2014年3月定例市議会 佐藤くみ子議員
豪雪による農業被害対策について
福祉灯油の実施について
消防団の処遇改善について
学校給食センターについて
鬼無里地域の取組について
食を核とした主体の掘り起こしと滞在型観光について
地域ガバナンス力再生について
豪雪による農業被害対策について
◆佐藤久美子
質問がダブった部分もありますが、ほぼ通告どおり行います。
豪雪による農業被害対策についてです。
この度の豪雪により、被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。
私たち、日本共産党長野市会議員団は、二月十八日早朝、イチゴハウスの倒壊現場に行き、栽培農家の方からお話をお聞きしました。幅十八メートル、長さ百五メートルの連棟ハウスで、イチゴの苗が一万五千株、雪の重みで支柱が曲がり、ところどころビニールを切って雪を除いたため、穴だらけでした。十一年前に国の補助事業を取り入れ三千五百万円の設備投資をして、四人の作業員を雇用、十五度に保たれたハウスで出荷間近のイチゴが大きく実り、白い花がびっしりとついていましたが、突然の豪雪で全て施設が壊れ、イチゴは凍りついていました。口に入れた真っ赤なイチゴは、じゃりじゃりと冷たい塊になっていて思わず涙が出ました。
再生産するには、思い切った支援が必要です。被害状況と被害額については説明を受けていますのでよろしいです。特に、支援策、施設再建のための支援、苗木購入補助や減収対策についてどうか伺います。
(三十五番 佐藤久美子君 質問席へ移動)
◎農林部長(三井和雄)
豪雪による農業被害対策についてお答えいたします。
議員が御視察いただいたイチゴハウス、私も同様なものを見てまいりました。思いは同じでございます。
対策についてでございます。今回の大雪による農業被害に対しましては、国も被害の大きさを認識し、災害関連資金の無利子化など、今までにない思い切った支援策を次々と打ち出しております。施設再建、また苗木購入に対する補助については、既に国が支援を表明している農業用ハウス等の再建、修繕への助成等や、また、県の農作物、農業生産施設の災害緊急対策事業を活用しながら、市としての支援策を実施してまいります。このようなことを早急にやってまいるという所存でございます。
◆佐藤久美子
農家負担の軽減のために努力されたことは感謝いたします。ただ、市の農林行政の主体性について一言申し上げます。
三月三日、四日と現地を視察されたと部長発言がありました。同じイチゴハウスだったようであります。
片や二十四時間不眠不休で対応された部署がある中で、二週間以上たってから災害現場へ出向く、市民はどう受け止めるでしょう。また、この対応の差はなんでしょうか。庁内の体制に問題があったかと思います。
いずれにしろ、市民の苦労に心寄せる市政であってほしいと強く求めます。今後、実態に合ったきめ細かな対策をお願いします。
福祉灯油の実施について
◆佐藤久美子
次に移ります。福祉灯油の実施についてです。
二月十八日現在、県内の一市七町九村の十七市町村が灯油購入助成事業、いわゆる福祉灯油を実施しています。飯山市の五千円現金給付、辰野町の一万円の灯油券など様々ですが、住民から有り難い、助かったと喜ばれています。
二月二十六日の県議会、石坂質問に答えて、健康福祉部長が、総務省は全国の実施状況を調査していまして、二月十三日の衆議院予算委員会におきましては、総務大臣から寒冷地の自治体が行う福祉灯油事業について、三月分の特別交付税で所要の措置ができるよう検討したいと答弁しております。県としては、市町村の実施状況や国の動向等を見ながら検討してまいりたいと答弁されました。
日本共産党長野市会議員団としても申入れを行いましたが、平成二十年の実施時は、特別交付税の対象になったが、今年はそうした状況ではないと、申入れ時点での答弁でした。しかし、状況が変わりました。是非福祉灯油の実施を求めるものですが、見解を伺います。
◎保健福祉部長(駒津善忠)
