2015年9月定例市議会 佐藤くみ子議員
請願第25号安全保障関連法案の廃案・撤回を求める意見書提出の請願など、請願第26号、第27号、第28号、一括審査をされたこの4件の請願について、委員長報告は賛成少数で否決 反対討論
◆佐藤久美子
35番、日本共産党長野市会議員団佐藤久美子です。
請願第25号安全保障関連法案の廃案・撤回を求める意見書提出の請願など、請願第26号、第27号、第28号、一括審査をされたこの4件の請願について、委員長報告は賛成少数で否決とされましたが、私はこれに反対し、討論を行います。
8月11日の総務委員会では、この4件の請願審査に当たって、それぞれ参考人の出席を求め、意見陳述と質疑が行われました。傍聴席も拡大して、41人の市民の見守る中、関心の高さが示され、約3時間に及ぶ審査となりました。
この法案については、現在参議院で審議されており、廃案を求める国民の世論はますます高まっており、共同通信が8月14日、15日、この両日で世論調査を行ったところで、今国会の成立に反対は62パーセントに上っております。戦争か平和かが問われる歴史的局面での長野市議会での議論であると考えるものであります。
今、新友会と公明党の議員の委員長報告に賛成の討論をお聞きしましたが、余りにも市民世論と懸け離れたもの、また請願者の願意と懸け離れたものであると感じました。戦争だけはしないでと駆け寄ってくると、公明党の議員も実は委員会で発言されていました。戦争の惨禍と反省を踏まえて、日本国民が得た世界に誇る宝、憲法9条を守り抜き、この条項を生かした平和な日本を築くために、思想信条の違い、あるいは政治的立場の違いを超えて、平和を願う全ての市民の代表として、4件の請願とも採択をし、廃案を求める意見書を政府に提出するよう呼び掛けるものであります。
委員長報告には盛り込まれませんでしたが、審査の中で、新友会の委員は、子供のけんかに例えて、力を付ける者が勝つとか、市民とのサンドイッチの状況、板挟みとの発言もありました。また、自分の周りでは法案に反対という人は少なく、分かりにくいという人が多いという意見も出ました。公明党の委員も、万々が一のための備えだと発言をされました。
長野市議会では、3月定例会での戦争立法推進の意見書を上げ、6月定例会では丁寧な説明を求める意見書を上げています。6月20日のNHKニュースで、この法案に賛成の意見書が全国で3議会上げたことが報道をされましたが、その一つが長野市議会であります。全く恥ずかしいことというのが市民の受止めであります。さらに、この任期最後の議会で安保法案の廃案を求める請願を否決することは、幾重にも市民の期待を裏切るものであります。長野市議会の歴史的役割からいっても、断じて許されません。
私は、終戦70周年の8月15日、朝陽の長命寺において行われた、非戦の鐘と平和をうたう集いに参加をいたしました。朝陽地区憲法9条を守る会の主催でありました。そこで、住職から学童疎開の話をお聞きしました。実は、70年前は板橋の学童疎開先として大勢の子供たちを受け入れたそうであります。
最初は、赤飯を炊き受け入れたが、次第に食料が無くなり、疎開をしていた子供たちに弁当を持たせられなかったので、地元の子供たちの弁当を食べてしまったり、空腹のためにリンゴ畑にリンゴを盗みに入り、見つかって叱られたこと、後に農家の方が子供に食べさせてほしいとお寺にリンゴを持ってきてくれ、2つずつ配られ、その、やまとという品種が、その味が一生忘れられない味として記憶に残っていると、70年ぶりにお寺を訪れた兄弟が話してくれたそうであります。そして住職は、学童疎開で来た人がお寺を訪れた話を近所の人にしてみたが、皆顔を曇らせ黙ってしまう。今でも当時の食べ物のことが心の傷になっていると感じたそうです。たくさんの悲しみや心の痛みが憲法9条に込められていると話をされました。
当日、安倍首相は戦後70年談話を発表いたしました。その中で、暴力と強圧をもって韓国の植民地化を進めた日露戦争を、植民地支配の下にあった多くのアジアやアフリカの人々を勇気付けたと述べていることは、乱暴極まりない歴史のわい曲に他なりません。戦後の世界秩序は、日独伊3国による戦争は侵略戦争だったという判定の上に成り立っており、それを否定する者は国際政治に参加する資格がないことを厳しく指摘しなければなりません。
自衛隊があったから戦後70年間戦争がなかった、自衛隊がなければ外国に攻められていたとの意見が委員会でもありましたが、果たしてそうでしょうか。平和の歩みを支えてきたのは、何より憲法9条が存在し、平和を希求する国民の世論と運動が脈々と続いていたことによります。この力が歴代内閣をも縛り、自衛隊は軍隊ではない、海外での武力行使は許されない、集団的自衛権は許されないという憲法解釈をとらせてきたのではないでしょうか。
今、安倍政権は、戦後70年の平和の歩みを断ち切り、歴代内閣の憲法解釈を根底から覆して戦争法案を強行し、日本をアメリカと共に、海外で戦争する国に作り替えようとしています。安全保障法案は戦争立法です。なぜなら、集団的自衛権の行使を認めることは、日本が攻撃されていないのに自衛隊を地球のどこにでも派遣する、しかも戦闘地域に派遣するからであります。今まで、憲法に違反するからできないと言ってきたことを行うのは、法治国家のすることではありません。
戦争には反対、と委員会で全ての議員が発言をいたしました。しかし皆さん、さきのアジア太平洋戦争に突き進んだときも、戦争するぞと進んだのではなく、自存自衛のため、アジア解放のためと位置付け、310万人の国民と多くの国々の人々の命を奪い去ったのです。この法案に反対し、廃案、撤回を求める市民の請願を否決することは、長野市議会として戦争への道に手を貸すことになります。オリンピックを開催した都市として世界に平和を発信する役割を負う長野市議会として、それは断じてなりません。委員長報告に反対する議員の数が半数以上になることを訴えて、私の反対討論といたします。