2014年12月定例市議会 あべ孝二議員
福祉環境委員会に付託されました諸議案並びに請願の審査の結果報告
◆阿部孝二
私から、本市議会定例会におきまして、福祉環境委員会に付託されました諸議案並びに請願の審査の結果につきまして御報告申し上げます。
審査の結果につきましては、お手元に配布されております福祉環境委員会決定報告書のとおり決定した次第であります。
次に、委員会において論議され、市当局に要望いたしました主なる事項について申し上げます。
初めに、議案第百二十五号長野市放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準に関する条例に関連して申し上げます。
来年四月の改正児童福祉法の施行に伴い、放課後児童健全育成事業の対象となる児童の範囲が、これまでのおおむね小学校三年生までの留守家庭児童から、小学校六年生までの留守家庭児童に拡大されるとともに、本年七月末には、国が放課後子ども総合プランを定め、平成三十一年度までに希望する全ての児童の受入れを推進する方針が示されました。
同プランの推進に当たっては、施設が受け入れる児童数の増加など、施設職員への過度の負担が懸念されることから、地域ボランティアなどを活用することにより職員の負担軽減に努めるよう要望いたしました。併せて、発達障害などに関する専門的な知識の取得や職員の資質向上のため、補助員を含めた全職員が本条例に規定する研修に参加することに努めるよう要望いたしました。
次に、環境部の所管事項について二点申し上げます。
一点目は、旧有限会社アクト全産が長沼地区に放置した不法投棄廃棄物についてであります。
市が不適正排出事業者からの受託により撤去した後も残っている不法投棄廃棄物について、南側敷地の廃棄物は、有害物質の流出や廃プラスチックなどの飛散のおそれがあることから、行政代執行により全量撤去を行う予定とのことであります。一方、北側敷地の廃棄物は、各種環境調査の結果、有害物質が検出されていないこと、また全量撤去には多額の費用が掛かることから、覆土による封じ込めを行った上で、高台避難機能を有する公園の整備を検討しているとのことであります。
撤去や覆土等の実施に当たっては、敷地の近くに敷設されている用水路など、周辺環境への影響に十分留意し、安全管理を徹底しながら、速やかに進めるよう要望いたしました。
二点目は、小水力発電の普及促進についてであります。
先月、本市を主会場として第五回全国小水力発電サミットが開催され、当日は、本市の大岡浅刈小水力発電を初め、各地域の小水力発電の取組について事例発表が行われたとのことであります。
同サミットを契機として、水資源が豊富な本市の地域特性を十分生かし、小水力発電の一層の普及促進に努めるよう要望いたしました。
次に、生活部の所管事項について申し上げます。
国民健康保険の診療報酬明細書の内容点検について、本市においては、市が雇用した点検員が点検業務を行っている一方、県内十九市のうち十四市が、国民健康保険団体連合会を初め、外部へ点検業務を委託しているとのことであります。
診療報酬明細書の点検は、患者の治療方法の妥当性を検証するとともに、診療報酬の過大請求などの不正を発見し、患者の自己負担や医療費の増大を防ぐ重要な業務であることを踏まえつつも、業務の効率性などの観点から、他市の状況を調査するなど、外部委託等を含め様々な手法について研究を進めるよう要望いたしました。
次に、保健福祉部の所管事項について申し上げます。
平成二十七年度から施行予定の高齢者の福祉及び介護に関する総合的な計画である、あんしんいきいきプラン21は、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年時点での要支援・要介護認定者数など各種指標を明示し、健康長者を目指した保健活動と連携しながら、できるだけ要介護状態にならないよう支援する取組などを推進するものであります。
同計画に基づく施策の推進に当たっては、目標値を設定し、施策の効果の検証、改善への取組が可能となるよう要望いたしました。
次に、こども未来部の所管事項について申し上げます。
子ども・子育て支援新制度に関する情報提供についてであります。
国は、消費税の増税分を財源として、幼児期の学校教育・保育の量の拡大と質の改善を図る子ども・子育て支援新制度を平成二十七年度から本格的に施行する予定であります。
しかしながら、消費税率十パーセントへの引上げによる財源確保の見通しが不透明となり、国の予算編成に遅れが生じています。
ついては、新制度への移行に向けて準備を進めている施設事業者の不安を解消するとともに、施設の利用者に混乱を生じさせないよう、国の動向を注視しつつ、適時適切に情報提供を行うことを要望いたしました。
次に、請願の審査について申し上げます。
初めに、請願第三十九号介護従事者の処遇改善を求める請願について申し上げます。
本請願の審査に当たっては、参考人の出席を求め、趣旨等の説明及び質疑を行いました。
