議会報告

2014年6月定例市議会 あべ孝二議員

請願第十三号集団的自衛権に関する憲法解釈を変更しないことを求める請願、請願者、秘密保護法やだネット長野代表和田清二さんの請願を総務委員会委員長報告で継続審査 反対討論

◆阿部孝二
 請願第十三号集団的自衛権に関する憲法解釈を変更しないことを求める請願、請願者、秘密保護法やだネット長野代表和田清二さんの請願を総務委員会委員長報告で継続審査に対する反対の討論を行います。同じ趣旨の請願、請願第十四号及び継続審査中の請願第五号についても、継続審査とされています。
 請願趣旨では、集団的自衛権について、歴代政府は、国際法上、集団的自衛権を有しているが、我が国が直接攻撃されていない他国に加えられた武力行使を実力で阻止することは、憲法第九条の下では許されないとしてきました。安倍晋三首相は、私的諮問機関、安保法制懇が報告書で、集団的自衛権の行使を禁止してきた従来の政府解釈を妥当ではないとしました。
 国の安全保障政策は、立憲主義に基づき憲法前文と第九条に基づいて策定され、集団的自衛権の行使をその時々の政府の判断で解釈を変更することはあってはならないことです。これまでの政府見解を堅持し、集団的自衛権の行使につながる憲法解釈を変更しないことを求めています。
 意見陳述人の田島隆さんは、戦争を推進してきた我が祖先として日清・日露戦争以来、戦争推進の先頭に立ってきた。村に東條英機元帥を呼び、村人を動員し、昭和小学校に将軍お手植えの松を行ってきました。その結果、身内の中で三人が戦死をし、そして自らの家族も徴用され、お父さんは狂人になって亡くなりました。いかなることがあっても、戦争だけはしてはほしくないと訴えています。
 そしてまた、一九七二年の政府見解により、集団的自衛権は憲法九条第二項により発揮できないとされてきました。政府見解の要点で、我が国への緊迫不正の侵害があった場合としてきました。
 今の解釈改憲については、拙速過ぎるということで、安倍晋三総理は当初憲法を変えるための第九十六条の変更をしようとしたが、困難と思うとお手盛りの安保法制懇を作り、答申を受けて解釈改憲に乗り出しました。
 砂川事件を引用し、集団的自衛権を認めるとしたが、当時の裁判官までもそれは違うと言い出しました。高村自民党副総裁は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、又は他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我々の国の存在が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあるとしています。
 最後に、集団的自衛権行使とは、自国への攻撃でなく、相手国への攻撃に我が国の自衛隊が参加することであります。相手国とはアメリカ合衆国です。世界でアメリカを攻撃する国を想像することができるでしょうか。反対にアメリカが他国を攻撃した戦争はたくさんありました。集団的自衛権を認めることは、日本を戦争に巻き込むおそれが極めて高くなることを意味していますと述べて、請願採択を求めています。
 私たち日本共産党長野市会議員団は、安倍晋三首相は集団的自衛権の行使を可能にする解釈改憲の閣議決定を国民の批判や不安の声に耳をかすこともなく、国会でのまともな議論もなく、自民・公明与党の密室協議だけで強行しようとしています。
 十七日には、政府が閣議決定の原案を与党に提示するなど、早期合意を迫っています。原案は、戦争を放棄し、戦力の保持を禁じた憲法第九条を破壊し、自衛隊の海外派兵を際限なく拡大する極めて重大な内容となっています。閣議決定ありきの安倍晋三自公政権の暴走は絶対に許されません。
 原案は、与党協議会の座長の高村正彦自民党副総裁が示したたたき台を基にしています。憲法第九条の下で許される武力の行使について、他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存在が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある場合も、必要最小限度の実力行使が認められるとしています。その上で、こうした武力行使は国際法上は集団的自衛権が根拠になるとし、集団的自衛権の行使であることを明確にしています。
 歴代内閣は、憲法第九条の下で集団的自衛権の行使は許されないとしてきた憲法解釈を百八十度ひっくり返す大転換にほかなりません。自衛隊創設から半世紀以上にわたり政府が堅持してきた憲法解釈を一内閣の閣議決定というクーデター的手法で変更することは言語道断です。
 集団的自衛権行使の要件にある他国に対する武力攻撃の他国には、地理的な限定がなく、世界中の国が対象になります。日本と密接な関係にある他国に修正する動きもありますが、密接な関係を判断するのは時の政府であり、恣意的な解釈が可能です。我が国の存立が脅かされ、国民の命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるというのは、どんな事態を示すのかも極めて曖昧です。
 しかも、そのおそれだけで集団的自衛権が行使できれば、政府の勝手な判断で海外での武力行使は歯止めなく広がることになります。おそれを切迫した事態という表現に改める意見もありますが、実際は、起こっていない未来の可能性を政府が判断する点では、どちらも同じです。必要最小限の実力行使というのも全くごまかしであります。
 安倍晋三首相は、自衛隊が武力行使を目的として他国の戦闘に参加することは、これからもないと繰り返してきましたが、しかし、閣議決定では、中東ペルシャ湾を念頭に戦争さなかの機雷の掃海という武力行使そのものの活動を可能にする意向も示しています。米軍などへの兵たん活動では、イラク戦争やアフガン戦争の際に禁じられていた戦闘地域への自衛隊派兵にも本格的に道を開いています。
 与党協議では、公明党は当初、国民の理解を得るため、政府が示した一つ一つの事例をしっかり議論させてもらいます、副代表としていました。ところが今や、この段階に至って事例に固執するのはいかがなものかとし、閣議決定の文案協議に応じています。若い者を戦場に送り、命を脅かす閣議決定ノーの声を更に大きく上げるときではないでしょうか。
 日本は、第二次世界大戦・太平洋戦争で天皇制軍国主義によって侵略戦争を行ってきました。国民や団体、組織、宗教など、全てを取り締まり、戦争に駆り立てました。アジアの人々二千万人、日本国民三百十万人、この犠牲の中で二度と戦争はしないというのが私たちの誓いではないでしょうか。
 安倍晋三内閣は、自由民主党の憲法改正が第九条の改定、自衛隊を国防軍にと正面から国民に問うのではなく、国民世論の大きな動きの中で憲法解釈を変えようとしているのが現状ではないでしょうか。
 長野県の憲法九条を守る会の皆さんが、四月二十九日にホクト文化ホールに二千四百人集まりました。そして、毎週金曜にはキンカン行動が行われ、長野市内でも百回を迎えることになりました。そしてまた、安倍晋三首相は武器三原則をないがしろにし、フランスでの武器の展示会にも参加する。経済優先、そして人を殺す道具が展示される、こういうことも進められました。
 今こそ国民の声を聞き、憲法を守ることが安倍首相の責任ではないでしょうか。日本国憲法を、そして九条を世界に広めることが二度と戦争を繰り返さない積極的な平和主義になるのではないでしょうか。
 以上で討論を終わりたいと思います。

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