2014年6月定例市議会 佐藤くみ子議員
市の福祉施策計画策定について
人工透析患者等見舞金支給事業の見直しについて
介護保険制度の見直しについて
高齢者福祉事業について
障害児支援体制の整備について
子ども・子育て支援新制度について
新幹線延伸と豊野駅について
市の福祉施策計画策定について
◆佐藤久美子
まず、市の福祉施策計画策定について伺います。
五月二十九日の社会福祉審議会に五項目について諮問が出されました。
一、第四期長野市障害福祉計画について、二、人工透析患者等見舞金支給事業の見直しについて、三、子ども・子育て支援新制度における長野市の保育所等利用者負担について、四、第七次長野市高齢者福祉計画・第六期長野市介護保険事業計画の策定について、五、第三次長野市地域福祉計画について、計画策定スケジュールが短過ぎて市民の声が反映されるのか非常に憂慮される事態です。
例えば、平成二十七年から二十九年にかけての第四期長野市障害福祉計画は、五月二十九日の審議会後、コンサルタント委託業者を選定し、七月にアンケートを行い、十一月にサービス見込み量を設定し、一月には最終案作成。子ども・子育て支援新制度は、五月二十六日に国が公定価格の仮単価を提示し、制度改正の周知徹底も保護者への説明も不十分なまま、九月議会には利用者負担を除く条例の上程と議決、十月の入園申込みに間に合わせ、三月議会で利用者負担の条例議決と説明を受けました。
事務方の負担も大変かと思いますが、市民意見が十分反映されるものになるのか所見を伺います。
(三十五番 佐藤久美子君 質問席へ移動)
◎保健福祉部長(寺澤正人)
福祉施策計画策定についてお答えいたします。
社会福祉審議会に諮問いたしました五項目については、各分科会において十分な情報共有を図るとともに、必要に応じて会議の回数を増やすなど十分な審議を可能とする取組を進めてまいります。
第四期障害福祉計画は、全ての市町村が一斉に平成二十七年度から平成二十九年度までの三か年の計画を策定するものであります。計画策定に当たっては、国が示す基本指針に即して、障害福祉サービス等の必要な量を見込み、障害のある方々の様々なニーズに応えられる実効性の高い計画とする必要がございます。計画の策定に当たりましては、障害福祉サービス等を受けられる方々や障害者団体、事業所に対してアンケートを行います。また、事業所に対しましてはヒアリングを行うとともに、長野市障害ふくしネットとも十分に協議を行います。その上で、長野市社会福祉審議会障害者福祉専門分科会で御審議いただくことで、市民意見が十分反映される計画になるよう努めてまいります。
子ども・子育て支援新制度につきましては、平成二十四年八月に関連法律が制定して以来、国は時間を掛けて制度内容等の検討を行ってきたものであります。来年四月の新制度のスタートまで一年を切りましたが、国から詳細が徐々に示されつつありますので、本市では、これを受けて円滑にスタートできるよう市民や事業者の皆様への周知を行ってまいります。
なお、国の制度改正ではございますが、市町村の裁量により対応が可能な部分については、児童福祉専門分科会の御意見やパブリックコメント等を実施するなどして、市民の皆様の御意見が反映できるよう努めてまいります。
◆佐藤久美子
社会福祉審議会の設置根拠は、社会福祉法の第七条、法的根拠に基づいた審議会でありながら、短い日程での審議で結論を出すことは、社会福祉審議会の形骸化につながりかねません。実は、社会福祉法第一条は、福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域における社会福祉の増進を図るうんぬんと目的を定めています。審議会の本来の役割、福祉サービス利用者の利益の保護のための十分な審議が果たせるのか、その点について、もう一度見解を伺います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、日程的には余裕があるとは考えておりませんけれども、来年度から始まるそれぞれの事業が円滑に進みますよう、市民の皆様、あるいは当事者の方々の御意見に耳を傾けて十分お聴きして計画づくりを進めてまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いいたします。
◆佐藤久美子
お願いします。
人工透析患者等見舞金支給事業の見直しについて
◆佐藤久美子
次、人工透析患者等見舞金支給事業の見直しについて、平成二十五年の支給実績によると、人工透析五百六十二人、在宅酸素療法三百四十一人の合計九百三人に年間一万五千円の見舞金で、支給総額千三百五十四万五千円です。以前、私は人工透析を受けている方から、通院に伴うタクシー券の補助枚数が少なく、通院の負担が大きいと相談を受けました。週二回から三回の透析で、年間三十六枚のタクシー券ですので当然です。
