議会報告

2016年6月定例市議会 佐藤くみ子議員

芸術館の利活用について

住民自治協議会について

公共施設の維持修繕費について

合併検証結果と過疎地域自立促進基金の運用について

芸術館の利活用について

◆佐藤久美子
 おはようございます。12番、日本共産党長野市会議員団、佐藤久美子です。
 まず、芸術館の利活用について伺います。
 5月8日から長野市芸術館開館記念共催事業が行われ、大勢の市民が芸術館を訪れています。市民の期待が高まる中で、市内児童・生徒たちの芸術館利活用を促すため、利用料の減免制度を設けるべきではないか、との声が関係者から上がっています。
 今は、県立ホクト文化ホールに会場を移して発表している状況ですが、芸術館が完成した機会に市内小・中学校生、あるいは市立長野高校も含めた市内の高校など、市立の芸術館をどんどん利用できるようにすべきだと考えます。
 そこで、市長に伺います。
 日常に芸術をと目指すまち長野は、児童・生徒にこそ最高の舞台、会場で活躍する機会を作るため、利用料の減免制度を作るべきではありませんか。また、プロの芸術に触れる機会も積極的に作るべきと考えますが、市長の所見を伺います。
 周辺市町村の他施設、まつもと市民芸術館、上田市サントミューゼ、千曲市の更埴文化会館、須坂市のメセナホールでは児童・生徒利用の減免内容はどうなっているか。また、現在の児童・生徒の吹奏楽や合同音楽会の会場経費についての実態はどうかも併せて伺います。
 開館記念共催事業の中で、会場の発表者、施設の利用者、観客などからどんな声が寄せられているか。今後に生かすこと、検討することはどんなことでしょうか。
 芸術館運営実施計画にある創る、楽しむ、育む、つなぐをどう具体化していくのでしょうか。例えばアクトスペースには、市民の日常に根ざした自主運営的な舞台芸術創造の場を目指すとありますが、市民参加の活動を育てる上で、施設利用料の負担が重荷になっていくと考えます。今後の運営にも大きく関わると考えますが、所見を伺います。

◎市長(加藤久雄)
私は、子供たちが著名な演奏家や有名人と同じ舞台に立つことは、大人になっても忘れない思い出やすばらしい経験となり、そのために努力する過程も含めて、子供たちの成長や将来に非常に意義深いことであると思っております。
 そこで、長野市芸術館の利用料金の減免についてでございます。市民ワークショップからの提言に基づき運営管理基本計画及び実施計画では、災害による避難場所として使用される場合を除き、原則として減免を行わないとしております。
 一方、長野市芸術館を多くの子供たちに使っていただくため、必要に応じて関係部局において助成を行うなど、児童・生徒の負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。
 今後、市民、利用者の御意見や指定管理者の運営状況、貸館としての競争力などを踏まえ、減免を含め利用料金の在り方につきまして、子供たちの育成という観点から今後、検討してまいりたいと考えております。
 プロの芸術に触れる機会を積極的に作るべきとの御質問ですが、私も全く同感でございます。子供たちに優れた文化芸術を鑑賞する機会や参加する機会をより多く提供するために、長野市文化芸術振興財団では、数々の公演を企画しております。
 特に8月には、サマー・キッズ・デイズNAGANOとして、親子で一緒に楽しむ様々なジャンルの公演を計画しております。いずれも子供向けに料金は低く設定しておりますので、多くの子供たちに参加していただきたいと思っております。
 また、財団では、昨年と同様に若手演奏家らによる音楽キャラバンを小・中学校などで本年も30公演を予定しております。これらを通じ、長野市芸術館が子供たちの可能性を育む施設となるよう、取り組んでまいりたいと考えております。

