2016年6月定例市議会 野々村ひろみ議員
保健所の統合問題について
介護保険の改正に伴う新しい総合事業の課題について
長野市のまちづくりについて
災害対策について
子育て支援について
保健所の統合問題について
◆野々村博美
26番、日本共産党長野市会議員団、野々村博美でございます。
最初に、保健所の統合問題について伺います。
長野市は、中核市移行後、保健所を設置し、保健センター機能を生かして市町村業務と保健所業務を分けず効率的に実施をし、特に今年度からはながの版ネウボラ事業もスタートし、妊娠、出産から育児までトータルで支援できる仕組みを立ち上げていただいたところです。
また、犬猫の殺処分ゼロを目指す取組は全国的にも大きな影響を与え、更に感染症の発生に対しては自前で検査を行い、結論を出し、直ちにその周知、対策をとることができるなど、市保健所の体制は非常に優れたものがあります。
今回、改めて長野県保健所と長野市保健所の共同設置について検討する中で、一つ一つの業務の確認が行われ、県保健所と市保健所の住民へのサービスの違いが明確化され、長野市保健所の優位性が浮き彫りになりました。ところが、昨年9月の第2回検討会議に出された共同設置組織フレーム案によれば、3案示されていましたが、現職員数は県が45人、市が79人、合計124名ですが、どの案でも110人か111人で、現行より大幅な人員削減となっています。今後、新たな感染症の発生など懸念されているにもかかわらず、環境衛生試験所の人員が大幅な減となっています。
長野県保健所には、東北信と中南信に各1か所、合計2か所の検査機関しかありません。長野市は、自前の環境衛生試験所を設置し、責任を持って市民の健康を担っています。共同設置によってこの部門が統合されれば、東北信全てを対象とすることになり、担当地域は広大になり、その上人員が大幅に削減されるとなれば、長野市民へのサービスの後退になることは明らかではありませんか。さらに、市町村業務とも重なる健康課の職員減も顕著です。これでは、中核市移行に伴い、長野市が築き上げてきた保健福祉機能の大きな後退になってしまいます。見解を伺います。
また、犬猫の殺処分ゼロの長野市方式を県保健所の管轄地域まで長野市が責任を負うとなれば、施設整備だけでも莫大な経費が掛かります。さらに、現在別々の台帳管理システム、システム運用しているネットワークを統一するにも莫大な経費が掛かります。経費はどのように検討されるのか、経費負担はどのように検討されているのか伺います。
◎保健福祉部長(田中幸廣)
野々村議員御指摘の共同設置組織フレーム案は、平成25年度の長野県職員による政策研究からの提言を受け、平成26年度から27年度に開催された県と市の職員による事務レベルの検討会議における検討のための一資料でございます。人事ヒアリングなどの作業を経たものではなく、資料に記載のありますとおり、未定稿となっているものでございます。
この資料で示されております共同設置後の職員数の算出方法は、保健所長以下管理職及び係長職を機械的に統合し、各係員数を単純にそれぞれ1名ずつ削減したものです。過日、議会にもお示しいたしました約400ある保健所事務事業の具体的な事務処理体制を検討、協議して算出したものではなく、飽くまでも機械的に算出したものでございます。
共同設置の検討に当たっては、今後、組織や人員体制について改めて県と検討、協議を行うことになります。効率化と経済性の向上も視点の一つではありますけれども、長野市の独自性を担保し、市民サービスの維持向上につながるようにするを基本的な考え方として、より良い組織や人員体制が打ち出せるよう協議に臨んでまいります。
次に、財政負担についてお答えいたします。
施設整備につきましては、組織や人員体制の検討とともに、共同保健所の設置場所をどこにするのか、今後県と協議を進めてまいりますので、その中で必要となる施設の整備費や運営経費の負担の在り方につきましても、併せて調整、協議してまいります。
また、県と市で現在別々の運用を行っている業務システムにつきましては、共同処理開始当初は現行のシステムをそれぞれ継続して使用し、システムの更新時期を見極めつつ、県、市一元化したシステムを導入してまいりたいと考えております。その際、県と市が応分の負担をすることで、独自で更新するよりも経費が削減できると想定しております。
いずれにいたしましても、これら財政負担の在り方につきまして、今後県と調整、協議を進めてまいります。
◆野々村博美
職員数の配置については、機械的にやったものだということでしたけれども、長野市の職員課からは、この共同設置によってメリットがあるという意見が出されておりました。保健所側からは、メリットがあるのか、なかなか市民は納得しないだろうという発言がこの中ではされていました。人員削減に向けて準備をされていることは明らかではないでしょうか。当初は一緒にスタートしたとしても、10年後、20年後、大きな負担、大きな人員削減が行われることが非常に心配であります。できることであれば、職員課、総務部の方からもしお答えがあれば、お願いをしたいと思います。
