議会報告

2014年3月定例市議会 小林よしかず議員

議案第一号平成二十六年度長野市一般会計予算の組替え修正案 賛成討論

小林義和
 私は、無所属の西村裕子議員、日本共産党長野市会議員団の共同提案で提出された議案第一号平成二十六年度長野市一般会計予算の組替え修正案の賛成討論を行います。
 市長初の平成二十六年度予算案は、長野のまちに優しさと思いやりを吹き込み、子供たちの明るい未来へつなぐ予算と自画自賛し、優先的に財源配分をしたとする優先三施策の中の、次世代を育む明るいまちづくりでは、安心して子供が生まれ、健やかに成長できるよう、子育て支援の充実を掲げ、次世代を担う子供を明るく豊かに守り、育てますと宣言、新たにこども未来部も設置しました。
 しかし、本予算案は、踊る言葉の割に実質が十分伴っていない予算案と言わざるを得ないと思います。提案した予算組替え案は、議員提案という限界がある中で、可能な限り根本的修正を加え、言葉に命を吹き込んだ提案であります。
 まずは、子供たちの明るい未来につなげるために、私どもがこれまで幾度となく主張し提案してきた中から、今年度は、特に国連・子どもの権利委員会から再三指摘されている、日本の過度に競争をあおる教育を是正し、どの子も基礎学力が保障され、持っている能力を十分に伸ばせる教育の実現のために、過度な競争をあおる学力調査予算を減額する。
 文部科学省が食育の点でも、その優位性を指摘した自校給食への転換を図り、教育としての学校給食を保障し、個々の子供たちの命や発達に配慮したアレルギー対応食の保障、食中毒や異物混入事故の最少化、農産物の地産地消による地域農業の発展や地元業者の育成、災害時の被害の分散化や小・中学校避難所での食の提供などなど、未来の学校給食の在り方を見据えて第四学校給食センター建設を見直し、予算を削減する。
 これらの財源で、今回は、お隣の須坂市や中野市から、何で長野市には補助制度がないのと驚かれる小学校六年生までのインフルエンザ予防接種費用の補助を行い、高齢者同様千円の負担で受けられるようにする。子供たちの放課後の安全、そして保護者の働く権利を保障する児童館、児童センター等の指導員の人件費の増額を図る。そして、父母、保護者の積年の願いである子供の医療費無料化の年齢拡大であります。
 これは民生費中の児童福祉費、福祉医療費で中学校三年生までの医療費を無料とするため、一億二千二百七十万円を増額する修正であります。
 これまで、市民から子供の医療費無料化制度の拡充について、再三にわたって長野市議会に請願が出され、私どもは何度も制度充実のための質問、提案も行ってきました。昨年九月市議会では、ようやく子供の医療費無料化を中学校三年生まで拡大してほしいとする請願が全会一致で採択されるに至りました。
 市長は、記者会見でこども未来部の設置について、長野市で子供を産めば、安心して子育てができるという形を考えていると胸を張りました。そして、スピード感を持って仕事をする、職員も付いてきていると言いました。しかし、この子供の医療費無料化、年齢拡大問題について、部長は今後、こども未来部で調査し、所得制限も視野に入れ、実施時期など様々な課題の検討を重ね、結論を出すなどと、およそスピード感とは無縁の結論先延ばし答弁に終始しています。
 長野市自身も十分認識しているとおり、長野県下十九市二十三町三十五村、七十七自治体中長野市以外の七十六市町村全てで入院は中学校卒業まで無料です。外来無料は、長野市と一市一町だけが小学校六年生までとしています。十二町二十四村は十八歳到達時点までか又は到達したその年度末まで無料です。県下全市町村で所得制限のある自治体はありません。長野市が廃止した食費助成のある自治体は松本市を初め七市四町四村に上ります。長野県内では、県都長野市では子供は病気になれない、最も子育てに冷たいまちだと評価されても言い訳はできません。これは本当に待ったなしの課題です。
 本修正案は、スピート感を持って、こども未来部の設置と同時に来年度予算で、まずは県下全自治体に肩を並べる予算案であります。こども未来部が検討すべきは、スピード感を持って追い付いたら追い越し、県都らしく更に一気に年齢を引き上げるリーダーシップをどうとるかであります。

