2015年3月定例市議会 野々村ひろみ議員
介護保険法改悪に伴う市民への影響について
介護士の待遇について
高齢者の支援体制作りについて
支給認定の保育料への影響について
制度の延長保育に対する補助金について
保育士加配について
保育料の負担について
生活困窮者自立支援について
介護保険法改悪に伴う市民への影響について
◆野々村博美
日本共産党長野市会議員団野々村博美でございます。
最初に、介護保険法改悪に伴う市民への影響について伺います。
医療介護総合法は、公的介護、医療保障を土台から掘り崩すものです。既に長野市でも、要支援の認定を受け、サービスを利用している人たちの間から様々な苦情が出されています。認定が2から1に下げられ、デイサービスに1日しか通えなくなってしまった。大分良くなっているからもっと利用したかったら、あなたがお手伝いをする立場になりなさいなどと言われているなど、先取り的に要支援者のサービス利用を抑制していると思われるケースが相次ぎ、不安の声が上がっています。
長野市で過日示された次期あんしんいきいきプラン21は、国の改正に沿ったプランとなっています。今議会に新制度への移行を延期する条例が提出されていますが、基本チェックリストの活用や目標に達成したかどうかの評価、非該当になった人たちへの対応など、移行する準備が進められようとしています。安上がりサービスへの置き換え、基本チェックリストを使った要介護認定を受けさせない仕組み、強引な課題達成などを口実にしたサービスの打切りなどを行わないよう強く求めたいと思います。見解を伺います。
(38番 野々村博美君 質問席へ移動)
◎保健福祉部長(寺澤正人)
新しい総合事業で実施する基本チェックリストは、サービス事業の対象者を判断し、簡便にサービス提供をするために実施するものであります。基本チェックリスト実施に当たっては、相談窓口において、サービス事業や要介護認定等の申請、一般介護予防事業について説明いたします。要介護認定等の申請は、総合事業によるサービス事業対象者となった後や、サービス事業によるサービスを利用し始めた後も必要なときは可能であります。
サービス提供に当たりましては、事前に介護予防ケアマネジメントを実施いたしますが、実施プロセスにおいて、利用者の状況をよく聴き取り、維持改善すべき課題をケアプランに目標として設定することになります。目標が達成された場合は、地域の活動の場への参加など、次のステップへの移行を促すものであります。
利用者の状況によっては、ケアプランを変更し、必要なサービス提供を継続するもので、強引なサービスの打ち切りにつながる心配のないように事業を運用してまいります。
◆野々村博美
ただ今、目標を達成した場合は次のステップへという御答弁でしたけれども、この次のステップというのが結局切捨てにつながりかねないステップになるわけです。是非その辺、切捨てではなく、十分に家族や御本人の希望を聴いて、支援サービスが続けられるようにしっかりとサービスを提供していただきたいと思います。
介護士の待遇について
◆野々村博美
次に移ります。
先日お尋ねした介護施設では、長野市も長野県も余りにも現場の実態を知らな過ぎる。とにかく人手の確保が必要。また、専門職としてスキルをアップさせることによって、待遇改善を図るべきで、資格のない人たちの参入でますます現場は混乱する、と怒りをあらわにされました。看護師、介護士の待遇を改善して、多くの若者が専門職として介護の現場で働いてもらえるよう、長野市独自の支援策を強化していくべきですが、見解を伺います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
先頃、厚生労働省が取りまとめた都道府県において行った介護人材に係る需給推計の暫定値によりますと、今後要介護高齢者の増大が見込まれる2025年には、全国で約248万人、長野県においては約4万8,000人が必要とされております。一方、人口減少時代となり、生産年齢人口の減少が見込まれる中、経済状況の変化等により、他産業への人材流出といった懸念もあり、需給推計では全国で約30万人が不足するとの見通しも示されており、今後の介護人材の確保につきましては、深刻な課題と受け止めております。