それから、経費負担のことなんですけれども、県と調整を行っていくということですが、県と調整を行うべきことではないんじゃないでしょうか。これによって掛かる経費は全て県に負担していただくというような態度をとっていただくのが長野市としては当然のことではないかと思うんですけれども、その辺についても再度御答弁をお願いいたします。
◎総務部長(小川一彦)
保健所関係の職員の人数、配置等につきましては、まだ具体的な話をしているわけではございませんので、私が今お答えすることは特にございません。
◎保健福祉部長(田中幸廣)
県の管轄地域に関わる業務につきましては、基本的には県が負担するものだと思いますので、その点は当然、私どもは県の方にそういうことは申し上げております。
◆野々村博美
しっかりと長野市民の負担がないように対応していただきたいと思います。
そもそも長野県の保健所業務は、全県に10か所ある各保健所が共通の業務を行い、企画立案は本庁健康福祉部が行っており、保健所はその実施機関にすぎません。しかし、長野市保健所は、企画立案、運営、業務実施を全てトータルで行っており、機構が違います。
長野県保健所と同じように全県一律のレベルに画一化されることは、本来の地方自治の精神からいっても納得できるものではありません。共同設置の検討は中止すべきと考えますが、市長の見解をお願いいたします。
◎市長(加藤久雄)
野々村議員から評価いただきました保健センターを中心に実施しております妊娠期から子育て期にわたる母子の心身のケア、育児のサポートに関する様々なニーズへの総合的相談支援事業、ながの版ネウボラ事業や、その他市民の健康増進事業の中には、長野市が独自に築き上げてきた優れた事業があります。これらの事業については、母子保健法や健康増進法に基づき、市町村固有の権限として行っている事業でございますので、県との共同処理の対象事業とはならず、従前どおり長野市の独自性を発揮し、維持してまいります。
今回、県と事務の共同処理に向け協議を進めております保健所業務183事業については、そのほとんどが法令に基づく同じ業務であります。今後の人口減少社会、税収が減少していく将来を見据えて、同一圏域内で県と市が行っているこれらの同じ業務について、お互いに力を合わせて、より効率的な業務運営を行うことは大変重要なことと考えております。
ただ、同じ業務でも、県と市では事務事業の取扱いについて相違点が幾つかあります。その調整に当たっては、様式など市民サービスに直結しないものについては、県に統一する場合もあるかと思います。
いずれにいたしましても、現在の市民サービスの水準を維持しながら、長野市民及び圏域関係市町村の住民双方にとりまして、サービスの向上につながるような検討が必要と考えております。
平成11年に長野市保健所を設置して以来、17年が経過する中で、時代は大きく変化しております。今日、温暖化の進行や、本市においても高速交通網が急速な発展を遂げる中で、新たな感染症やパンデミックなどの緊急事態に対しては、市域のみならず広域的に県と市が力を合わせることによって、より早く機能的に対処が可能となるわけでございます。また、専門職種の確保が難しいなどの状況の中で、今後、保健所の安定的な運営を図るために、機関等の共同設置という手法によりまして事務の共同処理を行うことで県と調整、協議を行っていくとの方針を改めて確認をいたしました。
このことから、市といたしましても、引き続き県と共同設置の検討、協議を進めてまいりたいと考えております。
◆野々村博美
共通の保健所業務といっても大きな違いがあります。長野県には、先ほどお示ししたとおり、検査機関が全県の中で2か所しかありません。長野市は長野市として独自のものを持っています。今後、パンデミックなどの感染症に対してはどちらが有利か。長野市に1か所きっちり市民の検査機関がある方が有利に決まっているじゃないですか。そこも統合していくとなれば、人数は少なくなる、広域になる、これは確実に市民サービスが低下してしまいます。そこが最も私は深刻な問題だと思っております。是非そういうことのないように、改めて市長、市民サービスの低下にならない方策というものがあるのかどうか、私は市独自でやっていく以外にはないと思っておりますので、改めてお伺いをしておきます。
それから、市職員は市民のために働いていただくということでいいと思うんです。やはり市長は長野市の市民に責任を負っていただくということですので、県でやるべきことは県がやっていただければいいわけですから、是非その辺の責任の所在もしっかりと認識をしていただいて、是非保健所は残していただくということでお願いをしたいと思います。改めてお願いいたします。
◎保健福祉部長(田中幸廣)