見舞金はこの方たちにとって貴重なもの、削減することはあってはならないと考えます。五百六十二人の通院の方法は実際どうなっているのか、在宅酸素の方の通院支援はどうか、併せて伺います。当事者の声も聞かないまま難病患者の見舞金を廃止したことを繰り返すことのないよう求めますが、所見を伺います。
通院支援の一つとして、社協の地域たすけあい事業がありますが、その支援として、福祉自動車の運行が各地域で行われていますが、購入補助はあっても、維持・修理費に係る補助はありません。地域がそれぞれ任意や強制でお金を集め運営しているが、運行実態はどうか。平成二十五年で利用会員三千百十七人、協力会員六百十三人、実施件数四万四千八百五十四件で、更に需要が増大すると思うが、支援の充実を必要と考えるが、所見を伺います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
人工透析患者等見舞金支給事業は、人工透析を受けられている方と在宅酸素療法を受けられている方を対象として、一律年額一万五千円を支給しております。しかし、障害の程度や所得などを考慮せず、見舞金を一律支給している制度は時代にそぐわないものとなっていることから、本年度、社会福祉審議会に諮問いたしました。
通院の方法は、家族の送迎、自身の運転、タクシー、福祉自動車等、個々に異なる状況であると推測しておりますが、対象の方お一人お一人の実態は把握しておりません。しかし、特に人工透析の場合、多くの方が週三回の通院をされていることから、その負担は少なくないものと認識しております。
今後、通院方法を含めた現状の把握を行い、長野市社会福祉審議会障害者福祉専門分科会において御審議いただきたいと考えております。
次に、地域たすけあい事業における福祉自動車についてお答えいたします。
この事業は、各地区の住民自治協議会による会員登録制の福祉有償運送で、現在、市内三十二地区中三十地区で実施されております。本市では、車両を新規購入又は更新する住民自治協議会に対して補助金を交付しております。
また、車両更新に係る負担軽減を図るため、平成二十四年度には普通車について補助金上限額を二百五十万円から三百万円に増額いたしました。維持経費の支援としては、長野市社会福祉協議会から住民自治協議会に年間三十万円の助成が行われております。この額を超える維持経費は、住民自治協議会にご負担いただいている状況であります。
現在、国では介護保険制度の改正の中で、生活支援サービスについて大幅な見直しをすることとしているため、国の動向を注視し、地域の実情を把握した上で事業支援の在り方について検討してまいります。
◆佐藤久美子
見直しの理由が時代にそぐわないということでしたが、実際に、この人工透析は命に関わる問題であります。見舞金削減をすることは命そのものに関わることでありますので、当事者の意見をきちんと聴いて慎重に行い、削減をすることのないよう求めておきたいと思います。
介護保険制度の見直しについて
◆佐藤久美子
次、介護保険制度の見直しについて伺います。
参議院に送られた医療・介護総合法案。政府与党は六月二十二日の会期内成立を狙っていますが、高齢者が安心して暮らせる社会になるのか問題が指摘されています。一つは、要支援一、二と認定された人が、訪問・通所介護を介護保険では受けられなくなり、市町村の地域支援事業の対象に置き換えられます。要支援者を丸ごと介護保険から追い出す形ですが、長野市のサービスに後退はありませんか。また、五から六パーセントの伸びで増えている給付費も三、四パーセントに抑え込むと言います。予算が圧縮され、サービス単価や人件費切り下げ、利用者の負担増につながることはありませんか、所見を伺います。
平成二十六年三月末の要支援一、二の方は五千九百四十七人となっていますが、新しい介護予防・日常生活支援総合事業として、どういう受け皿があるのか、行き場を失う事態にならないのか、所見を伺います。
二つ目は、特別養護老人ホームの入所者を要介護三以上に限定するというものです。平成二十四年三月の特養の入所者の中で、介護度一は五十五人で三・五パーセント、介護度二は百十三人で七・一パーセント、合計百六十八人で十・六パーセントになります。平成二十五年十二月では百八十三人、また、特養に入所をお申込みの待機者の中で、要介護一、二の方は四百四十人で全体の二十七パーセント、そのうち在宅の方は二百四十二人で、特養入所の対象外になると思いますが、どうでしょうか。
