議会報告

2016年9月定例市議会 滝沢しんいち議員2

市長の政治姿勢について

参議院選挙の投票率と18歳選挙権について

人口減少対策について

給付型奨学金制度の創設について

ブラック企業対策について

消防団の処遇改善と安全対策について

皐月保育園の移転について

市長の政治姿勢について

◆滝沢真一
 14番、日本共産党長野市会議員団の滝沢真一です。
 市民こそが市政の主人公という立場で質問します。
 初めに、安倍政権をおおむね評価するとする市長の政治姿勢について伺います。
 7月10日投開票で参議院選挙が行われました。安倍首相は、この選挙の争点をアベノミクスの是非が問われる選挙だとして戦いました。首相は憲法問題について、選挙の争点とすることは必ずしも必要ないと述べ、FNNの調査では、選挙中の首相の街頭演説で、経済、アベノミクスという言葉が321回使われたのに対し、憲法改正はゼロ回だったと言います。首相は徹底した憲法隠しでこの選挙をやり過ごしました。
 ところが、首相は投票日翌日の記者会見で、憲法改定について積極的な姿勢を示し、自民党改憲草案をベースに改憲を目指すことを明言しました。自民党改憲草案には憲法第9条第2項の削除と国防軍の創設、内閣が国会審議を抜きに人権制約さえ可能とする立法権を行使できる緊急事態条項が明記されています。
 選挙戦は憲法隠しでやり過ごし、選挙が終われば国民の信を得たと言わんばかりに改憲に着手する、正にだまし討ちとも言うべき暴挙です。それだけでなく、これまで3度も国会に提出され、その度に人権侵害との批判を受け廃案となってきた共謀罪まで法案提出されようとしています。
 また、安保法制、戦争法についても重大な事態が進展しています。政府が武力紛争が発生していると考えていない、平穏ですと言った南スーダンの首都ジュバでは、大統領派と副大統領派の激しい戦闘が起こり、300人以上の死者が出ました。派遣されている陸上自衛隊の宿営地内でも複数の弾痕が確認されました。この南スーダンで安保法制、戦争法によって任務が拡大され、安全確保業務、駆け付け警護が行われ、任務遂行のための武器使用が拡大されれば、海外の戦場に自衛隊員、日本の若者たちが送り込まれ、殺し殺される初めてのケースになる現実的な危険が高まっています。
 また、首相が選挙の争点としてきたアベノミクスの破綻も明らかです。7月29日、年金積立金管理運用独立行政法人の2015年度決算で5兆3,000億円の巨額損失が明らかになりました。国民の財産である年金積立金を使って株をつり上げ、成長を演出しようとした結果がこれです。
 また、事業規模で28兆円を上回る経済対策が打ち出されましたが、その中身はリニア新幹線への巨額の公的資金の投入や大型クルーズ船のための港の建設など、大型公共事業へのバラマキが中心です。リニア新幹線はもともとJR東海が民間資金で行うとしてきた事業です。そこに公的資金を投入しても、工事量が増えるわけでもなく景気対策とは無関係です。
 そして、大型公共事業に公的資金を投入するその一方で、高齢者医療の窓口負担を2割負担に引き上げる計画が持ち上がりました。また、介護保険では要支援1、2に続いて、要介護1、2と認定された人の訪問介護や通所介護を保険給付から外す法案を来年の通常国会に提出する計画が持ち上がっています。要支援1、2と要介護1、2を合わせれば、要支援、要介護と認定された人の65パーセントを超えてしまいます。国の根幹、憲法問題でさえ自分たちのやりたいことを選挙では語らない、日本の自衛とは無関係な海外の戦場に自衛隊を送り込む、国民の年金を株に投資し巨額の損失を出す、そして、経済対策とは名ばかりの公的資金の投入と医療、介護の破壊、この余りに不誠実な安倍政権の政治を市長はどう評価するのか伺います。
 また、首相がベースにすると明言した自民党改憲草案について市長の評価を伺います。

