議会報告

2015年9月定例市議会 原田のぶゆき議員

憲法違反の戦争法案について

市立皐月保育園の移転改築問題について

福祉、暮らしの問題について

国民健康保険について

国民健康保険料の引上げについて

緊急通報システムについて

信更町のひょう害問題について

憲法違反の戦争法案について

◆原田誠之
 39番、日本共産党長野市会議員団の原田誠之です。
 私は、7期28年間、この発言席で討論させていただきました。長い間大変お世話になり、ありがとうございました。
 それでは、質問に入ります。
 まず、憲法違反の戦争法案に関連して伺います。
 安倍内閣の法案提出後、短時日のうちに国民の厳しい批判を浴び、破綻を来しています。自民党の推薦する憲法学者の違憲発言、法の番人、歴代法制局長官の違憲指摘、自民党支持者の3割以上、公明党支持者の5割が法案反対など、国民の6割以上が、この国会では成立すべきではないとの声です。
 採決強行後の5大紙の世論調査でも、安倍支持率は急落、不支持率が過半数を超え、国民の声に逆らう政治は行き詰まることの証明です。市内でも若いママさんたちは、戦場に送るために子供を育ててはいない、若者も戦争には行きたくないとプラカードを掲げ、次々と立ち上がっています。日々高まる戦争法案反対の動きを市長はどう受け止めているのか、見解を伺います。

(39番 原田誠之君 質問席へ移動)

◎市長(加藤久雄)
 原田議員の御質問にお答えいたします。
 安全保障関連法案に関連した御質問でございます。
 安全保障関連法案は、現在、参議院において審議が行われておるわけでございます。政府は、この法案につきましては、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している中、国民の命を守るための大切な、必要な、今やらなければならない法案であると説明しておりますが、新聞報道などを見ましても、まだまだ十分に世論の支持が広がっていないと認識しております。
 国においては、国会での審議を通じまして、また機会を捉えて、国民に対しまして丁寧に説明し、理解を得ていくべきものと考えております。

◆原田誠之
 既に国会では明らかになっております。市長は、さきの市議会で集団的自衛権行使容認の理由に、先ほど言われたように推進の立場であります。しかし、違憲性は明らかです。
 1つは、武力行使をしている米軍等への兵たん活動は、武器の輸送、弾薬の提供、戦闘作戦行動の航空機への給油、これは他国の武力行使と一体で、格好の標的となり、武力で対抗せざるを得なくなります。
 2つは、政府の憲法解釈が180度転換し、日本への攻撃がなくても、集団的自衛権を理由にアメリカの無法な戦争に参戦でき、侵略国の仲間入りすることです。
 3つは、停戦合意がなされているが、なお戦乱が続く地域に自衛隊を派兵し、治安に取り組ませ、任務遂行に武器使用を認めていることです。アフガンでの国際治安支援部隊の活動で3,500人の戦死者を出しています。自衛隊を殺し殺される戦闘に参加させる危険な道です。
 市長、憲法違反は明確ではないか、改めて見解を伺います。

◎市長(加藤久雄)
 安全保障関連法案につきましては、国は我が国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るため、やむを得ない自衛の措置として、必要最小限の武器の行使を認めるものと説明しております。
 また、国は、自衛の措置としての武力行使の新三要件を示しております。具体的に申し上げますと、1つ目といたしまして、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、また、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、2つ目といたしまして、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、3つ目といたしまして、必要最小限度の実力行使にとどめるべきことであります。
 この三要件を満たさなければ、他国から武力行使への協力を求められたとしても、協力できないとの見解を示しております。
 このように、国においては、飽くまで自衛のための措置としての必要最小限の武力行使が憲法上許されると判断したものであると理解しております。

◆原田誠之
 存立危機を理由にアメリカの戦争に出ていき、後方支援で武器弾薬などを運ぶことができる、明らかな戦争と一体です。これはもう、本当に危険なものであります。
 自衛隊に1人の戦死者も出なかったのは、世界に誇る日本の宝、憲法第9条があり、平和を希求する国民世論と運動があったからです。海外の紛争地で日本人がボランティア活動ができるのも、自衛隊が1発も外国人に銃弾を撃っていない、1人も殺していないからです。9条のおかげです。容認は日本を危険にさらし、憲法第9条に真っ向から反するものであります。
 市長は、二度と戦争はしない、孫子を戦争には送らない、その思いで戦争法案に反対すべきではないか、改めて見解を伺います。

