2014年9月定例市議会 原田のぶゆき議員
消費税増税中止について
松代大本営地下壕の説明板から、強制的にという文言を削除した問題について
戦争遺産の保存・活用、市民平和の日のつどいについて
子ども・子育て支援新制度について
パブリックコメントの実施について
国の基準を上回る保育の質の確保について
新制度に移行する保育所、幼稚園について
新制度の移行への懸念について
地域型保育給付について
放課後子どもプランについて
児童館・児童センターの施設について
学童保育指導員の待遇について
米価の暴落問題について
学校給食センターでの地場産農産物の利用について
若槻の農業振興策のビジョンについて
消費税増税中止について
◆原田誠之
まず、消費税増税中止について伺います。
国民総生産年率六・八パーセントのマイナス要因は、消費税増税による個人消費と民間住宅の落ち込み、設備投資は低迷で輸出も伸びず、三パーセント増税で実質賃金も目減りなどです。消費税は低所得者ほど負担が重く、購買力を奪い消費を落ち込ませます。追い打ちかける、野菜を初め生活必需品の値上がりは異常で、庶民の暮らしを直撃しています。世論調査では、十パーセント増税反対は七割を超え圧倒的です。来年十月からの消費税増税は中止せよ、強行するなら退陣せよと安倍首相に求めるべきです。
市長に伺います。
(三十九番 原田誠之君 質問席へ移動)
◎市長(加藤久雄)
消費増税についてお答えをしたいと思います。
我が国では、少子高齢の進展によりまして、今後現役世代の急速な減少とともに高齢者の増加が見込まれておりまして、現役世代においては、このことによる社会保険料などの負担の増大が懸念されているところでございます。消費税は現役世代など特定のものに負担を集中させず、広く負担を求める制度であり、社会保障財源としてふさわしいものと考えております。
現在、我が国の経済は、消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響が残るものの、アベノミクスによる各種政策の効果が発現し、有効求人倍率など経済指標に見られるように穏やかに回復しつつあると考えております。政府におきましては、消費税の引上げは、七月・八月・九月期のGDP--国内総生産など、経済状況を総合的に勘案した上で年内に判断することとしておりますけれども、今後の社会保障経費の増加に対応するためには、既に施行された法、税制抜本改革法の規定に基づく税率の引上げはやむを得ないと考えております。
今後はアベノミクスの効果を全国津々浦々に波及させ、喫緊の課題であります地方の再生や人口減少の克服を図るとともに、デフレ脱却と日本経済の再生への道筋を確かなものにするために、経済財政運営と改革の基本方針二〇一四及び日本再興戦略を確実に実行していくことが重要であると考えております。
◆原田誠之
全くお考えが違うんですが、先日三千円の美容院から千円のカットに変え、夫の髪は私が切っている、ああプラス三パーセント、主婦たちのぎりぎり節約生活、涙ぐましい努力、十パーセント断固ノーと週刊誌の見出しです。市長、市民の立場、庶民の声をどういうふうに思っておりますか、もう一度伺います。
◎市長(加藤久雄)
国全体で今社会保障経費が三十兆円を超えております。国と地方合わせた借金が一千兆円を超えると言われておるわけでございまして、持続可能な社会を構築していくためには、必要な施策であると考えております。税率の引上げにおきましては、国民の理解を得るよう十分理解をいただくために、市としても増税分につきましては社会保障経費を充てることなど、市民に説明してまいりたいと思っておるわけでございます。
いずれにしても、次代にこの負担を先送りすることなく行くべきだと考えております。
◆原田誠之
年金が下がり、そして十二か月連続賃金が下がりっ放しです。そこに十パーセント増となれば、それこそ国民の暮らし、そして経済の土台も壊してしまいます。市長は増税中止の立場に立つべきであります。
松代大本営地下壕の説明板から、強制的にという文言を削除した問題について
◆原田誠之
次に、松代大本営地下壕の説明板から、強制的にという文言を削除した問題について伺います。
市議団は、去る八月十二日に加藤市長に対し、強制的にの文言削除の問題で抗議し、事態の経緯と原状復帰を申し入れ、樋口副市長に市側の対応をただしました。副市長が当初答弁したように、長野市誌に基づきパンフ、説明看板を分かりやすく書き直すことはよしとしますが、現行のまま、強制的にを削除し、説明看板をテープで覆っていることは歴史的事実を曲げ、否定することになり、強く抗議をいたします。