◎市長(加藤久雄)
初めに、安倍政権の政治をどう評価するのかについてお答えいたします。
 これまでも申し上げてきましたように、政権あるいは政治に対する評価は、個々の政策や事象で判断するのではなく、総合的に判断すべきものと考えております。
 このような点から考えますと、安倍政権の政治につきましては、おおむね評価するとした、これまでの考えに変わりはございません。
 次に、自由民主党の憲法改正草案に関連した御質問にお答えします。
 安倍首相が今後ベースにしていくとした憲法改正草案は、平成24年4月に自由民主党の憲法改正推進本部が時代の要請、新たな課題に対応した草案として発表したものであります。
 一方で、首相は、そのまま通るとは考えていないと発言されているように、飽くまで議論の出発点と位置付けられているものであると考えています。
 また、この草案につきましては、賛否様々な意見があることも承知しております。私といたしましては、この草案で示された課題などについて、広く国民の間で議論が深まることを期待するものであります。

◆滝沢真一
加藤市長は、個々の事情についてではなく総合的に評価をすると、それで総合的には評価をできると、これまでの姿勢、これも続けてきました。しかし、海外で戦争をする国づくりもそうですし、医療、介護の破壊についてもそうです。アベノミクスについてもそうです。アベノミクスで確かに大企業は莫大な利益を上げてきました。しかし、働く人の実質賃金、この間5年連続のマイナスです。私としては一体どこを評価しているのか、本当に判断に困ります。総合的に判断するということは、評価できる部分があるからだと思うんですが、この間、安倍政権がやってきた政治の中で、一体加藤市長はどこを評価してきたのか、要点があればお聞かせください。

◎市長(加藤久雄)
安倍政権につきましては、私も総合的に考えて評価しているということでございます。外交、防衛、また国内の経済対策も含めて、全体的にはおおむね私は評価しておるところでございます。

◆滝沢真一
今の答えでも、一体どこを評価しているのかというのをはっきり、全く分かってきませんでした。これについては今後も、しっかりと議会を通して質問していきたいと思います。

参議院選挙の投票率と18歳選挙権について

◆滝沢真一
次に、参議院選挙の投票率と18歳選挙権について伺います。
 参議院選挙では全国で投票率が下がる中、長野県では62.86パーセントと全国一の高投票率となりました。また、長野市でも60.17パーセントと前回の3年前を上回りました。しかし、18歳選挙権が実現し注目される中、若い世代で見ると、10代の有権者の投票率は、全県では45.53パーセント、20代では36.28パーセントと低投票率にとどまりました。長野市の10代、20代の投票率は何パーセントでしたか。また、今後の課題と教訓、信州大学の学生と共に取り組んだイーストプラザの期日前投票所の利用状況はどうだったのか伺います。
 松本市では大学、高校付近の体育館に期日前投票所を設置し、千葉県では高校内に期日前投票所が設置されるなどの新たな取組も行われました。長野市でも今後、高校や大学、駅や商業施設などへの期日前投票所の設置をするべきと考えます。見解を伺います。

