議会報告

2014年12月定例市議会 原田のぶゆき議員

請願第三十八号原発再稼働の中止を求める請願の総務委員会委員長報告に反対の立場で、請願第四十一号とも関連して討論

◆原田誠之
 請願第三十八号原発再稼働の中止を求める請願の総務委員会委員長報告に反対の立場で、請願第四十一号とも関連して討論を行います。
 請願者は、東京電力福島第一原発事故原因の究明と事故の収束が実現していないこと。実効性の担保された避難計画が策定できていないこと。火山噴火リスクの予測が不十分であることなどから、川内原発を初めとする原発再稼働の中止を求めて、国に対し意見書の提出を求めています。
 委員会の請願審査で新友会委員は、おおよそ要旨、次のような内容で意見書の提出に反対の発言をしています。
 いずれ原発は無くなればいいと思うが、原発比率を含めた将来の電源構成が問題だ。電力会社は電気を買い取らないと言っている。現状では、原発をすぐ止めれば、電力が不足し、日本の経済に支障を来すのではないか。また、地元の同意がなければできない。地元の県も市も同意している。長野市が意見書を出すには疑問が残るなどです。
 これに対し、本請願の紹介議員となった共産党や無所属、改革ながのの委員は様々な角度から問題点を指摘し、強く意見書の提出を求める討論を行いました。
 安倍政権は、原発再稼働の突破口として、九州電力川内原発の再稼働を進めようとしています。しかし、巨大噴火への備えがありません。まともな避難体制もありません。再稼働に当たって、周辺三十キロ圏内市町村は、事故時の避難計画の策定を義務付けられているのに、政府は周辺自治体の首長や議会の意見を聴き、同意を求めることすら拒んでいます。また、噴火は予知できるという新たな安全神話と無責任な避難体制、住民の意見を聴く耳すら持たない、危険で乱暴な原発再稼働を認めるわけにはいきません。
 福島原発から三年と九か月たちますが、今でも十二万人を超える人たちがふるさとに戻れず、避難生活を余儀なくされています。請願者が言うように、福島原発はメルトダウンなど炉心部の実態も分からず、汚染水、使用済み核燃料の処理さえままならず、除染も進まず、事故の収束もできず、原因究明もできてはいません。このような下で、原発再稼働など論外であります。
 福島原発事故は、収束どころか大量の放射能汚染水問題など非常事態が続いています。福島県では、自ら命を絶つ方などを初め震災関連死が地震、津波の直接被害で亡くなった方を上回るなど、今、原発被害者の命と健康が脅かされているのです。
 ところが、安倍政権は原発再稼働と原発輸出のために、原発安全という神話を振りまきながら、福島事故を過去のものとして切り捨てようとしています。安倍首相は、福島事故について国際会議で、状況はコントロールされている、汚染水は港湾内に完全にブロックされていると大見えを切ったにもかかわらず、深刻な汚染水漏れや汚染水処理のALPSも稼働に至らず、トラブルが相次いでいます。使用済み核燃料の処理の見通しは全くなく、保管プールも満杯に近く、正にトイレ無きマンションです。
 政府が全面に出て対応すると言いながら、東電任せに終始、まともな情報公開もしていません。賠償と除染の打切りなど、被害者の切捨ても露骨となっています。東電に対する住民の損害賠償請求でも、政府自身が設けた裁判外紛争解決による仲裁も東電が拒否しているのを放置。避難区域の指定解除を口実に賠償額の抑制や支払いの打切り、除染の回数や範囲を減らすなど、事故のコストの軽減に躍起となっています。裁判をしなければ、賠償請求できない事態はとんでもありません。家に帰りたい、孫と暮らしたい、先祖の墓を守りたい、米を作りたい、この願いはことごとく拒まれているのです。
 さて、日本の全ての原発を停止して約一年と三か月たちます。それでも、なお、電力不足はどこにも起きてはいません。国民も企業も節電と省エネに努力し、電力消費を大きく減らしてきました。この努力は、原発十三基分といいます。日本は原発ゼロでも立派にやっていけることを国民自身が証明しております。今や、再生可能エネルギー、省エネの技術開発と普及こそ、日本経済や産業・地域経済に明るい未来を開くものであります。エネルギー自給率たった六パーセントしかない日本にとって、この大量普及は、日本の経済と産業の発展に新たな条件を広げます。
 政府は、先のない原発にしがみつくのではなく、再生可能エネルギー、省エネ技術も大きく伸びる分野です。原発にしがみつくのは時代錯誤であります。
 原発ゼロに踏み出したドイツでは、再生可能エネルギー電力は、二〇〇〇年が僅かに全体の六パーセントにすぎませんでした。今年上半期には二十八・五パーセントと主要電源に取って代わりました。政治が原発ゼロを決断すれば、再生可能エネルギーへの大転換への道が開かれるのであります。政府も電力会社も原発をベースロード電源としているところに最大の問題があり、これが再生可能エネルギー普及の一番の障害となっているのであります。
 請願に反対する委員も、原発はいつまでに止めていこうということであればいいと言いました。原発に頼らない道は、徹底した節電と再生可能エネルギーの大幅導入です。当面、五年から十年程度の期間は過渡的措置として火力による電力の確保が必要となりますが、その間に、再生可能エネルギーの大規模な普及と低エネルギー社会への移行を進めればいいのであります。原発推進派は、自然エネルギーは供給が不安定などと言っていますが、太陽光、熱、小水力、風力、バイオマス、地熱、潮力など、組み合わせて普及すれば、安定します。
 再生可能エネルギー発電は、政府統計でも、日本の発電能力全体の十倍の発電量を持っていると言われています。電力会社が買い取らないと言っていると心配している委員もいましたが、全くそのとおりです。電力会社による再生可能エネルギー電力の買取り拒否こそ大問題なのであります。再生可能エネルギーの安定供給のために、広域的な送電網の整備や調整システムの確立など、条件の整備を着実に行うことが必要であります。
 ドイツでは、法律で電力会社に買取りを求めています。日本でも、政府が再生可能エネルギー電力の適正な買取価格を決め、業界に求めればいいのであります。電力会社が買い取らないから問題があるといっても、買取価格は電力料金に転嫁しているので、会社負担にはなっていません。領収書の裏に説明書きがあります。
 今、再稼働反対、原発なくせの一点で共同の運動が大きく広がっています。長野市でも毎週金曜日駅前で粘り強く繰り広げ、原発ゼロ、再稼働反対の声を上げています。このような力は、司法をも動かしています。憲法の人格権をうたい、大飯原発の運転差止めの福井地裁判決、避難中に自ら命を絶った女性への賠償を東電に命じた福島地裁判決を重く受け止め、正に請願者の願いである原発再稼働中止の意見書を今、国に上げるときであります。マスコミの世論調査でも八割が同じ思いであります。民主主義をいうなら、この国民多数の民意に応えてこそ、筋の通った道です。
 議員各位の賢明なる御判断をいただき、御賛同をお願いし、討論とします。

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