そこで伺います。見直しの検討会議で市長は、強制労働もあったかなかったかという歴史的な問題には踏み込まないと発言をしていますが、歴史的背景や事実に触れないということ、多数の朝鮮人労働者を連行した事実を隠すようなことは戦争遺跡の持つ意味を損ないます。検討は職員のみで有識者の声を聴かないのか、事実をそのままに伝えるというなら、市誌を編さんした歴史的、学術的にも見識ある専門家の知見が必須です。市長に伺います。
◎市長(加藤久雄)
市では、九月一日に松代象山地下壕の案内説明板等の表記検討会を設置いたしました。案内説明板とパンフレットの表記見直しについて検討を行っております。
第一回目の検討会では、表記見直しの方針を定め、これに沿った説明内容にすることとし、簡潔で分かりやすい表記とするとともに、見解の分かれている部分については両論を記載することを確認したわけでございます。
今回長野市が行ったパンフレットの記載内容の変更と案内説明板の一部をテープで貼った行為は、強制的な動員について、その事実を否定する意図を持って行ったものではなく、全てが強制的であるとの誤解を避けようとする考えから行ったものであります。新たな証言や事実がない現在の状況において、外部有識者による検討会は必要がないと考えております。
なお、変更する表記内容につきましては、設置前に地元を含め関係団体の皆様に内容を説明させていただく予定でございます。
◆原田誠之
これは本当に大問題です。国際的な問題に発展しかねない、そういう大きい思いもあります。韓国メディアも日本の歴史消去と報じるなど、安倍政権の侵略戦争美化、戦争する国づくりと一体の流れであります。政治的圧力で歴史をわい曲しないで、史実に基づく検証を求めます。ここは、この場所は市長も前言っておりましたけれども、娯楽を目的にした観光資源とは全く違い、戦争の遺跡であります。市長、改めてその辺しっかり受け止めて対応すべきですが、いかがでしょうか。
◎市長(加藤久雄)
地下壕の建設工事における強制性につきましては、当時の関係資料が残されていないこともございまして、強制的に動員されたという考え方や全てが強制的ではなかったという考え方の様々な見解があることも事実でございます。私は地下壕の建設は戦時下において推し進められた国家的プロジェクト事業であり、強制的な動員については、本来事業主体であります国が責任を持って調査すべきものでございまして、一自治体である長野市が調査し評価すべきものではないと考えております。
◆原田誠之
市長は今そういうふうに言われましたけれども、市長自身は強制については一つの見解、これは今国家プロジェクトでやればいいというふうに言っておりますけれども、実は調べましたけれども、長野市誌はもちろんですが、松代町史、この続刊、第三章の戦争への道にも、朝鮮人労務者二千人が朝鮮で徴用され作業隊に加わった、と記載されています。徴用とは国が強制的に仕事に就かせることであります。これでも一つの見解というのか、そして強制連行は認めないのか、市長自身の歴史観なのか、改めてここのところをしっかりお聞きしておきます。
◎市長(加藤久雄)
強制性につきましては、当時の関係資料が残されていないこともございまして、強制的に動員されたという考え方や全てが強制的ではなかったという考え方など、様々な見解があることも事実でございます。強制性については歴史的評価でございまして、様々な見解があるため、私としては論争があったことは認めますけれども、改めてあったとかなかったという議論には踏み込まないと申し上げているわけでございます。
◆原田誠之
市長、恐らく市誌も見たと思うんです。それから松代町史も見たかどうか分かりませんけれども、専門家の知見で強制連行があったと明確に本に書いてありますし、長野市誌は長野市が発行したものであります。言ってみれば市長が発行したと言ってもいいぐらいのものです。こういうきちんとした立場で書かれた強制連行を明らかにした専門家の知見を無視をするのか。市長は国家プロジェクトでというふうに国の判断を仰ぐとしますけれども、今責任を持って管理しているのは長野市長であります、あなた自身であります。この施設は高校生を初め、多くの市民が戦争の悲劇を後世に伝え、二度と再び侵略戦争をしてはいけないという思いで、地元の皆さんの理解を得ながら保存運動を進め、今全国から修学旅行生を初め十万人もの若い世代が訪れる施設となりました。加藤市長は正しい歴史認識を市民と共有していただき、両論併記という立場ではなく、長野市誌に基づいた説明看板、パンフレットの作成を行っていただくよう改めて求めますが、いかがですか。
◎市長(加藤久雄)
今回の案内板のテープの貼付につきましては、記載内容の変更につきましては、市の判断として適用が不適切であったことは事実でございます。ただ、市の判断といたしまして貼ったことについては変わりないため、このテープを外し原状に回復することについては、その是非が問われると判断したことから、テープを貼ったままの状態で説明内容については再検討するものでございます。