◎市長(加藤久雄)
 二度と戦争はしない、戦地に家族を送るようなことがあってはならないという思いは私も同じでございます。
 本法案につきましては、国民が疑問に思い、また不安に感じるところがあるとすれば、国において国民に対し、より丁寧に説明し、不安を取り除くことが求められるものと考えております。

◆原田誠之
 今議論しているのは、同盟国アメリカが戦争していたら、そこに自衛隊が後方支援で行くことができる、武器弾薬を運ぶことができる。そして、一番危険な場所にいるわけですから、攻撃されたら攻撃もしなきゃならない、正に戦闘に入っていくことになります。自衛隊が犠牲になることは明らかなわけでありますので、市長は何としても反対の立場に立つべきであります。市民多数の声であります。

市立皐月保育園の移転改築問題について

◆原田誠之
 次に、市立皐月保育園の移転改築問題で伺います。
 県道長野豊野線改良工事に伴い、来年度中に北部市民プールを廃止、解体し、跡地に皐月保育園の移転改築計画が発表されました。しかも、本年度中に基本設計、来年度に実施計画をまとめ、平成29年度新園舎着工で、事業実施は平成30年度です。問題は、移転場所が保育園舎にふさわしいのか。
 若槻住民自治協議会役員説明でも出ました交通問題、東豊線開通以降、上野から市立長野高校への交通量は多く渋滞箇所で、しかも急坂、急カーブです。凍結など、冬期間の交通事情は更に困難を来します。園舎への車の出入りの安全を考慮すれば、危険極まりない場所です。十分検討されたのか。
 道路拡幅となれば、有名な桜並木を伐採しなければなりません。かいわいから反対の声も出るでしょう。周辺に適地と思われる耕作放棄地が何か所かあります。検討されたのか。
 さらに、園庭の地下には4,000立方メートルの上野配水池があります。災害救援防災上、支障はないのか。
 長野県はこの4月に、平成30年3月期限で、建設補償費を含め、移転の通知と言います。余りに短期間の計画決定ではないですか。急を要することだったのか。保護者、地元住民の声をまず聴いた上でも遅くはなかったはずでありますが、見解を伺います。

こども未来部長(松坂志津子)
 皐月保育園の改築について、6点ほど御質問を頂いておりますので、順次お答えいたします。
 まず、交通問題についてですが、議員の御指摘のとおり、移転先となる北部市民プール付近の道路の急勾配や急カーブ、朝夕の交通渋滞、冬場の凍結などを懸念する意見が、地元や保護者の皆様の一部からも寄せられております。
 この道路については、これまでも優先的な除雪や部分的な道路改良により対応してきているところですが、今後は保育園の通園路になることも踏まえ、改めて関係の皆様の御意見を精査し、関係部局と連携の上、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。
 なお、移転先の選定に当たっては、保護者の送迎等に対する負担や住民への影響についても検討しましたが、これらを考慮してもなお、子供の保育環境においては、昭和の森公園内に移すことが最適と考えたものでございます。
 次に、道路拡幅による桜並木の伐採への懸念についてお答えします。
 この街路樹については、関係の皆様から御意見を頂いている急勾配や急カーブに係る道路改良の範囲から離れておりますので、今回の移転改築による影響はないものと考えております。
 次に、現在の皐月保育園の周辺にある耕作放棄地などへの移転改築についてお答えします。
 現在の皐月保育園の敷地は、地形的に北側、東側、南側が河川に囲まれており、現在の敷地に隣接する代替地を求めるとすれば、民地である西側の農地に限定されます。西側の農地については、現在耕作は行われていないものの、農業振興地域内の農用地、いわゆる農業の振興を図っていくために守る必要があると指定された農地となっており、また、過去には国庫補助金による土地改良も行われていることから、今回、移転改築先とすることは難しいものと考えております。
 また、西側には、部分的に農業振興地域内の農用地ではない農地もありますが、この土地については、その一部が今回の県道整備による買収範囲に含まれており、敷地の立地、形状などが園の建設に向かないことから、やはり不適当であると考えております。
 さらに、隣接地以外の土地についても、これまでに幾つか検討してまいりましたが、それぞれに困難な事情があり、移転先には適さないものと判断しております。
 次に、地下の上野配水池についてお答えします。
 御指摘の配水池は、上下水道局所管のものでありまして、災害救援、防災上の見地から設置されたものではなく、市内東北部約7,000戸へ水道水を供給する基幹的な施設であります。この上野配水池の上部には、現在でも幼児プールが設置されており、今後、園庭として使用しても支障は生じないことを確認しております。
 次に、余りに短期間のうちに計画を決めなければいけないほど急を要することなのかということですが、今回の事業に当たっては、県からは平成30年3月までに移転してほしいとの依頼を受けております。この県の依頼は、都市計画道路でもある県道改良によるものであり、都市計画道路の整備を促進する観点からも、市としてもできる限り協力していくべきものと考えております。
 県から示されたスケジュールをしんしゃくすると、平成28年度当初には新たな園舎の実施設計に着手する必要があり、また、建設に当たっての関係機関との調整などを考慮した結果として、現在の日程を組んでおりますので、御理解願います。
 最後に、保護者、地元住民の声をまず聴いた上でも遅くないのではとのことですが、今回の計画は、市として、より良い保育環境はもとより、公共施設マネジメントの観点、都市計画や土地利用の視点など、総合的な見地からの検討を踏まえ、皐月保育園の保護者を初め、若槻地区住民自治協議会など地元や関係の皆様の御意見をお聴きしながら、現在、具体的な計画づくりを進めているものです。この中では、皆様から交通問題を初めとする貴重な御意見を頂いておりますので、このことも踏まえながら、より良い計画となるよう努めてまいりたいと考えております。