今年の冬は厳しい冷え込みが続きましたが、ここに来て暖かい日もあり、正に三寒四温の気候となっておるところでございます。
資源エネルギー庁の発表によりますと、灯油価格についても、冬場の需要期のピークを過ぎたことから、五週連続で下落しております。
福祉灯油については、さきの十二月定例会において、今回は急激な負担増ではなく、また、国からの支援方針も打ち出されていないため、市単独事業での助成は予定していないと答弁させていただきました。
総務大臣が衆議院予算委員会において、三月分の特別交付税で措置を講ずる方向で検討したいと答え、自治体の実情を把握した上で対応を検討する考えを示したことは、承知しているところでございます。
しかし、前回の福祉灯油を実施した際には、国の原油価格高騰に伴う緊急対策の基本方針は十二月上旬に出ており、それを受けて準備を進め、本市では一月下旬から福祉灯油の助成申請の受け付けを開始したところでございます。
現在までのところ、国から原油価格高騰に伴う方針や対応を促す通知はなく、今回は急激な負担増でないことも踏まえまして、今年度の助成は予定をしておりません。
◆佐藤久美子
やらないためのあれこれの理由を付けるのではなく、市民の暮らしに寄り添った市政の実現を求めます。平成二十年は五千三百世帯に五千円ずつ二千六百五十万円です。このことができないはずはありません。強くこのことを求めておきます。
消防団の処遇改善について
◆佐藤久美子
次に、消防団の処遇改善について伺います。
長野市消防団員の定員及び任用等に関する条例に基づき、消防団員に年報酬と出動手当が支給されています。階級別の報酬額と一回当たりの出動手当額と支給方法、また、実績額を説明願います。
地方交付税の消防費の単位費用は一万八百円、国勢調査の人口数三十八万一千人に単位費用を掛けると、総額三十九億二千六百六十六万四千円になります。その根拠とされている非常備消防費の報酬は年額で、団長八万二千五百円、副団長六万九千円、分団長五万五百円、副分団長四万五千五百円、部長、班長三万七千円、団員三万六千五百円となっています。長野市の根拠もこれに基づいたものと考えますが、どうなのか伺います。
◎消防局長(岩倉宏明)
長野市消防団の年報酬と出動手当の状況及び支給方法等についてお答えいたします。
初めに、消防団員の階級別の年額報酬の内訳につきましては、国が示す団長に対する報酬八万二千五百円に対し七万三千円を、副団長については、六万九千円に対し五万六千円を、分団長は五万五百円に対して三万四千円を、副分団長は四万五千五百円に対して二万七千円を、部長、班長は三万七千円に対して、部長二万一千五百円、班長二万円を、団員については三万六千五百円に対して一万六千円の報酬とし、支給方法と実績については、年二回に分けて、五月に前期分、十月に後期分として、総額六千二十五万七千百円を各分団に支給しております。
また、一回当たりの出動手当は、火災発生時の消火活動や河川の増水に伴う水防活動、行方不明者の捜索活動等の災害における手当として千六百円を支給しています。
さらに、四時間を超えた長時間に及ぶ災害対応を行った場合は、手当を八百二十円加算している他、消防団本部が招集する訓練を実施した場合は、一人当たり二千円の手当を支給しており、平成二十六年一月末現在の実績額は、延べ二万一千六十一人に三千四百五十九万四千四百円を支給しております。
次に、年額等の根拠につきましては、消防組織法第二十三条に基づき、市町村の条例で定めることとされており、長野市消防団員の定員及び任用等に関する条例第十五条で、団員の報酬及び費用弁償は、予算の範囲内でこれを支給するとされております。
いずれにしましても、消防団員の年額報酬や災害等の出動手当につきましては、地方交付税の算定基準で示されておりますので、今後十分検討してまいりたいと思います。
◆佐藤久美子
市長に伺います。
