2013年9月定例市議会 あべ孝二議員
大型公共事業最優先の姿勢と新たな借金の拡大について
市民負担の増大と福祉サービスの切捨てについて
子育て支援の実態について
中山間地対策について
ごみ焼却灰溶融施設について
入札及び公共事業について
公民館の指定管理者制度について
大型公共事業最優先の姿勢と新たな借金の拡大について
◆阿部孝二
鷲澤市長は、引退を表明されました。私たち日本共産党長野市会議員団は、三期十二年間、市長と様々な問題で論戦してまいりました。市長は今後、健康に留意していただきたいと思います。
七月の参議院議員選挙で日本共産党は自由民主党と対決し、抜本的対案を示すという姿勢で戦い、国民の所得を増やして景気回復、原発ゼロの日本、憲法を守り生かす、アメリカ言いなりをただす、四つの転換を訴えて、改選前の三議席から八議席へ躍進しました。私たちは、長野市政においてもこの基本姿勢に立って、市民の願い実現へ全力を尽くす決意です。
初めに、鷲澤市長、任期中の市政運営を検証する立場で質問します。市長の市政運営の特徴は、大型公共事業の強力な推進と民営化路線の推進であり、一般市民に対しては各種の保険料、手数料、利用料の値上げと補助金の削減、廃止を行ってきたことです。
最初に、大型公共事業最優先の姿勢と新たな借金の拡大について伺います。
浅川ダム建設では、県民の大きな反対運動で一旦は中止の決断が下されました。しかし、ダム推進勢力の強力な巻き返しの下で、無駄で危険な浅川ダムは息を吹き返し、工事が進められています。ダム建設推進の旗振り役をしたのは鷲澤市長でした。
鷲澤市長自らが失敗と語っているトイーゴ再開発事業は、空き店舗が続き、今でも市民から大きな批判を受けています。
市長は、文化的価値も指摘された旧長野市民会館を解体し、また住民投票を求める世論にも背を向け、狭い敷地に市役所第一庁舎と市民会館建設の合築を強行しました。市長は、四年前の市長選挙で一旦は白紙に戻すと公約に掲げながら、僅差で勝利すると、選挙目当てと言われても仕方ないと開き直りました。新庁舎の設計は、最も使いやすい一階部分に市民サービスの窓口を設置できないという不備なもので、ワンストップサービスはできません。さらに駐車場や周辺整備などを含めた総事業費も、市民にも議会にも示さず強行されました。
権堂B1地区市街地再開発事業は、市民の多額の税金を使ってマンションとテナント、一部企業のためのビルが建設されています。この開発が権堂再生には役に立たず、トイーゴの二の舞になることは明らかです。
また、食育基本法が制定され、食育が重視され、自校給食や地産地消が推奨されています。市長は評判の良い共同調理センターを潰して、新たに第四学校給食センターを建設しようとしています。
市長は自らの実績として財政再建を掲げていますが、しかし、大型公共事業の増大によって新たな借金がつくられ、平成十八年度には九十二億円まで減った借入金が平成二十六年度には二百七十四億円と、三倍にも膨れ上がる予定です。今後、合併特例による算定替えも終了し、地方交付税が大幅に減額され、更に厳しい経済状況の中で、市税収入も減り続けている状況を考えれば、大型公共事業の市財政への影響は深刻な事態となっていくことが懸念されます。ましてや消費税増税など、とんでもないことです。
市長はこの間、消費税増税については、安定した税収確保に最も適切、有効などの認識でありますが、今増税したら、景気が腰折れするなどと増税賛成派からも、来年四月の増税は中止を求める声があるように、暮らしと経済が破壊され、税収も減り、市財政にも大きく影響することは明白であることを指摘しておきます。
市長の施政方針で示した大型公共事業を強力に推進してきた将来への影響についてどのようにお考えか、見解を伺います。
(三十五番 阿部孝二君 質問席へ移動)
◎市長(鷲澤正一)
私は、市長就任以来、行政運営の核として五つの原則を掲げてまいりましたが、中でも「入りを量りて出ずるを為す」の精神は、財政運営上、基本となる理念として常に意識して取り組んでまいりました。
これまでも徹底した行財政改革を行い、日々の経費削減や新たな財源の確保などに努めた結果、市債残高の縮減のみならず、本市の更なる発展のために必要な財源としての基金の造成など、事業の実施に必要となる財政基盤を整えることができたものと考えております。その上で、大規模プロジェクト事業を含む公共事業は、市の発展のために欠くことのできない、かつ早急に実施しなければならない事業であると認識しており、実際にその実施を見据えた財政運営を行ってきております。
平成二十五年三月に公表した財政推計に示すとおり、市債残高についても、一時的に上昇はするものの、平成三十年度以降には現在の水準まで縮小できるものと見込んでおります。計画的に全てやっていることでございます。
重要なことは、公共事業の実施にかかわらず、市民にとって真に必要な事業については、一定の水準を確保しつつ継続実施することであり、今後も健全財政を堅持するとともに、必要な事業を確実に実施できるよう、財源の確保に取り組んでまいります。
以上です。
◆阿部孝二
大型公共事業が進んでいるわけですが、最近のニュースで、北陸新幹線の工事で談合調査が行われると報道され、落札率九十九パーセント、九十五パーセントと談合があったと疑わざるを得ない高率だったと報道されました。
