2016年6月定例市議会 代表質問関連質問 小林よしかず議員
防災体制について関連質問
中央消防署建設計画の見直しについて関連質問
防災体制について関連質問
◆小林義和
27番小林義和です。
黒沢清一議員の防災体制について、残された時間で関連質問をいたします。
本日、私、ここに持参をしてまいりましたが、平成28年2月修正の長野市地域防災計画、平成28年4月改定の長野市耐震改修促進計画についてであります。
熊本地震や政府地震調査委員会公表の全国地震動予測地図は最近のことですけれども、長野県神城断層地震は一昨年で、最新知見を集大成した長野県地震被害想定調査報告書は、既に昨年3月に公表され、人口、建物数など社会条件の変化、地震学、地震工学分野の新たな知見の蓄積、国の南海トラフ巨大地震の検討等を踏まえた地震対策の強化を図るため、従来の地震被害想定を見直し、新たに評価された県内活断層も想定地震に追加、糸魚川-静岡構造線断層帯の一部が活動した長野県神城断層地震は、改めて活断層や地震に対する備えを認識する契機となったとして、県、市町村、地域の防災対策の実践的な基礎資料と強調しました。
しかし、長野市地域防災計画も長野市耐震改修促進計画も、地震規模、被害の根拠は、平成22年度長野市防災アセスメントのままで、長野県神城断層地震の教訓や県報告書の成果がなぜ反映されなかったのか、まずこの制定の経過をお伺いいたします。
◎危機管理防災監(西澤清己)
私から、長野市地域防災計画・長野市水防計画についてお答えをいたします。
新計画に反映しなかった理由でありますが、議員御承知のとおり、平成26年11月に長野県神城断層地震が発生し、平成27年3月に県の地震被害報告が公表されております。
一方、本市の地域防災計画・水防計画は、おおむね5年に一度、大幅な見直しを行っており、平成27年度に県の調査報告書を踏まえた防災アセスメントを実施しまして、平成28年度に計画の見直しを実施する計画で進めていたものであります。
本年2月の長野市地域防災計画・長野市水防計画の修正につきましては、国及び県からの土砂災害警戒情報が発表された場合は、直ちに避難勧告等を発令することを基本とする旨の通知並びに氾濫危険水位等の変更など、配備体制に大きく影響する数値等が見直されたこと、また、長野県神城断層地震の影響により、平成27年度は大雨警報や土砂災害警戒情報が例年に比べ多く発表されたこともあり、速やかに見直す必要が生じたことから、5年ごとの大幅見直しに先行して、一部を修正したものであります。
なお、計画を議論した防災会議及びその幹事会において反映しなかったとする2つの内容について、特に意見はございませんでした。
この度の大幅な見直しでは、タイミング的に長野県神城断層地震及び県の調査報告書、いずれの内容も反映することが可能となったことから、より実効性のある計画とするために、平成27年度に実施いたしました防災アセスメント業務へ、県の結果を基とした地区別被害想定調査などの地震災害アセスメント、長野県神城断層地震における被害状況及び被害傾向等のまとめをすることとし、それらの結果を踏まえ、予定どおり平成28年度の計画の大幅見直しを実施するものであります。
◆小林義和
昨年、マスコミも防災計画の見直しや耐震化促進が急務だと報じておりますが、長野市防災アセスメントと県報告書では、被害想定が大きく異なっています。建物の全半壊、死者数は、長野盆地西縁断層帯地震では2万9,003棟、501人が6万8,030棟、1,980人、また糸魚川-静岡構造線断層帯地震では、8,432棟、120人が、3万50棟、600人、マグニチュードや最大震度もそれぞれ7.8、8.5、そして7と大変大きな数字となっております。
計画の根拠の見直しは、本当に急務であります。市長には、熊本地震の教訓も生かして、今後の危機管理防災体制について、どのように行うのか、また長野市都市計画マスタープラン、長野市耐震化促進計画、2,170戸の耐震化の実現の具体化について、28年度は長野市地域防災計画の見直しをするということですが、それぞれお伺いをいたします。
◎建設部長(上平敏久)
先ほど議員さんの質問で、耐震改修の関係についてお答えさせていただきたいと思います。
本計画につきましては、平成27年度末をもって計画期間となることに伴い、昨年10月末に部長会議に諮り、計画の見直しに着手をいたしました。
