2016年6月定例市議会代表質問 黒沢清一議員
市長の政治姿勢について
就学援助の問題について
全国学力テストについて
教職員の長時間過密労働について
図書館職員の労働条件について
防災体制について
市長の政治姿勢について
◆黒沢清一
13番、黒沢清一です。
日本共産党長野市会議員団を代表して質問を行います。市民の皆さんの切実な願いを実現する立場で質問を行います。
最初に、市長の政治姿勢について伺います。是非真摯な御答弁をお願いいたします。
加藤市長は安保法制に対して、12月市議会では、法成立後も国民に丁寧に説明し、理解を得ていくことが大事とし、3月市議会では、安倍政権について、おおむね評価する点は何ら変わらないと答弁しました。安倍首相は国会答弁や会見で、海外での武力行使を無条件で可能にし、公の秩序優先で、国民の基本的人権を制約する自民党改憲案を選挙で示していきたいと明言しています。安倍政権による憲法破壊の政治を許していいのかが、今問われています。
そこで、改めて伺います。
安倍政権の立憲主義を壊す安倍政治への評価と明文改憲についての加藤市長の見解を伺います。
次に、アベノミクスと消費税について伺います。
消費税が開始されからの28年間、社会保障が向上しないことは明らかです。事実上、法人税減税の穴埋めにされてきました。消費税と社会保障の財源をリンクするという、こういう考え方は決別すべきであります。税の集め方は消費税に頼るのではなく、アベノミクスでもうけた大企業にこそ応分な負担をしていくべきであります。例えばトヨタは、この1年間で内部留保を1.2兆円増やし、減税は5,500億円にも上りました。その一方で、労働者の賃金は、5年間全く上がっていません。個人消費もこの2年連続でマイナスです。
その中で安倍首相は、消費税10パーセントは2年半先送りせざるを得ませんでした。軽減税率導入ではなく、増税はきっぱり中止が必要ではありませんか。消費税増税についての見解とアベノミクスの破綻について認めるのか、加藤市長の見解を伺います。
次に、沖縄の辺野古基地建設の強行に関連して伺います。
沖縄県うるま市で起きた元海兵隊員の米軍属による女性遺体遺棄事件に対して、安倍首相は5月25日、厳重な抗議、再発防止、これは述べましたが、県民の多くが望んでいる基地撤去はおろか、最小限の緊急要求である日米地位協定の見直しも提起もしませんでした。
翁長知事は、首脳会談の前の23日に安倍首相と会談し、綱紀粛正、徹底した再発防止をなどというのは、この数十年間、何百回も聞かされたが、現状は全く何ら変わらないと批判しました。
6月の沖縄県議選では、改めて審判が示され、沖縄に基地は要らない、辺野古への新基地建設は許さない、普天間基地は直ちに撤去せよ、これがオール沖縄の声になっています。
しかし、開票日の翌日、菅官房長官は、辺野古基地移設が唯一の解決策と述べています。県議選で示された民意を無視した政府の姿勢について、加藤市長の見解を伺います。
また、辺野古新基地建設と日米地位協定の見直しに対する加藤市長の見解を伺います。
◎市長(加藤久雄)
初めに、憲法改正に関連した御質問にお答えいたします。
改めて申し上げるまでもなく、憲法は我が国の最高法規であり、現政権においても、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義といった憲法の基本理念に立って政策を執り行っているものと考えております。
一方で、憲法について議論することは、この国の将来を考える上で必要なことであり、国民の幅広い議論を経る中で、改正の必要が生じたときは、正当な手続を経て改正されるものと考えております。
政権への評価につきましては、これまでも申し上げてきたように、個々の政策や事象で判断するのではなく、総合的に判断すべきものであり、そうした点から申し上げれば、おおむね評価するとしたこれまでの考えに変わりはございません。
次に、消費税増税の見解についてお答えいたします。
喫緊の課題である国の財政再建や、人口減少社会における社会保障制度を着実に次世代に引き渡し、子育て支援などを充実させ、安定的な行財政運営を実施していくためには、消費税の増税自体については、やむを得ないものと考えております。
