2014年12月定例市議会 野々村ひろみ議員
長野市地域防災計画に関連して
長野市地域防災計画の地震の被害想定
ダムに対する警戒について
市独自の災害見舞金、被災された皆様への支援について
地域防災計画見直しについて
長野市民病院の地方独立行政法人化について
長野市地域防災計画に関連して
◆野々村博美
最初に、長野市地域防災計画に関連して伺います。
長野市は、これまで災害時要援護者に対して、災害時要援護者登録事業実施要綱及び長野市災害時要援護避難支援プランを定めてきましたが、東日本大震災を教訓にして、国において災害対策基本法が定められ、さきの要綱とプランを全面的に改定して、長野市避難行動要支援者避難支援プランが作成されました。その特徴点と改善点について伺います。
次に、先月二十二日に起きた神城断層地震の際には、災害時要援護者に対してどのような支援が行われたのか伺います。
今回の地震で、七二会、中条、鬼無里地区では、全壊、半壊の住宅が発生、また、第一、第二地区、浅川地区などでも一部損壊といえども大きな住宅被害が起きています。ひとり暮らし世帯、高齢者、障害者世帯など大変不安な夜を過ごされたことと思います。今回の地震発生直後から、災害時要援護者に対して、どのような対応がされてきたのか。
先日、建設企業委員会で地震被害を調査した折には、中条地区では住民自治協議会の協力でブルーシートが張られたり、安否確認が行われたというお話を伺いました。私も災害翌日の二十三日から箱清水地域などで聞き取り調査など行わせていただきましたが、ひとり暮らしのお年寄りや女性だけの世帯では屋根にブルーシートをかけることもできないと放心状態の方もおられました。連休で子供さんが駆け付けて後片付けに追われている家庭でも、休み明けは親が一人になってしまい大変心配と言っている方もいました。介護サービスを受けておられる方は、ケアマネージャーが駆け付け、ショートステイの利用など対応をした方もいました。全体として災害時要援護者の安否確認や支援策がどの程度とられたのか伺います。
また、今回十分対応できなかったことはどういうことなのか、しっかり検証することが、次の災害に備える上で大変重要なことと考えます。住民のアンケートや聞き取り調査も行い、対応策の強化を求めたいと思います。見解を伺います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
避難行動要支援者への対応についてお答えいたします。
災害対策基本法が改正され、本年四月から市町村長が避難行動要支援者名簿を作成し、本人の同意を得て避難支援等関係者に名簿を提供することとされました。修正前の長野市地域防災計画及び長野市災害時要援護者避難支援プランでも、要支援者の台帳整備や地域での支援体制の構築が定められていました。
平成二十六年十一月修正の長野市地域防災計画及び平成二十六年七月改正の長野市避難行動要支援者避難支援プランでは、住民自治協議会、自主防災組織などの避難支援等関係者と連携し、避難行動要支援者名簿を効果的に利用して避難支援を行うことが明記されました。
なお、避難行動要支援者台帳整備の対象は、高齢者のみの世帯に属する方、介護保険の要介護三、四、五に認定された方、身体障害者手帳一級、二級に該当される方などで、要介護、障害者の方などについては変わりありませんが、高齢者につきましては、六十五歳以上から七十五歳以上に改正いたしました。また、災害対策基本法改正に併せて、要支援者の台帳の様式の同意欄を改正しております。災害対策基本法改正後は、避難支援等関係者からの名簿提供の申出の有無にかかわらず、消防、警察署や住民自治協議会、自主防災組織などの避難支援等関係者へ提供するものとされております。
今回の地震では、避難の勧告や指示が出されるまでには至りませんでしたが、自主避難された方々がいらっしゃいます。自主避難をされた方が五世帯、十三人いらっしゃいましたが、その中に避難行動要支援者が二世帯、四人いらっしゃいました。このうち一世帯の方は支所職員が公用車で市の施設へ避難支援いたしました。もう一世帯の方は御自分で自家用車を運転して市の施設へ避難いたしました。
また、民生委員による安否確認の実施状況は、住宅被害が発生いたしました七二会、鬼無里及び中条地区において、地区民生児童委員協議会会長の指示の下、安否確認をした地区と各民生委員が個別判断で安否確認をした地区がありまして、三地区とも実施されました。市全体といたしましては、三十二地区全ての地区で民生委員が六十五歳以上のひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯などを電話又は訪問で安否確認し、問題や被害等があれば区長や地区民生児童委員協議会会長に報告されました。