今後庁内の検討会におきまして、長野市誌などを十分に参照いたしまして、表記の見直しを検討いたしまして、様々な見解があることを認めまして、事実をそのまま伝えることが管理者としての誠実な姿勢であると考えております。
◆原田誠之
ちょっと時間がありませんので進めますが、侵略戦争に無反省な安倍政権が、戦争する国へ暴走している中、ヘイトスピーチなど、事実をゆがめる動きも極まっております。国連はヘイトスピーチに対し勧告をし、国内裁判でも損害賠償を命じ、世論の七割近くが嫌悪感をあらわにしています。戦争遺跡の歴史的背景や事実を隠したりゆがめたりする動きに対し、押し返す動きも広がっています。人権感覚を重んじ、き然と勇気ある姿勢が求められますが、見解を伺います。
◎市長(加藤久雄)
過去の二度にわたる世界大戦の反省から、二十一世紀は人権の世紀と言われておりますけれども、昨今の少子高齢化、国際化、情報化など社会情勢の変化は目まぐるしく、それとともに人権問題も多様化、複雑化してまいりました。このような状況の中、本市では各部局に人権同和教育推進委員を置き、毎年度各職場において研修を行うとともに、各種階層別研修においても人権教育を取り入れ、職員の資質向上を図っているところでございます。
世界平和の実現と人権尊重社会の形成は、全世界共通の最重要課題であるという認識の下に、昨年策定いたしました長野市人権政策推進基本方針の中でも、人権問題については、福祉や窓口部門だけの問題ではなく、市の全ての部署に関わる問題と位置付けております。市政に携わる全職員が人権行政の担い手であると自覚を持ち、人権の尊厳を守るという人権尊重の視点に立ってそれぞれの施策を構築、実施し、多様化、複雑化する人権問題に対応すべく今後とも取り組んでいく所存でございます。
◆原田誠之
ともあれ、歴史のわい曲にはしっかり立ち向かっていただきたいと思います。
戦争遺産の保存・活用、市民平和の日のつどいについて
◆原田誠之
次に、長野空襲など市内の戦争の実態、遺跡や遺品、資料展示・公開する資料館の役割は重要です。風化しないうちに惨禍の実相を伝える戦争遺跡などを聞き取り、平和を発信する遺産として次世代に引き継ぐことが大切です。市民平和の日に、市内における戦争の遺品、資料、展示コーナーなど設け、関係する市民団体に協力し、平和を考える日としたらどうか、見解を伺います。
◎市長(加藤久雄)
初めに、戦争遺産の保存、活用についてお答えいたします。
本市では、昭和二十年八月十三日、長野駅や長野飛行場などが空襲を受けております。平和の大切さを考えるとき、こうした事実は今後も伝えていくことが必要と考えますが、本市では貴重な歴史資料を保存、収集し、市民共通の財産として後世に伝えるため、長野市公文書館を設置しております。長野空襲などの戦争に関する資料につきましても公文書館において収集、保存しているものもあり、日曜開館を行うなどして閲覧の便宜を図っておりますので、市民の皆様に御利用いただきたいと考えております。
次に、毎年二月に開催しております、市民平和の日のつどいにつきましては、平和の大切さ、命の尊さを訴えていくことを目的に、平和を祈るコンサートや市内の小学生の皆様から寄せられた平和の折り鶴の展示などを行っております。
つどいの内容につきましては、同時期に開催される、ながの灯明まつりとの相乗効果も考え、また平和首長会議との連携を図るなど、毎年少しずつ工夫をしております。今後につきましても、御提案の趣旨も参考にしながら、引き続き充実を図ってまいりたいと考えております。
◆原田誠之
是非検討し、前へ進めてもらいたいと思います。
子ども・子育て支援新制度について
◆原田誠之
次に、子ども・子育て支援新制度について伺います。
今回の改革は、保育の市場化、幼稚園との一体化と教育制度の改革など政治的な思惑も絡み、非常に複雑で、児童福祉・教育の戦後最大の改変です。幼児期の教育・保育も自己責任という考えで、介護保険と同様に直接契約を基本とした仕組みに変えられました。新制度では保育所、幼稚園、認定こども園などの施設類型に加え、新たに地域型保育の各事業類型が導入され、定員規模が小さいことを理由に、保育所等に比べて保育者の資格要件の緩和などが国基準に盛り込まれ、その結果、施設事業によって保育に格差が持ち込まれます。
多くの関係者の粘り強い運動で、削除された児童福祉法第二十四条第一項の保育に欠ける児童の保育責任は市町村が負う、という保育の権利の確保は復活しました。そこで伺います。
党市議団は、法改定が非常に複雑で、保護者への丁寧な説明が求められるとし、四園もの公立保育園の民営化と同時に進めるべきではないと指摘してきました。保護者への丁寧な説明は行ったのかどうか、伺います。
◎こども未来部長(松坂志津子)