若者の雇用条件がますます厳しくなる中で、団員確保がますます重要です。消防局は、地域の消防団は防災の中核と位置付け、地域防災力を強化すると述べておられます。なりわいを営みながら消防活動に取り組み、はっぴを預かる方々に敬意を表するところですが、長野市として、処遇改善に向けた取組を早急に行うよう求めるものですが、見解を伺います。
◎市長(加藤久雄)
私から、消防団員の処遇改善に向けた取組についてお答えしたいと思います。
今、佐藤議員が言われましたように、消防団員の皆様におかれましては、なりわいを持つかたわら有事の際は、消火活動など災害対応に昼夜を問わず献身的に取り組んでおりますことを心から感謝を申し上げるわけでございます。
昨年十二月に消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が公布、施行されたことを受けまして、国は基本的施策の中で、消防団の強化として、消防団への加入促進や消防団活動の充実強化のため、消防団の処遇及び装備の改善、消防団員の教育訓練の改善等を掲げて取り組んでおります。
本市といたしましても、消防団員の処遇改善に向けて、東日本大震災において、多数の消防団員が犠牲になりましたことから、安全確保のため救命胴衣等の装備や情報共有を図るための無線機等の充実が図れるよう計画的に配備するよう取り組んでおるわけでございます。
また、団員の報酬手当につきましては、先ほど岩倉消防局長がお話し申し上げましたように、長野市消防団員の定員及び任用等に関する条例で、団員の報酬や費用弁償は予算の範囲内で、これを支給すると規定されておりまして、本市の場合は、国が地方交付税の算定基準に示す標準的な額より低い状況であります。これにつきましては、今後十分検討してまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、消防団の皆様には地域防災の要といたしまして、住民の安全・安心のために活躍していただくことから、消防団組織の一層の充実強化が図れるよう努めてまいるつもりでございます。
ありがとうございました。
◆佐藤久美子
確認をさせてください。今の支給額は何年に決めてありますか。
◎消防局長(岩倉宏明)
昨年、自治体消防を発足して百二十周年を迎えました。今回の今お話しした額については、平成十二年から同額で現在に至っております。
◆佐藤久美子
団員の報酬は、算定基準の四十三パーセント、出動手当は二十八パーセント、余りにも低い額であります。しかも改正してから十四年そのままであります。これは早急どころか、本当に一日も早くこれを引き上げて処遇改善を行うべきです。このことについて、もう一度見解を求めたいと思います。
◎消防局長(岩倉宏明)
昨日も若干説明させていただきました。
消防団の年報酬、また出動手当については、非常に差があると感じております。ただ、長野市消防団につきましては、消防団本部と過去にいろいろな協議をさせていただく中で、消防団分団の運営費ですとか、それぞれ出動手当ですとか、そういった部分で分団運営に係る経費についても、別枠できめ細かく対応しているところでございます。
ただ、今回、国の方で大きな改正がありまして、その根拠等も今後十分確認しながら、できるだけ消防団員の処遇改善が図られるように十分検討してまいりたいと思っております。
学校給食センターについて
◆佐藤久美子
学校給食センターについて伺います。
第四学校給食センター供用開始に伴い、豊野学校給食センターを統廃合する方針が示されていますが、豊野のセンターは存続すべきとの声が上がっています。住民自治協議会と加藤市長との懇談会、女性団体と市議会議員、女性農業委員との懇談会でも、豊野から参加されていたマイスターから、給食センターに食材を納めていたがどうなるのか、地産地消を進めるべきとの意見がありました。平成三年に改築された施設であります。今ある施設を生かしていくべきですが、見解を伺います。