三つ目は、これまで一割負担だった介護保険サービスの利用料が二割になります。対象者は合計所得百六十万円以上、単身、年金収入のみで二百八十万円以上、被保険者の二割で利用者の一割が対象と言われていますが、長野市の状況はどうですか。補足給付も縮小され、預貯金が一定額ある人、世帯分離しても配偶者が課税の場合は打ち切り負担が求められますが、この影響はどうですか。
四つ目は、病床の削減です。都道府県に病床再編計画を作らせ、従わない場合はペナルティーまで課して在宅に押し戻す計画です。安倍内閣は高齢者のピークとされる二〇二五年までに二百二万床必要なのに四十三万床も減らす計画です。
これから地域包括ケアシステムの構築が重要になりますが、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供されるシステムを構築する上で、長野市はどういう課題があるか、訪問看護師や介護職員など専門職の数や資質向上、特に処遇改善、連携、ネットワークの構築に向けての課題はどうか、所見を伺います。
また、全国で認知症の行方不明者が問題になっていますが、長野市は何人いるかお答え願います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
初めに、介護保険制度の見直しについてお答えいたします。
まず、要支援一、二の方が利用する訪問介護と通所介護につきましては、地域支援事業に移行し、新しい介護予防・日常生活支援総合事業として実施することとなります。今後、国のガイドラインを参考とし、老人福祉専門分科会や関係機関の御意見も十分お聴きしながら具体的に検討してまいります。また、サービス水準や利用者負担など、現状と差異が出ないよう配慮しながら、効率的かつ効果的に介護予防と生活支援サービスが提供できる仕組みとしてまいりたいと考えております。
この見直しにより、要支援一、二の方は、従来の介護予防サービスと新しい介護予防・日常生活支援総合事業の両方を利用することができます。総合事業のサービスを提供していくための受け皿づくりを進め、利用者の状態に即したサービスが利用できるよう努めてまいります。
次に、特別養護老人ホームへの入所要件につきましては、要介護三以上に限定することとしておりますが、要介護一、二の方についても、やむを得ない事情がある場合は入所できる特例も設けられております。この特例を適切に適用しながら、要介護一、二の方の入所に対応してまいります。
次に、介護保険サービスに係る自己負担が二割となった場合の本市の状況につきましては、見直し案で示されている合計所得金額百六十万円以上、単身で年金収入のみの場合で申し上げますと、二百八十万円以上の所得区分に該当する本市の被保険者数は、おおむね二割程度と推測しております。
なお、現在、サービスを利用されている方の所得状況に関しましては把握しておりませんので、どのくらいの利用者に影響が及ぶのかは、申し訳ございませんが、お答えできない状況であります。
次に、補足給付の見直しの影響でございます。補足給付対象者の認定は、市民税の課税情報を基に行っております。見直し案の預貯金等の保有状況や世帯を分離している配偶者の課税状況等につきましては、現状では把握することができませんので、対象外となる人数などを推し量ることができない状況でございます。
次に、地域包括ケアシステムを構築していく上での課題について申し上げます。
後期高齢者が急速に増加していく二〇二五年を迎えるまでに、医療、介護、予防、住まい、生活支援など地域の状況にマッチした高齢者の支援体制を整えていかなければなりません。医療や介護を取り巻く状況の中には、看護師や介護職員の人材不足、これらの人材を確保するための処遇改善などの課題も顕在化しておりますし、増加する認知症高齢者施策の推進、医療・介護の連携体制の構築なども積極的に取り組むべき課題と考えております。
今後のケア体制構築に向けましては、県や関係機関との連携、調整を図りながら着実に進めてまいりたいと考えております。
最後に、本市における認知症の行方不明者の実態についてお答えいたします。
平成二十五年中に県警に捜索願の届出があった件数は、長野中央警察署管内では二十二件、長野南警察署管内では十一件とお聞きしております。
◆佐藤久美子
利用料二割の件について再質問します。
六月五日の参議院厚生労働委員会で日本共産党の小池晃氏の追及に対し、二割負担の論拠について、田村厚生労働大臣が撤回すると明言しました。実は、厚労省は年金収入三百五十九万円のモデル世帯は、支出より所得が六十万円多いから二割負担に耐え得ると説明してきました。ところが、そのモデル世帯の可処分所得が百十万円も多く見積もられていたことが分かり、データのねつ造、しかも、全てその数字を使っての審議だったこともあり、二割負担の論拠が崩れました。田村大臣も撤回をしたものであります。