ただ今回、政府は、世界経済が直面するリスクを勘案し、税率改定を2年半先延ばしといった判断を行いましたが、これも現状ではやむを得ない面もあるのではないかと考えております。
今後とも政府などにおける議論の動向を見守ってまいりたいと思います。
次に、アベノミクスに関する御質問にお答えいたします。
6月2日に閣議決定されたいわゆる骨太の方針においては、アベノミクスの取組の下、実質賃金が上昇するなど、雇用・所得環境は大きく改善し、我が国経済は、経済再生、デフレ脱却に向けて大きく前進しているものの、中国の成長鈍化、資源価格の下落などを背景に、世界経済の不透明感が増し、国内経済も個人消費や設備投資といった民需に力強さを欠いた状況となっているとされております。
私といたしましても、中小、小規模事業者など、まだまだアベノミクスの恩恵を十分に実感できていないという状況を踏まえると、今後、アベノミクス効果が更に波及していくことを期待しつつも、いまだ道半ばであると感じております。
引き続き骨太の方針に基づく施策について、しっかりと取り組んでもらいたいと考えております。
次に、アメリカ軍普天間飛行場機能の名護市辺野古への移設につきましては、移設を巡る訴訟の和解を受けて、現在、国と沖縄県が協議を行っているところであり、双方にとりましても、よりよい方法が見出せることを期待するものであります。
次に、日米地位協定の見直しにつきましては、沖縄県のみならず、アメリカ軍提供施設などが所在する全国の地域にとって、重要な課題であると認識しております。国は関係地域の声をよく聴き、適切に対応していくことが望まれると考えております。
私の方からは以上です。
◆黒沢清一
最初に、消費税の問題については、アベノミクスと同時に、今、御答弁のあったことについては、安倍首相の会見などでお話ししていることと、ほぼ同じではないかなと思います。というのは、市長が今言われたように、実質賃金は、残念ながらこの5年間、全く上がっていません。しかも、安倍首相がよく使う、雇用が増えたという中身は、実際には確かに非正規雇用が160万人以上増えて、正規雇用が36万人減っていると。やっぱり中身をしっかり見ていく必要があるのではないかなというふうに思います。
それから、アベノミクスについては道半ばだという、これもよく使われる言葉なんですが、私たち国民は、この間、何回も期待をして、何回も待ってきました。ところが全く、国民は待っても待っても恩恵がないと。これも事実だというふうに思います。
ですから、やはりアベノミクスについては、この道しかないではなくて、この道は非常に危ないという認識に、是非立っていただきたい。
それから、沖縄の辺野古基地移設の問題についてですが、明確にオールジャパンで沖縄に基地は要らないということでありますから、日本政府もしっかりと、アメリカ政府も沖縄県民の皆さんに要求すべきではなくて、日本政府は、しっかりとアメリカ政府に対して要求をしていっていただきたいと思います。
再質問ですが、市長は安倍政権の改憲について、明確な答弁がなかったと思いますので、是非その点について評価をお願いしたいと思います。
◎市長(加藤久雄)
明確な答弁がないということでございますが、やはり憲法につきましては、今現在は、先ほど申し上げましたように、我が国の最高法規であり、現政権におきましても、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義といった憲法の基本理念に立って政策を執り行っているものと思っております。
憲法につきまして議論することは、国の将来を考える上で必要なことでございます。先ほどお話ししたように、国民の幅広い議論を経る中で、改正の必要が生じたときは、正当な手続を経て改正されるものと考えております。
どちらにいたしましても、国は国民の生命、財産を守ると、そういう観点に立って対応していってもらいたいというふうに思っております。
以上でございます。
就学援助の問題について
◆黒沢清一
明確な答弁がありませんでしたが、次へ移ります。
就学援助の問題についてです。
