議会報告

2015年6月定例市議会 野々村ひろみ議員

加藤市長の政治姿勢について

マイナンバー制について

連携中枢都市圏構想と保健所の存続について

新たな広域連携促進事業について

長野市の財政調整のための基金について

介護保険について

加藤市長の政治姿勢について

◆野々村博美
 38番、日本共産党長野市会議員団野々村博美でございます。
 最初に、加藤市長の政治姿勢について伺います。
 過日、衆議院憲法審査会で3人の参考人がそろって、安全保障関連法案は違憲とする判断を示しました。また、日本弁護士連合会は反対署名26万人分を提出いたしました。
 当市会議員団は、去る11日、6,900人余の反対署名を国会に届けてまいりました。違憲立法、戦争法案反対の世論が今、大きな流れになりつつあります。世論調査では、この法案に関して安倍政権は説明不足だとする回答は81パーセントに上っています。
 改めて、加藤市長に伺います。
 この法案の説明を政府・与党が十分国民に行っていると考えるか。また、この法案が憲法違反とした憲法学者の見解をどう評価しているか。市長自身のこの戦争法案に対する考えはどうか、改めて伺います。

38番 野々村博美君 質問席へ移動

◎市長(加藤久雄)
安全保障関連法案に関連した質問でございます。
 安全保障は、国の存立に関わる大変重要な問題でございます。今、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化している中で、政府がその責任において安全保障関連法案を閣議決定したものと受け止めております。
 この法案が示されたことによりまして、国政の場のみならず、国民一人一人が国の安全保障を考える良い機会となったと考えております。
 御質問の、この法案が憲法違反とした憲法学者の見解をどう評価していくか、ということでございますけれども、そうした見解もあることも踏まえまして、政府には国政の場において議論を深めていただきたいというふうに考えております。
 国においても、今後も憲法学者を初めとする有識者の意見、見解を広く聴き、十分に議論を重ねていくとともに、国民に対しまして丁寧な説明をし、理解を得ていくべきものと考えております。

◆野々村博美
それでは、改めて政府は、十分な説明を行っていないというふうに加藤市長はお考えなのかということを1点だけ再質問させていただきます。

◎市長(加藤久雄)
今後も政府は国民に対しまして、十分な説明をいたしまして理解を得ていくべきと考えております。

◆野々村博美
なかなか政府批判はできないようでありますが、十分な説明を一層求め、私たちは反対の立場で頑張りたいと思っております。

マイナンバー制について

◆野々村博美
次にいきます。マイナンバー制について伺います。
 日本年金機構から125万件に上る個人情報が流出し、悪質な詐欺商法が拡大するなど、今、大きな社会問題になり、改めてマイナンバー制度の危険性が明らかになりました。
 今回の事件の背景にあるのは、コスト削減を最優先にして、大規模な外部委託や非正規雇用によって基幹的な業務を遂行してきたことです。
 長野市の個人情報保護については、行政が責任を持って行う体制になっているのでしょうか。既に米国や韓国では成り済ましなど、不正アクセスで情報が盗み出される事件が起きています。中小企業からは、悲鳴のような声も上がっていますし、実務を担う自治体職員の業務も過重になっています。更に預貯金や健康診断情報への利用拡大など論外です。
 マイナンバー制度そのものの目的は、決して国民の利便性向上ではありません。国が徴税を強化し、更に社会保障給付を監視するためのものです。10月からの番号通知などを中止し、制度廃止へ向け検討と議論を行うことが必要です。加藤市長の見解を伺います。

◎総務部長(寺澤正人)
本市の情報セキュリティーに対する体制についてお答え申し上げます。
 個人情報保護に関する法令を遵守するとともに、情報セキュリティーポリシーでは、個人情報を含む情報資産に対する脅威を想定し、情報セキュリティー統括責任者である副市長を中心とした全庁的な管理体制をしいて、人的、技術的、物理的な対策を実施しております。
 今後も引き続き長野市情報セキュリティーポリシーを遵守し、社会環境の変化、又は情報セキュリティー上のリスクの変化に合わせて、情報セキュリティー確保への継続的な改善、向上に努めるとともに、職員一人一人が責任を認識し、個人情報保護に関して万全を期してまいります。