まず、採択すべきものとして、施設で働く介護従事者の人数を増やし、処遇改善を図らなければ、国の制度改正の目的が達成されない。充実した地域包括ケアシステムを構築するためにも、また、介護を必要としている人に十分な介護サービスを施設が提供するためにも、請願の願意を酌んで意見書を提出すべきである。介護保険制度が始まったときは、産業として大変期待されていたが、現状は、非正規労働であるとか、あるいは職を失ったときに従事する場、つまり雇用調整弁的な扱い方をされている。請願で求めている抜本的な改善とは、この点を言っていると解釈する。非常に重要な職種であるにもかかわらず、全労働者平均賃金よりも月額にして九万円も低い状況はどう考えても不当であるとの意見が出されました。
一方、不採択とすべきものとして、介護従事者の処遇改善は、本当に必要な視点であり、請願の願意は理解できる。しかしながら、国においては、十分に足りているとは言えないけれども、処遇改善加算の上乗せなど介護従事者の処遇改善に向け、一歩ずつ着実に進めている。今の制度をステップアップさせ、少しずつ見直しながら前に進むことが遠回りのようでも一番着実な方法と考える。抜本的な見直しを求めるよりも、国が進めている施策の延長線で処遇改善を求めていくことが望ましいとの意見が出されました。
以上の論議を踏まえ、採決を行った結果、賛成少数で不採択とすべきものと決定いたしました。
続きまして、請願第四十号安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員を求める請願について申し上げます。
本請願の審査に当たっては、参考人の出席を求め、趣旨等の説明及び質疑を行いました。
まず、採択すべきものとして、医療従事者の勤務環境の改善なしに、医療提供体制の改善はあり得ない。にもかかわらず、看護職員の実態調査では、慢性疲労や辞めたい人の割合が看過できない数字として表れている。実際、看護師の方が夜勤続きでなかなか家に帰れない実態を聞いている。本市議会としては、住民の生命、安全を守るためにも請願を採択すべきである。患者が安全・安心で適切な医療を受けるためには、医療スタッフが過重労働に陥ることなく、必要とする医療サービスを提供できる労働条件が確立されなければ不可能である。請願者や現場で働く人の思いを受け止め請願を採択すべきであるとの意見が出されました。
一方、不採択とすべきものとして、医療現場で働く人の勤務環境を少しでも良くしたい思いは共有する。しかしながら、今年六月に公布された医療及び介護の総合的な確保に関する法律、医療勤務環境改善支援センターの設置、地域医療ビジョンの策定など、国、地方が改善に向け少しずつ動き出している。もう少し様子を見るべきではないか。在宅看護師のデータベース化や高度医療に対応するための教育、研修制度の充実など、様々な取組が期待されている。請願の内容を否定するものではないが、今こうした動きの中においては、意見書を上げるべきではないとの意見が出されました。
さらに、継続審査とすべきものとして、医療従事者にとって厳しい現状の中、国は法律に基づき改善施策を打ち出している。ここは、本市議会としては、一旦留保し、国の動向を見ながら、しかるべき判断をするのが適切ではないか。不採択とすべきものではない。継続審査としたいとの意見が出されました。
以上の論議を踏まえ、まず、継続審査について諮ったところ、賛成少数で否決され、引き続き採決を行った結果、同じく賛成少数で不採択とすべきものと決定いたしました。
続きまして、請願第四十一号川内原発をはじめとする原発再稼働をさせず廃炉とし、原発ゼロ政策への転換を求める意見書の提出を求める請願について申し上げます。
まず、採択すべきものとして、今年の夏も原発を稼働させず、停電もなく乗り切れている。このことからも、原発をベース電源とする必然性がないことが証明されている。福島原発の事故により、いまだ多くの方が避難生活を余儀なくされる中、安全が担保されていない原発の再稼働は認めることができない。原発ゼロに向けて、再生可能エネルギーへの転換を大胆に、そして確実に図っていくべき。原発が進めば進むほど、放射性廃棄物が排出される。これを処理する能力は、今世界中のどこにもない。そういったものに手を付けるべきではないとの意見が出されました。
一方、不採択とすべきものとして、原発の代替エネルギーとして石炭等の化石燃料の割合が増加している。このことは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量の増加につながり、昨今、世界各地で頻発する異常気象の一因とも言われている。環境の面から考えても、安全対策をしっかりと進めることを前提とし、原発を稼働させることはやむを得ない。将来的には再生可能エネルギーの割合を増やしつつ、段階的に原発をゼロにしていくべきである。平成二十六年四月に策定された国の第四次エネルギー基本計画によると、原発の依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる、としている。決して今までのように原発に依存したエネルギー政策を進めていくものではなく、大分転換したのではないかと見ているとの意見が出されました。
以上の論議を踏まえ、採決を行った結果、賛成少数で不採択とすべきものと決定いたしました。
最後に、継続審査中の請願第三十五号長野医療圏域の災害医療確保体制の充実強化を図るため、新たな災害拠点病院の指定を求める意見書の提出を求める請願について申し上げます。
本請願については、請願者の願意を酌み、全員賛成で採択すべきものと決定いたしました。
以上で報告を終わります。