国では、各都道府県に地域医療介護総合確保基金を創設し、介護従事者の確保に関する事業について推進することとしております。また、各都道府県においては、この基金の活用に関する計画を策定し、具体的な施策を展開することとなっております。
現時点では、県の計画内容が具体的に示されていない状況でありますが、市といたしましては、介護サービス事業所の方々が県が実施する施策を最大限有効に活用していただくよう、積極的に情報提供を行うとともに、県、市、事業者が相互に連携した事業実施の可能性などについて検討してまいります。
また、待遇の改善は大変重要でございます。平成27年度からの新たな介護職員処遇改善加算では、キャリアアップに取り組む事業者に対して、介護報酬上の上乗せ評価を行うこととしておりますので、加算を通じて処遇改善が効果的かつ確実に行われるよう促してまいります。
処遇改善を進めていくには、様々な課題や御意見もあると考えておりますので、本市の現状や他市等の支援状況の把握に努めながら、独自の支援策の必要性について調査研究してまいります。
◆野々村博美
支援策について調査研究をしていただけるという御答弁でありました。期待をしたいと思います。まずは実態の調査に是非取り組んでいただきたいと思います。現場の声を聴いてください。
先日、現場の方が言っていらっしゃいました。市や県は、全く実態を知らないと。現場にも来ていただけてないと。アンケート調査すらされていないということを告発をされておられましたので、是非しっかりと実態調査をした上で取り組んでいただきたいと思います。特に潜在の看護師、介護士の皆さんがいらっしゃるはずですので、職場に戻っていただけるように、まず、その支援策を是非充実をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
高齢者の支援体制作りについて
◆野々村博美
次に移ります。
新総合事業に移行した他自治体の状況を把握して検証し、安上がりの事業の推進ではなく、高齢者がこの長野市で生き生きと暮らすための地域挙げての支援体制作りを求めたいと思います。
また、中山間地の多い長野市では、いかに中山間地に暮らす高齢者を支援していくか、大きな課題となっています。国の言いなりではなく、長野市モデルを作り上げていくくらいの覚悟で臨んでいただきたいと思います。見解を伺います。
また、具体的に優れた実践を行っている地域がありましたら、是非御紹介いただき、それを全市に広げていただく努力をお願いをしたいと思います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
高齢者支援体制の長野モデルの構築についてお答えいたします。
新しい総合事業の実施に当たりましては、多様な生活支援充実の取組とともに、介護予防の活動を推進しながら、支え合い体制を作ることが重要だというふうに考えております。高齢者自身が何らかの役割や生きがいを持って活動を継続する居場所作りのために、住民による介護予防活動の育成、支援を行い、そこから通いの場となる住民主体の多様なサービスが開発されると良いモデルが出来ると考えます。
市では、現在自主的な介護予防活動を行う18グループに対しまして、支援を行っております。先進事例といたしましては、一例として、高知市が開発したいきいき百歳体操があります。住民の自主的な運営の介護予防活動として、同市内300を超える会場で実施されているとのことで、毎回専門職を派遣しなくても済むDVDを活用した効果的な方法で展開しており、行政からは一定期間経過後に専門職を派遣して、指導の支援を行うというものでございます。
この活動を行っている皆さんは、体操の後、集いの場をもつなど、高齢者の居場所作りも行い、地域での支え合い活動に取り組んでいるとお聞きしております。
これらを参考にしながら、行政から一方的にお願いするのではなく、地域の皆さんからの御提案もお聴きするとともに、地域の中心となる皆さんが生き生きと元気になるような活動の場を作ることを支援しながら、独自のモデルを探ってまいりたいと考えております。
こうした活動の中から参考とすべき取組があれば、広く市内に紹介してまいりたいと思います。
◆野々村博美
お隣の山梨県の北杜市が、既に先行して国のモデル事業を行ってきました。そこでどんなことが起きていたのか、御紹介をしておきたいと思います。
