2014年9月定例市議会 小林よしかず議員
新幹線延伸対策特別委員会の報告
◆新幹線延伸対策特別委員会委員長・小林義和
私から、新幹線延伸対策特別委員会の報告をいたします。
本委員会は、新幹線金沢延伸を控えて、これまで設置されていたまちづくり対策、公共交通対策、観光戦略の三特別委員会の調査・研究成果を生かし課題を集約して、新幹線金沢延伸と善光寺御開帳を照準とした長野市に必要な対策について調査研究するため、昨年九月に設置されました。昨年度は、当初の委員会において、新幹線延伸を控えたまちづくり、新幹線延伸を契機とした新しい観光市場への戦略、新幹線延伸に対応した公共交通の整備、そして長野市の有形無形の財産を生かしたブランド化への取組といった重点テーマを定め、以後先進都市視察、観光に関わる団体関係者の参考人招致、在住外国籍市民との意見交換会など幅広く活動し、市議会三月定例会においては、前半の活動内容のまとめとして、中間報告を実施しております。今年度は、長野商工会議所との意見交換会、交通事業者各社から新幹線延伸に伴う取組状況の意見聴取や善光寺の歴史と現状の調査など更に研究を進めてまいりました。
本委員会では、これまでの調査研究を踏まえ、市が取り入れるべき事項として、去る九月十二日、関係理事者に新幹線金沢延伸を控えたまちづくり、新しい観光市場への戦略、公共交通の整備、長野市の有形無形の財産を生かしたブランド化への取組を骨子とした提言を行ったところであります。
ここでは、提言の概要について申し上げます。
まず、新幹線延伸を控えたまちづくりについて、四点申し上げます。
一点目は、長野駅善光寺口駅前広場の利活用についてであります。
長野駅善光寺口駅前広場の利活用は、市民のための広場として長野らしい演出により、市民意見が反映されたものとする必要があることから、利活用の検討を行っている長野駅善光寺口利活用ネットワーク等の関係団体に対し、積極的な助言や支援を行うこと。
二点目は、長野市観光情報センターの再整備についてであります。
観光の玄関口であり本市のイメージを左右する重要な拠点として、くつろぎ楽しみながらも、十分な情報を得られる施設とするため、職員配置の増強やボランティアガイド窓口の設置、公共交通の利用促進と利便性を向上するための荷物の預かり及び配送サービスの導入を行うこと。
また、大雪などの災害時においては公共交通や市の窓口として、利用者に正確な情報提供を行うための職員の役割の明確化や関係機関との連絡体制を確立すること。
三点目は、まち歩き観光推進のための取組についてであります。
まちなかの回遊性と活性化を一層高めることにより、観光客の市内での滞在時間を延ばすことが重要な課題であることから、観光名所やバス乗り場などまち歩きに必要な統一的な案内表示板の設置、安心してまち歩きを楽しむための公衆トイレの充実と長野おもてなし推進ネットワークを中心とした、官民連携による店舗等がトイレを貸し出す仕組みを早急に確立すること。
四点目は、善光寺東参道についてであります。
第二地区住民自治協議会が中心となり検討を進めている通称善光寺東参道について、安心して通行ができ、地域にとっても、利便性が高い道路となるよう、善光寺東参道活性化委員会に対し、行政として必要な協力や支援を行うこと。
続きまして、新幹線延伸を契機とした新しい観光市場への戦略について五点申し上げます。
一点目は、新幹線延伸を契機としたPR事業の拡大についてであります。
新幹線金沢延伸に伴い北陸地域はもとより、関西方面、さらには海外からの観光客の増加も期待されます。長野駅に停車する新幹線の大幅増加などの利点も生かし、恒常的な誘客を図るため、本市の魅力ある観光イベントのPRを全国的に展開するとともに、PR事業拡大に伴う予算を確保すること。
二点目は、ボランティアガイド事業についてであります
。
長野市善光寺表参道ガイド協会では、NAGANO検定の合格者からボランティアガイドを募集し、ガイドの育成に取り組まれているところでありますが、観光客にまち歩きを楽しんでいただくため、学生や観光客の視点から本市の食を効果的に取り入れたコース設定の検討や伊勢市のオーダーメイド型観光事業を参考にした、ガイド事業の更なる研究を長野市善光寺表参道ガイド協会等の関係団体と連携して進めていくこと。
三点目は、善光寺御開帳に合わせたイベントについてであります。
ウェルカム長野二〇一五実行委員会が日本一の門前町大縁日として中央通り等で地域の日などのにぎわいイベントを計画しておりますが、中央通りの商店会、住民自治協議会など関係団体への情報提供と支援を行うことにより、市民参加に重点を置いたイベントにすること。
また、市がリーダーシップを発揮しイベント準備のスピードアップを図り、沿線自治体や旅行代理店へ早期の情報提供を行うとともに、公共駐車場等に案内冊子やパンフレットを備え付けることにより周知を行うこと。
四点目はインバウンド対策についてであります。
本委員会が在住外国籍市民と行った意見交換会において、本市の観光資源の活用や観光PRについて貴重な意見を頂いたことから、インバウンド対策の検討に当たっては、在住外国人との意見交換会やアンケート調査などにより、外国人本人から率直な意見を引き出し、効果的な対策を行うこと。
また、観光情報センターでの多言語対応、店舗や観光施設などにおける案内表記やパンフレットの多言語化、ソーシャル・ネットワーキングサービスなどを活用した国内在住外国人向けの観光PRや海外旅行代理店を対象とした観光PRを実施すること。
五点目は、観光戦略に重点を置いた庁内組織についてであります。