◎選挙管理委員会委員長(藤沢敏明)
まず、本年7月に行われました第24回参議院議員通常選挙の長野市における10代、20代の投票率でありますが、10代は44.25パーセント、20代は37.42パーセントでありました。これまでの結果と比較ができます20代の投票率につきましては、前回、平成25年参議院選の31.77パーセント、直近の昨年の市議会議員一般選挙の19.83パーセントと比べまして、他の世代より依然低い状況にはありますが、上回ってきている状況でございます。
 また、10代の中、18歳の投票率を見ますと51.32パーセントで、10代、20代の中では最も高い投票率でございました。これらは18歳選挙権に向け、長野県や市教育委員会と連携して取り組んでまいりました高等学校での出前講座や啓発活動、大学や短期大学での出前講座、信州大学教育学部との連携による権堂イーストプラザ市民交流センターでの期日前投票所の開設と若い世代層への啓発などによる効果があったものと考えております。
 課題と教訓とのことでありますが、若年層の投票率は低い状況にありますことから、今回一定の効果がありました若年層に向けた出前講座や啓発活動に長野県や市教育委員会に加え、大学や学生などの連携も更に深めて積極的に取り組んでいく必要があると考えているところであります。
 次に、信州大学教育学部との連携による権堂イーストプラザ市民交流センターでの期日前投票所の利用状況でございますが、実施した日は投票日の前の週の日曜日になります7月3日、直前の8日金曜日と9日土曜日の計3日間で、時間は午前10時から午後8時といたしましたが、8日の金曜日につきましては、施設周辺の状況を鑑み、公職選挙法の改正により、今回の参議院選挙から初めて行うことになりました閉鎖時刻の繰下げを行い、午後8時30分までといたしました。この3日間の投票者数は、合計で2,188人となり、1日当たりでは730人の方に御利用いただきました。
 なお、1日当たりの人数では、他のいずれの支所よりも多い結果となっております。権堂イーストプラザはバリアフリーの建物で、1階に投票所として適当な区切られたスペースがあることに加えまして、近隣には信州大学教育学部のキャンパスが、目の前にはイトーヨーカドー、すぐ横には長野グランドシネマズを初め、長野大通りにも面しており、電鉄の駅、路線バスの停留所がある交通の結節点でもありますことから、信州大学教育学部の学生や通学する他の学校の大学生、短大生、高校生や通勤する若年層などの方々に利用しやすい場所と考えて期日前投票所を設置いたしましたところ、10代、20代の若者を含め多くの方に利用いただけたものと考えております。
 特に、夕方以降は若年層の利用が多く、クラブ活動帰りの高校生の姿なども見受けられまして、長野県内では本市だけとなります閉鎖時刻の繰下げの効果もあったのではないかと考えております。
 また、権堂イーストプラザの期日前投票所は、実施日時や周知などの企画から投票事務の運営について、信州大学教育学部の学生と連携して行い、期日前投票の立会人につきましても、長野県短期大学や清泉女学院大学などの学生を選任いたしましたことから、若い学生たちの活気にあふれ、投票に来られた方からは大変良い印象を受けたというお声をいただいておりますとともに、学生たちなど若い世代にとっては、選挙を自分のこととして考え、選挙に参加することの大切さを体験する機会になったのではないかと感じております。
 最後に、高等学校や大学、駅や商業施設などへの期日前投票所の設置についてお答えいたします。
 期日前投票所の設置につきましては、多くの選挙人にとって利用しやすい環境であることが重要であります。加えて、投票の秘密確保、投票所内の平穏の保持、二重投票の防止等が必要不可欠であります。これらの点を十分に考慮し、本市における高等学校、大学、駅、商業施設などの状況を踏まえて、今回の参議院選挙における他市町村での取組状況なども参考にして、研究、検討を進めていこうと考えております。

◆滝沢真一
10代、20代の投票率、特に20代は若干上がってきているということもありましたが、それでもやっぱり全体を通して見れば、非常に低い投票率になっていると思います。
 今回、18歳選挙権で、早い人は高校生から投票ができるようになります。この主権者教育という観点も踏まえて、民主主義がどういうものなのかということもしっかりと学校の教育で行っていくことが大切ではないかと思います。
 是非、この高校や大学、駅や商業施設などへの期日前投票所の設置、これについては前向きに進めていただきたいと思います。

人口減少対策について

◆滝沢真一
次に、人口減少対策について伺います。
 長野市は人口減少対策課から人口増推進課に名称を変更し、移住・定住に力を入れてきました。しかし、本気で人口増を目指すならば、若い世代に長野市に住んでもらい、学び、働き、家庭を築いてもらわなければなりません。
 そこで、子育て支援について伺います。
 県内では南箕輪村で保育料の引下げや子育て支援施設が無料で使用できるなど、子育て支援に早くから力を入れてきた結果、驚くほど人口が増え、ついに1万5,000人を超えるまでになりました。ワーキングプアと呼ばれる働く貧困層が全国で1,000万人を超え、若い世代の約半数が非正規雇用となる中、家庭を築くためには子育て支援が欠かせません。例えば子供の医療費の窓口での無料化は全国に広がっています。
 しかし、長野県が行う自動給付方式では、医療費の2割、あるいは3割を一旦立替払をしなければならず、実際に給付分が振り込まれるのは二、三か月後になり、手元に現金がなければ医療機関に掛かることができません。子供の医療費の窓口での無料化は、既に全国38の都府県で実施されています。県内でも坂城町では、さかき福祉医療費サポート資金貸付制度として、医療費の一部負担金に充てる資金をあらかじめ貸付けをする全国初の制度が始まりました。1回当たり9,000円を貸し付け、国のペナルティーの対象にもなりません。
 このように、他都市では子供の医療費が窓口無料なのに、子育て世代が長野市に住みたいと思えるでしょうか。県がやらないのであれば、長野市が市民のために独自に実施するべきではないでしょうか、見解を伺います。
 また、今長野市が審議会に諮問している放課後子どもプラン有料化について、人口減少を止めなければならないときに、なぜ子育て世代に新たな負担を求めるのでしょうか。児童館、児童センターは働く親と子供たちにとってなくてはならない存在です。長野市の行ったアンケートでも、有料化すれば利用しないと答えた方が全体の13.4パーセントとなっており、このまま有料化すれば、利用したくても利用できない方が必ず生まれます。誰もが安心して無料で子供を預け、働ける環境をつくり、ここで子供を育てたいと思えるような長野市にしてこそ人口増につながると考えます。改めて放課後子どもプラン有料化の中止を求めます。見解を伺います。