市の保健師は、財政が厳しいからといって、介護認定を出来るだけ受けさせないようにする水際作戦が行われてきたそうです。それから、ボランティアの支援では限界がある。ボランティアだけでは非常に限界があるということも明らかになりました。それから、ボランティアによる施設運営、万が一事故が起きたときには誰が責任をとるのか。責任の所在が曖昧になっているという指摘もありました。
それから、特にこの辺が長野市にとっても切実だと思うんですが、一律に全市民に同じサービスを提供できないという問題が残ると。中山間地が多い長野市は、特にこういう問題が残ると思います。住民の意欲だけに頼ったこのモデル事業、また、新総合法への移行は非常に危険だと思いますので、是非他都市の状況をしっかりと検証をし、長野市モデルをしっかりと構築をしていただきたいと思います。
改めて加藤市長に御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
◎市長(加藤久雄君)
大変機知に富んだ御示唆、本当にありがとうございます。他市の状況も十分調査した中で検討してまいりたいと思います。
ありがとうございます。
支給認定の保育料への影響について
◆野々村博美
次に移ります。
子ども・子育て支援新制度が4月からスタートします。国の法改正の複雑化、矛盾の顕在化による混乱、消費税の先送りなど、実施する自治体にとってその準備は相当に大変であったと思われます。今後も現場では混乱が続くと思いますが、丁寧な対応と、何よりも子供の権利保障の視点から保育に格差を持ち込ませず、現行の保育水準を切り下げることのないよう強く要望をしたいと思います。
最初に、支給認定の保育料への影響について伺います。
新制度では保育短時間、保育標準時間に区別がされます。この2つの保育料はそれぞれ別に設定されていますが、その差はゼロから1,000円です。早朝や夕方に働くパートのお母さんなどは、短時間認定であっても延長料金をとられることになり、標準時間利用者より高い保育料を支払うことになりかねません。
長崎県佐世保市では、認定においては短時間、標準時間の区分はするものの、扱いには差を設けず、開所時間内ではこれまでどおり利用出来るとしています。また、東京都目黒区では、公立保育園の短時間認定の利用は11時間の開所時間の範囲内で8時間の利用が出来ると説明し、私立保育園については各園の判断と説明をしたそうです。
短時間認定をしておきながら、延長保育料をとるような制度であってはいけません。長野市ではどのような対応をするのか伺います。
こども未来部長(松坂志津子)
新制度は大変複雑な制度で、国でもいまだ制度の詳細を決定していない部分もございますが、これまで本市では、社会福祉審議会で御議論いただきながら本市の対応を検討してまいりました。
新制度では、1日の保育所の利用時間を最長11時間までとする現行の保育標準時間に加え、新たに最長8時間までとする保育短時間が新設されました。これは保護者のいずれかがパートタイム勤務の場合などを想定したもので、保育料は国の基準額の設定に準じて、標準時間の98.3パーセントに設定する予定でございます。
公立保育所では、標準時間、短時間それぞれの利用時間を超えて延長保育を行った場合には、通常の保育料とは別に延長保育料を頂く予定ですが、議員御指摘のとおり、標準時間と短時間でほとんど保育料に差が生じないことから、短時間の保育料に延長保育料を加算すると、標準時間の保育料を上回るケースも発生してまいります。
こうしたことを考慮して、国では、保護者が短時間に相当するパートタイム勤務などであっても、その勤務形態や通勤時間などの個々の実情に応じて、市町村が短時間として認定を行うことが適当でないと認める場合には、標準時間として認定することが出来るとしております。
したがいまして、本市においては、国の取扱いに準じ、個々の保護者の勤務実態等に合わせて、標準時間と短時間それぞれの認定を的確に行うことで、延長保育料の徴収により短時間の保育料が標準時間よりも高くなることが常態的に発生することのないよう、適正な運用に努めてまいります。
◆野々村博美
是非よろしくお願いをいたします。
制度の延長保育に対する補助金について
◆野々村博美
次に、新制度の延長保育に対する補助金ですが、現行よりも低く抑えられており、このままでは延長保育のための職員配置は困難との訴えが、私立保育園から上がっております。また、調理員の加配、現行1歳児、3歳児への加配も継続していくべきと考えます。
