議会報告

2015年3月定例市議会 原田のぶゆき議員

請願第2号、アジアと日本の平和と安全を守る長野県東北信フォーラム、代表者高津啓洋氏から提出の「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」との閣議決定とそれに基づく法制化を支持する請願を採択した総務委員会委員長報告に反対の立場から討論

◆原田誠之
 日本共産党長野市会議員団の原田誠之です。
 請願第2号、アジアと日本の平和と安全を守る長野県東北信フォーラム、代表者高津啓洋氏から提出の「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」との閣議決定とそれに基づく法制化を支持する請願を採択した総務委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。
 ちなみに、本請願の代表者はネット上の情報によれば、集団結婚式などで社会的批判のある統一教会に関わっていると思われる人物であることを紹介しておきます。
 さて、平成26年4月に安倍首相は、請願者提出の表題の閣議決定をしました。つまり、集団的自衛権の行使容認の閣議決定を強行したのであります。
 請願者の言う閣議決定の内容は、武力行使に至らない侵略への対処、国際社会の平和と安全への一層の貢献、憲法9条の下で許容される自衛の措置とし、そのために今後の法整備の進め方について列挙し、軍事的脅威を抑止し、万が一の有事の事態に対処するためにも、閣議決定に基づき法制化を行い、安全保障体制を構築する必要がある。よって、慎重審議の上、政府国会に意見書の提出を求めています。
 これに伴う世論の動きはどうでしょう。朝日新聞は、この14日、15日に全国世論調査を行いました。自衛隊の海外派兵の制限を緩めたり、米軍など他国軍隊への後方支援をしやすくするなど、自衛隊の活動を拡大することに反対が52パーセント、賛成は33パーセント、女性は反対が57パーセントで、さすが子や孫を戦場に送りたくないとの思いが如実に現れています。自民支持層で反対が39パーセント、公明支持層では、賛成がやや多めで反対ときっ抗しています。
 また、日本の全ての弁護士が登録している長野県も含め日本弁護士連合会が集団的自衛権行使容認に反対で、全国キャラバンを始めるなど、戦争への道は弁護士の使命に反すると立ち上がりました。
 さらに、長野県77市町村のうち42市町村で、集団的自衛権行使容認の閣議決定は撤回で、国に意見書を上げています。
 国民、県民、市民世論の動向は、閣議決定反対撤回が多数派で、日々、戦争は嫌だの声とその協同の輪は広がる一方です。
 かつての自民党の中枢にいた野中広務さん、古賀誠さん、山崎拓さん、河野洋平さんなども、安倍首相率いる内閣の戦争への道、焦げ臭い道を憂えております。
 総務委員会では、公明党の委員は閣議決定を素直に読めば問題ないと言い、新友会の委員も他国の動きなどもあり、閣議決定は容認すると主張していました。
 しかし、何よりも昨年4月、安倍首相が立憲主義に背き、集団的自衛権行使容認を決定した直後に、公明党の山口代表は、集団的自衛権は断固反対と言いました。今、閣議決定の具体化に当たりころっと変わり、派兵恒久法について、公明党は推進の側に立ちました。委員会でも激しい議論となりましたが、請願者が国や政府に要望していることは、海外で戦争する国づくりを推し進めることであります。
 今、自民・公明両党は、国民世論をないがしろに戦争立法の法案化作業を急いでいます。18日に自公与党が集団的自衛権行使容認の閣議決定を具体化する安保体制の共同文書に実質合意したと報じられました。憲法9条を破壊し、戦後日本の国の在り方を根底から覆す歴史的暴挙であります。
 最大の問題は、従来のイラク特措法、テロ対策特措法の時限立法では、自衛隊の活動は現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで行われる活動の期間を通じて戦闘行為の行われることのないと認める地域と歯止めが掛けられていますが、この歯止めを外します。戦闘が行われる地域での活動を可能とするもので、敵軍に狙われ、武力攻撃を受ける危険性は現実のものとなります。
 戦闘地域に入ってはならないという自衛隊が戦闘地域まで行って軍事支援することであります。自衛隊を戦地に派兵し、殺し、殺される戦闘活動を行う危険性が浮き彫りになってきました。
 2001年のアフガニスタン戦争、2003年のイラク侵略戦争をアメリカが起こした際、従来海外派兵法にあった武力行使はしない。戦闘地域に入ってはならないという2つの歯止めを外し、自衛隊が戦闘地域まで行って軍事活動をすることになるのです。そうなれば、自衛隊は攻撃対象となります。攻撃されたらどうするのか、日本共産党の国会での追及に安倍首相は、武器を使用すると認めました。
 自衛隊が武器の使用をすれば、相手は更に攻撃し、自衛隊はこれを更に反撃することになります。戦闘活動そのものとなります。
 もう一つの問題は、自民党が集団的自衛権の限定要因としている武力行使の三要件です。米軍が相手国からやられる前に先制攻撃を行った場合、米国が相手国から反撃された同盟国として日本の存立が脅かされるからと、日本が参戦できる仕組みを作ろうとしております。日本が攻撃されていなくても、武力行使できるものです。
