2014年9月定例市議会 小林よしかず議員
議会第十五号安全保障法制の整備に当たり、十分な国民への説明と、憲法の理念を尊重し国会等での慎重審議を求める意見書(案) 反対討論
◆小林義和
私は、議会第十五号安全保障法制の整備に当たり、十分な国民への説明と、憲法の理念を尊重し国会等での慎重審議を求める意見書(案)について、反対の立場で討論します。
さきの六月議会において、三月議会に継続審査とされた長野県平和委員会提出の請願第五号集団的自衛権に関する憲法解釈を変更することに反対する請願、及び新たに秘密保護法やだネット長野提出の請願第十三号集団的自衛権に関する憲法解釈を変更しないことを求める請願、及び長野地区憲法擁護連合提出の請願第十四号「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」とする政府見解の堅持を求める請願について、私ども市会議員団は、採択のために最大限の努力をいたしました。しかし、結果は継続審査となりました。
このことは、大変残念でありましたが、この時点では、まだ閣議決定もされていない段階であり、長野市議会の総意として全会派が一致できる最大公約数に集約した意見書を国に送付すべきと考え、努力をしました。
その結果、集団的自衛的行使容認については、様々な意見があることから、閣議決定で憲法解釈を変更するようなことは行わず、十分な国民的議論と国会等での慎重審議を尽くすように強く要請する趣旨の、集団的自衛的の行使容認に関して、十分な国民的議論と国会での慎重審議を求める意見書に結実した点を評価し、全会一致で国に意見書を上げることになったわけであります。
しかし、その後、全国の地方議会から反対や慎重審議を求める意見書が殺到する中にもかかわらず、周知のとおり七月一日、安倍内閣は国民的議論や国会等での審議をほとんど行わず、一方的に憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行したわけであります。
このような情勢の下で迎えた九月議会には、多数の集団的自衛権行使容認反対及び閣議決定撤回の請願が出され、全国の自治体議会においては、次々に意見書が可決されている情勢については、さきの総務委員会委員長報告での反対討論で述べたところであります。
さて、それでは、今回の本議会の意見書案について、まず提案の経過を見てみますと、事前に全会派の意見の調整などもありませんで、総務委員会において、市民団体の切実な請願八本を全て不採択にした後で、新友会議員から突然提案されたものであり、まずその手続の点で、六月議会で到達した地道で民主的な全議員の合意形成を図った市議会運営を正に水泡に帰す結果になったのではないかと考えております。
さらに、その中身の点でも、集団的自衛権行使容認の閣議決定を既成事実として容認し、まるで動かしようのないものと絶対視をして、その決定に基づいた一連の関連法の整備に踏み出すことを大前提にした関連法案の国民への説明と国会等での慎重審議を求めるという内容になっている問題であります。
文面には、憲法の理念を尊重してとの枕言葉が付いていますが、それでは憲法の理念とは一体何かと、それはもう言うまでもありませんが、立憲主義であり、国民主権であり、基本的人権の尊重であり、恒久平和主義であります。
安倍内閣が強行してきた閣議決定の経過は、正に弁護士や憲法学者などが一貫して指摘しておりますように、この意見書が尊重せよとしている憲法の理念そのものを踏みにじって強行してきたものに他ならないわけです。憲法の理念を尊重としてという言葉は天に唾するに等しいと私は思います。まずは、閣議決定の撤回を求めてこそ、憲法の理念を尊重しての言葉が生きてくるのではないでしょうか。
さらに、多くの地方議会から慎重審議を求める意見書が提出される中、などと記しておりますけれども、ここにもごまかしがあると思います。これも、総務委員会委員長報告への反対討論で紹介したとおり、二百近い地方議会の意見書の趣旨は、全て集団的自衛権行使容認に反対を主張し、閣議決定の撤回を求める意思表示でありまして、その他慎重審議を求めるとの趣旨の意見書の多くは、閣議決定前に出されているものが多くて、約三十議会程度であります。多くの地方議会から閣議決定の撤回を求める意見書が提出される中と書き換えるべきであります。
その上、閣議決定に当たっては、という文面が、自衛措置のための武力行使時に守るべき、新三要件を明確にしたというふうに、まるで政府自身が書いているかのような表現で記述されておりますけれども、この新三要件こそ、どうごまかしても憲法の解釈改憲の本質でありまして、集団的自衛権行使を実現して海外で戦争する国に乗り出していくことを意味しているということは、明白であります。
私は、本来なら六月議会で集団的自衛権の行使については、十分な国民的議論と国会等の慎重審議を経て国民が決定していくべきであるとの内容の意見書を全会一致で仕上げた長野市議会の全議員は、それを踏みにじって閣議決定をした安倍内閣の暴挙に対して、本九月議会では怒りを持って、閣議決定をまずは撤回しなさいという意見書を上げるべきではないでしょうか。
しかし、そうならなかった。国家の動きをそのまま受け入れて抵抗することなく追随していく。私は、六月議会の意見書がいつの間にか九月議会の意見書案に変質していく様に直面をして、背筋が寒くなる感覚を覚えます。これこそがいわゆるなし崩しということではないでしょうか。このように、戦前は大政翼賛会ができ、破滅的な戦争に突入していったわけであります。
最後に、私は昨年、麻生副総理が思わず本音を漏らし、批判を浴びても謝りもせず、取りあえず撤回した、御存じのあの言葉を警鐘乱打として紹介し、反対討論を終わりといたします。
憲法は、ある日気付いたら、ワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気付かないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。