◎文化スポーツ振興部長(倉石義人)
初めに、周辺市町村の他施設における児童・生徒が利用する場合の減免内容についてお答えいたします。
 まつもと市民芸術館、上田市サントミューゼ、千曲市更埴文化会館、須坂市メセナホールは、いずれも市内小・中学校が使用する場合は、全額減免を行っております。また、市内の高校が使用する場合は、メセナホールが全額、他の施設は半額減免をしております。これらは施設利用料の他、冷暖房費や備品類にも適用がされております。
 次に、児童・生徒の吹奏楽や合同音楽会の会場経費の実態についてでございますが、4月に開催しております長野市立中学校吹奏楽祭及び10月から11月にかけて、ホクト文化ホールで開催しております小学校合同音楽会、中学校連合音楽会の会場費につきましては、全額教育委員会で負担しております。
 また、毎年秋に開催しております小学生演劇鑑賞会、これについても、今年度から会場を芸術館に移しますが、会場費は全額市で負担しております。
 次に、芸術館開館記念共催事業で寄せられました御意見についてお答えいたします。
 開館記念共催事業は、芸術館の開館を市内文化芸術団体や市民と共に盛大に祝うもので、6月1日から7月3日まで計39公演が行われており、その共催者は、今後の貸館事業での主たるお客様となる皆様でございます。
 また、それに先立ちまして、5月28、29日には長野市文化芸術祭をほぼ全館を使用して開催しまして、長野市文化芸術協議会加盟の27団体、御出演と御出展をいただいております。
 これら市民団体の出演者には、芸術館は市民の施設、ホールなので、積極的に利用したいとの思いをお持ちの方が多いと感じております。
 御質問のこれまで寄せられております主な御意見といたしましては、きれいですばらしいホールだという御意見の反面、案内表示が少なく分かりづらいという意見も多く、また、施設や設備がクラシック音楽に特化しているのではないか。ギャラリーが狭い、タクシーの乗降場所がないなど頂いております。また、観客の皆様からも、案内表示が少なく、分かりづらいといった御意見も多く頂いております。
 これらにつきましては、長野市文化芸術振興財団並びに関係部局と連携いたしまして、改善できるものについては早急に対応し、御利用並びに御来場いただきました皆様に、より御満足いただけるように取り組んでまいります。
 次に、運営実施計画にございます芸術館の4つの役割、創る、楽しむ、育む、つなぐの具体化についてお答えいたします。
 長野市文化芸術振興財団では、創る、楽しむ、育む、つなぐを事業コンセプトとして事業の展開を図っております。その中でも、アクトスペースでは、演劇ワークショップや講座などを企画することにより、舞台芸術の人材育成を行っております。これはコンセプト、育むに基づくものでございます。
 5月に開催いたしましたチャレンジ2016KENJIでは、出演者やスタッフを一般募集し、市民の文化芸術活動への積極的な参加を促しました。これは創るというコンセプトに基づいたものです。
 今後もこれら4つの事業コンセプトに基づいた企画を提案し、地域の文化の醸成と文化芸術拠点としての役割を果たしてまいるものと考えております。
 なお、施設利用料についてでございますが、芸術館は最新の設備を備えております。特に、アクトスペースは、様々な舞台芸術の設備を有しておりまして、受益者負担の原則に照らし合わせましても、適切な料金設定となっているものと考えております。

◆佐藤久美子
市長の方から減免も含めて検討するとの御回答いただきましたが、いつまでにその検討の結論を出すのか、その時期について、もう一度お聞かせください。

◎市長(加藤久雄)
先ほど申し上げましたように、市民、利用者の御意見等、また指定管理者の運営等を考えながら、減免につきましては、できるだけ早く対応をしてまいりたいと思っています。

◆佐藤久美子
他の施設は小・中学校100パーセント、高校50パーセントの減免が多い状況です。是非長野市の子供たちが利用できない芸術館では市民は納得しませんので、是非早期にこの減免制度についてはお願いをしたいと思います。
 アクトスペースについても、実は育むという立場でこの利用料の負担については、今後検討していただきたいということを要望しておきます。