先ほどお話ししましたように、広域的な大きなパンデミック等の感染症等が発生する事態が非常に高まっておるわけでございます。これはやはり市域のみならず、広域にこれはやっていかなければならないというふうに私は思っております。また、改めて長野市は、県都長野市でございます。そういう意味では、広域全体にこのメリットがあると。また、長野市にとってはマイナスにならないというふうに判断しておりますので、今後も進めてまいりたいと、こういうことでよろしくお願いします。
◆野々村博美
是非、県都長野市だからこそ、優れた機能を生かしてやっていただきたいと思います。
時間がないので次に移ります。
介護保険の改正に伴う新しい総合事業の課題について
◆野々村博美
介護保険の改正に伴う新しい総合事業の課題について伺います。
昨年、介護保険法は大きく改悪され、要支援者への予防給付の訪問介護と通所介護を市町村の裁量に任せることになり、長野市も今年10月から新しい総合事業に移行をいたします。
高齢化が進む中で、確実に介護保険利用者は増え、要支援者への予防給付費も対前年比で増え続けてきましたが、昨年は97パーセントと抑制されました。その要因は、介護報酬の大幅な引下げです。そして、新しい総合事業への移行で、現行サービスの7割の介護報酬となる基準緩和型サービスの導入と、月単位の包括単位ではなく1回ごとの単位となるため、介護報酬の減収に拍車が掛かり、事業所の経営はますます厳しく、予防介護の受け皿になる事業所の確保ができるのか大変懸念されます。
先日、市内の介護事業所から切実な声が寄せられました。軽度の方を悪化させないように一定の役割を担ってきたつもりだが、昨年4月の報酬引下げによって予防事業の経営は大変困難になってしまった。経営のことを考えれば、予防事業は行わず、介護保険事業のみを行っていくべきと考えるが、しかしそれでは今まで利用されていた方や住民の皆さんに質の高い予防サービスを提供できなくなってしまうと訴えられました。
市民の健康長寿を支えていくためには、質の高いサービスを提供する介護事業所の基盤を強化しなければなりません。市町村独自の支援策を強化することが必要です。私は昨年12月市議会でも独自の支援策を求めてきましたが、残念ながら上乗せは考えていないということでした。今後、自治体の姿勢によって大きな差が出てくるのではないでしょうか。
8月をめどに各事業所が、10月以降の予防事業を受けるかどうか判断が示されてきますが、改めて市民の受け皿をきちんと確保し、介護事業所の経営を保障できる対策を検討することを要望しますが、見解を伺います。
◎保健福祉部長(田中幸廣)
本年10月1日の開始を予定しております新しい総合事業では、介護予防・生活支援サービス事業で要支援者等の方に訪問型及び通所型のサービスを提供してまいります。サービスの内容としては、いわゆる現行相当のサービス--これは現行の介護予防訪問介護及び介護予防通所介護に相当するサービスであります。それに加えまして、緩和した基準によるサービスなどの多様なサービスを提供するものです。
市では昨年度、現在の指定事業者向けに新しい総合事業の説明会を2回行いまして、サービス提供に関する基準や単価の案をお示しし、アンケート調査を実施する他、御意見を直接伺いながら検討を進めてまいりました。
まず、現行相当のサービスは、現在の指定事業者のほぼ全てがみなし指定の事業者となり、サービスを提供していただくことになります。そのサービス単価は、国の定める額を上限として、月額包括単価又は1回ごとの単価を設定できるものとしています。市といたしましては、サービスの質とともに、事業者の経営への配慮も必要と考えており、多くの事業者にサービスの提供を継続していただけるよう、1回ごとの単価は設定せずに、月額の包括単価で、加算も含めて現行と同額とする方向で検討を進めております。人員、設備、運営に関する基準についても、国の定める基準と同じようにするよう検討しております。
次に、緩和した基準によるサービスは、人員基準等を緩和し、それに沿ったサービスの内容としますので、サービス単価は現行相当のサービスの7割に設定したいと考えております。人員基準については、現行相当のサービスと一体的に行えるよう配慮してまいりたいと考えております。
なお、事業者が緩和した基準によるサービスを提供していただくためには、改めて指定を受けていただく必要があります。8月頃を予定しております事業者説明会では、この点を含めて丁寧に説明をさせていただき、サービス基盤の確保に努めてまいります。
◆野々村博美
既に6月で、10月実施ということで、事業所の方は受けるかどうかまだまだ皆さん悩んでいらっしゃる現状だと思います。ですので、受けられる、受ける、基準型Aを受けるかどうかということも含めて、それからいろいろな面でこの後変わっていくと思うんですけれども、混乱なくやっていくためには、10月実施ではなく、国の限度となる4月本格実施というふうにしても間に合うわけですから、長野市があえて10月スタートにする必要はないのではないかと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
◎保健福祉部長(田中幸廣)