恒常的に観光客を増加させるため、本市の魅力ある観光資源のブランド化が急務であります。また、善光寺御開帳など周期的な大規模イベントを見据え、長期的視点に立って観光戦略を研究する組織が必要であります。
よって観光戦略室への専門的な人材配置並びに庁内や関係外郭団体が横断的に連携し、長期的な視点で事業に取り組む組織づくりを検討すること。
続きまして、新幹線延伸に対応した公共交通の整備について六点申し上げます。
一点目は、観光バスルートの開発及びバスダイヤの見直しについてであります。
戸隠、松代を初めとして、本市の観光資源を有効に活用するため、交通事業者と協力し観光地を周遊するバスルートやぐるりん号を含めた生活路線バスを活用した観光ルートの開発、運行時間の延長など利用しやすいバスダイヤを検討すること。
二点目は、長野駅善光寺口駅前広場におけるバス乗り場の案内についてであります。
現在整備が進められている長野駅善光寺口駅前広場のバス乗り場案内表示については、二次交通としての利便性を高めるため、市民の意見を反映するとともに、金沢駅など先進事例を参考に、方面別の一連の番号表記や床面サインを取り入れ、高齢者や障害者にとっても、分かりやすいものにすること。
三点目は、鉄道主要駅での観光地への案内についてであります。
本市の広域化により駅から離れた場所に点在する観光地へ確実に観光客を誘導するため、主要駅構内での分かりやすいルート案内や交通手段についての詳しい情報提供を実施すること。
四点目は、公共交通事業者への支援についてであります。
JRから経営分離される長野駅以北の信越本線長野・妙高高原間--北しなの線は、通勤、通学、通院、買物など沿線地域の日常生活を支える役割が期待されています。この北しなの線など日常生活を支える鉄道路線に継続した支援を行うこと。
また、廃止のおそれがあるバス路線については、住民アンケート調査により生活路線としての必要性を見極め、必要な路線については財政的な支援を行うとともに交通事業者と協力して市民に利用を呼び掛けるなど存続に向けた取組を行うこと。
五点目は、観光ボランティアガイドの協力による公共交通のPR等についてであります。
新幹線延伸、善光寺御開帳に向け、交通事業者各社が発売を検討しているフリー切符などの企画乗車券の情報発信には、観光地で案内を行うボランティアガイドの協力を得ることが有効であることから、交通事業者と観光ボランティアガイド団体との協力関係が構築できるよう橋渡しを行っていくこと。
また、観光客の利便性向上のため、交通事業者各社の企画乗車券を長野市観光情報センター内で購入できるようにすること。
六点目は、交通渋滞の解消についてであります。
善光寺御開帳時の周辺地域の交通渋滞は深刻化していることから、自家用車の善光寺周辺の交通規制及び駐車場利用制限等による抜本的な方策を検討すること。
また、市が主催するイベントについて臨時駐車場の整備及びパーク・アンド・ライドの実施など機動的な対応を行うこと。併せてパーク・アンド・ライドの推進のため、高速道路のインターチェンジやサービスエリアにおいて駐車場の位置図を配布し周知を行うこと。
最後に、長野市の有形無形の財産を生かしたブランド化への取組について二点申し上げます。
一点目は、ながのシティプロモーションについてであります。
長野商工会議所と行った意見交換会では、ながのシティプロモーションを前向きに進めていくよう要望があったことから、全庁を挙げ取り組むとともに、民間のアイデアを取り入れたブランドづくりのため、市民アンケートの実施や市民主体のワーキンググループを設置すること。
また、本市の特色を生かした食文化を味わえる店の育成などブランド化に向けた取組やデスティネーションキャンペーンなど大型観光キャンペーンの採用をJR等の関係者に働き掛けることによる効果的な観光PRを実施すること。
二点目は、国内外のオリンピック開催都市との連携についてであります。
一九九八年長野冬季オリンピック・パラリンピックの開催により、本市を国内外に平和とスポーツの国際都市として発信した貴重な経験を生かし、二〇一八年冬季オリンピックが開催される韓国ピョンチャンなどオリンピック・パラリンピック開催都市との友好都市締結を含めた友好交流や連携など新たな方向性により本市の魅力を十分PRし、交流人口の増加に努めること。
理事者においては、これらの事項を各事業に取り入れ、早期に実施するよう要望するものであります。
本委員会は、冒頭に述べましたように市議会がこれまで個別に設置した三つの特別委員会が進めてきた課題を、来年春のエポックイヤーに照準を合わせ集約した形で設置されたため、課題が広範囲に及んだことも否めず、時間的制約の中で十分に調査検討が達成できたとは言えませんでした。
残された課題については、委員会での議論や提言でも指摘しておりますので、市当局には中・長期的な方針を確立し、鋭意取り組まれるよう求めるものであります。
同時に、市議会としても、提言内容や残された課題の調査研究を多様な形で引き継がれることを本委員会は希望するものであります。
新幹線金沢延伸、善光寺御開帳が間近に迫り、公共施設の整備や観光イベントなど様々な事業が急ピッチで進められているところでありますが、これらの取組が緊急的、短期的な単なる一過性のものにとどまるのではなく、今後も市民自身が長野に暮らせて良かったと思えるまちづくりを目指して各事業を継続、発展させることによって地域経済も大きく飛躍し、本市が真に魅力ある都市として国内外に発信され、将来に明るい展望が切り開けることを期待いたします。
以上で報告を終わります。