新制度の下では、これまでの制度と手続の時期や流れが大幅に変わるものではありませんが、保護者の方に保育の必要性の認定を受けていただいたり、主にパートタイム就労を想定した預かり時間となる保育短時間の新設、また新制度に移行する幼稚園については、これまで各園で定めていた保育料から、保育者の所得に応じて市町村が定める負担額に変更となるなど、従来の制度や手続等とは異なる点もあります。
市内には百を超える保育所、幼稚園等があり、直接職員が出向き、同時期に説明会を開催することは物理的に困難であることから、保護者の皆様に対しては、広報ながの九月号やホームページで特集を組んだり、各施設を通じて全ての在園児の保護者の皆様にリーフレットとQ&Aを配布するなどして、新制度への理解を深めていただくための周知を行っております。
今後、施設事業者向けの説明会の開催、保育所や幼稚園等への入園を希望する保護者の皆様が多く集まる、こども広場や地域の子育てサークル等への出前講座をできる限り実施していく予定であります。
保護者の皆様が円滑に入園手続等を行うことができますよう、あらゆる機会を捉えて、きめ細かな周知や丁寧な説明に努めてまいります。
◆原田誠之
パンフレット、チラシだけではなくて、直接に園でちゃんと説明すべきだと思います。
パブリックコメントの実施について
◆原田誠之
次に、条例案が提案されますが、パブリックコメントを実施していません。大改定であり、パブコメを実施しないのは軽視できません。実施を求めますが、どうですか。
◎こども未来部長(松坂志津子)
条例議案の上程に先立つパブリックコメントについてお答えいたします。
新制度の施行に当たりまして、本会議に上程している条例は、新規に制定するものが三本、改正を要するものが一本の計四本で、幼保連携型認定こども園などの許可、認定、確認等に当たっての基準となるものです。それぞれの改正認定こども園法などの関係法令において、これらの基準を条例で定めなければならないとされているものであります。それぞれの条例案につきまして子供の適切な処遇の確保、秘密の保持、子供の健全な発達に密接に関係する基準は必ず適合しなければならない、従うべき基準として府省令に沿って制定しております。
地域の実情を反映できることとされている基準も、府省令と異なる本市の実情及び特性がないことから、国基準を本市の基準としております。
なお、この府省令は、国においてパブリックコメントを実施しているもので、この基準条例は、それらの府省令が定める基準を満たす内容となっていること、また本条例案は、遅くとも九月市議会に上程する必要があったにもかかわらず、一度出された府省令が訂正などのため、内容の確定が七月となり、必要な準備期間が得られなかったことなどから、パブリックコメントを実施しなかったものであります。
しかしながら、広く市民の皆様の意見をお聴きするとともに、透明性を高めることは大切ですので、学識経験者や市民の代表者などで組織しております、長野市社会福祉審議会児童福祉専門分科会に本条例案の骨子をお諮りし、御了承をいただいておりますので、御理解をお願いいたします。
◆原田誠之
この条例大幅に変わるわけですけれども、全国的にパブリックコメントをやっていると思いますが、今そちらで分かっている範囲で全国の状況を教えてください。
◎こども未来部長(松坂志津子)
パブリックコメントを実施している中核市は三十一市、実施していないのは本市も含めて十一市、未定が一市であります。実施している市については、国からの府省令が出る前の未定稿により実施しているものも多数あると推測しております。
◆原田誠之
多くは実施をしています。県都長野市でやるべきでありますので、改めて指摘しておきたいと思います。
国の基準を上回る保育の質の確保について
◆原田誠之
次に、国基準に照らして長野市の基準はどうか。議会子育ち・子育て対策特別委員会が提言書を出し、国基準以上の保育の質の確保を求めましたが、いかがですか。市長の施政方針でも子育て支援を打ち出していますが、手厚い保育・教育こそ必要ではないですか、お答えください。
◎こども未来部長(松坂志津子)
国の基準を上回る保育の質の確保についてお答えいたします。
本基準条例は、国の府省令に基づいて基準に係る下限を定めているもので、実際の運用に当たっては、既に一歳児と三歳児の職員数については国の基準を上回る職員配置になっております。新制度においては、国は一歳児、三歳児、四歳児の配置基準を現行の基準より手厚くすることを提案しており、全ての改善を図るためには、国では消費税率十パーセントになった際の増収分の一部を財源として、まずは三歳児の配置基準の改善に取り組むこととしております。
全国的に保育士不足が懸念される中、保育所の職員配置基準の改善を図るためには、新たな財源の確保とともに、必要な保育士の確保にも努めていかなければなりません。そのため、国の動向を見極めつつ、保育の質の向上と持続可能な安定的な保育制度を維持していくという両面から、引き続き適切な対応を図ってまいります。
