2016年9月定例市議会 佐藤くみ子
公共施設の在り方調査研究特別委員会の報告
◆佐藤久美子
公共施設の在り方調査研究特別委員会委員長(佐藤久美子君) 12番、佐藤久美子でございます。
私から、公共施設の在り方調査研究特別委員会の報告をいたします。
本委員会は、平成25年9月に老朽化が進み維持管理費の増大が見込まれる公共施設の現況と今後の在り方について、調査研究を行うため設置され、各種計画の策定、市民合意形成の取組、公共施設の管内視察及び先進地視察の実施など、公共施設マネジメント推進に関する事項について調査研究を重ねてきました。
本市が本年2月に公表した長野市人口ビジョンでは、本市の将来人口推計は、現在の38万人から、2060年には25万人を割り込むことが見込まれています。人口減少や少子高齢化が進み、社会保障関連経費の増加や税収減少の中、持続可能な行財政運営を行っていくため、市民ニーズや社会情勢の変化に合わせた公共施設の量と質の見直しを行い、将来にわたり公共施設を最適に維持していく取組が必要となっております。
そのような中、市は、公共施設マネジメントの第1ステップとして、平成25年10月に公共施設白書を作成し、公共施設やインフラ施設の現状と課題、将来の改修・更新費用などを把握して公表しました。
次に、第2ステップとして、平成27年7月に公共施設マネジメント指針を策定し、将来世代に負担を先送りすることなく、より良い資産を次世代に引き継いでいくことを基本理念に、施設総量の縮減と適正配置の実現、計画的な保全による長寿命化の推進など4つの基本方針を定め、今後20年間で公共施設の総延べ床面積の20パーセントを縮減する目標を打ち出しました。
現在、第3ステップとして、今後10年間に対応する施設や施設群の方向性を示す第一次再配置計画、公共施設の長寿命化に関する基本的な方針を示す長寿命化計画の策定が進められ、本年度中には、白書、マネジメント指針、再配置計画、長寿命化計画を包含する形で、国が求める公共施設等総合管理計画が策定される予定です。
総合管理計画策定後は、個別施設の実施計画の策定と実践を進めるとともに、進捗管理、効果検証を行い、計画の見直し改善を図ることとしております。
本委員会において、公共施設マネジメント推進等に関する調査研究を重ねた中で、出された主な意見等について、3点申し上げます。
1点目は、市民との情報共有の強化についてであります。
公共施設マネジメントを推進する上で、市民の理解と協力は不可欠であり、本市の公共施設の現状や課題、指針の基本方針など、いわゆる総論の内容について、行政と市民が共通認識に立つことが、大変重要であります。
これまでも、市では、住民自治協議会向けの出前講座の開催、漫画版啓発リーフレットやニュースレターの作成など、情報共有の促進を図るため、多角的な情報発信に努めておりますが、一層の取組が必要であると考えます。
公共施設の適正化等に対する理解を広げるため、住民自治協議会への説明は継続する他、対象を更に広げ、区・学区単位などを対象とした説明会や全市域的なシンポジウムの開催の検討を進めるとともに、啓発リーフレット等については、より広く市民の目に触れる機会を増やすことが重要であることから、全戸配布や回覧等の実施に向けた予算措置を講ずるなど、更なる市民との情報共有の強化を求めるものであります。
2点目は、効果的な市民合意形成の取組についてであります。
現在策定が進められている第一次再配置計画では、特定の地区、施設群における、公共施設の再配置整備手法を検討し、マネジメント推進のモデルを示し、他の地区や施設群における検討の参考にしていくとしております。
市では、中山間地域のモデル地区として、芋井地区を位置付け、再配置整備手法の検討を進めてきました。同地区では、平成23年度末に閉校した芋井中学校等の在り方について、かねてから地元住民による話合いが進められてきたことなどから、モデル地区として選定されたもので、本委員会でも、芋井地区内の現状を調査するため管内視察を実施いたしました。
同地区では、本年5月から7月まで計4回、芋井地区の公共施設について考える市民ワークショップが開催され、地元住民を中心とした幅広い世代のメンバーにより、市民と行政が計画策定前から一緒に検討し、議論を積み上げるという今後の市民合意形成に向けた新しい試みでありました。
大変実りのある貴重な取組であった一方、参加者アンケートでは、討議のテーマが分かりづらい、開催回数や時間が足りないなどの意見もあったことから、他地区での開催を視野に入れたテーマ設定や開催頻度の見直し、発展的なワークショップ等の開催などの検討が必要であります。また、芋井地区において今回の議論をどう生かし、どう継続していくか、更に研究を進める必要があると考えます。
市民ワークショップは、公共施設の在り方を住民が自らの事と捉え、必要な施設から必要な機能へと視点を変えることができる有効な手段の一つであります。今回の検証結果を生かした効果的な開催方法の検討を進めるとともに、経験豊富なファシリテーターの確保等による体制の充実を図るなど、市民合意形成の取組を積極的に推進していくよう求めるものであります。
3点目は、実効性のある庁内推進体制の構築についてであります。
本委員会で先進地である大阪府豊中市の取組状況を調査したところ、市有資産を横断的に束ねる資産活用部において、全庁的な資産活用に取り組んでいました。
本市では、平成26年4月から総務部行政管理課内に設置した公共施設マネジメント推進室がマネジメントの取組を主導し、公共施設等総合管理計画の策定を担うとともに、全庁的な連携を図っておりますが、今後、計画の実践に向け、更なる推進体制の整備と組織強化が求められます。
ついては、来年度に向けたマネジメント推進室の拡充と部局横断的な連携強化を図りながら、今後具体的な施設再編や計画的保全による長寿命化等を進めていくためには、事業の優先度の判断と連動した予算編成の構築なども必要となってくることから、新たなマネジメント専門部署の設置など、本市に即した実効性のある庁内推進体制の整備を進めるよう要望いたしました。
最後に、本年度中には公共施設等総合管理計画が策定され、今後、計画的な維持管理と施設総量縮減に向け、より具体的な検討が進められますが、中長期的視点に立ち、地域特性に考慮しつつ、多角的かつ効果的な意見集約と情報共有に努め、市民合意形成の取組を進め、将来にわたり、真に必要な公共サービスを最適な形で提供できるように、公共施設マネジメントの着実な推進を求めるものであります。
以上で報告を終わります。