また、十二月市議会の原田議員の質問に、農林部長が学校給食センターでの地場産農産物の利用拡大について、契約栽培導入のための検討会を設けたとの説明がありましたが、どのように検討が進んでいるか。教育委員会と農業協同組合との協議の場を設けるのはいつ頃か。給食現場と生産者との情報共有の場も設けるとのことでしたが、進捗状況はどうか。また、市内地産地消率の目標を定めるべきと思いますが、いかがですか所見を伺います。
◎農林部長(三井和雄)
私から、検討の進捗状況についてお答え申し上げます。
契約栽培導入のための検討会につきましては、市内二農業協同組合の担当者と私ども農業政策課担当者とで、昨年十二月末までに二回検討会を開催しました。その中で、課題、問題点の洗出しや導入可能な作目の検討を行ってまいりましたが、実際に農産物を使用する教育委員会の使用希望等を考慮しながら協議を進めていく必要があるということになり、農業政策課、両農業協同組合に教育委員会を加えた協議の場を設けました。
今年に入り二回の協議を行い、二月二十七日には、現状において市内産農産物の使用率の低い品目及び同じ品目の中でも使用率の低い時期への農産物の納入を増やし、市内産農産物の使用率を上げるという視点で、給食センターでの使用希望品目と各農業協同組合で対応できる品目とのすり合わせを行いました。
その結果として、候補を数品目に絞り込み、現在、農業協同組合、教育委員会それぞれの立場で導入の可能性を検討いただいており、来年度には農業協同組合と生産者が契約し、学校給食食材として納入できるよう、現在詰めの協議を行っているところで、それを進めたいと思っております。
また、給食現場と生産者との情報共有の場につきましては、これまでも実施してきておりまして、今年一月二十八日には、今年度の二回目の現地研修会を開催いたしました。当日は、各給食センターの栄養士など十一名の方に御参加いただき、実際に生産する現場を見ていただいた上で、その食品の専門家から食品の特徴や、その効果的な調理方法などについて研修し、理解を深めていただきました。
今後とも給食センターの栄養士などと生産者が直接話し合う場を設け、相互理解を深め、情報の共有に努めてまいりたいと考えております。
◎教育次長(藤沢孝司)
私から、今ある施設を生かしていくべきという御意見と、市内の地産地消率の目標についてお答えいたします。
学校給食センター及び学校給食共同調理場での食材の発注に際しましては、市内産食材を中心とした地産地消を基本といたしまして、特に、旬の時期には納入関係者の協力を得ながら、市内産の使用に努めております。
ただ、センター方式では、一度に同一品目の食材が大量に必要となり、さらに、学校給食では児童・生徒が様々な食材を味わう体験をするためには、市内で生産される農産物だけでは必要とする食材の種類、需要量などの全てを満たすことはできない状況にございます。そのような中でも、必要となる食材の一部でも市内産での納入が可能な場合は、納入関係者の協力も得ながら、その使用に努めておりまして、今後も引き続き市内産の使用に努めてまいります。
次に、豊野学校給食センターにつきましては、平成三年度の建設ではありますが、第三や第一学校給食センターと比べて老朽化が著しく進んでおります。また、現在の施設では狭あいであるために、平成二十一年に施行されました学校給食衛生管理基準に沿った施設整備が困難でありますので、衛生管理を徹底し、安全・安心な学校給食の提供に資するために、(仮称)第四学校給食センターの稼働に合わせ統合を検討してまいりました。
なお、豊野地区の住民自治協議会や地域審議会におきまして、統合を検討していることについて説明をしてまいりましたが、今後は統合について、保護者を初め地域の皆さんに御理解をいただくよう、更に丁寧な説明に努めてまいります。
次に、市内産の地産地消率でございますけれども、平成二十四年度の市内産を含む県内産の使用割合は、野菜が二十五・一パーセントでありまして、そのうち市内産が十五・七パーセント、果物については三十・二パーセントで、うち市内産が十七・七パーセントということでございます。中でもエノキ、コマツナ、インゲンなどにつきましては、市内産の割合が六十三・一パーセントから九十七・五パーセントと高い状況にございます。食材の発注に際しましては、市内産食材を中心とした地産地消を基本とし、特に旬の時期には、納入関係者の協力を得て、市内産の使用に努めてはおります。