法案の論拠が破綻した以上、私たちは当然法案を廃案にすべきだと考えますが、長野市としてはどのようにお考えでしょうか。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
田村厚生労働大臣の撤回発言につきましては、現時点で把握しておりませんでした。その点につきましては、おわび申し上げます。
法案の国会における審議につきまして、今後見守らせていただく中で、その結果に沿って、私どもといたしましては施策を行ってまいりたいと考えております。
◆佐藤久美子
消費税増税は社会保障のためと言われていますが、全く反対であります。私たちは、この法案は廃案にすべきだと考えるところです。
高齢者福祉事業について
◆佐藤久美子
次に移ります。第七次長野市高齢者福祉計画・第六期長野市介護保険事業計画を策定するに当たり、見直し事項が九項目にわたって掲げられていますが、その筆頭が高齢者福祉事業になっています。老人クラブの育成では活性化の方法が課題、お出かけパスポート事業では利用者の定額負担から乗車距離に応じた負担への移行、老人憩いの家運営事業では施設の統廃合と利用者負担の見直し、緊急通報システム設置事業では対象に老障世帯を加えること、在宅福祉介護料の支給事業では介護保険サービスと現金給付という二重の支援のため事業内容の見直し、在宅介護者リフレッシュ事業は社会福祉協議会の単独事業として支援の在り方が課題といった内容です。
それぞれ積極的な社会活動参加を促し、介護予防につながり、認知症や高齢者虐待防止にもつながる事業ですが、負担増加の方針は、近隣の住民との交流が疎遠になり、意欲の低下、筋力の低下につながり、かえって医療費の増加を招きかねません。社会活動の参加は大きな効果があり、負担増ではなく、思い切った負担軽減が健康長寿のまちづくりの根幹だと思いますが、所見を伺います。
在宅福祉介護料の支給事業では、介護度四、五の第一種の方には年三万五千円、介護度三の第二種の方には年二万五千円の支給を見直す方針に対し、部会の出席委員から、冷たい、以前は十三万五千円だった、介護の苦労はやった人でないと分からないと発言がありました。こんな冷たい市政でいいのでしょうか、市長の見解を伺います。
◎市長(加藤久雄)
佐藤久美子議員の高齢者福祉計画・介護保険事業計画策定についてお答えをしたいと思います。
これは、老人福祉法及び介護保険法に基づき、来年度から三か年に係る次期計画、あんしんいきいきプラン21を策定するものであります。策定に当たりましては、国の介護保険制度の改正を踏まえるとともに、本市における高齢者の実情、そして環境の変化なども勘案した上で取り組んでまいりたいと考えております。
各高齢者福祉事業については、団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年に備え、より効果的、効率的な事業、かつ安定して持続できる事業とするよう見直しをお願いしているものでございます。
新計画の策定につきましては、五月二十九日、長野市社会福祉審議会に諮問し、老人福祉専門分科会で審議が始まったところでございます。審議に際しましては、六十歳以上の方を対象にしたアンケートなどにより、幅広く市民の御意見を十分お伺いするとともに、他市の取組についても情報提供させていただく予定となっております。また、従来の計画以上に健康づくりを意識し、健康寿命延伸につながる計画となるよう努めてまいりたいと思います。
ありがとうございました。
◆佐藤久美子
在宅福祉介護料の支給に対し二重の支援とされましたが、とんでもありません。特養に入れず介護離職も余儀なくされる中での在宅介護です。せめて元に戻すべきです。健康長寿のまちづくりを目指すと市長はいつもおっしゃられております。長野市独自のこうした施策こそ、主体性をもって進めるべきであります。決して私は後退させることのない、こういう決意で市長は臨んでいただきたいと思いますが、その所見を伺いたいと思います。
◎保健福祉部長(寺澤正人)
ありがとうございます。
どちらにいたしましても、今、長野市の予算に占める、この介護、保険、医療が毎年十六億円ずつ増えていると、今現在四百億円を超えておるわけでございまして、こういう状況の中で、先ほどお話ししたように、二〇二五年には七十五歳を迎える団塊の世代があるわけでございます。その皆様も含めて、効果的、効率的な事業、かつ安定して事業を継続できるような事業をしていくよう考えておるわけでございますので、よろしくお願いします。
◆佐藤久美子