◎選挙管理委員会委員長(藤沢敏明)
子供の医療費窓口無料化につきましてお答えいたします。
 子育て世代が住みたいかどうかの判断は、医療費の窓口無料も一つの指標となるものと思いますが、その自治体の子育て支援策全体を総合的に見て、皆様判断していると思っております。
 本市では、妊娠、出産、子育てにおける切れ目のない行政サービスを提供することを目的に、出産・子育て応援メール、こども相談室、ながの版ネウボラ、産後ケアなど実施しており、これら出産・子育て支援は本市の優先施策として充実を図っております。
 また、子育て世代の20代、30代は、まちづくりアンケートによりますと、子育て支援策の充実はもちろんのこと、安定した雇用と交通の利便を住みよさの指標と考えており、本市はこれらの充実にも努めております。
 次に、子供の医療費窓口無料化を長野市が独自に実施するという御意見につきましては、医療費を窓口無料化した場合には、国からの国民健康保険療養費等国庫負担金及び普通調整交付金が減額されることから、本市では減額措置の対象にならないよう長野県内の市町村の統一方式として、自動給付方式を実施しております。
 厚生労働省の平成29年度予算の概算要求の医療保険制度の運営費には、この減額措置の見直しに伴う金額は記載しておらず、事項要求となっておりまして、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会での取りまとめを踏まえ、国民健康保険の減額措置について、見直しを含め検討し、年末までに結論を得ると記載しております。
 県では、国の結論を踏まえて、福祉医療の在り方について、引き続き市町村と十分連携しながら検討していきたいとしており、国の結論を待っているところです。
 本市の福祉医療受給者が県内どこの医療機関でも受診できる今の仕組みは、平成15年に県医師会の協力を得て、県内の医療機関、国保連合会及び行政が契約し、国保連合会に診療報酬と審査集計事務を委託し、自動給付方式のシステムを開発し、現在まで、それによって運用しております。システム開発費用は、県が2分の1、市町村が2分の1を負担しており、本市は9パーセントの負担で済みました。本市が独自で医療費を窓口無料化する場合には、システム開発費用を本市が全額負担することとなります。本市の福祉医療受給者は、市内の医療機関だけでなく、市外の医療機関も利用しますので、本市が独自で医療費窓口無料化する場合には、本市が独自に県医師会及び各郡市医師会などの協力を得て、県内全ての医療機関と契約をする必要があります。
 このような課題があり、子供の医療費窓口無料化を本市が独自で実施することは困難な状況であります。引き続き県と連携し、県内市町村と福祉医療の在り方について協議する必要があると考えます。

◎こども未来部長(上杉和也)
放課後子ども総合プラン有料化の中止を求めるとの御質問についてお答えをいたします。
 本市においては、平成20年4月にスタートした長野市版放課後子どもプランが平成27年度から放課後子ども総合プランに移行しました。平成20年4月の実施校区数は4校区でしたが、着実に拡大を図り、本年4月には54小学校区の全てでプランの実施を実現したところでございます。登録児童もこの間5,250人から8,455人と大幅に増加しているところでございます。
 少子高齢化及び人口減少を克服して将来世代に活力ある地域社会を引き継いでいくためには、今後も子育て支援の一層の拡充が必要であります。そのためにも財政が厳しさを増す中、子育て支援全体の事業について、財源の確保に努めながら、バランスよく持続的に事業を進めていくことも必要となります。
 放課後子ども総合プランは、施設整備や支援員の確保などを計画的、持続的に進めるため、また、サービスを利用する人と、しない人との公平性の確保の観点からも、利用者負担について検討する必要があると判断し、6月2日に長野市社会福祉審議会に諮問をしたところでございます。
 審議を付託された児童福祉専門分科会では、8月24日に2回目の会議を開催しまして、市からは保護者へのアンケートの結果や他市の状況等について御説明をしたところでございます。10月には3回目の分科会が開催され、その後、議論が進んでいくことになりますが、利用者負担導入の要否も含めて十分に御審議をいただき、社会福祉審議会からは来年2月に答申をいただく予定としております。市といたしましては、審議会の答申を尊重し、方針を決定してまいりたいと考えております。

