2013年12月定例市議会 原田のぶゆき
請願第十九号介護保険制度における新たな地域支援事業の導入に係る請願を採択すべきものとした福祉環境委員会委員長報告 反対討論
原田誠之
請願第十九号介護保険制度における新たな地域支援事業の導入に係る請願を採択すべきものとした福祉環境委員会委員長報告に反対の立場で討論を行います。
請願者は、第六期介護保険事業計画を視野に、これまでの介護予防給付や地域支援事業については、市町村が実施している地域支援事業に段階的に移行させ、新しい地域支援事業として検討が進められているが、急激な制度変更は、現場の事業者や市町村に大きな混乱を生ずることになるとして、十分な配慮と取組を国に求めています。
私は、委員会で本請願審査の際に、冒頭で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實さんの国の介護保険改革に対する発言を紹介しました。消費税分を医療費や福祉に振り向けるという約束だったのに、介護費も医療費も抑制する政策ばかり。介護保険では要支援の人への訪問・通所介護、市町村の事業に移して事業費の上限を決め、ボランティアを使って効率化するという。認知症を進行させないためにも、専門的な知識や戦略が必要なのに、費用の削減を市町村にやらせ、現場の意欲を削ぐ下品な政策だ、と厳しい指摘です。
これでカットする費用は約一千七百億円、一方で国土強じん化には二百兆円も使い、湯水のようにコンクリートの塊を造る、国民を幸せにする税金の使い方なのか、とも言っています。
安倍自公政権による税と社会保障の一体改革による社会保障費の削減は、医療、介護、年金とあらゆる分野で制度の切捨て、予算の削減を進めようとし、そのうち介護保険の大改悪には、国の社会保障審議会介護保険部会の委員の中からも批判があり、見直しや棚上げとの声が噴出していました。
介護保険の改悪の一つに要介護認定で要支援一、要支援二と認定された人に訪問介護と通所介護、飽くまで市町村に丸投げする方針です。要支援者向けサービス費用の六割を占める訪問介護、通所介護の二つのサービスを削減するのが狙いで、ボランティアの導入や事業者への報酬単価の引下げなどによる削減を行おうとしているのです。
また、事業費に上限を設け、全ての市町村に削減計画を作らせ、厳しく抑え込もうとしております。サービスを打ち切る代わりに市町村に新総合事業を実施させ、見守りや配食などを行おうとしていますが、新事業には人員の基準も運営の基準もなく、自治体任せで予算も制限されます。市町村によっては、お金の有る無しでサービスに差が出ることを保健福祉部長も答弁しておりました。
長野市として、国に対して、サービスを維持すれば、財源の自治体負担が増え、財源の厳しい自治体は量、質の低下が懸念される、こういう立場から国の責任を果たせ、というべきあります。介護現場から、軽度者こそ、予防のためにきめ細かな支援が必要なのに、国はひどいではないか、との声が上がるのも当然です。これではサービスの低下は避けられず、介護を支える事業者からは、専門職としての誇りも、事業者としての展望も奪うもの、と厳しい指摘であります。
改悪の二つ目は、特別養護老人ホームの入居は、要介護三以上に限定し、約十三万人に上る待機者がいる要介護一、二の人を施設から締め出すことであります。認知症の人など特養以外での生活が著しく困難な場合は入所を認めるとしましたが、行き場がなければ、介護老人保健施設や病院を転々ということになりかねません。今でも要支援一、二の人で、現在入所している方は継続できるとしていますが、長野市は、今でも約六百人の特養入所の待機者がいて、お年寄りも家族も御苦労されております。
全国では、介護のため離職する人は約四十八万人と言われ、深刻です。長野市の実態はつかまれてはいませんが、現状をしっかりと把握し、対応することが求められております。
さらに、自己負担割合についての一割から二割への引上げや、特養の低所得者に食費と居住費を補助する補足給付の縮小など、手当たり次第の負担増となります。二割負担の対象が年金収入二百八十万円以上となれば、年間四十万円から五十万円の負担が強いられます。つまり要支援外し、特養締め出し、利用料のアップで、約一千七百億円の負担増が今回の介護保険大改悪の中身であります。
公明党の委員は、委員会でサービスの後退を承知の上で、現場や事業者が介護保険制度の移行に当たり、混乱のないように十分配慮と、国に意見書を、と言っておりますが、介護保険に関わる予算を約一千七百億円もカットすれば、負担増とサービスの後退は明らかであります。
介護保険の大改悪のこの予算や方針に自民党と一体となって積極的に推し進めれば明らかにサービスの後退になるにもかかわらず、そのことに目をつぶるどころか、自民党の暴走のブレーキ役といっているのにブレーキに油を注ぎ、アクセルを踏むのと一緒ではないでしょうか。消費税も社会保障プログラム法案もまだ決まってはいません。来年四月からの消費税増税をやめさせ、社会保障プログラム法案の通常国会への提出をやめさせる意見書の提出こそ、今、国民が求めていることではないでしょうか。
以上、申し上げ、請願第十九号介護保険制度における新たな地域支援事業の導入に係る請願を採択すべきものとした委員長報告に対する反対の討論といたします。