また、訪問介護や訪問看護の事業所、通所介護の事業所などでは、サービス利用者の安否確認がされたとお聞きしております。検証に関しましては、今回庁内で収集した情報を基に検証をいたします。
また、必要に応じて被害のあった地区の住民自治協議会や消防団などの関係者から聞き取ることで不十分な点を明らかにし、改善策について検討したいと考えております。今のところ、住民アンケートを実施することは考えておりません。
◆野々村博美
今回きちんと対応していただいた地域がもちろんあったということで大変良かったと思うんですが、同時に、先ほど三十二地区全体で安否確認が行われたということですが、対象者全員に対して三十二地区全部で民生委員さんによる安否確認が行われたのかどうか、再度御質問いたします。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
要支援のリストに基づいて、それぞれ対応していただいたとお聞きしております。
◆野々村博美
要支援のリストに基づいて行われたということですので、やはりそれはきちんとデータとして残して今後に是非生かしていただきたい。それがやっぱり次の災害に備えることになると思いますので、一層その分野、しっかりお取組いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
長野市地域防災計画の地震の被害想定
◆野々村博美
次に移ります。長野市地域防災計画の地震の被害想定では、長野盆地西縁断層帯による地震と糸魚川-静岡構造線断層帯による地震の地震動、液状化の被害予測が示されていますが、今回の地震による被害は予測に即してどうであったのか伺います。
◎危機管理防災監(越正至)
長野市地域防災計画の見直しに当たり、平成二十二年度に実施した防災アセスメント報告書では、それまでの計画で想定していた長野盆地西縁断層帯による地震の他、糸魚川-静岡構造線断層帯による地震を加えております。これは合併により市域が西に広がり、断層帯に近づいたことなどから、被害想定に新たに追加したものです。
この報告書によると、糸魚川-静岡の場合は、西縁よりも地震の規模が大きく、地震による被害も市の西側でより大きいと想定されております。今回の地震は、この糸魚川-静岡構造線断層帯系に含まれる神城断層の一部の活動による可能性が高いとされ、被害についても、七二会、鬼無里、中条と、市の西側の地区でより大きかったものと思われます。
一方で、必ずしも西側ではなく、第一、第二、古里、浅川、若槻などの地区でも、構造物の一部破損の被害が数多く報告されております。このことについては、同じ報告書内の地区別カルテによると、それらの地区の地盤が扇状地の堆積物であったり、段丘砂れき層、地滑り堆積物などであることに起因し、震度予測はより大きなものとされております。これらのことから今回の地震による被害は、糸魚川-静岡で予測された地域に加え、それ以外の地域でも地盤によって強い揺れが観測されたのではないかと考えております。
なお、今回の地震による液状化の被害は、現時点で報告はありません。今回の地震については、今後出される専門機関の調査などの結果も加えたものを次期防災アセスメントとして調査を依頼してまいりたいと考えております。
◆野々村博美
改めて、私たちも糸魚川-静岡構造線断層帯による地震に対する備えを強めていかなければいけないということを痛感いたしました。特に、今回の神城断層は、北の方で、ごく一部のところが動いたのにとどまっているわけで、今言われていることは、専門家は糸魚川-静岡の断層線の地震の活性化、活発化が言われているわけですから、一層これに対する対策の強化を早急にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
これに対して、市長、一言ありましたら、是非よろしくお願いいたします。
◎市長(加藤久雄)
市民の安全を守ることは、長野市として非常に重要なことでございます。今おっしゃることを踏まえて対処してまいりたいと思います。ありがとうございます。
ダムに対する警戒について
◆野々村博美
ダムに対する警戒について伺います。