◆滝沢真一
子供の医療費については、先ほども言いましたけれども、全国で本当に広がっています。これは県が独自に行っているだけではなく、全国で見れば市が独自に行っているところもあります。安心して働ける雇用の充実にも努めているという話もありましたが、本当に先ほども言いましたように、今若い世代の働く環境というのは本当にひどいものになっています。今非正規雇用が若い世代の半分にまで広がっています。ワーキングプアも本当に広がっています。
 そういう中で、この子供の医療費の窓口無料もそうですし、放課後子どもプランの有料化についてもそうですが、どうしてもやっぱり金銭面できちんと支援をしなければいけないときではないかと思います。
 是非、人口増のために、働く人たち、現役世代、家庭を持つ世代への金銭的な、現実的な支援をお願いしたいと思います。

給付型奨学金制度の創設について

◆滝沢真一
今、奨学金を借りると、平均的なケースで300万円、大学院進学など多い場合には1,000万円もの借金を背負って社会人としてのスタートを切ることになります。非正規雇用の増大などで卒業後の雇用、収入は不安定になっています。奨学金の返済は、期日から1日でも遅れると延滞金利息が上乗せされ、滞納が3か月続けば信用機関のブラックリストに載せられます。これは学生生活にも影響を及ぼし、多額の借金を恐れて奨学金を借りたくても我慢する学生もいます。現に、県内の大学に通う私の友人は、将来への不安から奨学金を借りられず、学業に専念するためバイトにも就けず、1人で悩み抜いていました。今や学生の2人に1人が奨学金を借りています。労働者の所得が減り、親からの仕送りも少なくなっています。
 その一方で、大学の学費は上がり続け、重く生活にのしかかっています。こうして進学のために奨学金に頼らざるを得ない若者が増え続けています。
 そこで、人口減少対策として、長野市独自の給付型奨学金の創設を提案します。他県へ進学しても、卒業後長野市へ帰ってくる、卒業後市内で働くなどの条件を付ければ、若い世代が長野市に定住することにもつながります。長野市の未来を担う若者たちを育てるため、是非前向きに検討していただきたいと考えます。見解を伺います。

◎企画政策部長(増田武美)
給付型奨学金制度の創設につきまして、人口減少に歯止めを掛け、活力あふれる地域を維持していくためには、議員から御指摘ありましたとおり、若い世代に本市に住んでもらうことは大変重要だと考えております。
 2月に策定いたしました総合戦略において、次代を担う若者の希望の実現を重点項目の1つと位置付け、若者の本市への定住促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 さて、国では、経済的事情により進学を断念せざるを得ない若者の希望を実現する支援としまして奨学金制度について検討を重ねてきており、その1つとして、無利子奨学金を成績や保護者の所得の基準を満たした希望者全員への貸与の実現を図るため、来年度予算の増額要求を検討していると聞いております。
 また、議員からの御提案にありました返済不要の給付型奨学金につきましても、文部科学省内に給付型奨学金制度検討チームを立ち上げ、平成30年度の入学生からの給付に向け、制度内容の検討を重ねている状況でございます。このような全国的な制度拡充の動向がある中、本市といたしましては、これらの状況を現時点では注視してまいりたいと考えております。
 また、本市独自の支援制度の創設につきましては、中核都市として、ある程度の規模を有する本市のみが制度上のインセンティブを付与した場合における周辺市町村への影響や市単独で進める際の資金面の確保や効果など、導入に際しましては様々な課題等がありますことから、先ほど御説明いたしました国の制度を見極め、県、産業界などの動向を注視してまいりたいと考えてとおります。

