2017年3月定例市議会 滝沢真一議員
共謀罪、テロ等準備罪に関わる請願第2号、請願第3号、請願第4号を不採択とすべきとした総務委員会委員長報告への反対討論
◆滝沢真一議員
◆14番(滝沢真一君) 14番、日本共産党長野市会議員団滝沢真一です。
共謀罪、テロ等準備罪に関わる請願第2号、請願第3号、請願第4号を不採択とすべきとした総務委員会委員長報告に反対の立場で討論を行います。
総務委員会では、不採択とすべき理由として、過去のサリン事件等で事前に処罰していれば防止できた可能性があったという意味では、現行法に限界があったのではないかとして、法整備が必要であると思うとの意見が出されています。
しかし、日本は既にテロ防止のための13の国際条約を締結しており、57の重大犯罪について未遂より前の段階で処罰できる国内法が存在しています。
化学薬品を使用したテロについては、地下鉄サリン事件後にサリン等による人身被害の防止に関する法律が制定され、サリン等の毒ガスの製造、所持、発散を禁止、処罰する他、予備罪もあり、サリン以外の薬品についても政令で指定することが可能となっています。
また、国際組織犯罪防止条約の第5条の規定にあるとおり、国内法を整備していくことが前提となっているとの意見も出されました。政府も共謀罪導入の理由について、国際的なテロ犯罪の取締りの緊急性、国際機関からの法整備を求められていることを挙げています。
しかし、国際的な取締りというのは、国境を越えて行われる麻薬取引などに関わる経済犯罪を防止することを目的にしたものであり、テロを直接の対象にしていません。
テロの取締りについても、日本にはテロ資金提供処罰法など対応できる法律が既に複数あります。テロには殺人罪など刑法規定も適用されます。
それらの法律の多くには、計画、準備段階でも処罰対象にする規定もあり、共謀罪がないと対応できないことではありません。
そもそも国連がテロ防止条約とする14の条約の中に、政府が締結には共謀罪の創設が必要だとする国際組織犯罪防止条約は含まれていません。国際機関からの法整備の要請も、共謀罪に当たる規定を一律に設けよというものではなく、国際組織犯罪防止条約に適合した法的対応を求められているもので、各国の実情に応じた立法をすればいいわけです。
何が何でも共謀罪規定を設けるため、国際的要請を持ち出すやり方は御都合主義以外の何物でもありません。
共謀罪の本質は、犯罪を行うことを相談、計画したというだけで処罰するところにあります。政府は資金準備など、準備行為をしたという要件を新たに付け加えるから、相談、計画だけで処罰されることはないと説明します。
しかし、準備行為は極めて曖昧で、相談参加者の1人が準備すれば、適用されるとしています。これでは、他の参加者にとっては準備行為をしなくても、犯罪とされることに変わりはありません。組織的犯罪に限定されていると言いますが、その組織も既成の組織だけでなく、その犯罪のためにつくられた2人以上の集団も該当するとされています。どうにでも拡大解釈することは可能で、何の限定にもならないのは明白です。
政府は、処罰対象は組織的犯罪集団に限ると説明し、その集団はテロ組織、暴力団、薬物密売組織と例示しています。しかし、金田勝年法務大臣はそれ以外のものも含まれる場合があるとした上で、何が共謀に当たるか判断するのは、捜査機関と述べました。
安倍首相も組織的犯罪集団の法定上の定義はないことを認めました。これは事実上、警察などに判断を委ねるというものです。警察はこれまでも、原発反対の幅広い市民運動などを監視対象にして情報収集を繰り返してきました。法務大臣は共謀罪を巡る捜査の中で、電話やメールなどの盗聴を可能にした通信傍受法を使うことを将来的に検討することも認めました。
共謀罪の創設で、犯罪に関係のない国民の人権、プライバシーが侵される監視社会への道が一層強まることは否定できません。戦前の日本で思想、言論弾圧に猛威を振るった治安維持法も、法案提出の際は労働運動をする人が拘束されるようなことを言うのは甚だしい誤解だと政府は説明しました。
しかし、実際は労働運動を初め宗教者、学生、自由主義者など、幅広い人たちが弾圧の対象になりました。この痛苦の過ちを繰り返してはなりません。
以上のことから、請願第2号、請願第3号、請願第4号の採択を求め、私の反対討論を終わります。