社会活動の参加こそ医療費を軽減させるもとです。健康長寿のまちづくりを進めていただきたいと思います。
障害児支援体制の整備について
◆佐藤久美子
障害児支援体制の整備です。こども相談室が中心となり、発達支援あんしんネットワークを実施するため、五月二十八日に連携会議が開催されましたが、医師や教師などの専門的立場の人が含まれていたのでしょうか。こども未来部が設置されましたが、乳幼児健診で最初に知見が得られる障害児の対応を考えるには、保健福祉部保健所の十二か所の保健センターを含む健康課の移管が重要だと考えますが、来年四月までに、そうした体制になるのか伺います。
子供に対する相談体制が充実され発達相談が増えていますが、中でも発達障害児の支援、学校に上がると特別支援学級の体制が教員加配でとられていますが、専門家による保育園訪問などで、どのような課題が把握され、支援する体制がとられているのでしょうか。発達障害児は増加傾向だと言われますが、実態はどうでしょうか、伺います。
◎こども未来部長(松坂志津子)
発達支援あんしんネットワーク事業は、こども相談室と関係機関が連携し、発達相談員、作業療法士などがチームを組んで保育所を訪問する園訪問と、庁内関係課、保育所、幼稚園、教育相談関係者、障害福祉事業関係者等による地域発達支援会議を九か所の保健センターで開催いたします。地域発達支援会議には、小児科医師や特別支援教育士等の専門家にスーパーバイザーとして出席をお願いし、アドバイスをいただくことにしております。
五月二十八日の連携会議は、私立保育園や幼稚園、障害ふくしネットの代表者の皆様に概要を説明し、御協力をお願いするために開催し、スーパーバイザーとしては、臨床発達心理士である短期大学教授に御出席いただいております。
保健所健康課のこども未来部への編入でございますが、切れ目ない支援ができる組織体制とするためには、健康課が所管しております子供関連業務の移管は有効であると考えております。しかし、健康課業務は保健施策一般であり、多岐にわたっておりますので、全ての業務をこども未来部に編入することは考えておりません。子供関連業務の移管につきましては、昨年度から検討を行っておりますが、市民の利便性や事務の効率性など、様々な視点から精査し、引き続き関係課と協議をしてまいります。
発達障害児への支援についてお答えいたします。
専門職による園訪問において、課題としましては、こども未来部、保健所健康課、障害者支援事業者がそれぞれに訪問し、支援を行っているため、園全体での対応力の向上が不十分であるという点、また、発達障害は多様な職種からの助言が必要になりますが、現在は単独での助言にとどまり、総合的な支援に結び付いていないという点もございます。
そこで、発達支援あんしんネットワーク事業の園訪問では、今までの形に無い、異なる職種によるチームでの訪問を行い、子供だけの支援だけではなく、園全体での対応力の向上に向けて指導、支援を行ってまいります。
また、公立保育所では、支援のために保育士の加配を行っており、障害児担当研修会を年六回、加配保育士の研修会を年二回、私立保育所、幼稚園を対象にした研修会の実施も予定し、発達障害のある子供を含めた保育指導に努めてまいります。
保育所等での発達障害児の状況でございますが、昨年度、全ての園に対してアンケート調査を行いましたところ、市全体で八千九百七十六人の園児のうち、八百七十四人が発達の気になる子として報告がありました。園訪問の必要数、相談児童数は全体的に増加傾向を示し、今後も増加していくものと考えております。
◆佐藤久美子
健康課の移管で一点質問します。
保健センターの業務量の半分は高齢者からの健康相談が占めると、三月議会で野々村議員に答弁されています。つまり、こども未来部へ移管するには保健師を増員しないと対応できないのではありませんか。その点について見解を伺います。
◎こども未来部長(松坂志津子)
再質問についてお答えいたします。
事務効率、人員配置、必要とする設備など、また保健師の増員も含めてでございますが、協議事項が多く、現在進めているところでございます。現実的には、二つに分かれると保健師の増員も考えなければいけないのではないかと考えているところでございます。
◆佐藤久美子
移管が有効だと認めておられますので、是非とも早急に進めていただくようお願いします。
子ども・子育て支援新制度について
◆佐藤久美子
子ども・子育て支援新制度についてです。
子ども・子育て支援新制度の基本理念です。公的保育制度が大幅に改正され、新制度は大変分かりにくく複雑になりました。児童福祉法第二十四条第一項による市町村の保育実施義務規定は残りました。まず、この制度改正に対し、長野市の受止めはどうか。市長は日本一子育てしやすい長野市を目指すと強調されていますが、新制度の下で、それをどう具体化されるのか。保育料や放課後児童クラブの利用料は現行より負担増にならないことを求めますが、市長の見解を伺います。