◎市長(加藤久雄)
マイナンバー制度は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づいて、市町村の法定受託事務といたしまして、本市も準備を進めております。
 本定例会において、個人番号カードの交付事務経費に係る補正予算案を提出したところでございます。
 また、本年10月から個人番号の通知や来年1月からの番号の利用開始に向け、現在、必要となる個人情報保護などに係る条例改正や個人番号カードの交付方法等について、庁内で検討を進めております。
 このように、マイナンバー制度のスタートを目前に控えた段階で発生した日本年金機構の個人情報漏えい問題は、国民に大きな衝撃とともに、個人番号の取扱いに関する不安を抱かせることとなりました。
 今回の事件は、同機構の職員の意識と管理体制、両方の甘さが不備を重ね、招いたものとされておりますけれども、徹底的な調査、原因究明、再発防止に努めていただきたいと考えております。
 私は、マイナンバー制度は行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平公正な社会を実現するために情報化社会における極めて重要なインフラであると認識しております。
 今回の事件を対岸の火事とすることなく、本市の個人番号の適切な取扱いにつきまして、十分検討していくなど、引き続きマイナンバー対応の準備を着実に進めてまいります。
 よろしくお願い申し上げます。

◆野々村博美
最初に申し上げましたように、今回の事件は決して職員個人の責任、もちろんそれは追及されなければいけないことですけれども、その背景にある効率化、民営化、行政が責任を負っていないという、そこにも大きな問題があったわけで、決してそういうことで、個人の責任というようなことで済ましてはいけない問題です。
 マイナンバーを持つことが非常に危険だということを、もっとやはり市長自身には自覚をしていただいて、これについてはやっぱり見直しを求めていくという姿勢を是非持っていただきたいと思います。
 以上要望して、次に移りたいと思います。

連携中枢都市圏構想と保健所の存続について

◆野々村博美
連携中枢都市圏構想と保健所の存続についてです。
 安倍内閣の進める地方創生総合戦略は、真に地方都市とそこに暮らす住民の利益になるものなのでしょうか。地方衰退の原因は輸入自由化などにより農林水産業を潰し、規制緩和による商店街潰し、都市再生の名による都市再開発、東京一極集中政策などによって作られたものです。
 小泉改革で地方交付税を削減し、平成の大合併へと追い立てたことも、住民サービスを後退させ、地域経済に打撃を与えました。その反省もなく、地方創生と言っても通用しません。
 安倍政権は、農業や地場産業を初め地域経済を壊すTPPを推進し、労働者派遣法を改悪しようとしています。
 安定した雇用がなければ、地方移住も安心して子供を産み育てることもできません。しかも、自治体消滅論などで危機感をあおり、社会保障と地方財政の削減は避けられないとして、民間投資の活用と住民の自助、互助で賄うよう求めています。
 連携中枢都市圏構想は、中枢都市周辺部の市町村にある文化施設や図書館、福祉施設などの公共施設や行政サービスの拠点を集約化するものです。これではますます地方は衰退をいたします。
 こうした地方切捨ての先には、更なる市町村の再編と道州制が狙われています。上から地方創生を押し付けても、住民との矛盾は深まらざるを得ません。地域活性化に取り組む自治体を応援し、財源を保障して地方自治の拡充を図るなど、住民の立場に立った地方再生こそ求められています。
 平成の大合併を進めた長野市でも、中山間地の人口流出には歯止めが掛けられません。県内のもう一つの連携中枢都市対象となる松本市では、菅谷市長は広域連携で十分に対応できる。慎重に考えていくとしています。
 国の財政支援があるからなどの安易な判断ではなく、長野市の隅々に行政の光を当て、農林業支援や正規雇用の拡大など、今、地域に暮らす人たちが安心して暮らすことができる施策を実行していくことこそ、今後の定住、移住の確かな保障になり、人口の流出に歯止めが掛かります。そのためにも安倍内閣の進める地方創生に追随するのではなく、合併の検証を十分に行い、長野市モデルを構築していくべきと考えます。
 連携中枢都市圏構想の見直しを求め、市長の見解を伺います。