◆原田誠之
先進地に学び、是非質の確保を求めておきたいと思います。
新制度に移行する保育所、幼稚園について
◆原田誠之
続いて、新制度に移行する保育所、幼稚園はあるのか伺います。
◎こども未来部長(松坂志津子)
新制度におきましては施設型給付が創設され、保育所、幼稚園及び認定こども園に対する財政支援の仕組みが共通化されることとなりました。保育所及び認定こども園につきましては、施設型給付による財政支援以外の選択肢がないことから、全ての園が施設型給付に移行することとなります。
しかしながら、幼稚園は、これまでどおり私学助成による財政支援を受けて運営するという選択肢も残されております。新制度がスタートする前までに新制度への移行はしない旨を申し出た場合には、私学助成による財政支援を継続することになります。したがいまして、現段階で新制度へ移行する幼稚園については確定しておりませんが、入園申込みが始まる十月中には明らかになってくるものと思われます。
◆原田誠之
ちゃんとした対応を求めておきます。
新制度の移行への懸念について
◆原田誠之
次に、新制度の移行によって障害のある子供が排除されることはないのか、私的契約となれば、手のかかる子が入りにくくなる傾向が出るのではないか、お尋ねをします。
◎こども未来部長(松坂志津子)
市町村は、子供の障害の有無にかかわらず、全ての子供に対して幼児期の保育を実施する義務があり、新制度においても何ら変わるものではありません。保育所などを希望される場合には、これまでどおり、市町村が利用の調整やあっせんを行うことになり、集団保育を行う上で著しい支障がある場合などを除いては、障害のある子供についても保育を必要とする事由に該当する場合は、健常な子供と同様に等しく入所を決定してまいります。
新制度に移行する幼稚園についても、正当な理由、例えば利用定員を超過する場合などを除いては、保育所等と同様に基本的に入園の希望に応じていく応諾義務が新たに課せられました。
本市といたしましては、利用に当たっての情報提供や相談等に応じ、保護者の皆様が希望される施設等を円滑に利用できるようしっかりサポートしてまいります。
◆原田誠之
私立保育園は、障害が軽いと加配しないなど不十分です。公立と同じ基準にすべきであります。保育協会からも要望が出ていると聞きますが、お答えください。
◎こども未来部長(松坂志津子)
公立も私立も障害に係る保育士の配置基準は基本的に同じでございます。私立に対しては障害手帳や療育手帳の交付がなくとも医師や保健所長の意見書があれば、障害児加配として補助金を交付しております。
長野市私立保育協会から発達障害児の支援の拡充の要望が出されていることに対しましては、保育士の資質向上や保護者の理解とともに、関係機関が連携して取り組むことが重要になりますので、保育所等への発達支援員の訪問の充実や、発達支援安心ネットワーク事業等により適切な対応に努めてまいります。
◆原田誠之
公民一緒だと言われましたけれども、しっかりそれはそのとおりやってもらいたいと思います。
地域型保育給付について
◆原田誠之
続いて、新たに地域型保育給付を受ける施設はあるのか。今までの無認可保育所などへの対応はどうするのか。中山間地などの小規模施設では地域型保育事業の導入が検討されているが、B・Cタイプは保育者の保育資格が低く抑えられている。全ての子供たちに平等の保育を行うことは、長野市の責任であり、国基準以上の資格条件とすべきと考えますが、いかがですか。
◎こども未来部長(松坂志津子)
地域型保育事業は、認可保育所より少人数の単位で満三歳未満の乳幼児を預かる事業で、地域の様々な状況に合わせて保育の場を確保するものです。この事業は小規模保育、家庭的保育、事業所内保育及び居宅訪問型保育の四つのタイプを総称した新制度に創設された事業です。
初めに、地域型保育事業の給付を受けようとする施設はあるのかとの御質問ですが、市内の法人から認可基準についての御相談は若干ありましたが、市の認可、確認を受けたいとしている施設事業所は現時点ではありません。
次に、認可外保育施設についてですが、本市では、これまで待機児童が発生していないことから、認可保育所での保育を基本としております。今後、認可外保育施設を含め、地域型保育事業の給付の対象となるためには、子ども・子育て支援事業計画の教育・保育提供区域ごとの量の見込み及び確保方策との整合を図り、本市の条例の基準を満たした上で、認可、確認を受けることとなります。