私は、12月市議会、3月市議会で、就学援助の新入学生徒学用品費、修学旅行費の事前支給を求める質問をいたしましたが、改めて事前支給を求めます。
板橋区では2011年3月から入学前の事前支給となりました。板橋区では予算的なものが増えるわけではないので、財政課を説得しやすかった、こういう理由であります。
さらに、新潟市でも、既に御紹介したように行われております。新潟市でも当初、リスクが大きいと受け入れませんでしたが、しかし、リスクはあるが、支給時期が大切と、保護者の立場に立って実施に踏み切りました。
長野市でも、事前支給の一日も早い実施を検討するよう、見解を求めます。
◎教育次長(松本孝生)
お答えいたします。
就学援助制度は、子供の教育を支える大切な制度の一つでございます。
本市では昨年度、中学生への新入学生徒学用品費として、423人に合計で約996万円、修学旅行費として、482人に合計約2,653万円を支給しております。
就学援助制度の趣旨を踏まえ、経済的にお困りの保護者を援助するには、できる限り直近の経済状況により審査する必要があり、6月以降に明らかになる前年度の所得を基準としておりますことから、申請しても認定されない場合がございます。
このため、新入学生徒学用品費の事前支給については、受給者が入学前に市外へ転出した場合など、約2万3,000円の返納金が生じ、回収が困難なケースが発生する等の課題もございます。
また、修学旅行費については、支給金額は修学旅行の後でなければ確定することができません。就学援助の仮認定を行うことや、修学旅行費の見積金額で支払うという方法も考えられますが、認定されなかった場合には、約5万円を超える多額の返納金が生じるケースが発生したり、見積金額に基づき事前に支給した場合には、精算に当たって保護者や学校に混乱を来すおそれもございます。
以上のことから、新入学生徒学用品費、修学旅行費の事前支給については、実務上の問題も多く、難しいと考えております。
なお、医療費につきましては、児童・生徒の安全や健康面から最優先すべきことと捉え、仮認定により医療券の交付を行い、できる限りの配慮をしているところでございますので、御理解をお願いいたします。
◆黒沢清一
今、御答弁のあったリスクについては、これは十分に学校も保護者も、当然理解できるものだというふうに思います。それは大前提です。
それで、医療費のことを言われましたように、やっぱりこの就学援助費についても、是非、保護者、子供の実態も見ていただいて、中学入学前に多額の費用を払わなくてはいけないと。親戚や親類の皆さんに頭を下げて借りてくるという実態があるわけなんですよね。ですから医療費と同じように、是非これは再検討をお願いしたいと思います。
全国学力テストについて
◆黒沢清一
次に移ります。
全国学力テストに関わってですが、安倍政権によって全国学力テストが再び全員調査方式になって4年たちました。県や市の一斉テストも拡充され、子供たちはテスト漬けの日常を送っています。
そもそも測られるのは真の学力か、問題は適切な内容か、検証がなされないまま、結果のみが独り歩きし、権威付けられています。
点数教育は特に下位の自治体で激化して、沖縄では、学校行事すら削減する、すさまじいテスト対策がなされています。
最近は、更に秋田、福井などを先進県としてモデルとする県が増えています。今、全国の学校では、授業方法の型どおりなマニュアル化も進んで、教師の創意工夫や教え方の自由が奪われて、実際には低学力の背景にある子供たちの貧困も、軽視される傾向にあります。過去のテスト問題集を使って事前学習をする学校も広がっています。
馳浩文部科学大臣は、とんでもないことで、教育委員会が点数に過敏になっていると批判しました。とんでもないことを招いたのは文部科学省、政府ではないでしょうか。
このまま続ければ、昭和30年代に行われ、学校現場に混乱をもたらした全国学力テストの二の舞になりかねません。全国学力テストは中止すべきと考えますが、市教育委員会の見解を求めます。
◎教育次長(熊谷久二彦)
全国学力・学習状況調査についてお答えいたします。