新制度では、県の負担分が導入され、長野市の負担が6億5,000万円軽減される見込みであり、長野市単独の補助制度の継続の財源があると考えます。御見解を伺います。
こども未来部長(松坂志津子)
新制度では、私立保育所に支払われる保育所運営費の仕組みが変わり、子供一人一人に要する経費を積み上げた国の公定価格に基づく施設型給付費が支給されることとなります。新年度におけるこの公定価格の単価は、いまだ国から正式に示されていないため、延長保育に係る国の支給額についても、正確に現行制度と比較することは出来ませんが、これまで延長保育の基本分として、保育所運営費とは別に支払われていた補助金相当額が公定価格の中に組み込まれる予定であり、延長保育に対して、私立保育所に支払われる金額の総額としては、現行制度とほぼ同額になるものと試算しております。
今後、国から公定価格の単価が正式に示された後に、現行の本市の単独補助金との重複や整合を確認し、引き続き必要な補助金については交付していく予定ですが、これまでの保育の質を後退させることのないよう、本市単独の保育士、調理員の加配も含め、私立保育所に対する適正な補助金の交付に努めてまいります。
◆野々村博美
是非よろしくお願いいたします。
今の予定ですと、公定価格でいくと、現行を維持出来ないという不安もありますので、是非最終的な判断、しっかりと私立保育園に負担のないように、子供たちのきちんとした延長保育が保障されるように、また、加配についてもお願いをしたいと思います。
保育士加配について
◆野々村博美
次に、かねてから私立保育園関係団体から、気になる子、手のかかる子への保育士加配が求められてきました。この議会でも求めてきました。是非この要望にはお応えいただきたいと思います。御答弁をお願いいたします。
◎こども未来部長(松坂志津子)
近年、発達障害が疑われる子供も含め、気になる子、手のかかる子が増加してきており、長野市私立保育協会からは、こうした子供たちへの対応のため、保育士の加配に対して支援してほしいという要望を頂いております。
本市では、現在身体障害者手帳や療育手帳を所持している子供はもとより、児童相談所、保健所等の判定書、意見書等がある子供についても保育士の加配の対象とし、市単独補助金を私立保育所に交付しております。
保育士の加配に対しては、一定の基準に基づかなければ補助金の交付が難しいことから、増加しつつある気になる子、手のかかる子に対しては、こども未来部に設置したこども相談室を中心に、発達相談員、作業療法士、保健師などの専門職による支援チームにより、保育所等巡回訪問を実施し、園や家庭での対応方法について個別に相談、助言を行い、子供の発達について保護者の理解を深めるとともに、保育士の専門性や園での対応力の向上に努めることによって、各園の負担を軽減する取組を推進しております。
こうした取組は、私立保育所等関係者からも高い評価を頂いていることから、今後もこれらの取組を更に充実させながら、気になる子、手のかかる子に対する支援に努めてまいりたいと考えております。
◆野々村博美
専門職による巡回の訪問指導、これは非常に喜ばれていることは事実だと思います。同時に、どうしても加配がほしいと。しかし、公立保育園には、保健師などの判断で加配がされていると思いますが、私立保育園については、なかなかきちんとした診断書なり、判定書がなければ、私立保育園には加配がされていないというのが現状だと私は認識しております。それを公立保育園と同じように低い基準で、保健師が必要だと判断すれば加配をしていただくという、そういうことをしていただきたいということなんですが、改めてその辺いかがでしょうか。
◎こども未来部長(松坂志津子)
一定の基準というものがなければ、補助金というのはなかなか難しいという現状がございますので、その辺も含めまして、今後検討はしてまいります。
◆野々村博美
是非よろしくお願いをいたします。
保育料の負担について
◆野々村博美
次に移ります。
2000年に年少扶養控除が廃止され、厚生労働省は増税が保育料の増額に影響することのないようにと通知を出し、今年度まで旧税額による保育料の算定が行われてきました。しかし、新制度への移行に当たり、算定をやり直すことがないような形で運用出来るよう、基準額を設定しているとしました。一方では、経過措置を設けた方が良いということも述べています。保育料の負担を減らすためにも再算定をこれからも続けていくべきと思いますが、長野市の対応を伺います。