まず、保護者へ、この制度の改正を説明すべきと考えますが、現場での説明会の計画はどうか伺います。
また、障害児の入所について、これまでどおり、たとえ障害があっても、障害児保育を受けられないことがないよう求めますが、いかがでしょうか。
地域型保育給付の小規模保育事業について、これは市が定める条例により認可することになりますが、従うべき基準は職員と員数で、居室面積や設備は参酌基準であり、守らなければならない基準ではありません。保育士資格も小規模保育事業B型は半分以上という条件です。認可外の保育事業も地域型保育事業者として市町村の認可を受ければ、地域型保育給付費による公的助成を受け取ることができるので、小規模保育事業の展開による保育の産業化が進むと考えられます。ビルのワンフロアを使用して小規模保育事業ができるということです。ただ、一、二歳児、ゼロ歳児の死亡事例もあり、事故、けが、避難など安全面から建築基準法や消防法を活用して基準を明示するなど、認可条例の策定に当たっては、保育の平等性の視点から、できるだけ保育士の資格、面積、設備など、認可保育所へ近付ける努力が必要と考えますが、所見を伺います、中山間地域の保育園も対象としていくのでしょうか。
次、長野市版放課後プランとして空き教室を利用してきましたが、施設の老朽化や狭あい化が取り上げられてきました。改善を早急に求めるものです。職員の資格・配置、施設の休養スペースなど、参酌基準を取り入れて条例化するよう求めるものですが、所見を伺います。
事業計画について、ニーズ調査の結果、提供体制はどうか。計画の実施に当たり、国の施策についての上乗せ、横出ししている施策は継続されるのか、保育士の加配、障害児加配はどうか、また、保育士賃金の公私間格差のための解消のための予算措置は継続されるのか、公立保育園での改善、正規雇用の比率確保はどうか伺います。
また、これだけ複雑な制度改正があったにもかかわらず、民営化方針を同時進行で進める根拠は何か、保護者に混乱をもたらすものではないか、見解を伺います。
◎市長(加藤久雄)
初めに、国の子ども・子育て支援新制度につきましてのお答えを申し上げたいと思います。
国の子ども・子育て支援新制度につきましては、消費税の引上げなどにより恒久的な財源を確保し、全ての子ども・子育て家庭を対象に、より幼児教育、保育、地域の子ども・子育て支援の質・量の拡充を図るものでございます。
現時点では、制度設計が完成されておらず、議員がおっしゃるように、分かりにくく複雑な印象は否めませんけれども、徐々に全容が明らかになるにつれまして、国が目指す方向性が明確になってくると考えております。
次に、新制度の下で、それをどう具現化するかにつきましては、国も本市も目指す方向は、子育てしやすい環境の整備ということで一致しておるわけでございます。新制度の趣旨を十分尊重しながら、本市としての子育て環境の更なる整備に努めてまいりたいと思います。
また、今後の保育料や放課後児童クラブの利用料についてでございますけれども、現在、保育料につきましては、国の基準と比較いたしまして平均二十八パーセント軽減しており、児童クラブの利用については、おやつ代などの実費以外は徴収していないわけでございます。
新制度における新たな利用者負担については、子育て世帯に与える家計への影響、将来にわたる本市の財政負担等を勘案しながら最終的に決断、決定してまいりたいと考えております。
新制度は、国、県、市町村が連携して子育て支援の更なる充実を図るもので、その実施主体は市町村であることから、本市としては、新制度の趣旨や国の制度設計に基づき、平成二十七年度の新制度のスタートに向けて、市民に混乱を招くことのないよう着実に準備を進めてまいりたいと思います。
ありがとうございました。
◎こども未来部長(松坂志津子)
新制度の現場説明会につきましては、合わせると百以上の施設数となりますので、職員が出向いて説明することは物理的に困難であります。分かりやすいパンフレットや手引書等を作成し、保育所等の施設を通じて保護者に配布するとともに、入園の申込みの際にも案内書と併せて配布をいたします。また、入園手続が始まる十月前にも広報ながのやホームページを通じて広く周知を図ります。
次に、障害児の入所については、入所の要件を満たしている場合は、障害の有無にかかわらず受入れをしなければならないこととされておりますので、集団保育を実施する上で著しい支障を有するなど、特段の理由がある場合を除き、受入れをしてまいります。
