2014年9月定例市議会 野々村ひろみ議員
請願第三十七号奨学金制度の充実を求める請願 賛成討論
◆野々村博美
請願第三十七号奨学金制度の充実を求める請願に賛成の討論を行います。
経済協力開発機構--OECDの最新の調査で、国や地方自治体による教育への公的支出の国内総生産--GDPに占める割合が、日本は比較できる加盟三十二か国中、最下位であることが明らかになりました。日本の最下位は五年連続です。公的支出が少ないため、国民の教育費負担が世界の中でも異常な高さとなっています。政府は、教育への公的支出を抜本的に増やすべきです。
OECDの調査結果では、教育への公的支出が、日本はGDPの三・八パーセントにとどまり、OECD平均の五・六パーセントを大きく下回っています。一方、教育への支出のうち、私費負担の割合が日本は三十パーセントで、OECD平均の十六パーセントの二倍近くになっています。大学などの高等教育への支出は、私費負担が六十六パーセントを占めています。これはOECD平均三十一パーセントの二倍以上に上ります。
このため、日本では大学に入学した年に払う学費は、国立で約八十二万円、私立では平均約百三十一万円にもなります。返済の必要のない給付型奨学金の創設は、切実な要求がありながら毎年見送りになり、多くの大学生が有利子の貸与型奨学金に頼らざるを得ません。大学生は、在学中からアルバイトに追われ、卒業と同時に六百万円から七百万円の借金を背負うことになり、返済に苦しんでいます。
OECD加盟国のうち、半数の国は大学の学費が無償で、ほとんどの国に給付型の奨学金制度があります。学びたい若者が、お金が無いために十分に学べず、希望を持てない日本の現状は余りに異常です。憲法に基づき、ひとしく教育を受ける権利を保障すべきです。
高校以下の教育でも、安倍晋三政権は高校の授業料無償化を廃止して、就学支援金に所得制限を設けたり、三十五人学級の計画を小学校一年生でストップしたり、教職員の数を減らすなど、教育への公的支出を増やすことに逆行しています。OECD加盟国のほとんどは高校が無償で、欧米では学級編制の基準は二十人から三十人です。ここでも、日本は世界の動きに反しています。
日本は、昨年、教育振興についての基本方針を定める第二次教育振興基本計画を策定しました。文部科学相の諮問機関である中央教育審議会の出した基本計画の案は、OECD諸国並みの公財政支出を行うことを将来的な目標に掲げました。ところが安倍政権が最終的に閣議決定した基本計画は、その目標を削除しました。安倍政権の姿勢は国際的な流れに背くものです。
教育への公的支出をOECD平均並みに引き上げれば、国と地方で約九兆円の増額になります。計画的に引き上げることで、教育への私的負担を抜本的に減らし、行き届いた教育を実現できます。
日本政府は、高校、大学の段階的無償化を定めた国際人権規約の条項を承認しました。公立高校の無償化を復活し、私立高校、大学、専門学校の無償化の目標を決めるなど、具体化を急ぐことが必要です。三十五人学級を早急に完全実施し、更に学級規模を縮小する、教職員の定数を増やすなど、教育条件の抜本的改善も求められます。
今回、経済文教委員会に提出された請願は、当初高校だけでなく、大学への給付型奨学金の創設を求めるものでした。しかし、残念ながら、大学は削除されて提出され、審議がされました。また、六月市議会では、高校無償化を求める内容の請願を長野市議会は否決をしてしまっています。大変残念なことです。本請願には、賛成をいたしますが、切実な市民の声に応える教育予算の拡充を真剣に求めることを訴え、賛成討論といたします。