本計画の改定に当たっては、国の基本方針や昨年11月に示された長野県耐震改修促進計画の改定方針に基づき、長野市総合計画や長野市地域防災計画など、関連部局との協議や、耐震化されていない市有施設の所管課と検討を行うことで計画素案を策定してまいりました。
策定した素案につきましては、本年1月にパブリックコメントを実施し、2月12日の部長会議において、計画の改定を決定したものでございます。
なお、本計画の地震被害想定につきましては、最新の市の防災アセスメントの公表が平成27年度末であったことから、計画素案のパブリックコメントの実施時点では公表されておらず、このため平成22年度の長野市防災アセスメントの地震被害想定としたものでございます。
また、最新の被害想定としなかったことに対する特段の意見はございませんでした。
しかしながら、平成28年3月に改定された長野県耐震改修促進計画は、第3次長野県地震被害想定調査報告書に基づき、目標となる住宅の耐震化率を定めており、本計画は、この長野県の計画と整合を図ることで、耐震化率の目標を定めておりますので、改定した目標については、県計画と同様に最新の被害想定を反映しているものと考えております。
◎市長(加藤久雄)
今後の危機管理防災体制の取組についてお答えします。
現在、長野市地域防災計画については、県の調査報告書を踏まえ、地震被害では最大震度7を想定した防災アセスメントに基づき、見直し作業を進めております。
最大震度7の揺れに襲われた地域の被害は、過去の大震災、そしてこの度の熊本地震を含め甚大であり、現行の計画で採用していた最大震度6強から7に見直された本市の被害想定も、人的被害、建物被害、そして避難者数など大幅に拡大しております。そのための対策、そして対応などにつきましては、私も改めて点検、見直しを行い、拡充していかなければならないと認識しております。
また、この度の熊本地震では、木造家屋の倒壊が多数発生していること、使用できなかった避難所があったこと、支援物資の配送の遅れ、そして住宅の応急危険度判定やり災証明書の発行の遅れなど、幾つもの課題が伝えられております。これらを踏まえますと、今後は住宅耐震化の促進、安全な避難所の確保、支援物資配送体制や被害建物の現地調査体制などに重点を置き、取り組んでいかなければならないものと感じております。
いずれにいたしましても、常に危機感を持ち、市民の皆さんと共に、いつ起こるか分からない災害に対し、災害への備えを怠ることなく、市民と共に災害に強いまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎都市整備部長(轟邦明)
私からは、都市計画マスタープランにおける防災計画についてお答えいたします。
現行の長野市都市計画マスタープランは、平成19年に策定され、おおむね10年を経過したことから、昨年度から2か年かけて改定作業を進めています。
その間、東日本大震災や長野県神城断層地震、さらに今年4月には熊本地震が発生し、市民の防災意識、関心はますます高まっており、まちづくり、都市計画の分野においても、地震等による都市災害の防止が重要視され、防災・減災対策の取組が求められています。
昨年度までに取りまとめた全体都市づくり構想では、防災都市づくりの方針を大きな柱の一つとして掲げております。この中では災害に強い都市構造の形成を図るために、地域の防災能力の向上、総合的な治山・治水対策等の推進、地域主体の危機管理体制の形成の3つを基本方針といたしました。
また、具体的な整備方針としては、広域拠点と地域拠点では、災害に強い都市基盤整備を図るとともに、緊急避難や災害支援のための幹線道路ネットワークの構築と無電柱化、沿道建築物の耐震化の推進、防災機能を備えた広域避難場所の整備や避難経路などを、分かりやすく体系的に整備することを計画に盛り込んでまいりたいと考えております。
◎建設部長(上平敏久)
長野市耐震改修促進計画の見直しと目標2,170戸の住宅耐震化実現の推進についてお答えをいたします。
本計画につきましては、先ほども申し上げましたとおり、国の基本方針や長野県耐震改修促進計画の改定方針に基づき、計画期間を5年間延長し、対象となる建築物や目標となる耐震化率を定めたものでございます。
本年3月に改定した県計画では、第3次長野県地震被害想定調査報告書により想定される地震の規模や想定される被害状況を反映し、住宅の耐震化率の目標を90パーセントとしております。
本計画につきましては、目標となる耐震化率を、この県計画と整合を図ることで、今回、見直しをしたものでございます。