◆原田誠之
 一番は、住民の声を聴かないで突っ走っているという問題です。
 それから、プールの問題でありますけれども、プールは利用者が減ってきたとは言いますが、今年の夏は、1日四百数十人も利用するほどのすごい利用者がいますので、そういうことも含めて、近隣住民、プール使用者などの声もしっかり聴いた上で、絶対、この計画は進めなきゃならないというふうに思います。
 改めて一つお聞きしますが、保護者、地元住民の意見を聴き、納得と合意を前提にしなければなりません。また、プールの廃止、園舎建設など、改めて移転計画は抜本的に見直す、白紙に戻す、そして、住民の声を聴きながらやってもらいたいということを求めますけれども、改めて見解を伺います。

こども未来部長(松坂志津子)
 皐月保育園の移転改築については、現在、皐月保育園の保護者を初め、若槻地区住民自治協議会など、地元や関係の皆様の御意見をお聴きしながら、具体的な計画づくりを進めております。関係の皆様の御意見は、今月中にはそれぞれ集約される予定となっておりますが、頂いた御意見については、関係部局とも協議しながら真摯に対応し、次代を担う子供たちをしっかりと育んでいくという目的の下、共に理解を深めてまいりたいと考えております。
 また、今回の事業は、より良い保育環境の確保、恵まれた自然環境を生かした信州型自然保育の展開、既存市有地の活用による事業期間の短縮や事業費の縮減など、様々な要素を勘案した結果、北部市民プールへの移転が最適であることから提案しているものでございます。
 保護者や地元など関係の皆様にも、このことについて丁寧に説明し、今回の事業に更なる御理解、御協力をいただけるよう努めてまいります。

◆原田誠之
 計画は、住民の声を聴いた上に立った計画にして固めていく必要があると思いますけれども、これでは全くそういうものはないというふうに見受けますので、改めて住民の声をよく聴いて、その意見を反映できるようなものにしていただきたいと思います。

福祉、暮らしの問題について

◆原田誠之
 次に、福祉、暮らしの問題であります。
 安倍政権の下、消費税増税、年金削減、医療費や介護保険料の値上げなど、暮らしはひっ迫するばかりです。こういうときこそ、地方自治の精神を生かし、市政こそ市民の福祉、健康を守ることが求められております。
 そこで伺います。まず、介護保険の改悪と市民への影響であります。
 8月1日から、一定以上の収入のある高齢者は、介護保険サービスの自己負担が1割から2割に引き上げられ、また、資産の保有によって介護保険施設の食費や部屋代の軽減措置がなくなるという、介護保険法の改悪による自己負担の大幅な負担引上げが行われています。市内の2割負担の対象者は2,190人に及ぶと報道されていますが、この皆さんの中で、サービスの利用を減らし、生活の質を大幅に落とさざるを得ない人たちが生まれることが懸念されますが、どのような影響が出ているか伺います。
 また、介護保険施設の部屋代と食事の負担軽減措置を受けるには、預貯金調査に応じなければなりませんが、個人のプライバシーを侵害することであり、抵抗感を持つ人がいることは当然です。預貯金調査の提出状況はどうですか。提出を拒否したことで軽減措置が受けられなかった人はいないのか伺います。
 介護保険の改悪による自己負担増でサービスを減らし、結果的には健康的な生活が維持できない市民が増えることは想像に難くない事態です。状況を詳細に把握し、対策の強化を強く求めますが、いかがですか。