全国学力・学習状況調査は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童・生徒の学力や学習状況を把握、分析、そして教育施策の成果と課題と検証し、その改善を図ることや、学校におきましては、児童・生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てることを目的として行われています。
公教育は、ひとしく教育を受ける権利を保障し、全ての子供に対し、確かな学力を育む役割がございます。
そのためには、児童・生徒の学力の実態を的確に把握するとともに、検査結果を分析し、指導改善に生かし、学力の定着につなげるという継続的なサイクルの確立が大切であります。全国学力・学習状況調査は、そのサイクルの確立のために、大切な調査の一つであると考えております。
結果につきましては、本市においては、平均点のみを成果として見るのではなく、個々の児童・生徒への実態に応じた指導につなげていく、このことを大切に考えております。
また、調査と同日に行われます質問紙調査の項目、児童・生徒の意欲、態度の結果にも注目し、しなのきプラン29の中で、大切にしたい資質、能力として位置付けております。そして、その検査結果との相関について、分析、検証しております。
今後とも全国学力・学習状況調査を、本市の児童・生徒の実態把握と指導改善のサイクルの中でよりよく生かすとともに、学力を保障する取組につなげてまいりたいと考えております。
◆黒沢清一
今の答弁の中で、実態把握ということが強調されましたが、実際には現場で何が進んでいるのかということを、是非つかんでいただきたい。
先ほど申し上げたように、事前学習とか宿題が、かつてなくこのために行われているというふうに見られても仕方ないものが増えたり、ですから、現場で、是非この学力テストなどに掛けるお金よりも、半日でも支援員の加配や配置を求めるという声が非常に大きいわけですから、是非、現場の声を聴いていただきたいと思います。
教職員の長時間過密労働について
◆黒沢清一
次に移ります。
中学校の部活動ですが、教職員の長時間過密労働は、もう御存じのように大変深刻です。中でも中学校の部活動の顧問を断りにくい、特に青年教職員は、長時間労働が深刻です。月100時間を超えて残業している青年も多くいます。朝の部活動を自主練習と称して、長野市では事実上行われて、教職員の長時間労働の一因にもなっています。上田市、松本市では、実質的にありません。
文部科学省は、中学校や高校の部活動の過熱化が、成長期の子供を苦しめて、教職員の多忙化を招いていることに対して、来年度をめどにガイドライン作りを計画していることが分かりました。
長野県も平成26年2月に長野県中学生期のスポーツ活動指針を策定し、生徒一人一人に応じた指導の改善や運営体制の整備等の考え方を示しました。
長野市教育委員会もリーダーシップを発揮して、部活動の朝練習を廃止すべきではないでしょうか。
また、長野県松本市では、土日の活動はどちらか1日休養とするとしていますが、長野市も実質的な休養にすべきではないでしょうか。市教育委員会の見解を求めます。
◎教育次長(熊谷久二彦)
朝部活の廃止と土日の実質的な1日休養について、私からお答えいたします。
中学校の部活動につきましては、各中学校に対しまして、議員御指摘のように県が策定した指針に沿った活動基準を定め、県の指針を尊重した運営となるように指示してきております。
しかしながら、朝の部活動につきましては、スクールバス等により活動時間の制約がある中山間地域の学校や、冬期間、早目に下校することが必要な学校など、放課後の部活動の時間の確保が困難な場合がある学校においては、指針に沿い、1日の総活動時間が2時間、長くても3時間となるように設定した上で活動しております。
また、朝の部活動を実施する学校では、その分、放課後の部活動の時間を縮減し、より生徒の下校が早くなるように配慮しており、この点は教職員の業務の改善にもつながるものと考えております。
週末の部活動につきましては、全ての中学校で土日のどちらか1日を活動する日と決めております。しかし、昨年度の調査では、大会の前等の事情により、両日とも活動した場合、代替休養日を設定した学校は、長野市内24校中21校であり、代替休養日が未設定の学校につきましては、確実に設定するよう、学校長を通じて教職員に周知し、指導してまいりたいと思います。