◎市長(加藤久雄)
連携中枢都市圏構想の目的は、人口減少、少子高齢社会におきましても、一定の圏域人口を有しまして、活力ある社会経済を維持するための拠点を形成することでございます。
 日本全体の人口が減少いたしまして、地方から都市圏への人口流出が続き、地方の活力が失われつつある現状におきまして、この構想が意図するものは、地方の切り捨てではなく、合併によらず各市町村の存立を認めながら、地域間での連携を強め、持続可能な地域社会を創生することにあるものと理解しております。
 私は、人口減少対策については、各自治体がそれぞれの特色を生かして取り組んでいくことを基本とする一方、一つの自治体のみでは完結できない課題も少なくないことから、近隣市町村と連携して取り組むことが必要であると考えております。
 合併の検証を行うことは当然であります。旧合併地区を含めた中山間地における、まちづくりも、長野市全体の創生を図る上で重要な位置付けとなるものと考えております。
 その上で、連携中枢都市圏構想については、中核市である本市が圏域において中心的な役割を担い、地方からの人口流出を食い止め、地方への人口の流れを作っていくものであり、是非とも取り組むべき構想であるとの考えから、その推進に力を注いでいるところでございます。
 現に、関係市町村からそれぞれ合わせて102の事業について連携の提案があり、この構想に対する期待の現れと受け止めております。
 圏域の中核をなす本市といたしましては、こうした期待に応えることで、活力ある長野圏域づくりのために責務を果たしてまいりたいと考えております。

◆野々村博美
限られた財政の中で、国が中核市なり、その中枢都市にお金を落とすということは、今まで他の地方に出していた、他の市町村に出していたお金が削られるということにつながりかねないわけですね。
 長野市が周辺の面倒を見るからといって、そこにだけお金を落とすというやり方がどうして地方の発展につながっていくんでしょうか。必要であれば、それぞれの市町村にしっかりと財政を落とすということの方がよほど地方の活性化になると、私は思います。いかがでしょうか。

◎市長(加藤久雄)
現実に、各市町村が今、存立している中で、全てを一つの市町村で賄うことは難しいというふうに考えております。
 そういう意味では、お互いに強みを連携し合いながら、この連携をしていくということが必要であると、私は考えております。

◆野々村博美
例えば長野市、合併して当時いた合併町村の職員の数は大幅に減りました。支所の職員は激減をしています。そこで地方公務員として働いていた人たちが100人、200人単位で減っていくということが、どれほどその地域の疲弊を招くは明らかではないでしょうか。
 その地域でこそ、その地域の商店街や会社やそういうところのものを使う、地場産業を利用する、そういうことなくして地方は活性化しないわけです。それを長野市という拠点都市に税金を投入してもらうことで、周辺の市町村が発展するなどということはあり得ない。これは平成の大合併を、更に道州制に進めていく一つの経過措置であるだけだと思います。
 是非その辺の判断を十分きちんとしていただきたい。そのことを改めて申し上げ、市長の再度御答弁をお願いできればと思います。

◎市長(加藤久雄)
私は、道州制に反対でございます。それは、もう前々から、商工会議所時代から進めておるわけでございまして、飽くまで先ほどから申し上げましたように、各市町村がしっかりと生きていく。そのためには、自分のところだけでは全てを賄うことができない。それをお互いに強みを生かし、そして弱みを補いながら進めるのが連携中枢都市というふうに考えておりますので、よろしくお願いします。

◆野々村博美
これが進められれば、間違いなく公共施設は減らされ、職員は減らされます。そうなることは目に見えていると思います。きちんとしっかりと一つ一つ検討をしていただきたいと思います。

新たな広域連携促進事業について

◆野々村博美
次に移ります。
 長野県は、長野市を対象として総務省が行う、新たな広域連携促進事業に応募し、採択されました。人口減少の中で、行政サービスの充実などを目的に連携する自治体を支援する制度で、長野市と周辺の8市町村の住民の医療や介護に関する情報を集積し、データベースを構築する事業とのことです。
 長野市内には現在、長野市保健所と長野県が設置している長野保健所がありますが、今後、この事業が推進されることによって、2つの保健所の在り方や統廃合にまで議論が発展していくことが懸念されます。中枢都市に集中的に税金を投入して、公共施設や住民サービスを集約していく安倍内閣の地方創生総合戦略に沿ったやり方では、地域再生どころか、住民の命を守るべき保健所機能の大きな低下にも直結しかねません。長野市民のみならず、周辺自治体の住民に説明することもなく進めていくことは認められません。
 そもそも議会に対しても、このような広域連携促進事業に応募することなど、一切説明はありませんでした。一体、誰がどこと協議して進めてきたのでしょうか。経過の説明を求め、長野県に対して事業の取消しを求めるべきと思います。見解を伺います。