学校給食における地元農畜産物の使用割合の目標につきましては、国の第二次食育推進基本計画で、都道府県単位での使用割合の増加を目標としていることから、第二次長野市食育推進計画においても、平成二十八年度における県内産農畜産物を使用する割合を、野菜が三十三・〇パーセント、果物が四十・〇パーセントとして目標を定めたというものでございます。
なお、第二次長野市食育推進計画の計画期間が平成二十五年度から二十八年度までの計画となっていることから、直ちに市内産の地産地消率の目標を定めるということは考えておりませんが、次期計画策定の中で、検討してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、地産地消は食育の推進や地域の活性化にとっても大切なことでございます。関係部局並びに関係機関とも連携を図りながら、更に市内産の使用割合を高めるよう努めてまいります。
◆佐藤久美子
二点質問いたします。
一点、豊野学校給食センターですが、管理上問題あるなら、なぜ維持、修繕をしないのですか。この点でお願いします。
もう一つ、地産地消率ですが、学校給食で使用しているタマネギは、実は二百十一トンあります。市内産は十七・五パーセント、ニンジンは百一トンです。市内産は〇・五パーセント、ジャガイモは八十四トン、市内産は二・七パーセントです。まず、この辺から私は目標を設定して、本年六月二十一日に開かれるという全国食育大会の開催にふさわしい、そうした長野市の取組を示すべきだと思いますが、この点について再質問いたします。
◎教育次長(藤沢孝司)
まず、施設の関係でございますが、平成三年に建築した建物ということで、どうしてもいろいろな修繕等は折に触れといいますか、しているわけでございますが、やはり老朽化がどうしても激しい箇所があるということで、これにつきましては、少しでも早く対応していこうということはあるんですが、例えば、外部であれば基礎の部分とか、通気孔とか、外壁とか、この辺はやっぱり、いわゆる老朽化が進んでいるといった部分がございます。
また、内部においても、床、天井等いろいろと大きな部分のものがございますので、この辺が第四学校給食センターの計画がございましたので、その中で何とか、何とかといいますか、もたせながら、何とか活用しながらやっていくと。ただ、何年もというわけにはいきませんので、この数年の中で十分もたせながら、安全な給食ということで進めながら進めていくということで、なかなか改築等については難しいと思います。いずれは、第四学校給食センターの方と統合していくのが一番適切な道ではないかなと考えております。
あと、それぞれの地産地消比率であります。作物によりまして、それぞれ違います。今申し上げた九十何パーセントもありますし、本当にゼロというようなものもあります。これは先ほども農林部長からも説明ありましたように、流通の部分での課題解決を図っていくという部分が、大きい部分があります。それぞれ関係機関と協力しながら、少しでも市内産等の率が上がるように努めてまいりたいと思っております。
◆佐藤久美子
住民合意を得ることなく進めることのないよう指摘しておきます。
鬼無里地域の取組について
◆佐藤久美子
鬼無里地域の取組について伺います。
人口千六百三十九人、そのうち六十五歳以上は五十二・四パーセント、面積の九十五パーセントは森林原野、そんな地域の取組に注目が集まっています。鬼無里の住民らでつくるNPO法人まめってぇ鬼無里がJST--独立行政法人科学技術振興機構の社会技術研究開発センター公募事業に応募し採択され、昨年の九月まで三年間続けたプロジェクトの成果を振り返るシンポジウムが二月十五日に開かれ、私も参加しました。
