議会報告

2017年3月定例市議会 佐藤久美子議員

「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書」の採択を求める請願を不採択とした委員長報告への反対討論

◆佐藤久美子議員
◆12番(佐藤久美子君) 12番、日本共産党長野市会議員団、佐藤久美子です。
 「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書」の採択を求める請願を不採択とした委員長報告に反対の立場から討論を行います。
 請願は、長野地区労働組合総連合議長大矢美奈子氏から提出され、意見陳述人として、事務局長の小林氏から請願趣旨説明がありました。
 その中で明らかにされたこととして、1つ、2005年から10年間で内部留保は206兆円から300兆円に増えましたが、労働者の平均賃金は437万円から415万円に下落、非正規雇用は全労働者の4割に上り、労働者の4人に1人が年収200万円以下のワーキングプアです。年収300万円未満、結婚の壁とも言われていますが、これは全労働者の6割です。
 2つ、広がる貧困と格差の問題では、親の貧困が子供たちの成長、発達を阻害する貧困の連鎖が社会問題になっているとして、最近の相対的貧困率は、1997年14.6パーセントから2012年16.1パーセントになり、子供の貧困率は13.4パーセントから16.3パーセントに上昇していると指摘されました。
 3つ、地域別最低賃金の平均は823円、長野県は770円で、全国最低は714円、毎日フルタイムで働いても、月11万円から14万円の状況です。2010年、雇用戦略対話の政労使三者合意、できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、2020年までに全国平均1,000円を目指す、としましたが、このままだと毎年3パーセント程度では、全国平均が1,000円を超えるのは2023年、全国最低が800円を超えるのは2020年であります。
 4つ、地域間格差は218円に拡大、しかし、最低生計費は、全国どこでも時給1,400円以上必要、組織組合員への調査では、地域ごとに最低賃金は格差が広がっているのに、生活に必要な時給は大して変わらない。
 例えば、岩手県の最低賃金は716円、最低生計費は1,470円、一番高い東京は最低賃金が932円ですが、最低生計費は1,508円です。
 地方は物価が高いと言われるが、大型店の進出、流通の発達などで、人間らしい最低限の生計費は、全国どこでもほぼ同一の金額になることが調査から明らかです。
 私は、毎年行っているという組合員の最低生計費調査の実態と感想を質問したところ、子供の貧困の実態について述べていただきました。親の雇用状況が子供の貧困の背景にあることは明白であります。
 経済文教委員会の審査では、急激なカーブで上げるのは困難、雇用主のことを考えなければ、直ちに引上げは賛成できないといった意見が出されました。
 しかし、参考人が述べたように、最低賃金引上げのための中小企業支援策として、フランスでは2兆2,800億円、アメリカでは8,800億円支援をしているのに比べて、日本は111.7億円と非常に低い実態です。また、アメリカではカリフォルニア州など、時給15ドル以上へ2倍近くまで引き上がり、全米で1,200万人以上の賃金が改善、経営者も支持し、後押ししています。
 最低賃金は、憲法で保障された最低限度の生活を保障するものでなければなりません。今、若者の雇用や子供の貧困が社会問題となっています。それは文部科学省自身も認め、就学援助の入学準備金が大幅に引き上げられたことからも明らかです。
 最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める請願を採択し、国に意見書を上げることが喫緊の課題だと考えます。
 以上、不採択とした委員長報告に反対し、請願者の願いや意図を酌み取って意見書を提出いただくよう議員各位の御賛同をお願いし、討論といたします。

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