小規模保育事業は、少人数を対象に家庭的な雰囲気に近い状態で、待機児童の多い都市部、子供が減っている地方の双方で身近な保育の場を確保するため、新制度において創設されたものでございます。
国が定めた基準は、国の子ども・子育て会議において議論が行われ、全国一律の基準として、安全かつ衛生的な保育環境が確保できる内容となっておりますので、基本的には国の考え方をベースに本市の基準を定めてまいります。
中山間地域の保育園も対象としているのかとの御質問ですが、今後の事業計画の策定を進める中で、教育、保育の確保方策の一つとして検討してまいります。
施設の老朽化及び狭あい問題についてお答えします。
放課後子どもプランは、現在、学校内を拠点とする子どもプラザと全九十二施設で児童の受入れを行っており、小学校のグラウンドや体育館についても使用し、活動の充実に努めております。
施設の老朽化対策については、耐震化に併せ必要な改修などを計画的に進め、維持管理を行ってまいります。また、施設の狭あいの問題につきましては、利用児童の状況や小学校の児童数の推移などを見極めながら、小学校施設を活用し、解消を図ってまいります。
次に、放課後児童クラブの基準の条例化についてお答えします。
現在、国から示されたガイドラインに基づき事業を実施しておりますが、事業の設備及び運営の基準について、国で定める基準を踏まえて、全ての市町村が条例を定めることとなりました。
この基準には、従うべき基準と参酌すべき基準があり、参酌基準につきましては、本市の放課後子どもプランの運営状況とかい離することのないよう検討しているところでございます。
次に、ニーズ調査の結果と提供体制については、現在、長野市社会福祉審議会児童福祉専門分科会において検討いただいており、これまで、市民ニーズ調査の結果に基づいて、需給調整の単位となる区域の設定や保育の必要量の見込みなど御審議をいただいております。今後、量の見込みを詳細に検証するとともに、私立幼稚園や保育所に対してアンケート調査を行うなどして、量の見込みに対する教育、保育等の提供体制の確保方策や、その実施時期について、九月頃をめどに取りまとめたいと考えております。
次に、国の施策に上乗せ、横出ししている本市の施策の継続及び保育士の加配等についてお答えします。
国は、子ども・子育て支援新制度において、新たに施設運営費として施設型給付を導入いたしました。これは、実態を踏まえた上で、その質の改善を図る給付内容とするものです。一方、本市では、国の運営費に上乗せする形で独自に補助制度を設けて私立保育所の支援を行ってきたところでございます。
この度、国から示された仮単価については、保育士等の処遇改善や研修の充実等を図るための新たな加算を複数設定してきており、本市が上乗せしてきた補助金との重複部分に精査が必要となります。したがって、現段階では、具体的に申し上げられませんが、国の施策との整合を図りながら、本市として確実に教育、保育の質の改善が図られるよう努めてまいります。
次に、保育士等処遇改善臨時特例事業は、国が平成二十五年度に制度化した事業で、平成二十六年度で終了となり、その後は、新制度へと引き継がれますが、国は職員給与の改善として、三パーセントから五パーセントのベースアップを図ることとしておりますので、国の対応を注視してまいります。
次に、公立保育所における正規と非正規の保育士の比率は、現在、四対六の比率となっており、退職者を上回る正規職員の採用に最大限努力をしてまいります。
子ども・子育て支援新制度は、民間活力を最大限生かしながら、教育や保育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を目指すもので、子ども・子育てを巡る様々な課題の解決を図ろうとするものです。
一方、本市が推進している民営化については、公立と私立の役割を見直して、限られた財源の中、本市の保育環境の向上を目指すものであり、国が目指す方向と呼応しているものでございます。子ども・子育て支援新制度は、大変複雑で大きな制度改正であり、各自治体では極めて短い期間の中で確実な準備が求められておりますが、本市の民営化についても、将来を見据えたときにはタイミングを逸することなく、できるだけ早期に進めていくべきものと考えております。
公立保育所の民営化については、民営化等基本計画に基づき推進しておりますが、保護者等の皆様には、親切、丁寧な説明を行い、御理解を賜りながら進めておりますので、御理解をお願いいたします。
◆佐藤久美子
市長に一点お伺いします。