既にコンクリート打設が終了し、完成間近になっている浅川ダムは、住宅密集地から僅か一キロメートル足らずで、地震や大洪水、地滑りなど、ダム津波が万が一発生したときには住民は逃げる時間がありません。ダム災害への対応をきちんと位置付けるべきではないかと考えます。また、浅川ダムの監視体制の強化を強く求めていただきたいと思います。見解を伺います。
同時に、裾花ダム、奥裾花ダムが既に建設されてから数十年が経過し、ダムの堆砂の進行は予測を超え深刻な事態で、洪水調節機能の低下が指摘をされています。特に、糸魚川-静岡構造線断層帯の地震の影響を強く受ける可能性も高く、さらに長野盆地西縁断層地震が発生すればダム堤体の崩壊も心配されます。この二つのダムは、今回の地震による影響はなかったのか伺います。
また、今後の大災害に備え、情報の速やかな伝達とダムの警戒体制の強化を強く長野県に要請していただきたいと思います。見解を伺います。
また、洪水時のただし書き操作の実施による下流の洪水やダム津波の発生、ダム堤体崩壊など、万が一のダム災害に住民がどういう行動をとらなければならないのか、十分に周知をすべきと考えます。見解を伺います。
◎建設部長(藤田彰)
私からは、住民への周知という以外の幾つかの御質問にお答えします。
ダムへの対応については、市の地域防災計画の中にダムの対応についても規定されており、浅川ダムが完成することに伴う見直しについては、現時点では考えておりません。
浅川ダムの監視体制については、県からダム供用開始後に、二十四時間体制で管理し、十分な監視体制をとる予定であると聞いておりますが、市としてはしっかりと安全が確保されるよう県へ要望してまいりたいと考えております。
次に、県管理の裾花ダム、奥裾花ダムの今回の地震による影響については、県から地震後に臨時点検を行い、両ダムともダム本体に影響するような被害はないと報告を受けております。市としては、今後も引き続き適切なダム管理をしていただくとともに、緊急時には地域防災計画に基づき情報伝達を含め適切に対応していただくよう県に改めて要請してまいりたいと考えております。
なお、裾花ダム、奥裾花ダムの堆砂については、洪水調節容量の余裕の範囲内であり、洪水調節機能は低下していないとのことでありますが、今後堆砂が更に進行することが懸念されるため、県において抜本的な対策の検討を進めていると聞いております。
◎危機管理防災監(越正至)
私から、住民への周知についてお答えいたします。
長野市地域防災計画には、ダムに異常が生じた場合は市に報告し、市は必要に応じ避難指示や状況について広報を行うと規定されており、災害が発生した場合又は発生するおそれがある場合は、ダム管理者から市に情報提供があり、市は速やかに地域住民に伝達することとなっております。災害時の避難行動については、日頃から行っている地区の防災訓練や自主防災組織のリーダー研修会など様々な機会を通じて啓発を行っているところであります。近年、多発している局地的な集中豪雨や地震などによる災害に備え、今後も支所や消防署などと連携して十分な周知を行ってまいります。
◆野々村博美
今回、奥裾花ダム、裾花ダムはそれぞれ奥裾花ダムが震度六弱、裾花ダムは五強という影響を受けたそうです。ダム本体には影響する被害はなかったようですけれども、奥裾花ダムは漏水量が増加をする、それから漏水の濁りがあった、あるいは裾花ダムでは、のり面吹き付けの亀裂、落石による電源ボックスの破損、管理棟の基礎部分へのクラックの発生など、実際には直接放流量など、あるいはダム堤体への影響はなかったかもしれませんけれども、今回の地震の影響を受けていることは確かです。これが、糸魚川-静岡構造線が本格的に動いた場合というのは、今回の比ではないわけです。そういう点では本当に私たちは、ふだんはダムによって守られている部分もあるかもしれないけれども、大地震、大洪水のときには、反対にダムが大きな災いをもたらすその原因になるということも十分に住民は知っていなければならないことだと思うんですね。ですから、災害が発生したときはダムだけにあるわけではありません。洪水、長野市中大変な状況になっているときに、更にダムでの被害も予測されるわけですから、日頃から住民に対して、ダムに対して特別に感心を持ってもらう、それは常に周知をしておかなければいけないことだと思います。改めて、この部分について、再度御答弁をお願いしたいと思います。
◎危機管理防災監(越正至)