 米国は、ベトナム・イラク戦争など、自らの脅威を予防することを理由に世界各地で先制攻撃を繰り返しています。国連憲章でも、国際法でも、先制的自衛を理由の先制攻撃は容認していません。撤回以外にはありません。
 さて、昨年4月、公明党の山口代表は、集団的自衛権行使に断固反対、ブレーキ役をアピールしていました。ところが、断固反対どころか、今、安倍暴走政治を支え、集団的自衛権行使容認、法制化へ自民党と二人三脚で推進し、憲法9条破壊の戦争づくりにまっしぐらであります。
 閣議決定では、武力行使を行う他国軍隊への支援活動を積極的に行う非戦闘地域での活動しか認めないとしてきた歯止めを撤廃、危険な戦闘地域での支援活動を可能とし、武器・弾薬の供給も可能、敵軍に狙われれば、武器を使うことも、安倍首相は明言。殺し、殺される現実の危険を容認をしているのであります。
 どこが歯止めになるのか、自衛隊員が殺し、殺される危険に追いやる決定の責任をどうとるのか、ブレーキ役というアピールで国民をだましてほしくありません。
 集団的自衛権行使とは、日本の国を守ることでも、国民の命を守ることでもありません。安倍首相は海外での戦闘に参加するものではないと繰り返していますが、どう言い繕うと、アフガン・イラク戦争のような戦争で、自衛隊が米軍と肩を並べて戦争を行う、海外で戦争をする国づくり、そのものであります。
 総務委員会では、新友会の委員から慎重主義の意見がもう既に上がっている。閣議決定の撤回と関連法律の制定は行わないことを求める請願など再度出す必要はないとの意見がありました。
 昨年7月から9か月が経過した現在、政府与党自公との法整備が急速に進み、直近の18日の閣議決定はどういう場合に集団的自衛権を発動するのかが時の政権の判断で事実上、無制限、白紙委任になることも明らかとなってまいりました。
 集団的自衛権を巡る危険な動きは、さきにも述べたとおり、急速に進展をしているのであります。米国が起こすあらゆる戦争に自衛隊が参戦、支援する戦争立法、これが今、行われている中身であります。
 その法案化作業で明らかとなってきたのが自公の共同文書です。地元紙信毎は、公明党は政府の提案を大筋受け入れた。そこで問わなければならないとして法整備の必要性だ。中国の海洋進出など、安保環境は厳しさを増しているとはいえ、集団的自衛権で米軍と自衛隊の一体化を進めることが妥当か、軍拡競争を助長するようだと、アジアの安定を損なう。軍事に傾くことが日本にふさわしいとは思えない。自衛隊員が戦闘に巻き込まれたり、日本への敵意を生んだりすることが現実味を帯びず、非軍事の貢献こそ強めたい。
 また、合憲性についても指摘しています。政府は中東との武力行使も想定する。後方支援の拡大は憲法解釈上、許されないとしてきた。他国軍の武力行使との一体化につながりかねない。これで憲法と相いれる
のか。このまま法整備を既定路線にすることは容認できないと国民置き去りの性急さだと指摘し、閣議決定を取り直せと主張しています。よくぞ言ってくれた。正に私も同感であります。
 さきの侵略戦争で、アジアの人々2,000万人、日本国民360万人が犠牲となった忌まわしい戦争の教訓から、二度と戦争はしない、武器は持たない、他国で戦争しても協力はしないという戦争放棄を明記した世界でも例のない憲法9条は、国民総意で制定されました。以来、日本は他国民をただの一人も戦争で殺傷してきませんでした。
 安倍政権が一斉地方選挙後に法案の国会提出を狙う、集団的自衛権行使、戦争立法の策動は国民の命暮らしを脅かす安倍暴走政治の最たるものであります。
 今求められているのは、日本を取り巻く北東アジアの平和と安定をどのようにしていくかであります。北東アジアには様々な緊張や紛争の火種があります。それに対して専ら軍事で構えたら、軍事対軍事の悪循環に陥ってしまいます。
 今何よりも大切なのは、憲法9条の精神だった対話による平和外交を確立することであります。戦後70年の今、あの忌まわしい過去の侵略戦争でアジアの人々に多大な犠牲を与えました。アジアの人々だけではありません。日本国民自身が多大な辛苦をなめ、誤った戦争によって、深刻な状況になぜ置かれたのか、思い出さなければならないと思います。
 原爆を落としたのはアメリカ軍ですが、その引き金を作ったのは日本の戦争です。満蒙開拓でも、全国で一番若者を送り出した、多大な犠牲を生み出しました。
 このような日本の戦争を侵略戦争ではないとするような安倍政権に、憲法9条に反し閣議決定で戦争立法強行の安倍政権に日本の将来を託すわけにはいきません。
 憲法99条には、憲法は首相を初め大臣全ての公務員が努めのように大事にしなければならないものであります。その憲法に真っ向から挑戦し、世界中どこでも、アメリカが行う戦争や軍事行動に従来の歯止めを撤廃して切れ目なく参加をする憲法9条破壊の戦争立法の法案化作業は中止をすべきであります。
 よって、請願第2号の安全保障法制の整備の閣議決定と法制度の支持に反対するとともに、集団的自衛権行使を容認する閣議決定を撤回、戦争立法反対の趣旨による意見書を国に送付することを求め、総務委員会委員長報告に反対の討論といたします。

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