国の方針どおりやることは、実は市民の高齢者福祉も子供の福祉も、大変公的責任が後退するような方向であります。私は、そうした中にあって、長野市が、この子供の福祉、高齢者福祉を、これを守っていくんだと、こういう立場に立ってこそ健康長寿のまちづくりも、そして日本一子育てしやすいまちづくりもできると思うわけであります。そういう意味で、市長の覚悟をお聞きしたいと思います。
◎市長(加藤久雄)
ありがとうございます。
子供の問題につきましては、子供は国家の宝ということでございまして、やはり国家が将来の子供にどう対応するかと、この方針が一番大きな問題でございます。先頃、国は二〇六〇年に一億人を割らせないと、こういう方針をようやく出されたわけでございます。それに基づいて老人の問題、また、介護の問題、そしてまた子育ての問題、子供の問題、いろいろ出てくるわけでございまして、その問題の中で、沿って、やはり市町村が対応していく。その市町村についても、例えば長野市だけがこう変わって、昨日も申し上げましたけれども、千曲市がどう解決する。そして、千曲市からどんどん長野市に移ってくる、須坂市から移ってくる。こういうことでなくて、いわゆる都会からやっぱり長野の地方に移ってくると、こういう政策をやはり近隣も含めて広域で考えていくべきだというふうに考えております。私は長野市だけと、当然、これ長野市として育ちやすい長野ということをしていくわけでございますけれども、しかし、広域を含めて、長野県全体、広域を含めて都会から長野に住みやすい、この長野をつくっていくという、こういう政策をできる限りやってまいりたいと、そう思います。
ありがとうございます。
◆佐藤久美子
やはり子供は社会が育てるものだと私は思います。そういう意味では、大変複雑で市民に分かりにくい制度になります。それで、今までもそうですが、年度途中での入所など大変困る場合が多々あります。そうした場合にも、子ども・子育てに関しては、とにかく市民に沿って、この解決を図られるよう要望をします。
新幹線延伸と豊野駅について
◆佐藤久美子
次、新幹線延伸と豊野駅について。豊野駅は島崎藤村の名作、破戒に豊野ステーションとして登場する駅で、藤村文学碑も建立されています。長野市の北玄関口としての豊野駅が新幹線延伸に伴い利用しにくくなることはないかお聞きします。列車本数や車両編成、乗換え、利用料金などは今までと変わらないのか、JRからの固定資産税はどう変わるのか、豊野駅から北は冬季の除雪も含め危険箇所が多いが、北しなの線、JR飯山線が走る豊野駅は、どういう位置付けになるのか。豊野駅南口整備の進捗状況についても説明をお願いします。
◎企画政策部長(市川専一郎)
お答えいたします。
北陸新幹線長野・金沢間の開業に伴いまして、しなの鉄道が新たに開業をいたします北しなの線につきましては、現在、円滑な移行ができますよう準備が進められているところでございます。
豊野駅の位置付けでありますが、北しなの線の運営の中心を担う駅として、しなの鉄道が直轄で運営に当たります。駅長が配置され、JR飯山線を含めた列車運行の連絡、調整を行う他、北しなの線各駅の管理を統括いたします。また、豊野駅付近には、技術センターの派出所が設置され、鉄道施設の保守管理を行う他、除雪や災害等への対応に当たります。
列車本数、運賃などについてですが、計画では、現行本数を基本に、新幹線ダイヤ等を考慮したダイヤ編成とし、利用者数に見合う車両編成で、運賃はしなの鉄道線と同水準とするなどとされてございます。
現在、しなの鉄道では、この計画を基に調整を進めている段階であり、公表には至っておりませんので、御理解をお願いいたします。
◎都市整備部長(根津恵二)
お答えいたします。
豊野駅南口整備事業につきましては、豊野駅周辺整備促進協議会におきまして、ロータリーや駐車場等の配置計画につきまして御了解をいただいております。
豊野駅は新幹線金沢延伸に伴い、しなの鉄道とJRが乗り入れる新たな駅となることから、将来を見据えた整備計画の作成が求められております。
しなの鉄道の経営方針が明らかにならない現在の状況におきましては、まず、ロータリー部分を優先的に整備し、その後、駐車場予定区域周辺の整備計画を作成してまいりたいと考えております。整備に当たりましては、現在、暫定的に利用している月決め駐車場や駅利用者の状況などを見極めた上で、整備計画を検討してまいります。
今後も豊野駅の利便性の向上を図るとともに、公共交通の利用促進と地域の活性化を目指し、事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
◆佐藤久美子
実は、豊野駅と、それから豊野という地籍は大変分岐のまちとして栄えてきたまちでもあります。そういう意味で、こちらが山、こちらが海といった中で栄えて。