保健福祉部長(田中幸廣)
本年度、総務省が募集を行った、新たな広域連携促進事業では、その事業の一つとして、都道府県と市区町村との連携に向けた取組がございまして、その内容は市区町村間の広域連携では解決が難しい課題に関して、都道府県と市区町村が連携して取り組むための検討を行うものとされています。
 長野県がこの事業に応募することについては、県の健康福祉部から市の企画政策部に話がございました。県はこの事業が広く県民の利益にかなうとの考えの下、事業が採択された際には、長野市の協力を仰ぎながら検討することを前提に申請されたものであります。
 市といたしましては、本事業がデータベースの構築を検討するものであり、市民及び周辺自治体の住民の健康増進に資する事業内容であったため、県が申請することを承諾したものであります。
 県が本市を含む医療圏域9市町村の保健、医療、介護の情報を集約、分析して、市町村へ提供する取組は、きめ細やかな課題把握とその特性に応じた対策を講じることが可能となりますことから、有意義であると感じております。
 具体的には、国民健康保険のみならず、協会けんぽや健康保険組合にも情報提供を求め、一元的なデータベースを構築し、地域ごとに多い疾病や医療、介護の供給量を調べ、保健師による健康指導や医療政策の検討などにもつなぐことができるなど、本市にとってもメリットがありますことから、県に対して本事業の取消しを求めることは考えておりません。

◆野々村博美
質問に答えていただいていないと思うんですが、長野県からは、いつそういうお話があったのか。そして、いつ採択をされたのか、その辺のところをもう一度お聞きしておきたいと思います。

保健福祉部長(田中幸廣)
県から市に話があったのは、5月の初旬でございます。国から県に採択の通知があったのは、5月中旬というふうにお聞きしております。

◆野々村博美
このような大事な問題が5月初旬に話があり、5月中旬には採択をされる。全く当市の検討など行う期間がないじゃないですか。どうして、それでいい事業だということが言えるんでしょうか。議会に対しても何も説明ありません。
 私、今回この質問をするに当たって、県に説明資料を求めました。全くインターネットでとれる範囲のものくらいしか出てはまいりませんでした。何も検討もできないまま、なぜ、こういうことがどんどん進められるのか。正に地方創生の象徴的な事業がここに現れていると思います。
 これは、再度県に対して取消しを求め、一回、ゼロからそれぞれの関係市町村、長野市だけでなく周辺の7市町村も含めて検討していくべきことではないでしょうか。上から目線の地方創生はあり得ないと思います。いかがでしょうか。

企画政策部長(市川専一郎)
先ほど保健福祉部長からお答えをしたとおり、長野市の協力を仰ぎながら検討することを前提に申請をされたものだという中で、事業そのものにつきましても、長野市にはメリットがあるということの中で、県からの協議に応じていきましょうということでお答えをしたというものでございます。

◆野々村博美
長野市のメリットというものはどういうものなのか。一体、これによって新たにどれだけお金が来るのか。新たにどれだけ人件費を確保できるのか。その辺、十分に庁内であっても検討された経過があるのか、伺います。

保健福祉部長(田中幸廣)
先ほどもお答えいたしましたように、それから、野々村議員がおっしゃっておりますように、今、地域に暮らす人たちが安心して暮らすことができる施策を実行していくためのデータベースが構築できるということであれば、本市及び周辺市町村にとってもメリットがあることであると、そういうふうに判断しております。
 それから、後段のお尋ねであります。
 幾らお金が落ちて、あるいはどれだけ事務に携わる人件費が必要になるかと、そういうことは精査してございません。