いずれにしましても、部活動の適切な運営に向けまして、今年度、既に校長会との協議を始めておりますが、引き続き校長会との連携を進めるとともに、定期的な調査による実態把握に努めるなど、継続的に取り組んでまいりたいと思っております。
加えて、各中学校区に設置しておりますスポーツ活動運営委員会においても、中学生期のスポーツ活動の在り方や指導体制、地域スポーツクラブとの協力による運営等について協議する中で、何より生徒にとって望ましい部活動の在り方、また教職員の負担感を軽減する工夫を見出していくことができるものと考えております。このスポーツ活動運営委員会がより充実したものとなるように、教育委員会としても指導をしていきたいと思っております。
◆黒沢清一
一定の軽減策については、分かります。
ただ、例えば青年教職員が100時間、120時間を超えて勤務をせざるを得ない実態、一月の間に本当に土日が1日あるかないか、こういう実態は御存じですか。
◎教育次長(熊谷久二彦)
お答えいたします。
教職員の勤務時間の調査が、例年行われております。その実態につきましては、教育委員会といたしましても、例えば各校の平均的な勤務時間については把握し、また、長時間にわたる勤務をしていらっしゃる教職員がいることも承知しております。この点につきましては、各学校長を通じまして、業務の改善、またその点につきましての指導、支援を、ただ今もやっておるという経過でございます。
◆黒沢清一
是非、現場の実態、本当に悲鳴、若い人だけではありませんけれども、特に若い人は断れないのですから、実態を是非よくつかんでいただきたいと思います。
図書館職員の労働条件について
◆黒沢清一
次に移ります。
図書館職員の労働条件についてでです。
私は3月市議会で学校図書館職員の労働条件について質問しましたが、再度質問し、改めて改善を求めます。
学校図書館に人がいる、いないでは、全く大きな違いがあります。しかも、学校図書館職員の仕事は学校でも重要な位置を占めています。
ある学校図書館職員の先生の体験です。若い皆さんや卒業生が図書館に見えて、たまに学校図書館の司書の先生を目指したいと。司書の先生になるにはどうしたらいいのかと、こういう質問をされるそうです。そのときに、その司書の先生は答えができないと。是非勧めたいんだけれども、答えに詰まってしまって、今の雇用条件では、とても勧められないと。
松本市や伊那市、上田市のように、学校図書館職員は市の雇用とすべきだと考えますが、いかがですか、見解を求めます。
◎教育次長(熊谷久二彦)
図書館職員の労働条件についてお答えいたします。
今まで会ってきた図書館の先生は、みんないい人だった、ある中学生の言葉であります。集団行動が苦手なその生徒が、学校の中で最も親しんだ場所が図書館でした。転校、進学、数人の学校司書に出会いましたが、どの学校司書も、穏やかにその生徒を迎えてくれたそうです。
この生徒は、休み時間や放課後に学校司書と会話を交わすのを楽しみに学校生活を送り、無事卒業、進学していきました。
学校司書は、司書教諭と協力し、図書の貸出しや購入等の事務を行い、図書館運営の正に担い手になっていただいております。
また、議員御指摘のとおり本来の業務にとどまらず、温かく明るい雰囲気に図書館を整え、児童・生徒の気持ちに寄り添って学校生活を支え、学校ではもはや不可欠な存在となっている方もいらっしゃいます。
このような人材をどの学校でも確保し、児童・生徒にとって行きたい図書館を実現できるように、市教育委員会では補助金を学校に交付することで、支援してまいりました。
現在、全小・中学校で、一部の兼務校を除き、学校司書が毎日、一定時間勤務できるようになりました。
しかし、図書館法の改正によりまして、学校司書の役割は増し、校長が学校司書に業務を委託する現在の雇用形態では、旅費が支給できない、研修の機会も十分ではないなど、課題があることも認識しております。
昨年は学校司書への聞き取り調査を行いまして、現在その課題について、まとめをしているところでございます。
今後は全国的な学校司書の配置状況、また他市の勤務条件等も参考にして、研究をしてまいる所存でございます。