◆滝沢真一
先ほどの子供の医療費のことでもそうですし、今の給付型奨学金のことでもそうなんですが、国がこれからやるので、それを見守る、確かにそれも大事だと思います。ただ、本気で長野市の人口を増やそうとする、これから先、長野市を担っていく若い人たちに、本当に長野市に住んでもらう、そのためにはどうしても、やっぱり長野市が独自に他の市町村よりも長野市が本当に住みやすいんだと、ここが暮らしやすいんだと、こういうアピールができる、そういう施策というのはどうしても必要になってくると思います。
 この給付型奨学金制度は、本当にこれからの長野市を担っていく若者たちを今から育成するためにも、どうしても必要だと私は考えます。是非積極的に検討していただきたいと思います。

ブラック企業対策について

◆滝沢真一
長時間労働や残業代未払い、パワハラなど、働く人を使い潰すブラック企業が社会問題になっています。私の周りにもブラック企業で働く友人はたくさんいます。ある友人の職場では、1日のうち昼休み時間が10分しかありませんでした。また、ある職場では、定時になると、上司が勝手にタイムカードを押してしまい、そこからサービス残業が始まります。しまいにはタイムカード自体が廃止されてしまったと言います。しかし、そんな職場でも辞めるわけにはいかないんです。何十社も履歴書を送って面接までこぎつけ、やっと就職できた職場だからです。
 今、この社会には行政の目の届かないところで労働者が過酷な労働環境の中、使い捨てにされている実態があります。人口増を掲げ、長野市への移住・定住を進めるならば、市が責任を持って労働環境を把握、指導し、誰もが働きやすいまちをつくるべきではないでしょうか。
 昨年12月市議会で、生出議員から提案のあった市独自の労働実態調査と悪質な企業の実名での公表を再度要望します。宮城県では10人以上の民間事業所を対象に、毎年独自の実態調査を行っており、嘱託・契約社員の賃金、長時間労働の実態など、産業分野別、自治体別に様々な内容を公表しています。静岡市などでも同じような実態調査を独自に行っています。どの都市よりも働きやすい環境をつくり、現役世代の人口を増やすために全国の先進事例を参考に、長野市で働く市民のために、労働実態調査と悪質な企業の公表を行うべきと考えます。見解を伺います。また、企業向け出前講座の実績を伺います。

◎商工観光部長(久保田高文)
まず、労働環境実態調査につきましては、民間事業所の実態を把握し、労働行政の基礎資料とすることを目的に実施しているもので、調査内容はそれぞれの自治体によって異なります。長野県内では、県や中小企業団体中央会が実施しており、本市はこれらの調査内容を参考としております。
 次に、悪質な企業の公表についてでありますが、劣悪な条件での労働やサービス残業など、労働基準法が遵守されていない会社を監視、指導するため、調査権限のある労働基準監督署の監督官が企業への立入調査を行い、その中で悪質な場合は強制捜査等を行っております。悪質な企業の公表を目的とした本市独自の調査の実施については、調査権限がないことから、なかなか難しいと考えております。
 本市ができることといたしましては、働きやすい環境の在り方など、企業のプラス面を積極的にPRしていくことが法令違反などを未然に防ぐことにつながると考えております。今後も就職情報サイトおしごとながのなどにより、仕事と子育ての両立やワーク・ライフ・バランスなどに取り組む企業の情報発信を行い、健全な労働環境の確保などの意識啓発につながるような取組をしてまいりたいと考えております。
 この他にも、職業相談室においては、月に一度、社会保険労務士による労働相談を行っておりまして、賃金や労働時間、解雇などの労働問題について、より専門的な悩みにも対応をしております。また、相談内容によっては、必要に応じて労働基準監督署へ案内をさせていただき、相談者お一人お一人の立場に寄り添った適切な対応に心掛けております。
 次に、企業向け出前講座の実績についてでありますが、今年度は3社で実施をしており、10月に更に1社から依頼を受けております。出前講座の内容は、従業員向けに自らのストレス対処の方法、監督者向けに働きやすい職場環境づくりなどが主なものでございます。また、併せて、本市で行っている職業相談や労働相談につきましても御案内し、企業側の労働環境の整備に向けた支援をしております。

◆滝沢真一
県や団体が行っている調査を参考にしていて、調査権限がある監督署がそれについてはやるので、長野市独自では難しいということでしたが、ということは、長野市としては市内で働いている労働者の実態、余りにひどいもの、これまで私自身たくさん聞いてきました。そういうものを実際に調査、把握するということはできないんでしょうか。それとも本当に頑張ればできるんでしょうか。そこをお聞かせください。