今後、長野市地域防災計画などの改定により、新たに目標の見直しが必要になった時点で、本計画を見直してまいりたいと考えております。
次に、目標2,170戸の住宅の耐震化の実現の推進につきましては、一昨年の長野県神城断層地震や本年4月の熊本地震により、本市においても住宅の耐震化への要望が多く寄せられており、住宅の所有者が自ら耐震化に取り組もうという機運は高まっております。
市では今後、木造住宅の無料耐震診断により、住宅の耐震化への啓発を継続して行うとともに、耐震化が進まない阻害要因となっている高額な耐震改修工事費に対する補助額の増額を、国や県に対し要望してまいります。
また、耐震化に必要な新たな施策や取組などの構築に向けても、引き続き検討してまいりたいと考えております。
◆小林義和
直下型地震の死者は、圧倒的に建物倒壊の圧死が多いんですね。そういう中で、耐震化は鍵になるわけですが、長野市の耐震化率は、全国平均よりはるかに低くなっておりますし、内閣府の世論調査で、住宅耐震化はお金が掛かるというのが51パーセントで、圧倒的に多いんです。
先ほど黒沢清一議員も指摘をいたしましたシェルター型耐震の補助も含めて、本当に公的補助の強化を進めていただくように、改めてお願いをしておきたいと思います。
中央消防署建設計画の見直しについて関連質問
◆小林義和
続いて、中央消防署建設計画の見直しですが、私どもは一貫して中央消防署建設計画のリスクを指摘してきました。
私は平成27年都市計画審議会で、長野盆地西縁断層直上の本計画の都市計画決定に反対しました。論点は、長野県神城断層地震の教訓や県地震被害想定報告書を見て判断すべき、活断層が動けば倒壊の危険は明白、また周辺の住宅、道路など甚大な被害状況下で消防署が機能するのか、勤労者福祉センター跡地利用が先にありきだったのではと質問いたしました。
答弁は、長野市の判断は県とは別の指標、地震発生確率上、この断層は被害想定されない、中心市街地の消防体制再編成に未利用の勤労者福祉センター跡地は最適だ等でありました。
熊本地震でも多くの防災拠点が機能停止しました。活断層の上の建設は中止をすべきです。見解を求めます。
◎消防局長(瀧澤親男)
中央消防署庁舎整備についてお答えします。
本事業は、昨年12月市議会におきまして、建築主体工事等の契約締結について議決をいただき、工事に着手をいたしました。
現在、基礎工事と一体化した鉄筋コンクリート造の1階部分のく体工事もほぼ完了した状態で、今後、上階の鉄骨工事に入っていく状況でございます。
次に、長野県地震被害想定調査報告書についてですが、この報告書は、県内の主要活断層による地震を想定した各市町村の被害予測が詳細になされておりましたが、市内の個別地域を評価したものではないため、この報告書の内容は、本事業に直接影響するものではないと考えております。
次に、有事の際における消防署機能につきましては、庁舎の構造上の強度を高めている他、外構工事においては、土留めの整備、2方向の通路確保などについても対応しております。
また、被害が多いと想定されるエリアに拠点整備をすることは、災害対応における迅速性が向上し、効果的とも考えております。
次に、勤労者福祉センターの跡地利用については、新たな地域での救急業務の開始要望、中心市街地への消防力の均衡化など、今後の効果的な体制を検討した結果、未利用地検討委員会で検討されていた事業地が、位置及び敷地面積等最適で、他に同規模で同程度の消防効果を発揮できる場所はないものと判断したものでございます。
昨年の救急出動件数は1万8,902件で、過去最高件数を更新し、今後も更に増加が見込まれますので、救命率の向上や各種災害からの被害を軽減させるため、より効果的な消防体制を確立し、市民の安全・安心の負託に応えてまいります。
◆小林義和
平成24年、四日市市の河原田小学校は、新校舎建設予定地に活断層が発見され、直ちに建設位置を変えました。
徳島県は、多数の人が利用する建築物等の新築、建替え時には、活断層直上を避ける条例を初めて制定いたしました。
私は、この勤労者福祉センター跡地については、ひまわり公園と一体化して、善光寺地震や断層を学ぶ防災記念公園、緑地帯とするよう提案をしたいというふうに思いますが、30年後、100年後の市民に、当時の市議会と市長が正しい決定をしたと言われるように、今年、平成28年度、地域防災計画の再検討を含めて見直しをされるよう、心から強く申し上げて質問を終わります。よろしくお願いいたします。