◆野々村博美
この事業は、都市への集約化の一端でも、一環でもあるわけで、非常に大事な事業を議会にも十分な説明もない、メリット、デメリットの説明もない。そういう中で、水面下で話がどんどん進んでいくことは避けなければなりません。
 地方創生は、地域の声を酌み上げていくこと、地域の現場をよく視察をし、状況を把握して、そこに必要な対策を打っていくことこそ、地方創生の根幹だと思います。それがなくて、ただ国から言われるままに、長野県から言われるままに進めることは危険です。是非、見直しを求めておきたいと思います。

長野市の財政調整のための基金について

◆野々村博美
次に移ります。
 長野市には、財政調整のための基金として、現在200億円を超える基金残高を有しています。昨年26年度当初予算、21億円の基金の取崩しが予算化されましたが、先ほどもあったように7億円に抑えられています。25年度取崩し額は、当初予算で28億円、決算では3億円でした。23年度、24年度も同じ状況です。
 その結果、長野市の財政調整のための基金は、当初、常に80億円をキープしたいと言われていたものが100億円になり、今では130億円となり、結果として大規模プロジェクト前の平成20年は、214億円の基金残高を、ほぼそのまま維持しているのが状況です。
 長野市は、この間、大型公共事業を一挙に進めました。しかし、予想以上に国からの財政支援を受け、潤沢な資金を確保してくることができました。
 ところがその一方で、市民と市職員に対しては、徹底した緊縮財政を求めました。この3年間を見ただけでも、事務事業の見直しで、支所の宿日直業務の廃止、生活保護世帯の小・中学生への法外援護の廃止、特定疾患患者等見舞金支給事業の廃止、事務事業負担金、補助金の見直しによって約3億円の市民への支援を削減しました。また、水道料金の値上げなどによって、約4億3,000万円の市民負担を増やしています。
 この3年間で限って言えば、7億3,000万円、年平均2億4,000万円あれば、市民への負担を増やしたり、大切な見舞金支給事業を廃止しなくてもよかったわけです。200億円の積立金の、ほんの一部ではありませんか。本当に冷たい市政と言わざるを得ません。
 その一方でどうでしょう。完成した権堂イーストプラザ、総事業費49億円、うち税金投入約29億円、市庁舎・長野市芸術館、当初134億円がついに160億円を超えました。契約をして工期を決めたはずなのに8か月も延長されながら、請け負った大手ゼネコンの責任は一切追及をしようとはしませんでした。
 格差の広がりは深刻となり、年金生活者は悲鳴を上げ、若者は正規雇用が奪われ、将来への夢を無くしています。先日、鬼無里では介護によると思われる殺人事件が起きてしまいました。本当に悲惨な事件です。
 市民の暮らしは深刻です。ばく大な税金を箱物行政につぎ込み、更に必要以上の基金をため込んでいる場合ではありません。この数年間の様々な事務事業などの見直しは、乾いた手拭いを絞るように市民の暮らしを圧迫しています。
 そこで伺いますが、多くのお年寄りに利用されている、おでかけパスポート、上限200円に抑えたといっても、3割負担の方針は変えていません。市民の負担はどれほど増えるのでしょうか。また、緊急通報システム、500円に値上げになりました。どれだけ負担が増えるのでしょうか。
 長野市が福祉の心を取り戻し、本来の地方自治体の役割である住民の命と健康、暮らしを守る、とりでとなっていただきたいと思います。加藤市長の見解を伺います。