保健福祉部長(田中幸廣)
 8月1日から、一定以上の所得のある方が介護保険サービスを利用する場合、負担割合が1割から2割になりました。システムにより所得判定を行い、その結果に基づき、1割又は2割の負担割合を明記した介護保険負担割合証を送付いたしました。要介護・要支援認定者2万386人のうち、2割負担の方は2,190人でした。
 負担割合の変更による影響については、変更になったばかりですので、今後、介護保険事業者やケアマネジャーなどから状況を確認するなど、情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 自己負担の軽減制度といたしまして、高額介護サービス費という制度がございます。これは、世帯の介護サービス利用料の上限額を超えて支払ったサービス費が後で払い戻されるというものであります。2割負担となったことにより、高額介護サービス費の該当者の増加が想定されますので、支給対象となる方へは勧奨の通知をお送りしてお知らせする他、介護保険事業者やケアマネジャーにもEメールやファクシミリ等により、高額介護サービス費の制度について周知を徹底してまいります。
 次に、介護保険施設入所者の部屋代と食費の負担軽減に係る申請状況についてお答えします。
 制度改正前の負担軽減制度を利用している負担限度額認定者3,545人へ、更新の勧奨通知を発送いたしました。8月4日現在で2,930人の申請を受け付けまして、そのうちの2,697人について更新認定し、233人却下といたしました。今回の制度改正により、配偶者が市民税を課税されていることで却下となった者が157人、預貯金額が基準額を超えたことにより却下となった者が76人でございます。
 なお、未申請の方、約600人ほどおられますが、これは、配偶者に市民税が課税されていたり、預貯金残高が基準額を超過するという理由により認定とならないと御自分で判断したことから、申請しなかったものと思われます。
 預貯金額の写しの提出を拒否したことで軽減措置を受けられなかった方がいないかというお尋ねでございますけれども、負担限度額認定の申請に来られたときに、制度改正の趣旨をお伝えし、認定を受けるためには通帳のコピーを申請書に添付していただくように説明いたしましたところ、御理解をいただき、コピーを提出していただきましたが、お一人だけコピーの提出を拒否された方がおりました。
 しかし、金融機関の照会については同意をされておりましたので、金融機関に照会させていただきましたところ、預貯金額が基準額以上のため却下となっています。通帳のコピーの提出を拒否したことをもって却下となった事例はございません。

◆原田誠之
 介護の問題で泣かないように、しっかり対応していただきたいと思います。

国民健康保険について

◆原田誠之
 次に、国民健康保険についてです。
 今、一般会計からの繰入れは、平成25年度で14億4,000万円、県下でトップ、中核市で上から3番目、頑張っていることを評価しつつ、一層の努力を求めます。
 医療保険制度の改正で、運営主体を都道府県に移します。市町村の一般財源からの繰入れを削減し、国保料の値上げにつながる平準化の狙いがあるとの指摘です。
 国保は低所得者が多く、年齢構成も医療費水準も高く、所得に占める保険料が重いなど問題点を抱えています。市民の暮らしや営業が深刻なとき、保険料の負担増では暮らしを壊し、滞納も広がります。広域化により、独自の取組、一般会計からの繰入れについて、県議会の理事者答弁では影響はないとしていますが、長野市はいかがですか、お伺いいたします。

◎保健福祉部長(田中幸廣)
 国民健康保険の全県広域化後の一般会計からの繰入れにつきまして、長野県議会6月定例会の質問、答弁を確認いたしましたところ、県の健康福祉部長が、保険料水準の急激な上昇を緩和するためなどに行う繰入れ等の独自策を実施することは、引き続き可能と答弁しており、原田議員がただ今おっしゃった、広域化により独自の取組、一般会計からの繰入れについて影響がないというのとは、若干ニュアンスが違うのではないかと認識しております。
 さて、本市の一般会計からの法定外の繰入れは、平成26年度決算で13億8,400万円となっております。また、被保険者1人当たりにいたしますと1万5,000円となり、他市と比較しても大きな金額となっております。
 今回、持続可能な医療保険制度を構築するための改革の一環として、国民健康保険の財政基盤の強化を図るため、平成27年度から国全体で毎年1,700億円、平成30年度からは毎年3,400億円の公費投入の拡充が決定されております。これにより、国から国民健康保険特別会計への繰入れが2段階で大幅に増額されることから、この際、市からの法定外繰入れを縮減、解消するように取り組む必要があると国から言われております。
 お尋ねの一般会計からの繰入れにつきましては、自治体ごとに事情が異なりますので、繰入れの継続につきましては適切に判断してまいりたいと考えております。