次に、小規模保育の職員資格についてですが、この事業には多様な事業からの移行を想定し、事業類型として、A型、B型、C型の三類型が用意され、職員数、職員資格、園児一人当たりの保育室の面積等の基準がそれぞれ異なり、職員資格の条件については、A型は全員保育士、B型は二分の一以上が保育士、C型は特に資格要件を定めていません。しかし、保育士等の資格がない場合でも、小規模保育事業に係る職員については、B型については市町村等が行う研修を修了した者、C型については、研修に加えて、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村が認めた者に限定をされます。現時点では、本市の実情に国の基準と異なる内容を定める特別な実情や特性がないことから、国基準を本市の基準とするものであります。
◆原田誠之
今の答弁では、国の基準でいいということであれば、資格がなくても保育ができるというふうにも聞こえました。どの子も伸び伸びと育つ権利があります。質の高い保育の体制を求めておきます。
放課後子どもプランについて
◆原田誠之
次に、放課後子どもプランについて伺います。
三月の定例議会で、我が党の野々村議員の代表質問に教育次長は、新制度施行の平成二十七年度にはできるだけ多くの小学校で六年生までの受入体制を整備したい。新制度の計画期間である平成三十一年までの五か年でニーズに対応できるようにしたいと答えています。
新制度では六年生までです。五年間で国の基準に基づく整備をするためには、空き教室や特別教室利用だけでは解決しません。新増設も含め、学校ごと、施設ごとに課題は明らかにし、国基準を到達できるよう、具体的な改善計画が必要です。見解を伺います。
◎こども未来部長(松坂志津子)
本市では、平成二十七年度から五年間を計画期間とする子ども・子育て支援事業計画を策定中であり、この計画の中で六年生までの留守家庭児童の受入れを計画的に進める予定です。新制度では、地域の実情に応じた子ども・子育て支援事業の充実を図ることとしており、本市が進める放課後子どもプラン事業は、希望児童の受入れを行うなど、国に先行して、既に小学校区ごとに新制度でも対応できるよう多様な形で運営をしている現状があります。
このことから、現在の本市の放課後子どもプランの運営状況を踏まえて、校区ごとに課題の整理を進めているところです。引き続き、学校の理解と協力を得て更なる居場所の拡充を進め、子ども・子育て支援事業計画により、留守家庭児童の受入れを着実に進めてまいりたいと考えております。
◆原田誠之
これまでの経緯からいって、新増設も考慮して五年という間に、この計画期間内にできるように、しっかり対応していただきたいと思います。
児童館・児童センターの施設について
◆原田誠之
先日、若槻、徳間児童センターを訪問しました。定員六十名に九十名が利用、大勢の子供たちが勉強に遊びにと元気いっぱいでした。指導員さんは、子供たちに気配り目配りし指導に当たっていました。対象児童は二年生までで、一・五倍の定員オーバーで、館内を飛び回る子供同士がぶつかり、けがが心配だと言います。
そこで伺います。国が示している基準、施設一人当たり一・六五平方メートルの確保はどうか。男女専用のトイレはどうか。また学習室や急病の子供が休養できる専用の部屋が欲しいとのことです。これらの部屋にはエアコンも必要と言います。老朽施設の改修や耐震化も急務です。学校にいる時間よりも学童保育で過ごす時間が長く、放置できません。施設の改善を求めます。
児童館・児童センターで、学習室や休養できる部屋、エアコンのない施設はどのぐらいあるのか、具体的な改善計画はどうか、見解を伺います。
◎こども未来部長(松坂志津子)
市では、児童館・児童センター、児童クラブ、子どもプラザを合わせ九十二施設でプランを実施しております。利用実態としては、登録をしても一か月のうち数日しか利用しない児童もおり、国では児童数の定義として、毎日利用する児童数に一時的に利用する児童の平均利用人数を加えた人数としております。このことから本市では、年間を通じて比較的利用児童数の多い四月の利用状況により、国の基準である一人当たり一・六五平方メートル以上となるよう調整を行っておりますが、この基準を満たさない施設が四か所あります。この四施設の内訳は、児童館一施設、子どもプラザ三施設となっており、今後、児童館については、学校施設の活用を進めるとともに、子どもプラザについては他の教室の利用の調整を進めてまいります。
次に、男女専用トイレの確保ですが、平成二十五年度末で十三施設が男女兼用となっております。今年度二施設で改修を進めており、今後も耐震化改修工事に合わせて実施するなど、計画的に進めてまいります。
次に、老朽施設の改修については、安全・安心を優先した改修を計画的に進め、維持管理を行っております。また、施設の耐震化につきましては鋭意進めており、今年度は二棟の耐震化工事を進め、平成二十七年度末には市の耐震改修促進計画の目標である九十パーセント以上となる見込みです。