こども未来部長(松坂志津子)
16歳未満の子に対する年少扶養控除及び16歳から19歳未満の子に対する特定扶養控除については、平成22年の税制改正に伴い廃止されましたが、これまで本市の保育料の算定においては、国の経過的な取扱いに準じて、その後もこれらの控除があったものとみなして所得税額を計算する方法により、各世帯が負担する保育料に影響が生じないように対応してまいりました。
国は、来年度から施行される子ども・子育て支援新制度の保育料においては、子供2人分の年少扶養控除を考慮した料金体系とすることを前提に、廃止となった年少扶養控除等による再計算は行わないことを原則としております。ただし、市町村の判断により、既に入園している子供が卒園するまでの間に限り、現行と同様な再計算を行う取扱いも可能としております。
これら控除の本市の取扱いについては、今年度、新制度における保育所等保育料の設定に併せて、社会福祉審議会児童福祉専門分科会において調査、審議をいただきました。
分科会においては、特に子供が3人以上いる場合など、世帯員の構成によっては階層区分に変更が生じ、保育料にも影響が生じる可能性があるものの、当該扶養控除の見直しから3年が経過していること、子供2人分の年少扶養控除を考慮した税額で保育料を定めていること、多子世帯に係る保育料については、国基準を上回る軽減拡充を図るとしていることなどを理由に、既に入園している子供も含め、国の取扱いどおりに実施すべきとの答申を頂いております。
本市といたしましては、この審議会の答申を尊重するとともに、保護者の皆様への周知を徹底し、混乱が生じないよう努めてまいりますので、御理解をお願いいたします。
◆野々村博美
それでは、せっかく作った多子世帯への支援策の充実なども無になってしまうのではないかと心配をします。国でさえ、経過措置を設けてもいいと言っているわけですから、せめて国基準、卒業するまでは再算定を行うようにしていくべきだと考えます。
要望をしておきますので、是非もう一度御検討をお願いいたします。
今、保育所は子供の保育だけでなく、家族支援、地域の子育て支援など、様々な課題が課せられています。先日、集団リンチが川崎市でまたありました。保育園の大切さは改めて痛感をさせられるところですけれども、予算をしっかり確保し、幼い子供たちの権利を保障する保育制度の構築を切に願うものです。
加藤市長の見解をお伺いしたいと思います。
市長(加藤久雄)
保育とは、人が人を育てる営みで、時代がいかに移り変わろうとも、また、制度がいかに変わろうとも、子供の成長と発達を保障すること、親が働くことを支えること、地域の子ども・子育てを支援することなど、保育の基本的な役割や使命は普遍的なものであると認識しております。しかしながら、昨今の子供たちを巡る様々な社会事象を見ますと、家庭や地域で子供を見守り、育てる力が低下してきていると言わざるを得ず、このような時こそ、改めて地域の保育の真価が問われているものと思っております。
そのため、国、県、関係施設、事業者とも協力、連携しながら、先ほど私が申し上げた保育の普遍的な役割や使命を着実に果たすことにより、地域の中で安心して子育てが出来る社会、そして、一人一人の健やかな育ちをひとしく支える社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
◆野々村博美
よろしくお願いいたします。
生活困窮者自立支援について
◆野々村博美
それでは、次に移ります。
来年度から生活困窮者自立支援法が施行され、その主体は長野市になります。今年度まで長野県がパーソナルサポート事業として実施してきた自立相談支援事業を長野市が行うことになります。長野生活・就労支援センターの相談支援状況は、長野市から98人が相談していますが、就労の状況、主たる収入、借金の有無、障害の状況について伺います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
