議会報告

2014年3月定例市議会 原田のぶゆき

請願第七号「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書」の提出を求める請願の経済文教委員会委員長報告 反対討論

原田誠之
 請願第七号「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書」の提出を求める請願の経済文教委員会委員長報告に反対の立場で討論を行います。
 今、働く貧困層--ワーキングプアの増加を初め、貧困と格差拡大がますます深刻になる中、働けばまともな生活ができる賃金を、という声は痛切であります。時給千円以上にすることを初め、最低賃金の抜本的な引上げが急がれます。
 最低賃金は、国が賃金の最低限度を決め、事業主がその金額以上の賃金を労働者に支払わなければならない制度です。不当に低い賃金から労働者を保護するための安全網が本来の役割です。ところが、現在の最低賃金は、全国平均で七百六十四円、長野県は七百十三円で、一か月の給与はフルタイムで働いても十一万四千円前後、年間百三十万七千円程度で、これでは結婚もできなければ、子供も産めない典型的ワーキングプアです。先進国では、全国一律千円から千三百円、月額二十万円が一般的です。日本も先進国並みの千円は必要です。懸命に働いても、まともに暮らせない賃金しか保障されないという事態は、異常でひど過ぎます。
 このような年収二百万円以下のワーキングプアは、全国で一千万人をはるかに超え、労働者の三十五パーセント、三人に一人以上は非正規雇用で、不安定で低い賃金で働かされています。労働者が普通に暮らせる収入を得られるようにするために、最低賃金制度がその機能を果たすようにすることは待ったなしです。
 このようなとき、最低賃金の大幅引上げの声の広がりの中、政府、経営者、労働者の間で、できる限り早期に全国最低八百円を確保し、景気状況に配慮しつつ、二〇二〇年までに全国平均千円を目指す、との合意がされました。しかし、震災の影響を持ち出した経営者側の主張により、中央最低賃金審議会の目安では、過去五年で最低の一桁アップにとどまっております。今、本格的な引上げは進んでいません。
 安倍首相は、大企業が二百七十兆円もの内部留保--ため込み金を持っているにもかかわらず、復興税を一年前倒しで中止し、一兆円の減税。一方、派遣労働者を増やす労働者派遣法を改悪し、派遣労働の業務や期間の制限を無くし、限定正社員化や残業時間をカウントしない裁量労働の拡大で、残業代は払わなくてもいい仕組みづくりを導入するなど、賃金を下げるものばかりです。
 アベノミクスで物価は上がり、その上、四月から消費税が八パーセントに増税となれば、暮らしは深刻そのものとなります。これでは、購買力が落ち込み、景気は急速に後退するでしょう。今こそ、労働者の懐を暖めることが地域の活性化に直結します。
 全国労働組合総連合系の政策研究機関、労働運動総合研究所は、最低賃金を時給千円に引き上げれば、二千二百万人以上の労働者の賃金が上昇し、家計消費支出は四兆五千億円以上増加、国内総生産を〇・八パーセント押し上げる効果があると試算しました。最低賃金引上げが、低賃金労働者の暮らしを立て直すとともに、内需を拡大し、日本経済を再生させる土台になることは明らかです。
 全国はもちろん、長野県の最低賃金が七百十三円、これで試算すれば月額十一万四百円、生活保護水準と同程度であることは重大です。最低賃金の本格的な引上げに踏み出してこそ、生活保護に頼らない人を増やすこともできるのです。低さを競い合う悪循環は国民の願いに反します。
 欧州諸国では、最低賃金を成長戦略の柱に位置付け、時給千円以上、月額二十万円以上が当たり前です。世界の主要国の中で賃金が下がり続けているのは日本だけです。委員会の議論の中で、中小企業の事業主も給与を工面するために無理をしている。最低賃金を上げれば、中小企業も経営が大変であるとの意見もありました。
 アベノミクスは中小企業には冷たく、法人税減税など大企業、財界優遇政治の中、この指摘は当然です。何よりも、最低賃金を大幅に引き上げる最も効果的な方法は、中小企業への直接支援を抜本的に拡充しながら、最低賃金を引き上げることであります。最低賃金を引き上げるために、アメリカでは五年間で八千八百億円、フランスでは三年間で二兆二千八百億円、中小企業に直接税金を投入し、支援しております。日本は、何と三年間で僅かに九十九億円です。中小企業への賃金助成の制度化を初め、政府の支援を拡充しながら、全国一律の最低賃金制度を確立するなど、異常事態の打開へ抜本的な対策に踏み出すべきときであります。
 長野市議会から国に声を上げてほしいとの請願者の願意を酌み、請願項目にあるように、地域からの経済好循環の実現に向け、最低賃金の改善と中小企業支援策の拡充を求める意見書を、内閣総理大臣及び厚生労働大臣に提出することとした請願の採択を議員各位に訴え、討論とします。

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