児童館・児童センターのうち、学習室が整備されていない施設は四十二施設中二十七施設ありますが、居室での活動の時間を分けるなど、運営上の工夫をすることによって、学習環境の整備を計画的に進めてまいります。
静養する部屋については、居室となる部屋に簡易の間仕切りを設置するなど、静養できるスペースの確保に努めております。
なお、静養のための簡易ベッドの整備や、居室を区切る間仕切りの配備などは今年度中に全施設に進めてまいります。
最後に、児童館等へのエアコンの設置状況ですが、少なくとも、一室にはエアコンが設置されている施設は、平成二十五年度末で四十二施設中三十三施設でありました。今年度は六施設に設置したところですが、残りの三施設についても二十七年度早期に設置できる見込みでございます。
◆原田誠之
人権に関わります静養室、トイレなどについてはしっかり速やかにやってもらいたいと思います。
学童保育指導員の待遇について
◆原田誠之
次に、学童保育は家庭と同じように過ごせる生活の場です。そのために、重要な役割を担っている指導員の待遇について伺います。
長野市は、有資格者で指導員Aのクラスで月に八万八千八百三十円など、給与の基準があります。ワーキングプア以下です。指導員が安心して働き続けることのできる給与を初め、労働条件の改善が必要ですが、実態と改善策、また研修の充実も重要です。体制はどうか伺います。
◎こども未来部長(松坂志津子)
まず、指導員の労働条件の改善についてお答えします。
指導員の給与等は事業受託者が雇用条件等に合わせ決定しております。給与は受託者により月給制、時給制それぞれですが、勤務内容により、七百七十五円から一千二百五十円となっております。これらは、十月一日から適用される長野県の最低賃金時間額の七百二十八円、市の臨時職員の時給換算で八百円と比較しても必ずしも低いとは考えておりません。
また、給与等を含めた勤務条件、休暇等の労働条件は事業受託者が要綱等を定め適正に管理しているものと考えております。
今後も指導員の労働条件等は事業受託者の雇用条件の見直しに合わせ、十分な協議を行い、必要な経費の予算化に努めてまいりたいと考えております。
次に、研修の充実についてお答えいたします。
長野市版放課後子どもプランは、異学年交流や集団活動の中で、子供たちがルールやマナーを身に付けると同時に、遊びや各種体験活動を通じて体力や想像力の向上などを図り、人間性がより深くより豊かになることを目指しております。このような中、指導員等に対する研修は非常に重要であると認識しております。
市全体で四回の研修会を実施するとともに、外部から研修会の案内があった際も、全ての事業受託者宛てに周知し参加を呼び掛けるなど、指導員等の資質の向上を図っております。
また、国が七月に策定した放課後子ども総合プランでは、従事する者の資格として、都道府県が行う知識・技能を習得するための研修を受講した者とする、との基準が示されたことから、新年度からは、市、県、受託事業者が連携し、一層の研修の充実に努めてまいります。
◆原田誠之
改善を求めます。
米価の暴落問題について
◆原田誠之
次に、農業問題です。
米価の暴落問題についてです。
安倍内閣は、所得倍増と言いながらも、生産者米価は大暴落です。米作りには農水省は平均玄米六十キロ一万六千円必要と言いますが、二〇一四年度の早場米では九千円から七千円台でコストの半値です。農家は本当に大変です。
今年から政府はTPPを前提に輸入米を増やし、需給調整を放棄し、米を完全自由化競争に投げ出そうとしております。市は政府に対し政府保有米の買上げなど価格安定策を講じるよう要請し、学校や福祉施設など可能な限り米の消費拡大で尽力すべきですが、見解を伺います。
◎農林部長(広沢吉昭)
米価が下落している背景には、消費量より生産量が多く、在庫が多くなっていることがあります。このため、米の需給及び価格の安定を図るため、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律に基づき、毎年生産調整を実施し、目標を達成した農家に交付金を支給しております。
国においては、これまで食料政策を見直し、正常な需給関係を実現するため、平成三十年から生産調整及び交付金の支給を廃止することを決定し、主食米以外の作物への転換を進めております。
本市においても、国の食料政策に沿って、作物の転換を推進してまいりたいと考えております。
現在、本市における米の消費拡大については、学校給食において主食は、週五日の学校給食提供日のうち三日、米飯給食を行っておりますが、多様な食文化への理解を深める必要もありますので、パンの提供も行っておるところでございます。今後も市内での米の消費が拡大するよう取り組んでまいります。
◆原田誠之
今、長野管内の生産米価は幾らになっておりますか、お尋ねします。