◆原田誠之
 広域化になっても、繰入れの継続の堅持を求めておきます。

国民健康保険料の引上げについて

◆原田誠之
 次に、国民健康保険料の引上げについてであります。
 滞納世帯は、平成26年度で8,052世帯、加入者の15パーセントで低くはありません。理由は、事業不振、失業、病気療養など、払いたくても払えない生活苦が主なものです。
 我が党市議団の市民アンケートでは、国民健康保険料を引き下げての要望が断トツ1位です。引下げ財源は積立金16億円余り、また、毎年取崩し額10億円以上ですが、過去4年間はゼロです。一般会計の財政調整基金など215億円もあります。年間1世帯1万円引き下げるとすれば、約5億円余りの原資が必要です。必要な財源は生み出せるのではないか、見解を伺います。

◎保健福祉部長(田中幸廣)
 国民健康保険支払準備基金は、国民健康保険特別会計において、保険給付に要する費用などの財源に不足を生じた場合に備え積み立てているもので、平成26年度末の現在高は16億6,000万円ほどになってございます。
 国民健康保険特別会計の歳出全体の約7割を占めます保険給付費につきましては、過去5年度の決算におきまして、毎年平均して6億円ほど、5年間で31億円増加しており、今後も増加が見込まれます。加えて、この5年間で、後期高齢者支援金が7億円、介護納付金が4億円増えております。一方、歳入に目を向けますと、本市の保険料率は平成21年度以降据え置いており、保険料収入は加入者の減と保険料軽減制度の拡大などにより、5年間で7億円減少しております。
 この間、被用者保険から交付されてまいります前期高齢者交付金が29億円の増、退職者医療交付金が7億円の増、一般会計からの法定内繰入れが4億円の増などにより、辛うじて財政の維持を図ってきたところでございます。歳入歳出のバランスを示す実質単年度収支は、平成23年度から25年度までは黒字でありましたが、平成26年度は2億円ほどの赤字となりました。
 全県広域化される平成30年度以降の財政運営におきましては、県が設定、算定する納付金を本市が県へ納付することになります。納付金の算定方法や具体的な金額は現在白紙の状態ですが、今後決定される本市の納付金の額は、現在の保険料算定の基礎となる金額より高くなる可能性があります。こうした場合、保険料の急激な引上げを緩和するために、支払準備基金からの取崩しをする必要性が出てまいりますので、基金は大事に持っておかなければなりません。
 また、本市の保険料水準につきましては、従来から他市等に比べ低いものとなっており、これを現時点で更に引き下げるために基金を取り崩すという必要性については、慎重に検討しなければならないと考えております。

◆原田誠之
 基金210億円、大いに活用していただきたいと思います。
 次に、国民健康保険料の高騰は、国庫負担の削減にあります。国庫負担の引上げを強く国に求めていただきたいと思いますが、見解を伺います。

保健福祉部長(田中幸廣)
 昭和50年当時、国庫負担率が保険給付費の50パーセントでございまして、数度の制度改正を経て、県も負担することとなり、現在におきましても、国の負担41パーセント、県の負担9パーセントで、国・県の合計50パーセントの負担率は維持されておるところでございます。
 今回の制度改正の中で、国は消費税増税分を財源として、国民健康保険財政基盤強化のため、平成27年度から毎年1,700億円、平成30年度から3,400億円の公費投入の拡充を決定した段階でございます。更なる国庫負担の引上げの要望につきましては、今後の状況を見ながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。

緊急通報システムについて

◆原田誠之
 次に、緊急通報システムについてです。
 当市議団は、孤立死防止対策として、緊急通報システムは有効な手段として、改善を再三求めてきました。いまだに約9,000人弱の対象者に1,000台程度で、利用は低調です。2人の協力者でなく、1人でも申請できる仕組みにしたらどうか。また、支所や住民自治協議会、民生児童委員など福祉団体関係者と対策会議を立ち上げてはどうか。利用者を増やす真剣な努力が求められますが、見解を伺います。