◎商工観光部長(久保田高文)
本当にできるかどうかという見地に立つと、どこまで企業側が私どもの市の調査に対して真摯に答えていただくかどうか、この辺が非常に論点になろうかと思います。
 したがいまして、先ほど滝沢議員に御指摘いただいているように、個々の事例で分かったものについては、労働基準監督署等へ御相談申し上げまして、適切に対処していただくことが現時点では可能なことだと考えております。

◆滝沢真一
今、子育て支援、奨学金の問題、それからブラック企業の問題、様々な分野で質問させてもらいましたが、これは全て長野市の人口増につながる質問でした。長野市で若い人がどうやったら家庭を築いてもらえるのか、どうやったら安心して働いてもらえるのか、これはこれからの長野市、本当に人口を増やすために一つ一つの事例じゃなく、現役世代全ての暮らしのことを考えていかなきゃいけないということだと思います。
 是非、長野市としても、この出前講座もそうですし、企業の実態調査できるところからでもいいです。それから学生への支援、子育て支援、金銭的に目に見える支援、是非行っていただきたいと思います。

消防団の処遇改善と安全対策について

◆滝沢真一
次に、消防団の処遇改善と安全対策について伺います。
 昨年12月市議会で、報酬増による処遇改善について伺った際、市からは消防団員の士気を高め、若者の入団促進や団員の安定的な確保につながることから、今後とも更に調査研究を重ねまして、十分検討するとの回答を頂きました。その後、新たな調査研究の成果、検討結果があれば教えてください。
 また、総務委員会と消防団の懇談会でも意見が出された長靴、手袋などの装備の支給、計画的な車両の更新を求めます。見解を伺います。

◎消防局長(瀧澤親男)
消防団員の報酬につきましては、平成27年度に各階級一律2,000円引き上げました。その後、団本部と調整を行い、現段階では現状維持とし、今後も引き続き研究してまいりたいと考えております。
 次に、8月1日に開催されました総務委員会と消防団幹部との懇談会の中で、消防団から災害活動用長靴、トタン等でも切れにくい手袋の支給及び計画的な車両の更新について要望、意見が出されましたが、東日本大震災の発生以後、消防団の装備の充実の重要性から、消防団を中核とする地域防災力の充実強化に関する法律が制定され、併せて消防団の装備の基準が改正されました。この基準では、団員の皆様の安全確保のための装備として、災害活動用長靴、切れにくい手袋、防じん眼鏡、防じんマスク、携帯用無線機等の必要性が規定されました。
 これに伴い、本市といたしましても、各団員に要望調査を行った結果、携帯用無線機、雨衣、災害活動用長靴、切れにくい手袋、防じん眼鏡、防じんマスクの順の要望でありました。この結果から、現在、携帯用無線機や雨衣を優先し、計画的に配備しているところでございます。今後は、災害活動用長靴、手袋等の支給についても、団本部と調整し検討していく必要があると考えております。
 また、消防団では、現在、積載車等の車両132台を保有しており、更新計画に基づき毎年3台を更新しておりますが、全体の更新にはかなりの年数が掛かる見込みです。今後、更新計画の見直しを図るとともに、運用状況や地域実情等の調査を行い適正化を図るなど、団本部と調整し検討していく必要があると考えております。
 いずれにしましても、地域防災の要として、地域住民の安全・安心のために活躍いただいている消防団の充実、強化が図られるよう努めてまいります。

◆滝沢真一
団員報酬については、消防団の士気を高め、若者の入団促進や安定的な確保につながると回答したにもかかわらず、現状維持で引き続き検討ということなんですが、私の友人で、中山間地で消防団員をやっている方のお話なんですが、本当に消防団のなり手がいなくて辞められないと言うんです。唯一辞める手段が分団長にならないと辞められないと、それまではずっと繰り返し消防団にいなきゃいけない。是非新しい若い人たちが安心して団員活動をすることができる、地域を守っていくことができる、そのためにも年額報酬の引上げ、是非よろしくお願いしたいと思います。長靴や手袋や車両の更新についても、是非計画的にお願いします。
 次に、消防団は地域密着型の組織として様々な活動を行っており、その1つに、火の見やぐらに上っての半鐘たたきがあります。はしごを上らなくても下のボタンで操作して鳴らせるところもあると聞きますが、私の地域では1人で上ってたたきます。安全帯もなく、頼りになるのはヘルメットだけです。伝統的な消防団の仕事と言えますが、余りにも危険と言えるのではないでしょうか。下手をすれば死亡事故にもつながります。
 そこで伺います。現在、長野市内には何か所半鐘があり、何か所で火の見やぐらに上って半鐘を打っていますか。そのうち長野市の管理する火の見やぐらは何か所ありますか。消防団員の安全のため、上らなくても半鐘が鳴らせるよう計画的に改修を進めるべきと考えます。見解を伺います。
 また、改修に係る財源などはどの程度必要か伺います。

