2014年9月定例市議会 原田のぶゆき議員
請願第三十四号福祉医療費の窓口無料化を求める県への意見書提出を求める請願に対する福祉環境委員会委員長報告 反対討論
◆原田誠之
請願第三十四号福祉医療費の窓口無料化を求める県への意見書提出を求める請願に対する福祉環境委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。
請願者は、次のように訴えています。
長野県の福祉医療費は、自動給付方式で、まず一旦窓口で支払い、後から一レセプト当たり五百円の受給者負担金が引かれて振り込まれているが、負担分は返還されても、子供を抱える若い世代や継続して治療の必要な障害者にとっては、負担は重く、受診を控え重症化になってしまう現状もあります。財布の中身に心配なく、安心して医療を受けることのできるように、医療費の窓口無料を実現してほしいとの請願です。
既に、全国で子供は三十七都府県、障害者は三十都道府県で実施しているもので、長野県でも実施をとの請願であります。
請願審議の際、意見陳述する参考人から提出された資料には、窓口無料への、私の一言、が寄せられています。子供が急に具合悪くなっても、窓口無料ならすぐに病院へ行ける、是非実施してほしい。テレビで見ていたら、無料化していない県は全国で十県とはびっくりしています。その中に長野県があるなんて、優しい長野県にしてください。手元に現金が無い、そんなときが多いのです。窓口無料になれば、どんなに助かることか。特に子供は緊急のときが多い、いつでもどこでも安心して病院に行けるように、窓口無料にしていただくことを切にお願いします。既に全県で七万を超える父母や障害者など、痛切な願いを込めた署名が知事に渡されています。
窓口無料にすると、医療機関に安易に掛かる患者が増えるとして、国は国庫負担分の減額というペナルティーを市町村に科すということから、やりたくてもできない市町村もあります。
委員会審議の際の理事者答弁では、長野市のペナルティー影響額は、平成二十二年度の国保会計国庫負担金で一億三千万円の減額、健保組合からは約五千万円の付加給付金の停止、レセプトを無料にした場合は、三億五千万円の市の財政負担と試算しています。
しかし、委員会では、ペナルティーを科せられてもなお制度を設け、実施している都府県、自治体があるが、どうして実施しているのか調査したことがあるのか、理事者に尋ねたが、政策上の問題であり、調査はしていないとの答弁でした。隣の群馬県でやっているではないか。他の自治体でやっているのに、なぜ長野市はこの制度を評価し、やろうとしないのか。長野市も、議会を挙げて、市民の声を長野県に積極的に要請することは、至極当然であります。
隣の群馬県では、中学卒業まで県内どこで受診しても窓口で医療費は掛からない。しかも、一九七三年にゼロ歳を対象に始まり、徐々に拡大してきました。国からのペナルティーは、二〇一二年度で約十二億円で、県と市町村が半分ずつ負担することで制度を維持しており、この制度によって群馬県医療機関では、慢性的な疾病の患者の受診数が増えたといいます。また、県の担当者は、導入の目的だった保護者の負担軽減や早期受診による重症化の防止ができていると、その役割を評価しております。
福祉医療費給付制度の改善を進める会の会長である和田医師は、定期的に通院する必要のあるぜんそく患者の中には、医療費を理由に中断してしまうこともある。医療へのアクセスを保障するためにも、窓口無料は優先順位の高い事業だとマスコミでコメントしております。
人口減少社会が強調されている今、少子化対策克服で注目されているのが、出生率一対二でヨーロッパで第一位のフランスの子育てです。日本と根本的に違うのは、労働時間は週三十五時間、残業を入れても週三十九時間で、それ以上働けば法律違反、有給休暇は五週間、育児休業は三年間、男女ともに子育て環境が抜群に整備されているとのことであります。
その上、医療費は全て無料、様々な児童給付手当があり、子育てにお金が掛からないことが出生率の高い最大の要因と言われております。
日本では、非正規労働者四割、そのうち若者は三人に一人が非正規、年収二百万円以下のワーキングプアが大勢おります。消費税は上がっても、賃金は上がらず、結婚するにも、子供を産むにも、その環境は大変冷たいものとなっております。
こども未来部を創設した長野市です。子供たちが安心して育つ環境整備で、他市には負けない市政運営を求めます。人口減少社会というなら、三十七都府県、他市町村がやっている施策に学び、請願者の願いである子供、障害者の医療費の窓口無料化を求める請願を採択し、長野県に意見書を提出するよう議員各位の御賛同をお願いし、討論とします。