鬼無里地区では、以前からオーストリアのザルツブルク州ベルフェンベンク村との交流があり、青木健太郎氏が両村の仲立ちやエネルギー調査分析に協力され、二〇〇九年の鬼無里イヤーには、村のペーター村長を招き、翌年九月には鬼無里から十人の視察団が滞在するなど交流を深め、プロジェクト応募のきっかけになったそうです。自然エネルギーへの転換、滞在型観光、地域ガバナンス力の再生の報告は鬼無里モデルと注目される実践と感動しました。
地元の自然エネルギー活用で化石燃料漬けからの脱却、まず、家庭用エネルギー使用状況調査三百五十戸の聞き取りから判明したことは、地区の年間灯油使用料が八十五万一千リットル、約七千六百五十万円相当で、一世帯当たり、年間十万円、化石燃料の依存度が高いこと。長野県も二〇〇八年の一人当たり県民所得二百七十三万一千円のうち、光熱費は二十九万四千八百十六円で、十パーセントを超え、十年前に比べて五倍になっているとのこと。地元の自然エネルギーを活用し、化石燃料からの脱却を図りたいと、昨年三月有限責任事業組合を立ち上げ、まき活用システムを作った。森林組合から購入し、百三十五トンのまきを製造し、延べ七百五十時間の労働時間を生んだ。国道沿いに積み上げたことで、地元の自然エネルギーの見える化効果が生まれたそうです。また、自然エネルギー信州パートナーズとの連携で、太陽光発電も動き始めるとのことです。
そこで伺います。年間灯油七万リットル使用している鬼無里の湯の木質エネルギーへの提案がされていましたが、市はこの提案にどう応えますか見解を伺います。また、ペレットストーブ購入の補助金制度はありますが、地域を限定したまきストーブの促進はどうか伺います。
長野市として積極的に支援し、一つのモデルとして中山間地の振興策に取り入れることはどうか見解を伺います。
◎環境部長(小林博)
まず、鬼無里の湯の木質エネルギーへの提案についてお答えします。
本市では、再生可能エネルギーの市有施設への積極的導入を目指し、平成二十一年度に鬼無里の湯、保科温泉、戸隠の森林囃子など二十の施設について、木質バイオマスボイラー導入診断調査を実施いたしました。この調査では、まず、燃料となる木質のチップとペレットとの比較を行い、発熱効率が良く、取扱いが容易であることから、木質ペレットを使用することとして、各施設への木質ペレットボイラー導入の検討を行いました。CO2の削減効果、総コスト、年間収支の点から評価を行い、その結果、平成二十三年度に優先度が最も高かった保科温泉に木質ペレットボイラーを導入いたしました。
御提案のありました鬼無里の湯につきましては、費用対効果が若干低いということから、今後検討を行う、第二グループとして検討を行っていく必要があるとしたところでございます。
また、まきボイラーにつきましては、その原料のまきが身近で入手可能であること、エネルギーの地産地消、それからコストが低いなどのことから、大変メリットがある反面、燃料供給の自動化が難しく、人手が掛かるなど、施設管理者の負担が増加することから、平成二十一年度の調査では、検討の対象としなかった経過がございます。
しかし、その後の技術開発の動向などを見据え、費用対効果やペレットボイラーとの比較検討を行い、また地域の皆さんの意見も聴きながら、導入の可否について判断してまいりたいと考えております。
次に、地域を限定したまきストーブの導入促進でございますが、鬼無里地区におきましては、御質問にありました国の補助を利用して事業化された鬼無里薪ステーションにより、まきの販売等が行われております。これは地域の里山を整備した間伐材を利用しているもので、里山整備、地域での雇用、持続可能な自然エネルギー活用を目的とするとのことであります。
まきストーブの普及、促進につきましては、一部市街地などでは煙やにおいに対する苦情もありますことから、地域を限定したものになりますが、このような取組と併せて行うことにより、地域特性に応じたバイオマス資源の有効活用、エネルギーの地産地消にもつながることが期待でき、その方法等について検討してまいります。