長野生活・就労支援センター、通称まいさぽ長野における12月末までの長野市関係の相談件数は、延べ1,813件、相談者数は延べ604人で、実人数では279人です。相談者の279人のうち、98人の自立支援計画を作成し、就労に結び付いた方は7人です。就労形態は非正規雇用が主で、登録型派遣で働いている方もいます。
98人の主な収入は、本人の障害年金と親の収入、生活保護費と就労収入といったように、複数の収入がある方もいます。失業中で失業手当の収入がある方もいますし、失業手当のない方もいます。借金のある方は41人で、借金のない方は17人、どちらともわからない方が40人となっており、借金の種類は主に家賃や税金の滞納、消費者金融からの借入れや住宅ローンであります。
障害の状況は、身体障害者手帳や療育手帳をお持ちの方や精神科病院に通院中の方を合わせると44人で、障害のない方は54人となっております。
この54人のうち、21人の方は就職活動を開始していますが、運転免許等の資格が無い、日常生活のリズムが整っていない、人との会話が得意でないなどの理由により、なかなか就労に結び付かない方もいます。
◆野々村博美
無無職無収入の方が約4割いるという実態も明らかになりました。就労に結び付いた方は僅か7人、就職活動を開始した方は21人、就労以外の課題支援中の方57人になっているということです。
生活保護申請は僅か8人にとどまっています。生活保護は、基準に該当しなければ受給出来ませんけれども、この相談支援事業が生活保護を受けさせないための新たな弊害になってはいけないと思います。就労が困難になっている方々への支援状況と具体的な対応を伺うとともに、保護申請をためらうことのないよう強く要望いたします。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
支援計画を作成した98人の方の中には、様々な課題を複合的に抱えている方がいらっしゃいます。まいさぽ長野では、それら様々な課題を整理し、支援計画を作成し、必要な支援に結び付くよう支援を行っております。その中には、現在無職で収入の無い方もおり、一刻も早く就労に結び付けることが大切であります。
就職活動を行うにしても、何年も無職で生活リズムが乱れていたり、体力的にも自信がなかったり、希望の職種のスキルがなかったり、障害や病気があったりと、それぞれ課題を抱えておりますので、個別にその方に合ったきめ細かな対応を行っております。
具体的には、就労支援員がハローワークや面接への同行支援を行ったり、生活リズムを作るために、毎日定刻に起きて身支度を整えてまいさぽ長野に通って来られるようにするなどの支援も行っております。
まいさぽ長野が相談者から丁寧に聞き取り、様々な情報を把握する中から、他制度や他機関での対応が適当であると判断される場合は、情報提供や他機関へつなぐなどの対応をしております。
生活保護制度が適当と判断される場合は、確実に福祉事務所につなぐこととしており、まいさぽ長野の相談支援員が福祉事務所の窓口へ案内しております。
昨年4月から12月までの間に8人の方を福祉事務所では生活保護申請を受け付けて、8人全員の保護を開始しております。
◆野々村博美
就労が困難な方がたくさんいらっしゃるということも事実であります。
高知市で実施している生活困窮者自立支援促進支援事業は、平成25年度実績で相談件数238件、必須事業である相談事業、長野市もこれからやるわけですが、相談事業はもとより、家計支援、就労準備支援事業、生活困窮にある子供たちに対する学習支援も行っています。是非参考に、長野市も相談事業だけにとどめず任意事業についても取り組んでいただくよう要望し、見解をお伺いいたします。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
高知市は、平成25年度から自立相談支援モデル事業と学習支援のモデル事業を実施しております。自立相談支援モデル事業は、市及び社会福祉協議会、ハローワーク、若者サポートステーションの4団体で運営協議会を組織し、その協議会が総合相談窓口としての高知市生活支援相談センターを運営する体制で実施しております。
また、学習支援事業は、以前から健康福祉部と教育委員会が連携、協働して実施していた高知チャレンジ塾による学習支援を、モデル事業を活用して実施しているものでございます。
平成27年度に本格実施する任意事業として、高知市では、家計相談支援事業、一時生活支援事業、学習相談支援事業に取り組む予定とお聞きしております。