◎農林部長(広沢吉昭)
JAながの、JAグリーン長野管内の生産者米価はどうかとの御質問でございますが、二〇一四年産の米は九州や関東の一部で早場米の出荷が始まっており、千葉県産や茨城県産の米価は昨年より下がっているという情報でございます。長野県産につきましては、九月の中旬から下旬にかけて米の取引が始まりますが、そのときの概算金について全農長野県本部で決定するのが九月末頃ということでございます。
需給バランスによって米価は変動いたしますので、今後の米の生産動向も影響すると思われますので注視してまいりたいと考えております。
◆原田誠之
市としても是非具体的対応を求めておきます。
学校給食センターでの地場産農産物の利用について
◆原田誠之
次に、学校給食センターでの地場産農産物の利用についてです。これは昨年の十二月議会で質問しました。部長は、今後価格の決定方法、納入時期、数量などについて再検討する、年度内にまとめたいというふうに言いましたが、現状、今どうなっていますか。その進捗状況をお尋ねします。
◎農林部長(広沢吉昭)
学校給食への長野市産農産物の納入につきましては、昨年からJAとの事前検討を二回、保健給食課も含めた検討を四回実施いたしました。前回六月議会の教育委員会の答弁にもありましたが、農産物の発注に当たっては市内産を最優先としていること、学校給食センターで調理する食数が一献立で約四千食であり、一部作業が機械化されているため、規格がそろった農産物を大量に確保する必要があり、確実に生産することが難しいということから、契約栽培ではなく、JAが生産者に栽培を呼び掛け、生産状況を見極めながら入札に参加することとし、今年度は重点品目を白菜に絞り、学校給食への納入を目指しておるところでございます。
市といたしましても、学校給食センターの栄養士による白菜の栽培ほ場の視察を実施し、情報提供を行うとともに、今年度の結果を見極めながら、他の品目につきましても、学校給食への長野市産農産物の納入拡大に向けた研究を進めてまいります。
◆原田誠之
一層の努力をお願いいたします。
若槻の農業振興策のビジョンについて
◆原田誠之
次に、若槻の農業振興策のビジョンについてです。活き生き若槻みんなでトークで地域の農業振興策のビジョンについて提案があり、注目しました。農家は小規模、大型農機具は使えず、効率は悪く、専業農家は少なく高齢化で後継者もなく、夫婦のみの農家が多く、どちらか働けなくなれば耕作放棄地に化してしまう。
田子地区では地産地消で活性化を目的に収穫祭を初めて十一回目、自ら企画運営し定着している。また、若槻地区ではNPO農業法人グリーンクラブを立ち上げ、遊休農地を市民菜園で活用、土曜朝市も開催しています。この地域で農業振興で元気になるよう、市と農業関係団体でプロジェクトチームを立ち上げ、農業政策を立案し、振興ビジョンを作りたい。活気ある若槻地区の農業を取り戻したいとの提案です。農業で地域を活性化したいとの取組に頭が下がります。検討するに値する提案です。市も積極的に受け止め、対応を求めますが、見解を伺います。
◎農林部長(広沢吉昭)
活き生き若槻みんなでトークでは、サブテーマの一つとして、農業振興策のビジョンづくりについて話し合われましたが、若槻地区の住民自らが地区の特徴や地区の農業を取り巻く状況を分析した資料を基に話合いが行われ、その自主性はすばらしいと感じたところでございます。若槻地区では、議員から紹介があったように、田子地区での地産地消や地域の活性化を目的とした秋の収穫祭、また住民自治協議会が主体となったコミわか農園開設やコミわか土曜朝市といった地域住民が主体となった取組が既に行われております。さらに、若槻地区の農業振興策のビジョンづくりを地域の皆様が主体的に行うということですので、このような動きがモデルケースとなるよう、市といたしましても積極的に協力してまいりたいと考えております。
◆原田誠之
この地域はかつて百六十ヘクタールの新都市開発が市の主導で進められておりました。バブルの崩壊で頓挫をしました。その後、農業もうまくいかずに大変厳しい状況にあったわけでありますけれども、今、高齢化の農業の状況でありますけれども、私は本当に頭が下がるのは、それでもなお今農業で何とか活性化を生み出していきたい、こういうことで頑張っております。すごいことだというふうに私は思うんです。しかもこれは若槻地区住民自治協議会が話合いをしてこの方針を提案されたそうでありますから、余計に私は感心をしております。是非これを実らせて、そしてこれを全市に広げていく。こういう一つのモデルはともかくとしても、でき得ればそういう方向でうまくいけば、全体に普及できるんじゃないかなと思うんです。是非この皆さんの自主的な取組に対して、ちゃんとした支援を心からお願いを申し上げて、私の質問は終わらせていただきます。