◆黒沢清一
ある事例ですけれども、ある学校で司書の先生が、もうこれで辞めたいと。しかし、後任が見つからなくて、半年も1年も続けざるを得なかったという事例もあるんですよね。
これはなぜかというと、次の方がなかなか決まらないと。決まらないというのは、やっぱり労働条件が高校生のアルバイト以下だという、そういう事例もあるわけですから、是非これは急いでいただきたいと思います。
防災体制について
◆黒沢清一
続いて、防災体制について質問します。
なお、後ほど日本共産党長野市会議員団の小林義和議員が関連質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。
熊本市立石原小学校は市の指定避難所。校庭に置かれたホワイトボードには、注意書きある。体育館には入れますが、天井が落ちるかもしれませんと。同小学校は地震で落下するおそれがあるつり天井のため、今年7月から改修予定でした。熊本市は、市内の小・中学校校舎や体育館を倒れないようにする耐震化を、2013年までに終えました。しかし、国の指針で、学校耐震化の強度が首都圏よりも1割も低くなっています。この割引率は、国が過去の地震の強さなどを基に決めて、1980年以降、ほとんど改定していません。長野市の実態を伺います。
また、避難所となる小・中学校について伺いますが、小・中学校が避難場所になったときの運営のマニュアルについて伺います。
また、避難所になっている小・中学校の備蓄基準と計画について伺います。
また、住宅リフォーム補助制度を実施する、これも少なくともシェルター機能として耐震補強工事が可能だと思いますが、これについても伺います。
また、中山間地の備蓄計画、孤立集落になった場合の備蓄計画について、避難方法についても伺います。
◎教育次長(松本孝生)
防災体制についての御質問のうち、小・中学校に関係する事項についてお答えいたします。
耐震化の強度の割引率とおっしゃられたのは、地震地域係数のことと存じますが、この地震地域係数は、構造設計をする際に用いられる数値の一つで、その地方における過去の地震の記録に基づく地震被害の程度や、地震活動の状況などに応じて、国土交通大臣が1.0から0.7までの範囲において定めた数値でありまして、長野県は首都圏と同じく1.0でございます。
また、建物の耐震性能を表す指標としてはIs値があり、一般施設につきましては、Is値0.6以上、学校施設につきましては、児童・生徒の安全確保や災害時の避難場所としての機能・役割を担っているため、Is値0.7以上を確保することとされております。
市内小・中学校につきましては、これまでにIs値0.7を満たさない施設の改築又は耐震補強工事を行ってきておりまして、耐震化率は現在、99.7%となっております。
御質問の中にありました、熊本市において、体育館の天井が落下するおそれがあることから、避難所として使用ができないという事例でございますが、本市小・中学校の体育館及び武道場のつり天井につきましては、順次対策をしておりまして、計画では来年度、終了する予定でございます。
次に、お尋ねにありました小・中学校が避難所となったときの運営マニュアルにつきましては、長野市地域防災計画に基づき、整備をしてございます。
◎危機管理防災監(西澤清己)
私から、避難所になっている小・中学校の備蓄基準と計画についてお答えをいたします。
現在、市内には30か所に防災備蓄倉庫を整備しており、そのうち19か所については、避難所に指定されている小・中学校等に、残りの11か所は、避難所に設置をしております。
防災備蓄倉庫は、避難所に指定されている小・中学校の敷地を中心に、年間おおむね2棟ずつ整備をしております。平成25年度からは、設置の済んでいない小・中学校の空きスペースに、水や食料の他、避難所開設初期に必要な資機材として、毛布や間仕切りなどを配置しているもので、現在、27か所、配置済みとなっております。
現在、避難所になっている小・中学校78校のうち、46か所について避難所を開設するための何らかの備蓄を行っていることになります。あらかじめ避難所には必要な物資を備蓄しておくことにより、避難所開設の迅速化及び省力化が図られることになりますので、今後とも避難所への備蓄を加速してまいります。