実施時期の考え方でございますけれども、この新しい総合事業というのは、今おっしゃられた緩和した基準によるA型のものの他に、地域住民が主体のサービスの事業も同じにスタートさせていきたいと考えております。そういった地域での生活支援、介護予防の体制をできるだけ早期に立ち上げることが必要と考えておりまして、長野市としては今年10月1日に開始したいと考えております。できるだけ早く地域の皆さんに対応していただくように、全地区回って歩いているところでございます。
◆野々村博美
介護保険から軽度者を締め出していく国の法改正の下で、自治体は覚悟を持って高齢化社会を支える体制を整えていかなければなりません。今部長からも話がありました。
長野市は現在、住民自治協議会の地域福祉ワーカーに多様なサービスをコーディネートする役割を求めていますが、専門職としての養成が必要です。モデル地域で地域福祉ワーカーへの講習なども始まっていますが、要はマネジメントできる生活支援コーディネーターの人材の育成と、地域に出掛けて指導できるリハビリ専門職の増員です。残念ながら、まだ長野市はこの部分は不十分なままです。今後の見通しをお聞かせください。
◎保健福祉部長(田中幸廣)
介護保険法の改正に伴いまして、地域の支え合い活動を推進するため、生活支援コーディネーターを配置することとされました。この役割は、地域の生活支援サービスや新しい総合事業の多様なサービスの担い手づくり、高齢者のニーズの把握、サービスにつながる活動づくりのための地域住民への呼び掛けなどを行うものでございます。地域の困りごとを見付け、それを解決する支え合いの活動をみんなで話し合ったり、活動を促進することができる人が望ましく、専門職でなくてもできるものと考えております。
本市では、地区ごとに配置を進めることといたしまして、本年度は13地区の住民自治協議会の地域福祉ワーカーにその役割を担っていただいております。
地域福祉ワーカーへの支援体制といたしましては、地区内の連携づくりなどに関しましては地域包括支援センターの専門職が、介護予防の通いの場づくりには介護保険課のリハビリ専門職が支援をしております。
新しい総合事業の住民主体サービスは、専門職でなくても、地域の高齢者が支える側になったり、支えられる側になったりして活動を継続できる内容を考えておりますので、地域への専門職の配置は考えておりません。生活支援コーディネーターの配置については、全地区で配置できますように、各住民自治協議会に丁寧に説明を行い、御協力をいただいてまいりたいと考えております。
◆野々村博美
住民自治協議会の地域福祉ワーカーにコーディネーターの機能を任せるということ自体が、やはり長野市がいかにこの高齢化社会を支えていくその覚悟というものが私は足りないんではないかなと思います。地域で支える体制が不十分であるならば、じゃ介護事業所、そこをしっかりと応援して、そこの基盤を整備する、それくらいのことをやらなければ、これからの高齢化社会を支えることはできません。そこの介護事業所に対しても上乗せの長野市の支援はなし、さらに生活支援コーディネーターは住民自治協議会に丸投げしていく、その程度だと長野市の高齢化社会というのを支えるに本当に不十分だと思うんですけれども、この辺、加藤市長、いかがでしょうか、市長の考えを聞かせていただければと思います。
◎市長(加藤久雄)
おっしゃるように、高齢化社会、本当にこれから相当進行していくわけであります。そういう意味では、やはり一部のところじゃなくて全体で支えると、こういうことでございまして、これがいいかあれがいいかということじゃなくて、全体で支えるようなシステムを今後も考えていきたいと思います。
◆野々村博美
長野市は、この10月からその全体を支えるシステムを立ち上げようとしているわけですよ。しかし、実際にはまだまるで出来上がっていない。生活支援コーディネーターも育成されていない。にもかかわらず、10月スタートということを始めようとしているわけです。ですので、これは来年4月になっても非常に難しいんじゃないかなというふうに思っております。
是非覚悟を持って、再度このシステムづくりを地域の皆さん、あるいは専門家の皆さんと本当に膝を突き合わせて検討していっていただきたいと思います。再度、保健福祉部長、もう一度お願いいたします。
◎保健福祉部長(田中幸廣)
超高齢社会を迎えまして、介護を必要とする方々はますます増えてくるかと思います。重度の方に重点的に専門的なサービスを受けていただいて、重度に至らない軽度の方は違った形で支え合っていくという、そういう長野市の体制を作るということで、住民の方々とお話ししながら進めていきたいと考えております。
◆野々村博美
課題山積のままスタートすることになると思います。
長野市のまちづくりについて
◆野々村博美
次に、長野市のまちづくりについて伺います。
千曲市、須坂市に相次いで大型ショッピングセンターが建設されると報道されていますが、進行状況はどうか伺います。