生活困窮者の支援には、生活困窮者からの相談に応じる相談窓口という入り口だけでなく、家計管理や就労支援などの具体的支援、いわば自立への出口が重要であると考えております。
モデル事業を実施し、相談者のニーズを分析しながら任意事業を検討してまいりましたところ、借金を抱えていたり、金銭管理がきちんと出来ていない方に対応するため、来年度は家計相談支援事業に取り組み、家計収支の安定や負債整理の支援などを行ってまいります。
なお、今後も自立相談支援事業を実施していく中で、相談者のニーズを分析して、就労準備支援事業、一時生活支援事業、学習支援事業など、必要性について検討してまいります。
◆野々村博美
是非テンポを速めてやっていただきたいと思います。
特に子供の貧困対策については、党市議団はかねてより要望してきました。既に民間の塾の講師や地域では教職員のOB、反貧困ネット長野では、きずな塾などが自主的に勉強を教える取組が広まっています。
このような取組に対して、今回の生活困窮者自立支援法の任意事業として、学習支援事業を導入すれば支援することも出来るし、より多くの子供たちに支援の手を差し伸べることが出来ます。市議会でも、複数の会派から要望が上がっていました。にもかかわらず、残念ながら福祉事務所は来年度も取り組まない。余りにも冷たいのではないでしょうか。
これだけ子供の貧困問題が社会問題になっているときに、福祉事務所として取り組んでいく姿勢が求められていると思います。御見解を伺います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
生活保護世帯及び生活困窮世帯における子供の学習支援は、我が国の一番の資源である人を育てるという意味からも、また、年々増加している生活保護費を将来的に減少させるという意味からも重要であります。
貧困から脱却するためには、学習の機会の提供も自己肯定感や学習意欲を引き出すことも、親に対する養育相談も、親子共々日常生活リズムを作ることも必要であり、まず、意欲を引き出すことから包括的に支援する必要があります。
議員から御紹介のあった反貧困ネット長野が主催する塾の他に、NPO法人が社会貢献としてプロ家庭教師による1回500円のワンコインの自習型指導教室や出張学習室を運営しているところがあります。これらと連携することも含めて、本市の学習支援事業について検討してまいりましたが、生活困窮者自立支援法が施行される平成27年度には、事業実施に至りませんでした。
生活困窮者自立支援法では、子供の学習支援事業を適切、公正、中立かつ効率的に実施することが出来る社会福祉法人などへ委託することが出来ることとしております。先ほど申し上げましたように、意欲を引き出すことから包括的な学習支援が、公正、中立、効果的に実施出来るような方策を検討してまいります。
◆野々村博美
今、格差の広がりが確実に学力の差も生んでいます。一人一人の子供たちに学びを保障する姿勢を是非持っていただきたい。そして、公正でなければならないというのは分かりますが、であるならば、もっと柔軟に対応出来るような施策を長野市として実施すればいいことであって、こういう法律だからなかなかそれが出来ないということで、言い訳に使ってはいけないと思います。是非これは財政的には予算要求をされたのかどうか、それは断られてしまったのかどうか、その辺のいきさつも聞いておきたいと思います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
所管部局として、予算要求は行いましたが、査定の中で全庁的に協議をする中で、来年度の予算付けには至らなかったものであります。
◆野々村博美
これはやはり加藤市長の姿勢が問われる問題だと思います。是非とも市長、子供の貧困に対する市長の見解、そして、学習塾支援など、御見解をお願いいたします。
市長(加藤久雄)
お答えします。
私は市長になりますときに、市役所は市民のためにあると、市民が幸せになるお手伝いをすると、こういう方針できているわけでございます。この方針で今後も進めたいと思っております。よろしくお願いします。
◆野々村博美
それでは、財政部長、是非早急に検討をいただくようによろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。