◎保健福祉部長(田中幸廣)
まず、おでかけパスポート事業について申し上げます。
 高齢者人口の増加、消費税率の引上げによる運賃改定等により総事業費が増大し、市及びバス事業者の負担額も増加することが予測される状況にあります。
 このため、昨年度、長野市社会福祉審議会に諮問いたしましたところ、今後も安定した事業を運営するため、利用者、バス事業者、市3者の運賃負担の在り方を見直す、という旨の答申を頂きました。
 この方針に沿って、本年10月から利用者に、原則通常運賃の3割を御負担いただくもので、最低負担額は110円とし、急激な負担増により路線バスを御利用いただけなくなることがないよう、当面の間の対応といたしまして、上限額を200円としております。
 試算では、平成27年度も利用者負担を100円に据え置いた場合には、負担額と負担率は、利用者が1億584万4,000円で28.2パーセント、バス事業者が7,513万5,000円で20パーセント、市が1億9,469万5,000円で51.8パーセントとなります。
 先ほど申しました10月以降の利用者負担の額で適用した場合には、通年で計算しまして、利用者が1億2,158万6,000円、32.4パーセント、バス事業者が7,513万5,000円、20パーセント、市が1億7,895万3,000円で47.6パーセントとなる見込みでございます。
 続きまして、緊急通報システム設置事業について申し上げます。
 この事業は、緊急通報用装置、安否確認センサー及び火災警報器を、ひとり暮らし高齢者等に貸与し、安全確保等を図るものでございます。
 今年度からの新しい、あんしんいきいきプランにおいては、費用に応じた適正な利用者負担により実施することを今後の方針目標としております。
 利用者負担の考え方でございます。平成21年度長野市社会福祉審議会から、経費の25パーセント以内が妥当である、との答申を受けております。現在、1月当たり300円の負担をいただいておりますが、生活保護世帯については、無料とさせていただいております。
 平成27年度予算においては、緊急通報装置の委託契約の更新に備えまして、歳出予算額の増加を想定するとともに、それに見合いの歳入額として、上限額を500円と見込みました。
 新しい利用料と改定時期については、今後、長野市社会福祉審議会老人福祉専門分科会で御意見を伺い、決定してまいりたいと考えております。
 福祉に係る様々な事業の利用料については、一方で利用者の負担について配慮が必要ですが、他方で公費を投入するに当たっては、行政サービスに対する適正な利用負担の確保、サービス利用者と他の市民との負担の公平性の確保が求められていると考えます。
 両面を見据えながら、適正な利用者負担をお願いしてまいりたいと考えております。

◎市長(加藤久雄)
私が市長に就任いたしまして2年目となります平成27年度予算におきましては、子供の福祉医療費の入院時における対象年齢の拡大や乳幼児の一時預かり等の地域の子ども・子育て支援を行う保育所等への補助金の拡充など、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえるための少子化対策に重点的に予算を配分した他、新たな福祉課題でございます生活困窮者対策にも取り組んでおります。
 その結果、本市における社会福祉の充実のために支出される民生費は、494億4,000万円で、一般会計総額の32.7パーセントと最も高く、対前年度対比3.7パーセント増となっております。
 また、平成24年度と平成27年度を比較いたしますと、一般会計総額は0.3パーセント減となっておりますけれども、民生費は9.5パーセント、43億円増となっております。これは重点事業や新たな福祉課題に対応しつつ、市民の福祉要望に応えるために増加してきたものでございます。
 超高齢社会におきましては、福祉施策のために支出される扶助費や繰出金は年々増加しておりますが、財源には限りがありますことから、計画的、効率的な予算配分に努めるところでございます。
 市役所は市民の安心・安全を守り、市民が幸せになるお手伝いするためにあると、私は常々言っておりますように、今後も市民の声に耳を傾け、本市の福祉の向上に努めてまいりたいと考えております。

◆野々村博美
先ほどの、おでかけパスポートの負担、市民分と市の負担分合わせても3,000万円です。3,000万円あれば、おでかけパスポート、100円を維持することができました。
 基金であれだけ取崩し額残していながら、なぜその3,000万円を長野市は負担できないんでしょうか。やはり福祉の心は足りないんではないでしょうか。
 それから、加藤市長、就任後、民生費の割合を上げていただいたということですが、それは大変喜ばしいことだと思います。中核市平均でいえば、たしか中核市、民生費平均43パーセントくらい、長野市と1割ほど違うと思いますね。民生費が長野市は、中核市の中で下から3番目、非常に低い民生費に抑えられています。是非、中核市平均まで、この勢いで上げていっていただきたいと思います。その辺はいかがでしょうか。

◎市長(加藤久雄)
今後も社会福祉の充実のために、適宜適切に判断をしてまいりたいと思います。

◆野々村博美
先ほども将来のために、きちんと基金を残しておくというお話がありました。人口の移住、定住も進めていくと言われました。しかし、基金をこれだけ残しながら、取崩しも予算よりもずっと少なく抑えておきながら、様々な福祉施策、切り捨てていることは事実です。
 私は、今生きている人たちを大切にしないで、どうして人口を増やすことができるのかと思います。その辺はいかがでしょう。将来も大事です。でも、人口を増やすということは、今生きている人たちが幸せだと思って生きていられない社会であれば、人口は増えませんよ。その辺はいかがでしょうか。