過日、まちづくりセミナーで、日本総合研究所の主席研究員、藻谷浩介氏のお話をお聞きしました。長野市の個店の売場面積の利益率が全国平均よりかなり低い状況であることが示され、大型店が乱立している地域にこの傾向が顕著であるということ、また売場面積が広くなるほど、安売り競争によって全体の売上げが減り、雇用環境も悪化するというお話をお聞きしました。
3月市議会で市長は、他都市の決定に異論を挟むことはできないと答弁をされておられました。しかし、長野市民の生活や経営に大きな悪影響があるわけですから、見過ごすことはできません。圏域全体の地域経済を考える立場から、幅広い皆さんの協力も得ながら、大型店の出店計画の再検討を求める世論を作り上げる、その先頭に立っていただきたいと思いますが、御見解を伺います。
◎市長(加藤久雄)
本市におきましては、これまでもコンパクトシティによるまちづくりを推進してきております。権堂での大型店再整備計画は、これまでの本市の方針に合致するものでございます。
須坂、千曲両市の大型店の出店計画につきましては、北信地域の商圏全体の消費者動向や既存商店街に大きな影響が出ることが想定されますけれども、現時点では施設の規模などは未定である上に、全体計画案なども示されていない状況でありますので、具体的な影響は把握することはできませんが、大型店出店については両市のまちづくりの方針により進められるものでございまして、これまでお話ししてございますように、他の市町村のまちづくりに対する意思決定については、これまでどおり本市が異論を挟むわけにはいかないと考えております。
ただ、本市といたしましても、出店を黙って見過ごしているわけではなく、子育て世代を中心とする市民の皆様からも、大型商業施設を望む声も多数頂いておりますことから、両市の状況を把握しつつ、権堂を含めた中心市街地の活性化を進めることで、長野市全体の活力の創出を図るという基本的な考え方に変わりはなく、これを今後も続けることで、魅力ある力強い商業の実現と総合的なまちづくりにとって大変重要であると考えております。
◆野々村博美
権堂のイトーヨーカドーについても、お話があったように、大型ショッピングモール化することが示されています。示された案は、現面積の数倍に及んでいます。大切なことは、イトーヨーカドーがどう魅力あるスーパーに自らの力で変わることができるかということではないでしょうか。
また、権堂商店街の皆さんが、この間様々な努力をされてきたことは理解しております。しかし、新たな税金投入ではなく、権堂商店街の皆さんが、イトーヨーカドーと地主さんだけの意向ではなく、実際に商売をされている皆さん、また今長野市の特徴にもなっていますが、若者の力なども結集してまちづくりを考えていくこと、長野市は商店街のリフォーム助成を強化するなど、お店の魅力を引き上げていくことが何よりも必要だと思います。それなしで活性化はあり得ません。
善光寺かいわいは、中央通りを含め、花と緑の回廊にふさわしい光景が広がり、個性的でおしゃれなお店も増え、歩きたくなる街並みとなってきました。ぱてぃお大門、中央通りの石畳化など、一定の税金を投入してきましたが、地道な努力も少しずつ実ってきたと感じています。権堂のまちづくりへの見解をお願いいたします。
◎都市整備部長(轟邦明)
昨年、権堂地区再生への支援について、地元まちづくり団体から陳情をいただきました。この団体は、権利者の他、商売をされている方々も参画され、陳情まで約200回の検討を重ねてこられたそうです。また、市が設置した評価・検討部会では、学識経験者に加え、地元の商店街や区の方々にも御参加をいただいております。今後、市民ワークショップ等も開始し、幅広い方々からの意見を計画案に反映してまいりたいと考えております。このように、活性化に向けたまちづくりには、まず生活や事業を営む地域の方々が自ら考え、行動していただくことが重要だと考えます。
権堂地区のまちづくりの基本的な考え方は、門前の繁華街として育まれた文化や歴史等、権堂らしさを生かしていく方向で今後も継続すべきだと考えています。その上で、中央通りに見られるように、人々が訪れたくなるような街並みに再生し、あるいは一新して景観を向上し、その沿線に若者による新感覚のノウハウを活用した魅力ある個店展開を図ることが重要だと考えます。また、今回のイトーヨーカドーの表明にあったように、大型集客施設と商店街の連携を一層進め、地域全体の魅力を生かし高めるエリアマネジメントの施策も具現化していくことも大切なことだと考えます。
このように、様々な取組を一つずつ積み重ね、相乗効果を生み出しながら、活力ある中心市街地、権堂のまちづくりを目指していくべきだと考えております。
災害対策について
◆野々村博美
次に移ります。
災害対策についてです。
熊本地震から2か月たちました。今なお厳しい避難生活を余儀なくされている方も多く、心からお見舞いを申し上げます。特に災害時に特別な支援が必要な高齢者、障害者、乳幼児などの要配慮者など、災害直後からの御苦労には心が痛みます。