ただ今の御指摘がありましたとおり、いろいろな危険性がありますけれども、いろいろな災害に備えまして、先ほど申しましたとおり、自主防災会の訓練とか、いろいろな場面で地域住民の皆様に広報したり、訓練等を通じて徹底してまいりたいと思います。
◆野々村博美
是非とも強化をし、住民への周知を徹底していただきたいと思います。
市独自の災害見舞金、被災された皆様への支援について
◆野々村博美
次に移ります。第十次の被害状況が報告されていますが、住宅被害は八百六十八件という状況になっています。全壊、半壊に対して手厚い支援を求めるということと併せて、一部損壊であっても、市独自の災害見舞金を支給するということが言われましたが、是非手厚い支援をお願いいたします。
また、固定資産税の減免だけでなく、災害により住宅や家財に損害を受けた場合は、確定申告でも雑損控除や災害減免法による所得税の軽減免除などを受けることができる国税の特別措置もあります。また、国保料や保育料の減免、就学援助の拡充など、災害時に使える様々な支援制度があります。また、低所得者に対しては、生活福祉資金制度による貸付け、母子寡婦福祉資金の住宅資金など、住宅の補修に利用できる制度もあります。被災者に寄り添った支援を行っていただくことを強く求めます。そのためにも、支所での相談体制だけでなく、総合的に相談できる総合相談の窓口を是非設置していただきたいと思いますが、御見解をお願いいたします。
◎危機管理防災監(越正至)
市独自の災害見舞金につきましては、先ほどおっしゃられたとおりでございます。
次に、被災された皆様への支援につきましては、一日も早い生活再建に向け全市を挙げて取り組んでまいりますが、支援を確実につなげていくためには、まず、全職員が各種支援情報を共有している必要があると考えます。このため、後日多岐にわたる支援制度の概要を分かりやすくまとめたものを担当職員に配布することで支援情報の共有を図り、受け付けた職員が支援担当課へ御案内できるようにしたいと考えております。支所の相談窓口だけでなく、総合相談窓口を設置との御提案につきましては、寄せられる相談の内容や状況を見ながら、必要に応じ関係課と調整してまいりたいと考えております。
◆野々村博美
是非漏れのないように支援策をしっかりと市職員の皆さん、共有をしていただき、市民のために頑張っていただきたいと思います。
地域防災計画見直しについて
◆野々村博美
次に移ります。今年二月の大雪による対応状況と課題を踏まえ、大雪時の配備体制を見直し、災害対策本部設置前に新たな基準で災害警戒本部を設置すると地域防災計画が見直されました。具体的にはどのような体制をとるのか伺います。
また、大雪時の生活路線の除雪に関しては、優先順位など適時に住民自治協議会との話合いも必要かと思います。手だてがとられているのでしょうか。また、小型除雪機の拡充や貸出しなど強化をお願いしたいと思います。御答弁をお願いいたします。
◎危機管理防災監(越正至)
本年十一月四日に開催された長野市防災会議において、災害対策基本法の改正などに伴う長野市地域防災計画の修正が承認されました。今回の修正では、今年二月の記録的な大雪を踏まえ、当時の対応状況と課題について検証し、今後、大雪の際の体制強化を図るため大雪時の配備体制を見直し、災害対策本部の設置前に、次の基準により災害警戒本部を設置することを計画に明記しました。
具体的には、一点目として、積雪が市内平地において、警報発表基準値--十二時間の降雪の深さが二十五センチメートルでございますけれども、を超え、更に大雪が予想されるとき、二点目として、長野市道路雪害対策本部が設置された場合で、危機管理防災監が必要と判断したときに、私を本部長として災害警戒本部を設置し、建設部など各部が早い段階から情報収集、伝達に努め、関係機関と調整を図り、公共交通機関の麻ひや農作物被害に対応してまいります。これにより大雪が見込まれる際の初動対応を迅速に行い、市民生活に影響を及ぼす降雪の被害を減らしてまいりたいと考えております。
◎建設部長(藤田彰)
私からは、除雪の改善についての御質問にお答えいたします。
市が業者委託で行う除雪指定路線以外の生活道路の除雪については、市民の皆様の御協力をいただいて行っているところでありますが、本年二月のような大雪の場合には、住民自治協議会からの要望をお聞きしながら、状況に応じて柔軟に対応してまいりたいと考えております。この場合、対象路線や優先順位などについては、臨機に打合せを行う中で対応してまいりたいと考えております。