◎市長(加藤久雄)
おっしゃるように、今生きている方が幸せになっていくと、これも非常に大事でございます。しかし、将来を見ますと、将来の皆さんにツケを残さないと、やはり将来の皆さんが安心して暮らせる生活のことも考えていくことも併せて重要だというふうに考えております。両方併せて含めて、今後も適切に施策をしてまいりたいと思います。

◆野々村博美
将来の借金は、市民の皆さんの福祉を守るために使ったお金ではありません。全て大型プロジェクトです。そして、その借金は膨大に残っていくかもしれないけれども、その一方で、そのための財源を確保しながら、市民が今、本当に切実に求めている様々な、僅かな援護金、支援金を削っているのが長野市の現状です。
 だから、私たちは基金の残高を問題にいたします。僅かじゃないですか。1億円、取崩し額を増やしただけだって、今年、廃止をするような施策は全部やめることができるんですよ。その辺はいかがでしょう。

◎市長(加藤久雄)
市政は全てにおいて全般的なバランスというものが非常に大事でございます。あちらを立てればこちらが立たずと、いろいろなことがございます。全般含めて対応、調和ある市政を今後も進めてまいりたいと思います。
 ありがとうございます。

◆野々村博美
自治体のやるべきことは一つだと思います。企業の応援ではありません。市民一人一人の暮らし、命を守ることが自治体の役割です。是非その辺を踏まえてしっかりとした政策を実行していただきたいと思います。

介護保険について

◆野々村博美
介護保険について、時間がありませんので、簡単にお聞きします。
 改悪されて、要支援1、2が外されましたが、絶対にサービスが後退しないよう対応を求めます。
 それから、アンケートを今、行っていますけれども、長野市がとっているアンケートは、実態を十分に把握できる内容にはなっておりません。アンケートのとり方をもっと工夫していただいて、現場の人たちの声をすくい上げるようなアンケート調査に変えていただきたいと思います。
 それから、要介護1でも入れるようにしていただきたいと思います。

◎保健福祉部長(田中幸廣)
サービス事業所の職員の採用状況のアンケートについて、今、お尋ねいただきましたので、まずそこからお答えいたします。
 アンケートは6月に実施いたしました。110施設に照会し、81施設から回答がございまして、介護士とか看護師を募集して採用しております。介護士については、204人の募集をしましたら、実際の採用人数は147人、看護師については41人募集いたしましたら、採用人数は22人というふうにアンケートで分かりました。それから、介護士、看護師について、現在も募集中、また今後も募集する施設が数多くありました。
 これらの募集している理由なんですけれども、欠員で募集しているというところはないようであります。法令上の人員の基準は満たした上で、利用者のサービス向上のため、余裕を持って職員数を確保したいという考えを持っているものと推察いたします。
 それから、要介護3以上に制度が変わってまいりました。これも野々村議員、重々御存じだと思うんですけれども、特別養護老人ホームの新規入所者につきましては、在宅での生活が困難な中・重度の要介護者に重点化すると、そういうことから、原則として要介護3以上になりました。
 なお、要介護1、2の軽度の方につきましても、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる、やむを得ない事情がある場合は、入所できる特例というのがございます。特別養護老人ホームの方で入所申込者、要介護1又は2であった場合、特例入所の要件を満たすのかということを市へ意見を求めるような仕組みになっております。
 そういう意見が求められた場合は、本市が策定いたしました判断基準に基づきまして、適切に判断いたします。
 そんなような理由で重点化しておりますので、制度に沿って適正に運用していきたいと思います。

»一覧に戻る

年度別に見る

カテゴリ別に見る

議会報告の検索

皆様のご意見をお待ちしております

日本共産党長野市会議員団

長野市緑町1613 長野市役所内日本共産党控室
TEL 026-226-4911(内線3936)FAX 026-266-7882

お問い合わせ
トップへ戻る