次に、各家庭における備蓄についてお答えをいたします。
市では、災害用の備蓄食料として、現在、約17万食の備蓄を行っていますが、長野市地域防災計画で定める地震発生1日後に想定する避難者数6万2,118人分の食料を賄うと、3食に満たない状況であり、応援協定に基づく食料品や生活物資の調達までの一時的な食料備蓄を、最低でも3日分お願いしているところであります。最近では、ふだんからペットボトルの水や缶詰、レトルト食品など、よく使い、保存がきく食料などを多目に買っておき、古いものから消味をし、消味した分を買い足すローリングストックという備蓄法が広まっているなど、日頃から市民の皆様に防災意識を高めていただく方策について、今後とも啓発を進めてまいりたいと思います。
孤立集落に関わる計画等のうち、初めに備蓄の関係でございますが、現在のところ中山間地の支所等の拠点16か所に、水や食料、発電機や投光器、炊き出しセット等の備蓄を行っている他、47か所の地区公民館等に水や食料の備蓄を行っております。
昨年度は中山間地の停電対策として、一部支所において発電機の数を増やすなど、これからも必要な対策の強化を図ってまいります。
次に、避難路の確保についてお答えをいたします。
大規模地震では、道路の亀裂や崩壊、地滑り、家屋やブロック塀などの倒壊等により道路が寸断され、避難路等の確保ができない場合、支援物資の運搬が困難となる場合が想定されます。
発災直後については、地域における自主的な避難場所へ避難するのが想定されますけれども、その避難路の確保については、地域の特性に合わせて避難経路や方法などについて、家族や地域で話し合うとともに、地域防災マップの作成などを通じて、より安全な経路等を確保していただくようお願いしているところであります。
また、ある程度広域的な避難が必要になり、市が避難勧告等を発令した場合には、開設する避難所と併せて、避難の経路又は通行できない経路についてもお知らせをいたします。
併せて、建設部が中心となり、道路状況の情報収集を行い、道路等においては、倒壊や崩壊により早急に除去をする必要がある障害物について、協定の締結先である長野市建設業協会に協力を要請し、除去作業を行い、避難路を確保してまいります。
また、今年度から運用しております長野市総合防災情報システムと行政地図情報--公開GISですけれども、情報連絡を図りまして、避難勧告の発令の地域や開設している避難所、道路被害箇所など、災害に関する情報を市民の皆さんへ提供することが可能となっております。
いずれにいたしましても、被害の状況に応じまして、適時適切な情報提供と応急対策に全力で対応してまいります。
◎建設部長(上平敏久)
私から、シェルター機能として、建物一室を耐震化するための住宅リフォーム補助制度を実施することが有効との御意見についてお答えをいたします。
市民の生命や財産を守ることを目的とした、住宅を耐震化するためのリフォーム補助制度としましては、平成17年度より国や県と連携しながら、耐震壁の設置をすることで建物全体を補強する工法に対し補助を行っております。
建物の一室を部分的に耐震化する耐震シェルターなどの工法につきましては、家屋倒壊による火災の発生や避難路の閉塞を未然に防止する効果が余り期待できないことや、国の補助制度の対象となっていないことから、現在、耐震改修工事補助の対象とはしておりません。
なお、住宅の耐震化への課題として、耐震改修に掛かる費用が高額となっていることを踏まえ、遅れている住宅の耐震化を更に促進するため、国や県に対し、耐震改修工事に対する補助額の増額など、必要な支援策を要望してまいりたいと考えております。
また、今後、建物の一室を部分的に耐震化する耐震シェルターなどの工法の防災上の有効性について、国や県の動向を見ながら研究してまいりたいと考えております。
◆黒沢清一
午前中の答弁の中で西澤防災監は、シェルターについては、有効な一つの方法だという御答弁があったんですから、また是非検討を進めていただきたい。
では、この後は関連質問、小林義和議員に交代いたします。