住民自治協議会について

◆佐藤久美子
住民自治協議会について伺います。
 住民自治基本条例を制定し、定義、組織、役割の分担などを明確にすべきではありませんか。分権に一定の理解がある人も役割分担について納得されていない人がいます。改めて、自治基本条例の制定を目指しての検討を進めるべきではないか、所見を伺います。
 市民の側に仕事だけが押し付けられるという意識がある中で、区長は必要だが、住民自治協議会は協力できないとの意見さえ出ています。住民自治協議会役員活動費を調査すると、会長職に活動費が支給されているところは29地区、年額2万円から18万円、平均では5万9,689円、その他役員も含め活動費年間支出額は31地区で、総額1,580万8,300円、平均で50万9,945円です。
 会長職で活動する日数は、区長職を含め年間300日との声も聞きます。このままでは役員のなり手がなくなり、組織の継続性が危惧されるが、所見を伺います。
 住民自治協議会の事務局長に、市職員の配置をすべきではないか伺います。
 事務局長の賃金、年間支給額は100万円未満が10地区です。残業代がゼロ、支払われていないところは12地区に上ります。地域の年間行事、また災害対応や危機管理、民生委員の推薦から地域福祉ワーカーの設置まで、事務局長の責務がますます増大しています。予算、決算の実務からイベントの裏方まで、会長から役員の活動を支える事務局長の待遇改善と市職員の配置も検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、市の職員をきらめき隊と任命して配置しましたが、その狙いと取組について伺います。

◎市民生活部長(竹内好春)
質問いただきました内容につきまして、順次お答えをしたいと思います。
 まず最初に、自治基本条例についてお答えをいたします。
 平成27年4月に策定をいたしました第三期長野市都市内分権推進計画の中で、自治基本条例につきましては、住民自治への市民意識の高まりを見極めながら検討していくということとしております。
 住民自治協議会の本格的な活動開始から6年が経過をいたしましたが、議員の御指摘では都市内分権に一定の理解がある人も、役割分担について納得されていない方がいらっしゃるとのことでございます。
 平成21年3月に策定をいたしました長野市及び住民自治協議会の協働に関する条例におきまして、住民自治協議会は、市と共通の目的である住民福祉の増進に向かって協働する関係にあると定義されており、その他の組織や役割分担など、基本的な部分につきましては、それぞれの住民自治協議会におきまして合意形成を図り、住民相互で十分納得いただいた上で活動を継続していくことが重要かと思っております。
 まずは、自治基本条例に頼るのではなく、自分たちのことは自分たちで決めるという本旨にのっとり、住民自治協議会の自立性を尊重し、積極的にまちづくりに取り組めるよう、市として支援をしてまいりたいというふうに考えております。
 続きまして、2番目の住民自治協議会長職と役員のなり手不足と組織の継続性についてお答えをいたします。
 住民自治協議会の会長を初め役員の皆様には、大変重要な職務を請け負っていただいており、活動の日数も多いことは十分承知をしております。しかし、それに伴います役員の活動費につきましては、住民自治協議会それぞれの財政状況に応じまして、各地区の御判断で決定されているものと認識をしております。
 第三期長野市都市内分権推進計画の基本理念にも掲げておりますとおり、役員のなり手不足を解消し、住民自治協議会の活動を持続可能な住民活動として定着できるようにしていくためには、高齢化、人口減少等、時代の変化に対応した組織の効率化や活動内容の見直しを柔軟に行い、住民自治協議会の活動を地域の実情に合わせていくことが先決というふうに考えております。
 活動費につきましては、こうした住民自治協議会の取組を見極めつつ、共に検討してまいりたいというふうに考えております。
 3番目の御質問の住民自治協議会事務局長の待遇改善と市職員の配置についてお答えをいたします。
 昨年度から地域いきいき運営交付金の3,000万円の増額と、事務局長雇用経費の一括交付金化を実施をいたしました。これまで住民自治協議会の皆様からの活動費の不足や事務局の人件費増額の御要望に対応したものでございます。
 しかしながら、人件費におきましては、必ずしも全ての地区で不足していたものではないと認識しておりますが、不足していた地区につきましては、それを補っていただける交付額になっているものと考えております。
 また、事務局長としての市職員の配置につきましては、都市内分権が地域の住民の皆様自らが主体的に地域課題の解決を図っていくことを目的としており、事務局長についても、地域の中から適任者を選出いただくことが重要と考えております。
 これまでも市職員が退職後に、行政事務に精通しているということから、地域の皆様の御要望で事務局長に就任している地区もございますが、飽くまで地区で御判断をいただいているものと考えております。
 市職員につきましては、在職中を含め、地域の様々な活動に積極的に関わるよう、一層の意識改革に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、地域きらめき隊についてお答えをいたします。
 地域きらめき隊員には、地域に身近な支所職員で、積極的に地域に出向き、溶け込みながら、埋もれている人材や地域資源を掘り起こし、住民自治協議会はもとより、様々な団体と協働しながら、課題の解決や地域おこし活動を支援できる支所長補佐が適任との考えの下、任命したもので、併せて一層の支所機能の発揮を目指したものでございます。
 これまで年度当初から、各地区の会議に参加をするとともに、地域発きらめき事業の進捗を図りつつ、地域に溶け込む活動をしております。
 今後、あらゆる機会を捉え、地域課題や地域資源の掘り起こし、課題を解決するためのアイデアや方針を地区住民の皆様と共に考えながら、住民活動を支援しつつ、地域の魅力を発信してまいりたいというふうに考えております。