また、小型除雪機については、現在、積雪が多い中山間地域の各地区へ貸与し、地元の皆様による除雪をお願いしております。本年六月から実施した住民自治協議会へのアンケート調査では、平地部の地区からも貸与希望があったことから、今後地域で行う除雪への支援策として、平地部でも希望する地区へ小型除雪機の貸与を拡大していきたいと考えており、当面三支所へ拠点配備をいたしました。来年度以降も順次拡大していきたいと考えております。
除雪につきましては、今後とも自助・共助・公助の下、住民自治協議会の御意見などをお聞きしながら、より良い方法について引き続き検討してまいります。
◆野々村博美
来年は一九八五年に起きた地附山地滑り災害から三十年の年になります。今年は大変災害の多い年でありましたけれども、是非地附山地滑りから三十年という年に当たり、市民の防災意識の向上も含め、しっかりとした対策を強化していくためにも、長野市として特別な取組を企画すべきと考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。
◎危機管理防災監(越正至)
近年、局所的な大雨による風水害や土砂災害、そして火山災害、今回の地震など、自然災害は増加する傾向にあります。このような災害が起こる度に、いつも昭和六十年の地附山地滑り災害を思い起こします。そして、この年は、市総合防災訓練を災害対応のため見送った経過がございます。ちょうど来年度は、三年に一度の本市総合防災訓練を開催する年となります。メーン会場は大地震を想定した訓練が主体となりますが、サブ会場においては、地滑りを含む土砂災害を想定し、住民の他、福祉施設での避難行動訓練など、地附山地滑り災害の教訓を生かした取組を加えてまいりたいと考えております。
◆野々村博美
よろしくお願いいたします。
長野市民病院の地方独立行政法人化について
◆野々村博美
次に、長野市民病院の地方独立行政法人化について伺います。
国は社会保障制度の市場化を進め、公共福祉を大きく後退させてきました。その一環として、公立病院の地方独立行政法人化がありました。法人設立の定義、目的は、自治体が直接実施する必要がない業務で、民間に委ねては確実な実施ができないおそれのあるものを効率的に行わせるために設立する法人とされています。全国的には公立病院の独立行政法人化は進められましたが、長野市は法人化より、更に市場化を進める指定管理者制度を選択した数少ない自治体の一つです。長野市が現段階で指定管理者制度でなく、独立行政法人化に変更する理由はどこにあるのかお答えいただきたいと思います。
公立病院改革ガイドラインでは、公立病院は採算性の面から民間医療機関によるサービス提供が困難な医療を提供することが、その社会的使命であるとして、一として、山間地域など困難な過疎地などにおける一般医療の提供、二として、救急、小児、周産期、災害、精神など不採算、特殊部分に関わる医療、三として、地域の民間医療では限界のある高度先進医療の提供、四として、研修の実施等を含む広域的な医師派遣の拠点としての機能の四点が挙げられています。
日本共産党市会議員団は、市民病院への一定の税金投入については、民間病院ではできない不採算部門を担っていくためには当然のことと考えます。今回の地方独立行政法人への移行に際して行き過ぎた市場化を正し、この四点の公的病院としての機能がしっかりと担保され、中期目標に掲げられ、具体化されるのかどうか伺います。
また、かねてから要望しました終末期医療や無料低額診療など、市民の心に寄り添い、弱者を支援する医療の充実強化を求めます。見解を伺います。
◎生活部長(大平靖長)
最初に、長野市民病院の地方独立行政法人化についてお答えします。
市民病院は、現在、指定管理者制度により、公益財団法人長野市保健医療公社が運営を行っております。公益財団法人は、公益法人認定法上、公共性の確保に重点が置かれているため、経済性が十分に発揮できないこと、また、病院の開設者が市長で、運営者につきましては、公益財団法人の長という二元体制が病院の経営責任を不明確なものとしており、迅速な意思決定の他、病院経営全般への目配りや中長期的な経営判断に基づく運営が難しいなどの理由から、指定管理者制度の下での公益財団法人による経営形態では、超高齢化社会を見据えて国が進めております、医療費の抑制や医療機能の再編などの医療制度改革による医療環境の変化に柔軟に対応していくことが難しくなるものと考えております。