長野市も、災害に備えて、避難所とは別に要配慮者のための福祉避難所を確保していますが、かなりの混乱が予想されます。災害時要配慮者への特別な支援策はどのように図られているのか、まず要配慮者の人数と受入可能な福祉避難所の収容可能人数はどうなっているのか、またあふれてしまうことが予想されますが、どのように対応されるのか、その準備は具体的にどこまで進んでいるのか伺います。
熊本市内には、福祉避難所として180か所が指定されていましたが、多くの施設が被災などの理由で開設されなかったとのことです。また、災害時に派遣される災害派遣医療チーム、DMATについて、その活動が注目されてきましたが、この福祉版である災害派遣福祉チーム、DCATというのがあります。介護福祉士などの専門家集団で、大きな被害を受けた益城町では、DCATが地域で暮らし続けたいとする避難所の高齢者を支えてきたとのことです。チーム20人で手分けをして、福祉施設以外の避難所11か所を毎日2回巡回し、トイレに手すりを付けるなど困りごとの相談にも乗っています。
DCATについては、熊本県は2012年から取り組み、福祉関連団体7団体と協定を結び、660人が登録。災害時にいち早く駆け付け、避難所での生活が難しい人を判断し、福祉避難所に移送するための訓練もしていたそうです。DCATは、被災自治体が各都道府県に要請する仕組みとのことで、益城町では災害直後は対応に追われ、その余裕がなく、出動要請が出たのは本震から9日後のことだったとのことです。
長野市でも、医療支援と同時に福祉支援について、災害直後の混乱を想定し、今からしっかり準備することを強く求めたいと思いますが、見解を伺います。
◎保健福祉部長(田中幸廣)
まず、本市における平成28年6月10日現在の避難行動要支援者の人数は約3万2,500人です。災害対策基本法第49条の7では、市町村は想定される災害の状況等を勘案して、指定避難所を指定しなければならないとしております。本市では、さらに長野市地域防災計画において、一般の避難所では生活が困難な障害者等の要配慮者のため、福祉避難所を指定しております。
福祉避難所の対象者は、先ほど申しました避難行動要支援者約3万2,500人から、一般の避難所での生活が可能な方約2万5,000人を引き、さらに専門施設へ緊急入所した方が良い方約3,000人を引き、その他に配慮が必要な妊婦、乳幼児約1,200人を加えまして、結果、約5,700人になります。
本市では、平成23年度以降、福祉避難所の指定を進めており、現在は49施設を指定しております。これらの施設の受入可能人数は約4,700人です。先ほど申し上げました福祉避難所の対象者の総定数は受入可能数を上回っていますので、引き続き福祉避難所の指定を進めてまいります。社会福祉法人が設置する施設を福祉避難所として指定するための協議を現在進めております。本年度中には、更に数施設が指定できる見込みでございます。
なお、収容し切れない要配慮者の受入先については、近隣の市町村へお願いをしていく必要も出てくると想定しております。
また、熊本地震では、福祉避難所を運営する要員が不足し、開設に至らなかったという報道が出ております。福祉避難所の運営要員の確保については、本市は県内の市町村及び中核市、その他、新潟県上越市、山梨県甲府市などと災害応援協定を締結しておりますので、これらの市町村に対して要員の協力を要請する必要もあると考えております。
議員から御紹介いただきましたDCATの取組でありますけれども、これは県単位で被災した福祉施設や避難所等で不足する介護職員等を確保するための仕組みでありまして、幾つかの県では既に構築されているようであります。
厚生労働省では、東日本大震災以降、被災地域の社会福祉施設等を応援するため、県を窓口として、他県から介護職員等を派遣する仕組みを構築しております。
本市といたしましては、長野市福祉避難所設置運営マニュアルを見直す他、必要なマニュアルを整備いたしまして、災害時に市内の社会福祉施設等で介護職員等が必要となった場合には、速やかに県に支援要請ができるよう、万全を期してまいりたいと考えております。
◆野々村博美
多分災害直後は混乱すると思いますが、一般避難所でも対応は迫られるかと思うんですが、そういう場合の対策というものはとられているんでしょうか。
◎危機管理防災監(西澤清己)
一般の方の避難所に指定されているところにそういった要介護者の方の避難ということなんですけれども、もちろんそちらも考慮していかなければいけない問題でありますし、そちらに先ほどの介護をやっていただける方、DCATの方たちも、当然チームながのも行きますので、県の方に要請をかけて、一般避難所にもそういう手助けが必要な方がいますよということを伝えていきたいと思います。
それから、市内での被害想定が大幅に上回ってきた時点で、そういった自力避難困難の方についてはやはり移送手段というものをとっておりますので、県外、また市外のところの避難所にも要請をかけて、そちらに一時避難をしていただくと。危険箇所から安全な場所へ一旦避難をしていただいて、そこで介護をしていただくという部分で考えております。よろしくお願いします。