◎消防局長(瀧澤親男)
火の見やぐらは、消防施設として警鐘楼と申しますが、警鐘楼は現在、市内に444基設置しております。様々な形の警鐘楼がありますが、1本の柱のみで、地上からのワイヤー操作により警鐘を鳴らすことが可能な構造のものが15基、高さ2メートル未満のものが15基ありますが、他の414基ははしごを上ってたたくタイプのものとなっています。これは広い範囲への消防信号の周知や消防用ホースの乾燥機能を確保するためのものであります。警鐘をたたくことは災害時に火災信号を周知する他、毎月7日の市民防火の日に火事を無くする市民運動として、市民の防火意識の高揚を図るため、春、秋の火災予防運動、年末の特別出火防止運動の期間中などに管轄の消防分団が実施しており、重要な周知、啓発手段であると考えております。
 また、その他の機能として、地域防災無線の拡声器が警鐘楼に設置されているものも多く存在しています。
 警鐘楼の維持管理につきましては、老朽化により使用困難となったものは撤去し、使用が可能な既存のものについては、適切な維持管理を行いながら使用している現状であり、原則として消防団が使用し、長野市消防局が管理しております。撤去に際しては、地域防災のシンボルであるとの考えから、存続を望む地元の御意見も多く頂きます。元来、はしごを上ることは消防活動の基本的な行動であり、技術向上のため、訓練の一環として警鐘楼を安全に上っていただくことは大変重要であると考えます。
 また、議員御指摘のとおり、安全帯を使用し、さらには2名以上での活動による安全性の向上を図る体制につきましても、団本部と検討をしてまいりたいと考えております。
 なお、改修には1基20万円程度の費用が掛かることから、管轄分団の意向を確認しながら、既存の警鐘楼の適切な維持管理に努めてまいりたいと考えております。
 その上で、やむを得ない地域実情に伴う地上操作式の警鐘装置導入についても、団本部と調整しながら今後検討してまいりたいと考えております。

◆滝沢真一
是非直接使用している地元団員の声を聴いて、しっかりと改修計画を立てていただきたいと思います。よろしくお願いします。

皐月保育園の移転について

◆滝沢真一
  最後に、皐月保育園の移転について伺います。
 皐月保育園の移転に伴い、院内保育所であるすくすく保育園が廃止されようとしていることについて、病院職員や保護者から反対の声が上がっていると聞きました。長野市と東長野病院、保護者や労働組合との話合いの現状を伺います。

◎こども未来部長(上杉和也)
皐月保育園の移転については、本年5月19日に、国立病院機構東長野病院から病院内の敷地を皐月保育園の移転用地として検討していただきたいとの誘致要望があり、幼保連携型認定こども園や信州型自然保育といった新園のコンセプトを生かしながら病院との連携も図れるなど、より良い園にできるものと考え、病院内の敷地を移転先とすることといたしました。
 これを受け、本市においては、用地の賃貸借方法や建設スケジュール等について病院側と調整を進め、これまでに用地の賃借料は市の行政財産の例に準ずること、あるいは平成30年4月の開園を目指して双方が協議をしていくことなどについて確認をし、具体的な建設場所についても、病院から近日中に御提示をいただく予定となっております。
 また、御指摘のすくすく保育園については、病院職員のための院内保育施設であることから、病院内部で調整中とのことであり、病院と保護者や労働組合との話合いについては、分かりかねますので、御理解をお願いいたします。

◆滝沢真一
実際にすくすく保育園を利用しているのは、そこに通う子供であり、保護者たちです。病院内部で調整中ということでしたが、自分たちの通う保育園が無くなってしまう、これから通うところどこになるんだろう、本当に皆さん不安を感じていると思います。
 是非直接利用をしている保護者や、そこで働いている保育士さんたちの声を聴いて、きちんと意見を踏まえて計画を行っていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

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