議会報告

2015年6月定例市議会 小林よしかず議員

請願第14号国会及び政府に対し、「農協法等「改正」案の廃案を求める意見書」の提出を求める請願を不採択とすべきものとした経済文教委員会委員長報告に対して、反対の立場で討論

◆小林義和
 37番、日本共産党長野市会議員団小林義和でございます。
 私は、請願第14号国会及び政府に対し、「農協法等「改正」案の廃案を求める意見書」の提出を求める請願を不採択とすべきものとした経済文教委員会委員長報告に対して、反対の立場で討論を行います。
 まず、第1の理由でありますが、本請願に反対の委員は、今の時代は地域農協が農業者と共に地域に合ったサービスを行うべきだなどと強弁いたしました。しかし、私は協同組合の改革は自主自立が基本であり、政府が押し付けるものではないと考えます。当然ながら、市会議員がそのように断定すべきことではないと思います。
 実際、国際協同組合同盟--ICA理事会は、日本の農協運動の結束を解体するような今回の法改正に、次のような大きな懸念を表明をしています。
 こうした法改正は、日本の農協が農業者や地域社会に提供しているサービスを縮小し、最終的には国民経済にとって逆効果となるだろうと、このような世界からのプレスリリースが発表されるほど、日本の農協法等改正案は、国際的な批判を受けている法改正であるということを示しています。
 本来、政府が行うべきは、JA全中が自らまとめた自主的な改正案、これを尊重することであります。
 さらに、委員会で反対された委員は、農業協同組合の理事の過半数は認定農業者や経営のプロを入れることと主張しました。しかし、このことは協同組合の自治と自立の原則を踏みにじるものであり、到底認められないことは自明の理であります。
 第2の理由であります。委員会で反対した委員は、一般監査法人の監査を受けることなどは当然と思えると述べました。今回の法改正によると、JA全中は社団法人化され、監査指導権限の剥奪、建議の法的根拠の撤廃などがされ、各単位農協、都道府県中央会への指導権限を失うことになります。
 また、賦課金の徴収もできなくなり、活動資金が絶たれることにもなります。これはJA全中が組合員である農家の利益を最大限に守る立場で行ってきたTPP反対運動の鎮静化を図るための解体と言えるものであり、到底認めることはできません。
 第3の理由であります。全農、経済連の株式会社化を選択肢に導入したことであります。株式会社化は、農協事業の独占禁止法適用や外資の株式所有を可能にするものです。これまでの営利を目的として、その事業を行ってはならないとしていた規定を除外して、高い収益性を実現という文言に置き換えたことは、全農、経済連のみならず、単位農協の株式会社化を進めるものであります。
 地域のインフラを支えてきた農協の存立を脅かし、上げた利益を組合員である農家から株主に移行するものに他なりません。さらに農地法の一部改正で農地所有の法人の要件緩和を進めることは、企業による農業・農地支配を一層進めるものであります。
 同時に、本当は政府がTPP参加後に米国穀物メジャーと全農の対立が表面化して、ISD条項発動へと至るのではないか。だから、農協もJA全中・全農を農協法から外すことで単なる民間会社となり、株式会社法に従っているだけなら、米国の投機家がISD条項を使って提訴することも困難になる。TPP参加も見通しての農協改革だと言えるのではないでしょうか。
 長野市議会の経済文教委員会は、請願第14号の論議に先立って、請願第13号TPPに関する国会決議の実現を求める請願を全会一致で採択し、本議会に意見書案が提案されています。請願第14号を不採択にした委員は、衆参両院の農林水産委員会で採択された環太平洋パートナーシップTPP協定交渉参加に関する決議を本当に読んでいるのでしょうか。
 私は論議の中で、この国会決議の実現を求めることを全会一致で決めたことと、農協法等の改正案を廃案にすることを求めるのは、同じ脈絡にあると述べ、委員に採択を促しました。なぜなら、8項目にわたるこの国会決議の5項目めに、濫訴防止対策等を含まない、国の主権を損なうようなISD条項には合意しないことと書かれているからです。
 国会決議の実現を求めながら、農協法等改正案を廃案にすることを求める請願を否決した新友会、公明党、無所属議員の皆さんは、私は天に唾するに等しいことを行ったと言わざるを得ないのではないかと思います。
 さて、反対の某委員は、実際に農業者の意見を聴きたいと、請願者が農業者かどうか分からないとの趣旨のことを述べました。この発言は、請願権を否定している印象を免れませんでした。厳しく指摘しておきます。
 当該委員は、請願の議論をするに当たって、当然、当事者の意見を把握しておくべきと指摘をしておきます。また、農業者の意見を聴きたいと言いながら、農業者の意見も聴かないまま本請願を不採択にしたのであるならば、このことを一体どう説明するのでしょうか。
 農業組織の解体とも言うべきこの法案が長野市議会経済文教委員会開催の翌日25日の衆議院農林水産委員会で、当事者であるJA全中の意見表明もされないまま、審議で問題点が明らかになり、さらなる質疑が必要な中で、自民党、公明党、維新の党の賛成多数で可決されたことを長野市議会で請願に反対した委員は、一体どう思っておいででしょうか。
 さらに、本議会には当事者中の当事者である農協の現場の労働者の組織--長野県単位農協労働組合連合会執行委員長から、農協改革を初めとした農業改革に関する陳情が出されています。
 私は、委員会論議の中でも、この陳情を取り上げました。農業者自身の改革を尊重し、法的措置による強制はやめること、家族農業経営の育成、食料自給率の向上を目指す改革を求めること。一般企業の農地取得に道を開く農地法改定や農業委員会公選制の廃止もやめること等を求め、市議会に国に対して意見書を提出するよう求めております。ここには現場の農協労働者、実際の当事者の声があふれておりました。委員は、この陳情書を読んでいたのでしょうか。
 主題とは外れますが、この際、長野市議会も陳情についても、受け付けるだけでなく委員会の議論を行うべきと提案をしておきます。
 最後に、私は議会選出の農業委員の一人として、長野市農業委員会に所属させていただき、農業委員の皆さんと一緒に活動し、交流を深めてきた経験からも、この農協法等改正案が農業委員会の公選制を廃止し、目的規定から農民の地位の向上に寄与するを削除し、農業、農民に関する意見の公表の権限を奪うということに心底怒りを覚えます。
 農業委員会は、公選制の下で農業者が自ら代表者を選ぶことで、農地の守り手となり、役割を発揮しています。それを市町村長の任命制にすることは、農業者の自主性を奪い、農地の番人としての農業委員会制度を骨抜きにすることは明らかであります。
 私は、農業者や農業委員会の思いを深く、重く受け止め代弁する立場からも、議員諸氏には今回の請願は当然採択し、農協法等改正案の廃案を求める意見書を国に提出することこそ、長野市議会の仕事であることを強く申し上げ、委員長報告への反対討論を終わります。

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