自然エネルギーの活用に加え、組合が事業の目的としております、里山整備、地域での雇用が実現されますと、正に中山間地域の振興策のモデルになり得るものであり、今後大いに期待をし、注目してまいりたいと考えております。
食を核とした主体の掘り起こしと滞在型観光について
◆佐藤久美子
次に、食を核とした主体の掘り起こしと滞在型観光について伺います。
日帰りではなく、滞在型観光を目指すには、まず、食におけるおもてなしが重要と地元の食、食文化の洗出しを行い、年に四回季節ごとに食の文化祭を開催。郷土食というと、もともと地元住民にとっては貧しい農民の食事という意識があったが、人と人をつなぐコミュニティ形成の機能が心理的効果として働き、地域独自への食の評価が変わる。人々は地域の価値に気付き、元気を生み出しているとのこと。また、修学旅行受入れは既に八年間で六千九百八十四人と貴重な実績を上げ、体験事業は、田植え、稲刈り、野菜の植付け、収穫、おやきづくり、そば打ちなどです。食、体験、地元の人々との交流など、地域の特徴を生かした滞在型観光に生かせると考えますが、見解を伺います。
◎保健福祉部長(駒津善忠)
議員の御質問にありました食の文化祭につきましては、鬼無里地域に昔から伝わる乾燥野菜を使った料理や箱膳料理などの紹介で、長野市の食文化を伝える貴重な一つの催しでもありますことから、市といたしましても、いいとき観光推進協議会で取材を行いまして、ホームページやブログで情報発信を行ってまいりました。
近年は、身体にやさしい健康食ブームが広がっておりまして、ブログを読んだ方から、鬼無里の伝統食であります乾燥野菜についても、お問合せをいただいたところでございます。
この取組は、NPO法人まめってぇ鬼無里などが鬼無里地区の住民自治協議会などの共催を得て開催しているものでありますが、鬼無里観光振興会との連携は、残念ながら図られておりませんでした。情報の発信不足が見受けられましたことから、是非連携した取組となりますよう鬼無里観光振興会に依頼したところでございます。
鬼無里には、議員のお話の、すばらしい伝統食の他にも、自然あふれる里山の原風景がありまして、今年度展開をした体験、長野道場キャンペーンでも、農業体験を中心に、地域の人々と触れ合うメニューを多数提供してまいりました。
今後も鬼無里の持つ食や体験といった観光コンテンツを積極的に発信しまして、地域の関連団体と連携しながら、地域の特徴を生かす滞在型観光の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
地域ガバナンス力再生について
◆佐藤久美子
もう一点ですが、地域ガバナンス力再生です。
鬼無里では、固定価格買取制度を活用して、自然エネルギーを活用して得た収入で、住民自治協議会を中心とした再構築を目指しています。私は、鬼無里の取組は大変示唆に富んだものと感じておりますが、長野市としてどう受け止めるか、見解を伺います。
◎地域振興部長(西沢昭子)
本市が進めている都市内分権は、住民自らの地域のまちづくりを進めるための仕組みであり、地域住民の合意を形成していくための組織として住民自治協議会を位置付けているものであります。
鬼無里地区住民自治協議会とNPO法人まめってぇ鬼無里の取組は、中山間地域における住民自らのまちづくり活動であり、正に住民自治協議会による地域ガバナンスの確立を目指す先駆的な取組であると考えております。
一方、住民組織がコミュニティビジネスなどの事業に取り組む際には、事業に関わる精緻の収支計画や、採算性、継続性、事業効果などについて、十分検討することが不可欠であると認識しております。
市といたしましても、鬼無里地区の住民の皆様が目指している計画に大いに注目しているところでございます。
◆佐藤久美子
住民が地元の良さに気付き、地元に潜在する自然エネルギーを活用すれば、雇用機会も生まれ、自信を持って若い人たちに地元居留を勧めることができ、I・Uターン者を迎え、持続可能な人口構成が実現できます。是非とも、この取組を大いに注目し、参考にしていただきたいと思います。