸念する書簡が安倍総理に届けられました。
 ところが日本政府は、ケナタッチ氏から寄せられた質問に一切答えないまま強く抗議するという問答無用の態度をとりました。共謀罪を巡ってかつての治安維持法の再来になるとの危惧が強く寄せられています。
 金田法務大臣は治安維持法について適法に制定され、適法に執行されたと言いました。戦前、治安維持法によって侵略戦争に反対し、国民主権を主張した小林多喜二を初め、多くの心ある日本共産党員が弾圧、拷問で犠牲になりました。日本共産党員だけではありません。貧しい子供たちに自らの弁当を分け与え、生活の中から自らを省みながら成長を保障する生活綴方運動に関わった青年教師や、また宗教人など、一般の人たちも弾圧し、物言えぬ社会、監視の社会をつくって、戦争への道へとひた走ったのです。
 その治安維持法を適法だったと言い放つ法務大臣、どれほど危険な時代を迎えているか。私たちは今、心してこの時代を生きる議会人として、この請願に向き合わなければならないと思います。
 私自身も大変ひどい経験をしました。1995年から翌年にかけて、我が家も含めて党県議や市議、労働組合や民主団体など、判明しただけでも38か所が泥棒の被害に遭いました。そして、その泥棒を捕まえてみたら、何と長野県警の現職警察官--公安警察だったのです。
 我が家の被害は電話機、旅行かばん、飲みかけのつぼ入り泡盛、大した価値のないアクセサリー、現金4万円、切手類などでした。日常的に共産党員とその関係者、労働組合やその幹部などを監視していた公安警察官がどこかでやりたい放題になってしまって、理性をなくし、窃盗を繰り返す泥棒という犯罪者になってしまったのです。
 当時、長野県警公安警察では2人1組で毎日5組が日常的に監視、情報収集していた事実、またその腐敗ぶりが裁判を通して明らかになり、全国に大きな驚がくを与える事件になりました。
 党員から情報を得るためのスパイ工作も行われていた事実も、本人の書簡によって明らかにされました。日本の前近代的な公安警察の実態の一部が解明された事件でした。国家賠償訴訟として裁判を闘い、県警の異例の謝罪によって和解となりました。
 私は、自らのこの体験を通しても共謀罪の強行は、今まで警察権力が闇の中で行ってきた権力にとって不都合な団体や個人を潰すための違法な活動を公然と認めることに通ずるものであると痛感しています。正に憲法違反の法律であり、断じて許すことはできません。
 改めて内心の自由、表現の自由を保障する民主主義の根幹をないがしろにする社会には平和な国家はあり得ないと実感します。
 5月3日、安倍総理は憲法9条を改定して自衛隊を明記することを2020年までに施行すると宣言しました。国民の目、耳、口を塞ぐ秘密保護法、集団的自衛権を認めた安全保障法制イコール戦争法、物言えぬ監視社会をつくる今回の共謀罪、そしてこれから強行しようとしている憲法9条改定の企て、海外で戦争する国への暴走をこれ以上続けさせるわけにはいきません。
 私たちは、多くの人たちと力を合わせ安倍暴走政治を終わらせ、共謀罪を廃止し、憲法が国の根幹に据えられる日本の道を歩むことができるよう奮闘するものです。
 以上申し上げ、本請願に賛同いただきますよう訴え、討論といたします。

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