◆佐藤久美子
私のところには、仕事がどんどんどんどん住民自治協議会に押し付けられる。このままではとてもやっていけない。こういう悲痛な声、そして、本来の自治組織そのものも壊れるような住民同士の役員のなり手を探す中での様々な声が聞こえてまいります。
 こうした実態は、担当部としてはそのことを認識しておられるでしょうか。

◎市民生活部長(竹内好春)
議員のおっしゃる事務が増大しつつ、どんどん増えているということでございますけれども、基本的なスタートの時点で申しますと、必須事務、選択事務、廃止事務ということで分けた事務の中で、おおむねは従来、支所職員が担っていた地域の各種団体に関係する事務について、住民自治協議会へのまず移行を図ったというものが第一段階でございます。
 その後、様々なもので、住民自治協議会にお願いするものが増えてまいったのも多分事実でございましょうけれども、まずは事務移行については、事務移行の状況を私どもの部局できっちり判断をしておりまして、ほとんど移行については終わっているというようなところで、加えて住民の皆さんがこういう活動をやりたいということで増えている部分も確かにあると思います。
 ですから、これからそれぞれの支所、支所長を中心として担っている事務の内容について、過大になっているのかどうなのか。あるいは今までやったことのないことを、また新たに始めるということで負荷になっているのか。それが住民の合意に基づいて行われているものなのかどうなのか。そういったこともきっちり検証しながら、必要以上の負荷を掛けて、もちろん住民自治協議会の活動が停滞するようでは本末転倒でございますので、その辺は一つ一つ住民自治協議会の地区の支所がそれぞれ見極めながら、万全の対応を図ってまいりたいと思います。

◆佐藤久美子
変な負荷が掛かっています。これは各住民自治協議会の実態をお聞きすれば、すぐに分かることであります。しかも、今度は地域福祉ワーカーの設置まで、つまり福祉の分野まで住民自治協議会が担うという状況になってまいりました。
 こういう中で、もうこれ以上やめてほしいと、もう住民自治協議会から抜けたいと、こういう声が上がってきております。全く本末転倒のことが現場では起き始めています。私はこのことに、是非とも担当部局としても、ここまでが住民自治協議会の仕事、そして行政との役割分担、ここをもっと明確にすべきだと思います。
 そういう意味では、住民自治基本条例、こうしたものをきちんと定めて、理念と役割と組織、そして財政的なところもきちんと定めていかないと、もうこれ以上の負担は無理、これではそれぞれの地域で頑張っている皆さんが本当にあっぷあっぷしている状況であります。
 是非このことについては、現場をよく調査をされ、そして住民の真に自立性を育てる意味で、行政が何をしなければならないのか、そのことを真に検討していただくよう求めるものですが、担当部長の所見を伺いたいと思います。