◆野々村博美
当然、一般避難所でも対策をとっておくことが必要だと思いますので、是非備蓄などの中にもそういうものも配慮して用意をしていただきたいと思います。
次に、浅川ダムです。
今年10月から浅川ダムの試験たん水が始まるそうです。満水時に万が一地震が起きた場合、直下に暮らす住民はどのような行動をとるべきなのでしょうか。きちんとマニュアルを示していただくことが必要です。長野県は検討しているのか、見解を伺います。
◎建設部長(上平敏久)
浅川流域住民の生命と財産を水害から守るため、浅川ダム本体工事は平成22年に工事が着工され、本年5月までの工事進捗率は約99パーセントとなっております。
浅川ダム本体工事について、県では、満水時においても河川管理施設等構造令の規定に基づき、地震の外力を考慮した設計により築造されており、十分な安全性を有しているとのことであります。また、貯水池内の地滑りについても、十分な調査及び解析を行い、地質の専門家の意見も踏まえた必要な地滑り対策工事を実施しております。
今後は、実際にダムに水をため、一定期間水位を保持することにより、ダム本体や貯水池の影響を受けた周辺斜面などの安定性を確認する試験たん水が本年10月頃から行われ、安全性を確認した後、平成28年度末には浅川ダム本体工事がしゅん工する予定とのことであります。
満水時に地震が起きた場合、直下に暮らす住民はどのような行動をとるべきかという御質問についてでございますが、現在、長野県では、浅川ダムの試験たん水計画を検討しているところであり、試験たん水中は職員がダム管理所に24時間体制で常駐する万全な監視体制の下に実施する予定とお聞きしております。
市としましても、試験たん水計画について詳細が決まり次第、県に下流にお住まいの皆様への丁寧な説明を求めていくとともに、緊急時の周知方法について関係部局と協議、調整し、安全確保に努めてまいりたいと考えております。
◆野々村博美
そもそも安全でない浅川ダムに試験たん水をすること自体が非常に危険なことだと思っております。しかし、満水時の危険性を常に想定をしていなければならないところに多くの人たちが住んでいますので、きちんとした対応をお願いしたいと思います。
子育て支援について
◆野々村博美
最後に、子育て支援について伺います。
さきの国会で、児童虐待に対する児童相談所を増やすことを目指す改正児童福祉法が成立しました。私は繰り返し、中核市としての長野市に児童相談所の設置を求めてきました。今度の法改正によって、国として専門職の育成、確保や財政支援を強化することが盛り込まれています。長野市として積極的に児童相談所の設置について検討していくことを求めたいと思います。見解を伺います。
次に、生活保護世帯、ひとり親家庭の子供たちへの学習支援が8月から実施されます。現在の進行状況と、具体的にどのように取り組まれていくのかお伺いいたします。
次に、放課後子ども総合プランの有料化ですが、これについては、過日、社会福祉審議会に諮問をされました。まだ、すし詰め状態が解消されていない施設、あるいは老朽したままの施設も残されております。ここで有料化することによって、更に利用できなくなる子供たちが生まれてしまうのではないかと懸念する声も上がっています。有料化の再検討を求めます。見解をお願いいたします。
最後に、子供の養育支援についてですが、先日、福祉環境委員会で、明石市の離婚後の子供養育支援について視察してまいりました。明石市の取組は厚生労働省でも高く評価をされ、例えば離婚届と一緒に子供の養育に関する合意書、子供養育プランを配布するなどの広報啓発活動が行われておりましたが、それを積極的に取り組んでいるのが任期付専門職の積極的な活用でした。長野市でもこの取組、大いに参考にしていただきたいと思いますけれども、御見解をお願いいたします。
◎こども未来部長(上杉和也)
初めに、児童相談所の設置についてお答えいたします。
今回の児童福祉法の一部改正は、児童虐待防止等の充実、強化を図るものであり、特別区への児童相談所の設置や、施行後5年をめどに中核市等への児童相談所設置の際に必要な支援措置を講ずることなどが盛り込まれております。
中核市では平成18年度から児童相談所を設置できることになりましたが、財政負担が大きいことや専門的人材の確保、育成が困難であることなどから、現在までに設置した市は金沢市と横須賀市の2市にとどまっている状況でございます。
現在、本市には、長野県の中央児童相談所が設置されており、いろいろなケースの対応に当たっては、本市でも県の児童相談所との役割分担の下、個別ケース検討会議での情報共有を初め、同行訪問などの連携、協力をしながら、速やかに対応をしているところでございます。
児童相談所の設置につきましては、現段階では国の具体的な支援策が明確に示されておらず、また財政負担や各種専門職の確保に加え、県との役割の明確化などいろいろな課題があることから、現時点では具体的な検討に入っておりませんが、今後引き続き関係機関と密接に連携しながら、今後の児童相談所の設置に向けた国の具体的な支援策などについて注視してまいります。
