2015年9月定例市議会 野々村ひろみ議員
子育ち・子育て対策特別委員会の報告
◆子育ち・子育て対策特別委員会委員長(野々村博美)
38番、野々村博美でございます。
私から、子育ち・子育て対策特別委員会の報告をいたします。
本委員会は、人口減少社会を見据えて、少子化に起因する諸課題を検証しつつ、子育ち・子育ての環境の向上に係る施策について調査研究を行うため、昨年9月に再設置され、放課後子ども総合プラン、障害児支援に係る施策及び子どもの権利擁護について、重点的に調査研究を重ねてまいりました。
また、調査に当たっては、長野市子ども・子育て支援事業計画策定の進捗状況及び子ども・子育て支援新制度の動向を確認するとともに、認可外保育施設の現状について、長野県無認可保育所連絡協議会関係者から、保育支援の内容や利用者ニーズなどの意見をお聴きしました。
長野市子ども・子育て支援事業計画は、平成24年8月に国が制定した子ども・子育て関連3法に基づき、今年度から本格的にスタートした子ども・子育て支援新制度に合わせ、本年4月に実施されました。
支援事業計画は、質の高い幼児期の教育・保育の一体的な提供、地域における子育て支援の充実、保育の量的拡大など適切なサービスの提供を図り、次世代育成支援を推進するものです。
子育ち・子育て環境の向上に向け、本計画を中心に調査研究を行う中で出された主な意見等について、3点申し上げます。
1点目は、放課後子ども総合プランの充実に向けた、地域、学校及び関係団体との連携の推進についてであります。
本年4月に施行されました改正児童福祉法により、放課後児童健全育成事業、放課後児童クラブの対象児童の範囲が、小学校6年生の留守家庭児童まで拡大され、また、国が昨年7月に定めた放課後子ども総合プランにおいては、平成31年度末までに希望する全ての児童の受入れを推進していくとの方針が示されました。
これは、共働き家庭等の小1の壁を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験、活動を行うことができるよう、放課後児童健全育成事業と放課後子供教室の計画的な整備等を推進することを目的としております。
本市では、平成31年度末までに希望する全ての児童の受入れに対応していくため、児童館、児童センターの耐震化や小学校の利用可能な余裕教室等の確保など、必要な整備を進めているところであります。しかし、小学校区によっては受入れ可能な施設等に差が生じており、希望する全ての児童の放課後等の居場所の計画的な確保が求められるところであります。
そこで、児童が放課後等を安全・安心に過ごせる環境を整備するため、こども未来部と教育委員会が連携を深め、小学校内の余裕教室等の活用及び必要な施設の確保を進めるとともに、受入れ対象児童が高学年まで拡大することに伴い、放課後等の学習、遊び、体験活動について多様なメニューが提供できるよう、地域ボランティア、アドバイザー、スポーツ団体などとの連携による運営体制の充実を図り、地域社会全体で子供を育て、子育てを支援する体制づくりを推進していくことを要望いたしました。
2点目は、障害児等に係る支援体制の強化であります。
平成24年度に行ったながのこども未来プランのアンケート調査の結果では、子育てを楽しいと思う保護者の割合は増加しておりますが、障害がある子供を育てていく上で、これからも長野市で暮らしていくことに希望がもてる保護者の割合が減少しており、障害のある子供を育てている中で、保護者が希望を持てていないことが大きな課題であり、全ての保護者が子育てに喜びが持てる環境の向上が求められております。
市では、乳幼児健診等におけるスクリーニングによる発達障害等の早期発見や発達支援あんしんネットワーク事業において、地域発達支援会議を開催し専門的支援が必要な子供等に対し、関係者間の連携、情報共有を図り具体的な支援につなげる協議を行うなど、障害等の早期発見・早期療育につなげるための支援体制の強化を図っているところであります。
しかし、専門的支援が必要な子供は増加しており、関係者間での効果的な情報の共有化、障害に対する理解が得られにくい保護者への理解促進のための取組などの課題があります。
専門的支援が必要な子供と保護者が安心して学び、育ち、暮らせる環境づくりを推進するため、早期発見・早期療育につなげることが重要であり、更なる相談支援体制の充実による切れ目のない、きめ細かな支援が必要と考えます。
そこで、障害に対する理解を深めるため、保護者に対する効果的な支援情報の発信、地域への研修会などによる啓発を行うとともに、切れ目のない支援を行うため、幼保小、小中間の連携事業で隙間を生じさせない体制の強化、障害児支援に対する支援経過や指導に対する効果の検証などを進めるよう要望いたしました。
3点目は、子どもの権利擁護に係る支援の在り方であります。
近年、経済格差の拡大や、地域コミュニティの希薄化、子育ての孤立化などにより、経済的にも、社会的にも厳しい状況に置かれた子供や家庭に対する支援の在り方が大きな課題となっております。
そのような中、市は、児童虐待やいじめなどの子供の人権を侵害する問題などに対し、要保護児童対策協議会を初めとする相談支援体制の強化を図り、諸問題の早期発見から効果的な支援へ結び付けるための体制強化を図っているところであります。
しかし、児童虐待等の児童相談件数は年々増加傾向にあり、内容も複雑化しており、相談から解決に至るまでに時間が掛かるなど課題もあるところであります。また、義務教育においては不登校が長期化している児童・生徒の学習支援の在り方にも課題があります。
ついては、児童虐待等を防止し、早期発見につなげるため、各種母子保健事業への積極的な参加を促す取組の推進や子供や保護者に寄り添った相談支援の充実を図るとともに、保護や特別な支援が必要な子供に対しては、その子供の置かれた様々な家庭状況などを考慮した適切な対応がとれるよう、より一層関係機関との連携を深めることが必要であると考えます。
また、不登校が長期化している児童・生徒の学習保障についても、市、学校、保護者及び地域が協力して仕組みの構築を目指し、子供の未来を見据えた教育支援の研究を進めるとともに、長野市のコミュニティスクールの取組の中で、地域との協働により児童・生徒が通いやすい学校環境の整備を進めていくことを要望いたしました。
さらに、多様化する保育ニーズに対応するため、認可保育所、幼稚園、認定こども園及び認可外保育施設の役割や支援の在り方についても十分研究し、今後の総合的な子育て支援につなげていくことを期待するものであります。
最後に、多岐にわたる子ども・子育て支援の課題がある中で、子供や保護者の気持ちに寄り添いながら、市民が安心して子育てができるよう、社会全体で子育ち・子育てを支え合える環境づくりに取り組むとともに、こども未来部を中心に、関係部局及び関係機関との連携を強化し、よりきめ細かい子育て支援を推進するよう要望いたします。
以上で報告を終わります。