◎市民生活部長(竹内好春)
確かに議員のおっしゃるとおり、最近、安易と言ってはいけませんが、いろんなことで住民自治協議会の皆様にお願いしている件が増えているかに感じるところはございます。
 ただ、国の制度の変更とかいった場合につきまして、やはり地域を代表する、網羅する組織として住民自治協議会に御相談なり、お願いをしていくのが、やはり市としては、どうしてもその方向は必要かと思います。
 ただ、それによって、先ほど申し上げたとおり住民自治協議会の役員の皆様初め、活動自体が滞ることは、これは厳に気を付けなければならないことですし、先ほどの制度の変更というふうなことで、また今回、新たにモデル地区13地区を設定して検討いただくということでございます。これにつきましても、今回は飽くまでモデルケースということでやるわけですので、そこで生じた課題とか、そういったものについては、やはり担当部局と私どもともう一回話し合いながら、きっちりその辺は負荷のないような形というか、適正なお願いになるように心掛けていきたいと思います。
 他の部署につきましても、いろんなもので安易に住民自治協議会にお願いをするということがあるとすれば、私どもの部局がもう少し丁寧にそういうことに目を向けて、選別というか判断をしていかなければならないと思いますので、その辺また心掛けてやっていきたいと思います。

公共施設の維持修繕費について

◆佐藤久美子
次に移ります。
 公共施設の維持修繕費についてです。
 新年度の地域公民館の役員が公民館修繕のための補助申請を4月1日の午前中に申し込んだら、既に予算額を超えているからと断られたとのこと。予算は1,950万円で計上されていますが、実際の申請と予算の組立てはどうだったのか。住民からの要望に対し実施された割合はどのくらいか伺います。
 頻繁に利用される地域公民館等は、施設の修繕がされない、畳の表替えがされず、座るとごみが付くといった苦情があるが、維持修繕費用に対する補助金は十分なのか、見解を伺います。
 長野市の公共施設の中で、教育関係の施設が全体の床面積の35.5パーセントと多いのが特徴です。本年度予算で教職員住宅解体が3か所で1,486万5,000円が計上されています。既に廃止が決まった教育施設でも予算がなく、解体できない状況があるのではないか伺います。
 庁内一体で公共施設の長寿命化計画を策定することになっていますが、修繕費はどのように見積りがされているのか。今後の公共施設の在り方について、市民から関心を持ってもらうために市内俊英高校の漫画研究部の協力も得て、漫画で分かる公共施設マネジメント指針が作られました。市民一人一人に考えていただく課題です。そして、使える施設については、市民の力も知恵もかりながら、長く使える施設にする必要があります。市民参加と公共施設の維持修繕費の在り方について、所見を伺います。

◎教育次長(松本孝生)
市内には、地域の皆様で設置、運営をしている地域公民館が500余りございます。本市では、地域公民館の新築や増改築、改修に要する経費に対し、地域公民館建設事業補助金を設けて、地域住民の経済的負担を軽減しております。
 新築の場合は、限度額を1,000万円として、また改修工事の場合は、建物の主要部分を補助対象とするなどの基準を設定しまして、限度額180万円として、それぞれ対象経費の3分の1を補助しております。
 現状では、補助金の交付対象は申請順を基本としておりまして、本年度は今までになく4月1日に集中いたしました。その原因は、長野県神城断層地震により平成26年度及び27年度の改修工事が増加し、その影響を受けて交付対象にできなかったものが本年度の申請に回ったものと分析しております。
 地域公民館は、地域住民の活動拠点として利用される施設であることから、財政状況の厳しい中、本年度の改修に係る予算額は1,950万円で、過去5年間ほぼ同額の予算を確保しております。
 実施割合は82.4パーセントとなっており、対応できなかったものにつきましては、来年度に申請していただくよう、地域と調整させていただいております。
 畳の表替えにつきましては、他の緊急度の高い改修工事を優先させていただいております。
 いずれにいたしましても、実施に当たっては申請順を基本としつつ、緊急度や危険度等を考慮しながら執行に努めてまいります。
 次に、廃止が決まった教育施設が予算がないために解体できない状況があるのではないかとのお尋ねですが、教職員住宅につきましては、老朽化等により募集を停止したものについて、順次解体をしております。
 教職員住宅は、賃貸料収入をもって維持修繕費や解体費に充てており、解体後の土地の売却なども考慮し、計画的に処分をしております。
 その他教育委員会所管の施設で後利用を倉庫として利活用している等、明確になっておらず、差し迫って解体を急ぐ必要がないものは、他の事業を優先させているものもございます。

