2013年9月定例市議会 野々村ひろみ議員
まちづくり対策特別委員会の報告
◆野々村博美
私から、まちづくり対策特別委員会の報告をいたします。
本委員会は、中心市街地の活性化及び均衡あるまちづくりについて調査研究するため、昨年九月に設置されました。昨年度は、大きく変わろうとしている中心市街地の動きを主に調査をし、その活動については三月定例会で中間報告をしております。今年度は、中山間地域の活性化について、現地視察や意見交換会を実施しながら、調査研究を重ねてまいりました。
初めに、市が中山間地域の活性化を目的に策定した、長野市やまざと振興計画について申し上げます。
中山間地域は、水源のかん養や国土環境の保全を通じて、住民の生活を守るとともに、恵まれた自然が形成する良好な環境の提供や農林畜産物の供給など多面的機能を有しています。しかし、近年、過疎化や高齢化の進行による地域活力及び地域社会の諸機能の低下、農林業の担い手不足、耕作放棄地や野生鳥獣被害の急増など課題が山積しております。
本市では、平成二十二年度に長野市やまざと振興計画を策定し、本年四月には、これまでの取組状況と社会情勢の変化を踏まえ、計画の改訂を行っております。
そこで、本計画の推進に当たっては、中山間地域に住んでいる住民の方、また、地域の活性化に携わる関係者等の声に耳を傾け、課題を的確に把握しながら、本計画に位置付けた事業を着実に推進するよう市に要望するも業は、部局横断の副市長プロジェクトにおいて検討され、本年度に新設された事業であります。中山間地域の資源を活用し、事業に要する経費の一部を補助することにより、地域における雇用の創出、地域内への経済波及、地域の課題解決など地域の活性化に資することを目的としたものです。
今後、採択された事業の実施により、地域に暮らす住民の方たちへどのような影響を与えるのか大変注目するところであります。
市においては、地域の活性化に大きな効果をもたらす事業については積極的に採用し、その事業のノウハウ等の公開に努めることで、他の地区への事業の展開を促しながら、一地区だけでなく、中山間地域全体の活性化につなげるよう要望するものであります。
次に、中山間地域の農業振興に係る取組について申し上げます。
本件の調査に当たっては、長野市農業公社の関係者を参考人として招致し、意見を聴きました。
農業公社では、都市と農村の活性化を図るため、都市住民の農村体験、農家民泊を促進するグリーンツーリズム事業を推進しているとのことであります。
この事業では、小・中学校など長期宿泊体験活動や学習体験旅行などの受入れを進め、地域の活性化を図るために設立した長野市子ども夢学校受入れ協議会と連携して、都市住民の農業体験、農家民泊等を促進しております。当協議会は、平成二十一年に設立され、平成二十四年度は、延べ百二十四校、七千二百六十人の児童・生徒を受け入れたとのことであります。参加者の中には、農家の方との温かい交流を経験して、別れ際、感極まり涙を流す児童・生徒もいるとのことであります。
子供たちが、中山間地域のすばらしさを成長過程において、実体験を通して学ぶことは大変有意義であります。引き続きこの事業を推進し、更に多くの児童・生徒が参加するよう期待するものであります。
続きまして、本委員会が行った意見交換会について申し上げます。
本委員会は、できるだけ現場に出向き、地元住民等との意見交換会を積極的に行っていくことを基本姿勢として活動してまいりました。
初めに、五月に行った、ながのいのち推進協議会との意見交換会について申し上げます。
ながのいのち推進協議会は、平成二十一年三月、農産物、加工品を市民の生活の中に定着させ、市民と共に育てていくブランド、ながのいのちの推進、普及を目的に中山間地域の生産者グループ、関係諸団体及び長野市業公社により設立されました。
設立されてから、四年が経過しておりますが、会員個々の点としての活動から、農産物、加工品等の融通などの支援、委託販売など会員同士がつながりを持って行う面的活動に発展してきているとのことであります。新商品の開発、食文化を伝承する講習会の開催、各種イベントへの参加などの取組を通して、行政や観光等の関係団体との連携を強化しながら、ブランドの更なる浸透を期待するものであります。
中心市街地と中山間地域を結ぶ活動については、中心市街地の空洞化や買物弱者が社会問題となっている中、中心市街地の活性化及びにぎわいの創出に取り組むために、トイーゴにおいて直売市を開催しております。特定の顧客も付き始めているとのことで、会員の意欲の向上とともに、中山間地域の魅力を伝える大変良い機会でります。
こうした協議会の様々な取組に対して、市として情報発信、販路の拡大、マーケティングの強化など、どのような効果的な支援ができるのか検討していく必要があると考えます。
次に、八月に行った中山間地域十三地区の住民自治協議会役員等との意見交換会について申し上げます。
本意見交換会は、各地区の現状、市の施策についての感想、各地区の活動状況をお聴きした上で、意見交換を行いました。
中山間地域の共通の課題として、人口流出に伴う役員の担い手不足や野生鳥獣被害の急増などを挙げられ、各地区とも切実な悩みを抱えているとのことであります。また、中山間地域の中でも、市街地からの地理的距離、公共交通機関の整備状況、自然環境の違いなどを要因として、地区ごとに異なる個別的課題があることも認識した次第であります。
こうした中、地区の魅力を伝え、交流人口を増やすことを目的に観光交流マップを策定している浅川地区、神社の屋台の引き手募集を、ながの観光コンベンションビューローと共同で行った鬼無里地区、野生鳥獣被害対策として約三十八キロメートルに及ぶ防護柵を設置した松代地区など、十三地区がそれぞれ、知恵を絞り工夫を重ね、地区の活性化に尽力しております。こうした取組には、大変頭が下がる思いであり、今後の中山間地域の活性化に対して希望が持てるものであります。意見交換会の中では、松代地区における野生鳥獣被害の減少傾向など、取組の効果が出てきている地区もあるとお聴きしました。
市においては、こうした地区における住民の方の取組に対して、それぞれの地区の実情に合った補助金を含む支援の在り方について検討研究をするよう要望するものであります。併せて、中山間地域の課題解決のために、定住の促進、地域で頑張る若者への支援、新規就農の促進など一層の取組を強く要望するものであります。
本委員会の活動を通じて、中山間地域と中心市街地とは、地域特性を要因として、抱えている課題はそれぞれ異なりますが、人口減少に伴う空き家の増加や、高齢化の進行を背景とした買物弱者の増加など共通的な課題があることも認識した次第であります。
こうした共通的な課題の解決には、活性化に取り組んでいる地元住民の方や民間団体の力が不可欠であるとともに、首都圏等からの移住者など、市外から人を呼び込み、その力を活用することも必要であると考えます。さらに、中心市街地と中山間地域に住んでいる方が、様々な機会を利用し、お互いの魅力を知ることで交流が生まれ、それぞれの活性化につながるものと考えます。
最後になりますが、本委員会は、一年間を通して現地視察及び意見交換会を重ね、中心市街地と中山間地域が抱えている課題や活性化の取組について、直接関係者から生の声を聴いてきました。こうした活動は大変有意義であったと感じるとともに、意見交換の機会をもっと増やしてほしいとの要望も伺った次第であります。
議会、議員個人、そして市がそれぞれの立場で直接意見、要望等を酌み取り、地域が発展するためにはどうすれば良いか、そこに生活している方の視点を大切にしながら、検討研究を重ねていくことの必要性を強く認識した次第であります。
以上で報告を終わります。