 次は、議員提案の予算組替えという限界のある中での措置ですが、余りに劣悪な長野市版官製ワーキングプア解消の第一歩として、嘱託職員全ての報酬と賃金を今年度月額一万円アップするため、各該当科目の賃金と共済費を増額するものです。既に、これまでの議会質問等で市役所正規職員の削減と非正規職員の増大、劣悪な労働実態は明白であります。
 一般質問でも触れましたが、集中改革プランで十年間で百九十二人の職員を削減してきた長野市定員適正化計画でも、第四次計画では自らがこう言っていました。改革プランの急激な職員削減の職員不足を嘱託・臨時職員の活用で対応した、非正規職員が増加した。これが市民サービスの低下、職員一人当たりの業務量の大幅増加等による職員の健康管理や士気に影響、長期病気療養の休職職員も増加、市民サービスへの影響の抑制が重要、こう反省の弁を語りました。
 元鳥取県知事で菅内閣の総務大臣だった片山善博氏は平成二十一年に指定管理者制度の運用の問題点を指摘し、全国に通知を出しましたが、そのときの談話で、次のように自戒しました。指定管理者、外部化、定員削減、総人件費抑制、アウトソースなどを進めてきたが、コストカットを目的とした結果、官製ワーキングプアを随分生んでしまった。懸念を示して、少し反省するという気持ちで出した。自治体は地元の企業の皆さんに対しては、正規社員を増やしてと働き掛けるが、それは当然です。しかし、当の自治体が自ら内部に非正規職員をどんどん進めて、なおかつアウトソースを通じて官製ワーキングプアを大量に作ってしまったという自覚と反省は必要。集中改革プランという法的根拠のない仕組みを全国に強いてきた、これらの解除ですねと述べています。前市長は、防災の観点からある程度のゆとりが必要との見解を吐露したこともありました。
 昨年の予算修正案討論でも、長野市の非正規職員の実態を詳細に紹介しましたが、改めて簡潔に最新の実態を述べておきます。平成二十五年四月一日現在、長野市の嘱託、臨時、パートの非常勤職員は千八百六十二名で、全体の実に三十九・四パーセント、全国平均を大きく上回り、中核市でも多い方から数番目です。特に多い部局は、保健福祉部、正規五百六十一人に対して非正規九百六十六人、教育委員会、正規二百八十五人、非正規六百四十七人、保健福祉部の主な専門職、これはほとんどが非正規職員です。教育委員会では、この長野市の学術、文化の担い手である専門職の市立図書館司書は全員非正規で四十三人、学芸員は正規が十八人、非正規が十九人です。
 これらの非正規専門職員は、正規の職員が減らされる中で、今や基幹的業務を担っているのです。そして、これらの専門職員がいなければ、長野市役所の公務が回らないにもかかわらず、その低賃金の実態は、他に例を見ないほどひどいものです。
 正規職員と労働時間が同じケースで、中核市の比較をしてみますと、一般事務の嘱託職員は月額十三万四千四百円、最低です。保育士十六万円、最低です。図書館司書十五万円、全て最低です。非正規職員の皆さんは、日々どんな思いで働いているのでしょうか。
 特に、本議会の質問で驚くべき実態が判明しましたが、嘱託保育士の問題です。園長及び主任を除いた実質的に保育を担う保育士の総数は四百十四人、内訳は正規保育士が百三十八人、嘱託保育士が二百七十六人、嘱託比率が六十七パーセント、実際、新年度を今直前にしたこの時点で、来年度の嘱託職員がいまだに数名足りない状況であるとお聞きをしました。障害者保育への加配保育士がこれまで八時間勤務の嘱託から短時間勤務のパート保育士に切り替えられたり、保育園の職員体制に支障が出るような事態とも言われています。
 先年五月、厚生労働省が潜在保育士はなぜ保育士として働かないのかという調査をしました。賃金構造基本統計調査では、民間保育園の保育士の平均給与は約二十一万円ですが、保育士にならない一番の理由が賃金が希望と合わない、四十七・五パーセント、二十歳代は五十七パーセント、三十歳代は五十六パーセント、月給十六万円の長野市の嘱託保育士のなり手がないのは当然ではないでしょうか。保育園現場では、月給十六万円だから、これができないなどとは言えません。保育のプロとして、嘱託保育士は担任を持って、毎日懸命に保育し、市長の意向を受けて毎日元気に挨拶をしています。
 しかし、保育園では、職員同士の忘年会などの懇親会もやりにくいと聞きます。保護者や市民に、あるいは子供にも、正規も嘱託も区別は付きません。これで職員の風通しは良くなっていますか。嘱託保育士の給与の引上げは緊急の課題であります。
 本修正案の意味するところを直視し、非正規職員の実態に心を寄せ、賃上げと労働条件の改善、正規職員増に取り組むことこそ今、市長に求められていることではないでしょうか。
 以上、主なる二点について言及しました。

 最後に、浅川ダム建設問題についてであります。
 既に建設中にもかかわらず、新たな危険箇所が見付かり、十二億円を超える追加予算が投入されるそうであります。ますます浅川ダムの危険性が露呈しました。修正案では、これまでこのような危険で無駄な浅川ダム建設を推進してきた団体への補助金を継続していますが、これを削減をする提案をしております。
 以上、申し上げ、予算修正案の賛成討論といたします。議員各位の御賛同をお願い申し上げます。

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