◎総務部長(小川一彦)
市民参加と公共施設の維持修繕費の在り方についてお答え申し上げます。
 公共施設の長寿命化計画は、現在策定中の公共施設等総合管理計画の一部として、長寿命化の基本方針を初め、予防保全の項目や改修等の実施周期、目標使用年数などを示すこととしております。
 また、長寿命化に要する改修費用につきましては、公共施設の延べ床面積を今後20年間で20パーセント削減することを前提に、新耐震基準の建物の目標使用年数を設定し、国等が示す改修単価を延べ床面積に乗じることにより、今後40年間の概算費用を推計することとしております。
 市民の皆様には、公共施設の長寿命化の目的や効果を初め改修費の推計などをグラフやイラストを用いながら、分りやすくお示しをしてまいります。
 また、公共施設の維持管理への市民参加につきましては、地域住民の皆さんが地域に密着した施設に対する関心や愛着を持って管理運営に参加をし、自らが関わる施設のサービスの在り方など、住民の皆さんが主体的に議論いただくことにより、地域コミュニティの活性化も期待されるところでございます。
 現在、既に維持管理に参加いただいている施設もございますが、今後はより積極的に参加できるような仕組みや環境整備について検討してまいりたいと考えております。
 また、職員に対しましても、施設を長く大切に使うことを職員一人一人が自覚をし、取組を実践していくことが重要なため、研修会の実施等を通じて職員の意識改革も図ってまいりたいと思っております。

◆佐藤久美子
一番身近な公共施設が地域公民館である場合が多いと思います。1,950万円を5年確保しているという答弁でしたけれども、もっと頑張ってください。もっと維持修繕してください。4月1日の午前中に全て終わっちゃうなんて、これは異常ですよ。地域住民から、そうした要請が大変多く出されております。是非もっと予算を確保して、こうした地域住民の要望に応えるよう、よろしくお願いいたします。