次に、子供の学習支援についてお答えいたします。
初めに、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業につきましては、実施方法を委託事業者と具体的に協議をしているところであります。学習支援の方法は、公共施設を利用した施設型での月2回の実施を予定している他、施設型の利用が難しい世帯に講師を派遣する派遣型による月2回の実施を予定しております。
現在、対象者の選定を始めており、生活保護世帯にあっては、対象世帯に担当ケースワーカーを通じて事業の周知を図り、参加者の希望を募っているところであります。また、生活困窮世帯にあっては、自立相談支援事業の窓口であるまいさぽ長野市に相談がある世帯のうち、学習支援が必要と思われる世帯に参加の働き掛けをしているところでございます。
次に、ひとり親家庭の児童への学習支援でございますが、現在、プロポーザルで選定した委託予定の事業者と、事業開始に向けた準備を進めております。
学習支援の方法につきましては、事業者が用意する市内5か所の教室へ児童が通う教室型と、児童の自宅へ派遣する訪問型によりまして、週1回、2時間程度の学習支援を行い、今のところ定員は60人を予定しております。
なお、募集に当たりましては、対象となる小学校4年生から中学校3年生までの児童扶養手当受給世帯に案内を送付するとともに、広報ながのやホームページなどでも周知をしてまいります。
続いて、放課後子ども総合プランの有料化についてお答えします。
平成21年2月に、長野市版放課後子どもプランについて、長野市社会福祉審議会よりサービスを利用する人がその受益に応じて必要な経費の一部を負担することが適当との答申を当時頂きました。この答申を受けて検討した結果、その当時はプランがスタートして間もないことから、全54小学校区中、実施校区が17校区であったということで、市としては全ての小学校区でプランを軌道に乗せることを第一に考え、無料を継続することとした経過がございます。
以来、本市では、プランの拡大、充実に努めてまいりましたが、本年4月の吉田子どもプラザの開設により、全54小学校区で放課後子ども総合プランを実施することができました。これによりまして、プランを利用している人と利用していない人の公平性の確保の観点から、利用者負担について改めて検討する時期が到来したと判断しまして、6月2日に社会福祉審議会に諮問いたしました。
今後は、社会福祉審議会から付託されました児童福祉専門分科会におきまして具体的な審議をいただきますが、利用者負担導入の要否、また利用者負担の導入を必要とされた場合には、議員御指摘の有料化によりプランを利用できなくなることのないよう、低所得世帯への減免制度の配慮などについても御検討いただきたいと考えているところでございます。
続いて、子供の養育支援についてお答えいたします。
本市では、相談業務に携わった経験のある相談員3名を採用しまして、離婚やひとり親家庭の自立に向けた相談などに応じております。平成27年度は延べ2,492件の相談を受け、その内容によっては消費生活センターなどで実施している弁護士による無料法律相談や法テラス長野などを紹介しているところでございます。
さらに、今年度からは、各種相談窓口や手当などについて、ひとり親家庭向けの支援策をまとめた母子・父子・寡婦福祉のしおりを作成し、児童扶養手当の申請の際などに窓口でお配りをしているところでございます。
また、毎年8月には市長が一日父親になり、ひとり親家庭の親子と海水浴に行く一日父親事業を開催し、親同士、子供同士で交流を深める機会を設けております。
議員御質問の明石市のように、弁護士や臨床心理士などの専門的知識を有する人材を任期付職員として採用することによりまして、相談業務等におきましては高度な知識や経験を基にした、より具体的な支援が可能になるものと考えております。その一方で、庁内の相談業務の在り方やその役割の明確化、適切な人材の確保、費用対効果などの点からも検討していく必要があると考えております。
また、親の離婚、別居時において、親自身だけでなく子供の心をケアする取組も明石市でやっておりますが、これも重要でありますことから、そのような事例も参考に、本市でも子供の不安を少しでも軽くできるよう、子供の気持ちへの配慮等についても、相談をする中で親御さんに働き掛けていくようなことも考えてまいります。
子供の養育支援の取組につきましては、専門的知識を有する人材の活用も含め、先進市の状況を参考に、庁内関係課とも連絡をとりながら今後研究してまいりたいと考えております。
◆野々村博美
子供の支援については、児童相談所の設置は国も積極的に応援をする姿勢を見せてきたわけですので、長野市として児童相談所、一番困難なところを支援する仕組みとなりますので、是非積極的にお願いをいたします。
以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。