市が百パーセント出資して設立する地方独立行政法人は、市立病院としての公的な性格を変えることなく業務執行面で柔軟な経営が可能となる他、目標による業務管理と適正な業務実績の評価が仕組みとして設けられており、このような地方独立行政法人制度上の仕組みを活用することで、迅速で柔軟な運営によるサービスや質の向上、透明性の高い運営が可能となり、今まで以上に患者の立場に立ったより良い病院づくりに取り組むことができるようになると考えております。
また、公立病院に期待される機能につきましては、地域完結型医療の観点や国が進める医療機能の再編を考慮しながら、市民病院が提供する医療の役割を整理した上で中期目標に位置付けてまいります。
次に、終末期医療、無料低額診療についてお答えします。
市民病院では、現在、地域医療支援病院として地域の診療所及び病院と連携した診療に取り組んでおります。この連携は、地域完結型医療と呼ばれ、他の医療機関からの紹介により、精密な検査や高度な医療機器による治療を市民病院で行い、その後は、それまでの医療機関で診療を継続するものであります。こうした地域完結型医療という流れの中で、終末期医療につきましても、他の医療機関と機能分担を図りながら対応してまいりたいと考えております。
また、市民病院における診療を無料や低額にすることは、地域の医療機関との連携に影響が出ることが想定されるため、市民病院における無料低額診療の実施は考えておりませんので、御理解をお願いします。
◆野々村博美
残念ながら地方独立行政法人化については、この仕組みを活用して一層今国が行っている医療改革に即した医療を進めていくという、そういう流れの中で行われていることではないかと改めて思いました。もっとやはり市民に寄り添った医療ができる体制に是非していただきたいと思います。
孤独死、孤立死問題について、長野市はこの間、ネットワーク協議会など設立しましたが、その具体的な対応がとられたケースがあるのか。また、生活保護を受給している中で、孤立死していたケースがあるのか、どのように対応されてきたのか。また、改善をされた点があるのか伺います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
長野市は昨年六月に、孤立防止・見守りネットワーク事業を開始いたしました。電気、ガス等のライフライン関連の事業所や新聞販売店など三十七事業者が市と協定を締結して、異変に気付いたときには市に通報するよう御協力いただいております。
昨年六月から今年三月までの間に十九件の通報がありました。通報を受け、中部地域包括支援センター、厚生課、高齢者福祉課の職員が一件ずつ確認したところ、病院へ入院している事例が多く、ほとんどは無事を確認できました。通報を受けた中には病院へ緊急搬送をした事例もありました。しかし、残念ながら警察により死亡を確認した事例が一件ありました。事業者から通報がなければ発見はもっと遅れたと考えられます。
次に、生活保護受給者の関係であります。今年四月から十一月末までに生活保護受給の単身世帯で、死亡により保護廃止となったのは四十九人で、そのうち自宅で一人で亡くなられた方は十一人であります。このうち三人の方は死後二週間以上経過して発見されております。その他の三十八人の方は、病院や施設でお亡くなりになっています。連絡がとれなくなった生活保護受給者への対応といたしましては、親族や地区の民生委員に連絡がとれないことを伝え、訪問していただくようお願いするとともに、ケースワーカーも速やかに訪問するなどの対応に努めております。また、ケースワーカーが訪問した際に、本人と面談できない場合には、連絡票を差し入れ、帰庁後、電話をするなどの対応をしております。
対応が改善された点があるのかとのお尋ねでありますが、以前からケースワーカーは、特に高齢者世帯などに対して小まめに電話連絡をする他、他のお宅を訪問するときに、心配なお宅にも訪問し、声掛けや様子を見るなどの対応をしておりますので、今後もケースに応じた対応をしてまいります。
◆野々村博美
孤独死、孤立死問題は今社会問題になっております。全国でも非常に増えています。特に、低所得者がそういう状況になっているということも言われておりますけれども、今お話をお聞きすれば、長野市でもその実態は深刻ではないかなと思います。是非ケースワーカーを増やしていただくなりして、孤独死、孤立死が、生活保護受給者からはないようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。