合併検証結果と過疎地域自立促進基金の運用について

◆佐藤久美子
合併検証結果と過疎地域自立促進基金の運用についてお伺いいたします。
 市町村合併検証報告書がまとまり、総括で多様な地域資源と魅力の活用、地域の独自性への配慮など、合併によって生じた課題に対して真摯に向き合い、対応していく必要が述べられています。
 合併地区の住民自治協議会を対象に、合併によるプラス面、マイナス面を聞き取った生の声を私は興味深く読みました。
 地区出身の職員が家族ごと市街地に出てしまい、人口減少に拍車を掛けている、高校生の通学費補助がなくなった、市営バスが土・日、祝日に運行しないため、運転できない高齢者のイベント参加が難しい、日直の廃止により、鍵管理を含め公共施設が利用しにくい、地域に精通した職員が少なく、災害の起こりやすい場所の把握ができない、小部落名が分からず緊急時に不安、区長の仕事が4倍以上に増え、後継者のなり手がない、住民自治協議会の負担が大きい、解散してほしい、公平性を追求するため、中山間地域の特徴が薄れたなどなど。
 プラス面では、おでかけパスポート制度、上下水道使用料が下がった、財政破綻の心配がない、自分の住むところを長野市と胸張って理解してもらえるなどでした。
 この声は実は合併によって廃止、縮小されたサービスと関連しています。鬼無里地区では合併前、毎月1回村内全世帯を対象に、職員が4分担して各戸を訪問し、配布物を届け、併せて村民との交流を行っていた。大岡地区では若者定住促進のため、村内居住5年過ぎると、夫婦に20万円、単身者に10万円、家族1人に付き3万円など支給していた。また、里親奨励事業として、受入家庭に1世帯10万円、児童・生徒1人に3万円など交付していた。豊野、鬼無里では、母子家庭等児童入学、卒業祝金を支給していた。当時の村や町を代表する人たちが地域振興のため、知恵を絞った施策だったはずであります。
 今後の人口増加や地域振興に取り組むために各地域分析が重要で、過去に打ち切られた施策の復活も視野に入れ、取り組むべきではないか。また、この合併検証結果を受けて、今後どう具体化するのか、所見を伺います。
 過疎地域、中山間地域の子供たちの学ぶ環境を整えるために、10億円を超える過疎地域自立促進基金を活用すべきではないか。
 この問題は、昨年6月市議会でも取り上げてまいりました。さきの住民自治協議会の聞き取りでも、合併前は鬼無里地区で高校に通学している生徒1人当たり年間3万6,000円、大岡地区、年間1万円、信州新町では犀峡高校生通学タクシー運行委託事業を行っていました。
 基金を活用し、通学費補助制度を強く求めるところでありますが、所見を伺います。

◎企画政策部長(増田武美)
合併検証についてお答えいたします。
 現在、平成17年と22年の2度にわたる合併の報告書案では、合併の効果と今後のまちづくりに生かすべき課題を明らかにしていこうということで、プラス面、マイナス面の御意見を掲載いたしました。
 今回の合併検証から浮かび上がってくる今後のまちづくりに向けた基本的な方針の一つといたしまして、地域が抱えた課題は多種多様であることから、市全体の均衡を図りつつ、どのようにして地域の独自性を尊重した行政経営を行っていくのかということだと考えております。
 こうした考えを具体化する取組として、本年度から地域の特性を生かし、魅力を高めるため、地域発きらめき事業を展開しているところであります。人口減少、少子高齢化が進行する中、さきの基本的な考え方を念頭に置き、それぞれの地区の実情に配慮し、現在策定中の総合計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略等を推進してまいります。

◎市民生活部長(竹内好春)
私からは、過疎地域自立促進基金を活用しました高校生への通学費補助制度についてお答えをいたします。
 過疎地域自立促進基金につきまして、過疎地域自立促進計画の期間終了後におきましても、基金を活用しながら、自立促進特別事業が継続し、安定して実施できるよう、積立てを行っているものでございます。
 計画期間が終了する平成32年度まで積立てを行い、過疎地域の活性化に結び付くよう、有効活用を図ってまいりたいというふうに考えております。
 議員御質問の高校生の通学費についてですが、自宅と通学先校との距離等により負担が大きくなることは理解をしております。
 しかしながら、過疎地域から通う生徒とそれ以外の生徒とのバランスや高校生の場合、本人や保護者の意向により進学先を選択していること。また、過疎地域自立促進基金がただ今申し上げた趣旨のものでありますことから、この基金を高校生の通学費に充てることは難しいと考えておりますので、御理解をお願いしたいと思います。
 なお、高校生を対象にした通学費の負担軽減制度といたしましては、県の奨学金に高等学校等遠距離通学費がございます。この制度につきましては、父母、子供2人の世帯で試算をした場合、主たる家計支持者の前年中の収入金額が約790万円までは対象となりますことから、多くの世帯が対象として御利用いただけると思いますので、積極的に御活用いただければというふうに考えております。

◆佐藤久美子
企画政策部長にお聞きします。
 全市の均衡を図るというふうに言われましたが、均衡の中身は何でしょうか。どういうことが均衡だと言われますか。
 それともう一つ、市民生活部長にお伺いします。
 昨年6月、私がこの問題を取り上げたとき、当時の部長は平成28年3月まで積み立てると、そしてこの基金は、通学支援の対象になると答弁をされています。これは変わったのでしょうか。