保健福祉部長(田中幸廣)
 緊急通報システム設置事業は、緊急通報装置をひとり暮らし高齢者等に貸与し、安全確保等を図ることを目的としたものです。利用者が緊急時に装置のボタンを押すと、コールセンターを通して、協力者の訪問依頼や救急車の出動要請を行います。また、安否センサーが異常を感知いたしますと、コールセンターから協力者に訪問の依頼を行っております。
 協力者には、緊急時に高齢者宅に出向いて状況等を確認したり、必要な措置を講じたりしていただく重要な役割を担っていただいております。このため、本市では、親族、近所の方などを協力者として登録いただいております。また、協力者は、緊急時にできるだけ確実に速やかに対応いただけるような複数の方を登録いただくようお願いしております。やむを得ない場合には、1人の協力者でも申請を受け付けております。
 御自分で協力者が見つからない場合には、市が民生委員さんと御相談させていただいて、適任者をお願いしております。
 利用が低調とのお話でございますが、事業の概要を多くの方に知っていただき、システムを必要としている方が申請しやすい環境を整えることが重要と考えております。従来から、民生委員、ケアマネジャー等、関係する方々に様々な場面で制度の周知を行っております。このため、改めて対策協議会等の別組織を立ち上げる必要性は、今のところはないかと存じております。
 今後も様々な広報媒体、機会を通じて、広く制度の周知を図ってまいりたいと考えております。

◆原田誠之
 孤立死も年々増えています。十分な検討を求めておきます。
 次に、利用料の心配なく、対象者誰もが気軽に申請できるように、無償にすることを提案します。無償なら市の負担額は幾らになるのか、お伺いいたします。

◎保健福祉部長(田中幸廣)
 緊急通報システムに要する経費は、コールセンターの運営費と通報装置の費用でなっておりまして、平成26年度は総額で2,411万4,000円となっております。利用者は月額300円で、総額で405万9,000円が市の歳入として入ってまいります。無料とした場合は、経費の全額が市の負担となります。
 利用料につきましては、本市の行政サービスの利用者の負担に関する基準との整合性を図った上で、社会福祉審議会から、公益性の高い事業であることから経費の25パーセント程度が妥当であるとの答申を受けております。現在の利用料は、その考えに沿った対応であり、生活保護世帯については無料とさせていただいております。
 対象者全員を無料とすることは、行政サービスの利用者の負担に関する基準及び社会福祉審議会の答申にそぐわないものと考えております。

◆原田誠之
 利用者が余りにも少な過ぎます。今のような答弁では、とても前進できないように思いますけれども、私は改めて、一般会計の基金210億円は全国トップクラスでありますから、お金がないわけではありません。ないのは市民を思いやる気持ちではないですか。是非これは無償にし、本当に使いやすくすべきであります。

信更町のひょう害問題について

◆原田誠之
 最後に、信更町のひょう害問題で伺います。
 先月15日の降ひょうで、信更町のリンゴ農家の一部で甚大な被害がありました。調査に行きましたが、ある農家では、金にならない加工品と嘆いていました。被害面積、戸数、量、被害額はどうか。農業を継続できる支援策を求めますが、具体策はいかがですか、伺います。

◎農林部長(広沢吉昭)
 初めに、被害を受けました農家の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 今回の被害面積は約5ヘクタール、被害農家戸数約100戸、減収量約24トン、被害額は約390万円と、地区農協であるグリーン長野農業協同組合から報告を受けております。
 農協では、ひょうによるリンゴの病害発生を防ぐため、殺菌剤等の薬剤散布の指導、必要な薬剤の確保、注文取りまとめと頒布、営農継続のために必要な資金の低利による融資、また、今後の収穫状況にもよりますが、比較的傷の少ないリンゴを加工品に回さず、えくぼリンゴとして有利販売する等の対応を検討しております。
 本市の対応といたしましては、今後、殺菌剤等の薬剤散布に係る経費の一部を助成してまいりたいと考えております。

◆原田誠之
 農協とも十分協議をし、市の行政の一層の支援策を強く求めたいと思います。
 以上で質問を終わりますけれども、私は初当選以来、地方自治の精神、住民の安全、福祉、健康を守ることを信条に、7期28年間、日本共産党の議員として活動してくることができました。市民の皆様、市長を初め理事者の皆様、同僚議員の皆様には大変お世話になり、心よりお礼を申し上げます。市政のより良い発展を心から願うものであります。
 これからも一市民として、市民の暮らしに寄り添い、尽力することをお誓い申し上げ、私の最後の質問とさせていただきます。どうも長い間ありがとうございました。

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