2016年3月定例市議会 あべ孝二議員3
議案第53号長野市及び須坂市における連携中枢都市圏形成に係る連携協約の締結について、総務委員会委員長報告に反対の討論
◆阿部孝二
28番、日本共産党長野市会議員団阿部孝二です。
議案第53号長野市及び須坂市における連携中枢都市圏形成に係る連携協約の締結について、総務委員会委員長報告に反対の討論を行います。
議案第53号と同様の議案が第54号、第55号、第56号、第57号、第58号、第59号、第60号にありますが、第53号で反対の討論を行います。
今なぜ全国各地で連携中枢都市圏形成が提案されてきたか、背景と問題点について述べたいと思います。
基礎自治体1,700は多過ぎる、30万人規模の300自治体に再編し、道州制へといった政府、財界の狙いは変わっていません。平成の大合併で地域の疲弊が進んだため、すぐには合併の強制はできない状況にあります。
当時、第27次地方制度調査会副会長として合併を強力に推し進めた西尾勝氏でさえ、2015年3月の参議院の調査会で、合併の結果は惨たんたる結果であった、政治家が強く言ったので受けざるを得なかったと述べています。合併を推進した首長や議員からも批判の声が上がりました。道州制推進基本法案は、第2次安倍晋三内閣の下で国会上程すらできませんでした。
そういう中で出てきたのが地方創生です。2014年12月の総選挙に向けた自民党の政策、政権公約2014では、道州制の導入を進めるとしながら、導入までの間は地方創生の視点に立ち、国、都道府県、市町村の役割分担を整理し、住民に一番身近な基礎自治体、市町村の機能強化を図りますと、明確に書いています。
基礎自治体の合併がすぐに進まない中で、連携中枢都市圏を指定し、中心都市と周辺町村の連携協約を結んで、周辺部にある病院や公共施設を中心都市に集め、権限を県から移していくという中で、県の役割が縮小し、もう廃止してもいいのではないかという声が出てくるようにして道州制に結び付けてといくという狙い、つまり合併の代替措置としての基礎自治体の機能強化というシナリオが透けて見えます。これが現在の地方創生を巡り進められてきていることの本質であり、地方創生は決して一部に報じられているような特産品づくりのためではありません。
長野市の合併町村においての問題点について述べたいと思います。
この間、長野市は豊野町、戸隠村、鬼無里村、大岡村、信州新町、中条村と合併を行ってきました。これまでそれぞれの町村で行ってきた優れた政策が長野市との合併によって廃止されました。
一部を紹介すると、豊野町では小・中学校等の入学時支給金が支給されていました。在宅福祉介護料は4万円から5万円支給され、今現在は減額されています。戸隠村では、在宅福祉介護料3万円から6万円が支給されていましたが、減額されました。鬼無里村は職員の全戸訪問、敬老年金事業、出生祝金、母子家庭等児童入学卒業祝金などが行われ、また高校生通学費助成、通学奨励金の実施がされていましたが、合併によって廃止されました。大岡村では、村の入村Uターン奨励事業が行われたり、里親奨励事業が行われたり、保育料の軽減措置が行われていました。また、高校生の通学費助成、通学奨励金が合併によって廃止されました。信州新町では紙おむつの購入費の補助があったり、犀峡高校の通学タクシー運行委託事業が行われていましたが、廃止されました。合併前には、国民健康保険の本人負担の軽減も行われていました。
このように、合併前の市町村の優れた政策が全て継続されるということはありませんが、しかし、それぞれの市町村でそれぞれの市町村の政策を進めながら人口を増やそうという、そういう施策が行われてきたのは現実だと思います。
そのような中で、地方の衰退の原因は輸入自由化などによる農林水産業潰し、大店法廃止による商店街潰し、小泉改革で地方交付税の削減をし、平成の合併で住民サービスを後退させ、地域経済に打撃を与えてきました。安倍晋三政権は農業や地場産業を初め、地域経済を壊すTPPを推進し、労働者派遣法の改悪など、低賃金の不安定雇用を拡大しています。
連携中枢都市圏構想の名で、都市部に公共施設や住民サービスを集約させる方向を打ち出しています。都市部周辺の市町村にある文化施設や図書館、福祉施設などの公共施設や行政サービスの拠点を集約化するものです。統廃合した施設は民間委託などを進め、住民サービスを企業などのもうけの道具にする計画であります。
内閣府の統計で、地域経済2014年で興味深いのは、2010年から3年間で人口が増加した148市町村を分析した。その特徴として、世帯主の正規雇用比率が高くなっている場合が多い。良好で安定した雇用環境の実現を目指すことが重要と指摘し、更に総じて子育て世代の人口割合が高く、出生率が高くなっており、住環境の整備や子育て支援策の充実が重要と指摘しています。
地域持続可能性は、人がそこで住み続けられるかどうかということです。働く場があり、暮らしていける所得が得られ、かつ保育や教育などの子育て、高齢者の福祉などの公共サービスが受けられる環境があるかどうかです。人口の動態はその結果として現れるものです。
長野市の人口減少が続く中で、30万人人口を維持したい。中山間地域の合併町村は大幅な減少になっています。今必要なのは、安倍晋三内閣、自民党、公明党が行っている大企業と富裕層1億円以上の所得の政治ではなく、憲法25条や13条の個人の尊厳を守る立場、一人一人の生活に根ざした政治、経済が必要です。
介護労働者の改善、施設の維持のための支出、非正規から正規労働者への拡大、最低賃金の保障、年金の保障など、物価や生活水準に見合うことを行うことであります。
県は、原村のような医療費の無料化の実施、それから下條村の人口増などの教訓を生かし、そして全国各地で行っている、また長野県下でも求められている子供の医療費の窓口無料化などを行うことです。
市としては、公共工事に対する労務単価の拡大が行われている中で、型枠大工では8時間で2万1,300円の単価が示されています。大工の皆さんに聞けば、実際には1万円ぐらいしか受け取っていないと言われています。
公契約条例の制定など、又は合併町村で行っていた優れた政策を取り入れることではないでしょうか。どこでも、誰でもが安心して住み続けられる長野市にすることが必要ではないでしょうか。
以上のことを述べて、反対討論とします。