◎企画政策部長(増田武美)
市域が広がったことによって、市の各地域ごとの状況が様々でございますので、その全てが一律ではなく、それぞれの地域に基づいた状況がある。その状況を一定程度までに合わせることが均衡を保つことになると考えます。

◎市民生活部長(竹内好春)
私の方から、昨年の部長答弁との相違についてお答えをいたします。
 昨年なんですけれども、御要望いただきました際に、県の通学費の補助の関係でしたが、200万円前後ということで、利用する、できる世帯が非常に少なかったという中で検討しなければならないということと、それから、この事業が長野市の過疎地域自立促進計画の中でどういったものに充てられるかという事例の中で、スクールバス等の運行というような形の通学援助制度に利用できるという文言がございまして、この中から前回の答弁につきましては、必要な検討をさせていただくということでお答えをさせていただいたんですけれども、先ほど私が申し上げたとおり、やはり過疎地域だけに限った遠距離の高額の問題ではないということ。そういった面でバランスをきちっととっていかないといけないことと、それから先ほど申し上げたとおり、県の制度が使いやすくなったと、この2点から方向性についても、現在のところ新たなこの制度の創設は考えていないということでお答えをさせていただいたものでございます。

◆佐藤久美子
市長にお聞きします。
 人口減少が一番の最重要課題ではないんですか。もっと、こうした問題に積極的に取り組んでいかなければ、集落がなくなってしまいます。市長、この問題についてどうお考えでしょうか。

◎副市長(黒田和彦)
高校生の通学費のお話というふうに理解してお答えしてよろしいかと思います。
 実は、昨年6月に佐藤議員からそういう御指摘をいただきまして、庁内で部長クラスでいろいろ議論をしてまいりました。そのときも、やはり一番は先ほど部長答弁でもありましたとおり、ネックになったのは過疎地域から通う子供たちと過疎地域に逆に高校があって通う子供たち、あるいは過疎地域以外のところで、これはもうその方が数は多いわけですけれども、学生とのバランスをどうするんだということで、なかなか総論的には一番ネックといいますか、課題だということでありまして、これは財源がある、ないという問題とは別に切り離して、そういう課題があったわけでございます。
 そのことについて、全市的な合意が得られるかどうかと、この辺が一番課題だったわけであります。
 合併前であるならば、旧市町村単位で考えますと、それは例えば、何とか村の旧時代ですと、そこから通う子供たち全員に補助する。これは全町的、あるいは全村的な合意は得られるんでしょうけれども、この長野市という全体の話になりますと、その辺、どういうふうに考えたらいいだろうかということで、これは結論に至らなかったわけでございます。
 そういった中で、今、部長からの答弁にありましたとおり、我々も県税というのは払っているんですけれども、県の中で790万円まで所得がある家庭までは使える、こういう制度があります。それをまず使っていただくのがよろしいんではないかと、そういった整理の仕方となった次第でございます。
 決して、一切手当てはしないということではなくて、せっかく県の制度もあるんですから、そこをまず使っていただくと、こういう趣旨でございます。

◎市民生活部長(竹内好春)
申し訳ございません。先ほど佐藤議員からの御質問の中で答弁漏れが1点ございまして、計画の期間でございますけれども、当初は平成28年3月で失効する予定でしたが、国において5年間延長されて、先ほどの平成32年度までということで延長されておりますので、答弁漏れでしたので、お答えをさせていただきます。

◆佐藤久美子
もっと危機感を持って臨んでいただきたい。私はやれることは全てやってほしいと思います。
 以上で質問を終わります。

»一覧に戻る

年度別に見る

カテゴリ別に見る

議会報告の検索

皆様のご意見をお待ちしております

日本共産党長野市会議員団

長野市緑町1613 長野市役所内日本共産党控室
TEL 026-226-4911(内線3936)FAX 026-266-7882

お問い合わせ
トップへ戻る