六月市議会で契約成立しました庁舎市民会館九工区の落札率の平均は九十六・二八パーセント、第一工区は九十八パーセント、第二工区は九十九・九パーセント、給排水は九十九パーセント、舞台機構は九十九パーセントと、談合と言われても仕方がない落札率ではないでしょうか、見解を求めます。
◎財政部長(山澤謙一)
お答えいたします。
まず、談合はあってはならないということでございますが、御質問の新第一庁舎及び市民会館建設に係る四件の工事はいずれも一回目の入札で落札者が決定できなかったため、再度入札により落札者を決定したというものでございまして、こういった経過も、落札率に影響したものではないかというふうに考えてございます。
この結果のみをもちまして、直ちに談合を疑わせるといった状況にはございません。
◆阿部孝二
北陸新幹線の場合には、十二の工区のうち五つの工区で高率だということなんですが、長野市の場合に九の工区のうち四つが高率なんですが、その点ではいかがでしょうか。市長に是非答弁していただきたいと思います。
◎財政部長(山澤謙一)
高率であるということをもって、談合と疑うということはいかがなものかというふうに考えております。事実が無いということを証明するのも困難であるということも御理解いただきたいと思います。
◆阿部孝二
談合ではないという証明は難しいと。では、談合であったという証明も難しいと。市民の皆さんがこれを聞けば、談合ではないかなと思われるということだけは言っておきたいと思います。
市民負担の増大と福祉サービスの切捨てについて
◆阿部孝二
次に、市民負担の増大と福祉サービスの切捨てについて伺います。
三期十二年間で行われた市民への負担と福祉サービスの切捨ては、市民に大きな不満と負担をもたらしました。水道料金の値上げ、特定疾患患者等見舞金支給事業五項目の廃止、保育園の民営化、成人学校受講料の値上げ、憩の家の利用料の値上げと統廃合、在宅福祉介護料の引下げ、国民健康保険、介護保険料の値上げ、ごみの有料化、敬老祝金の縮小、老人福祉センター等の講座受講料の引上げ、下水道料金の引上げなどを行ってきました。その結果、新たな市民負担増は約二十九億円になっています。
また、職員では、正規職員を減らし、非正規職員の比率を高め、官製ワーキングプアを多く作り出しました。正規職員二千八百六十九人に対し、非正規職員は千五百五十四人となり、三十五・一三パーセントに及んでいます。平成二十五年度予算構造を中核市四十二市と比較しますと、歳出中の普通建設費は三位、公債費十位、民生費三十六位、人件費十四位、歳入中の市債は四位など、土木偏重、福祉軽視のゆがんだ構造になっています。これらについての見解を伺います。
◎財政部長(山澤謙一)
お答えいたします。
本市では、現在の社会情勢も踏まえ、公共事業のみならず、社会保障の充実も重要な課題の一つであると考えておりまして、継続して必要な投資を行ってきております。
土木偏重、福祉軽視との御指摘でございますが、平成二十五年度予算と、今から十年前--平成十五年度予算を比較しますと、平成十五年度、二十五年度の順番で御説明をいたしますが、民生費は二百五十三億円から四百六十三億円と八十パーセント以上の伸び、さらに土木費につきましては、二百二十三億円から二百二十二億円とほぼ横ばいの状況になってございます。
また、他の中核市との比較においては、人口構成を含む地理的、社会的環境の相違、財政規模の相違などが大きく、単純比較には当たらないものと考えております。
◆阿部孝二
長野市の国民健康保険料は、所得三十三万円以下のひとり世帯、国民年金だけの受給者、所得が全く無い人に七割減免が適用されています。減免七割でも年間で一万七千七百八十円も支払わなきゃなりません。更なる減免や、原村で実施している高齢者の医療費無料化や負担軽減について伺いたいと思います。
◎生活部長(金井隆子)
国民健康保険料は所得に応じ、適正で公平な負担をお願いしておりますが、低所得の方に対しましては、国民健康保険法施行令及び市条例で規定に基づきまして負担の軽減を行っております。議員さん御指摘のとおり、最大で七割の軽減を実施していることから、これ以上の軽減については困難であると考えております。
また、高齢者の医療費無料化や負担軽減につきましても、現状では非常に困難であると考えております。
◆阿部孝二
長野市の国民健康保険料は、所得三十三万円以下のひとり世帯、国民年金だけの受給者、所得が全く無い人に七割減免が適用されています。減免七割でも年間で一万七千七百八十円も支払わなきゃなりません。更なる減免や、原村で実施している高齢者の医療費無料化や負担軽減について伺いたいと思います。
◎生活部長(金井隆子)
国民健康保険料は所得に応じ、適正で公平な負担をお願いしておりますが、低所得の方に対しましては、国民健康保険法施行令及び市条例で規定に基づきまして負担の軽減を行っております。議員さん御指摘のとおり、最大で七割の軽減を実施していることから、これ以上の軽減については困難であると考えております。
また、高齢者の医療費無料化や負担軽減につきましても、現状では非常に困難であると考えております。
◆阿部孝二
長野市の国民健康保険料と介護保険料の減免制度、災害等ではなくて収入によって前年度に比べて半分以下の所得になった場合--収入が減った場合には減免制度が適用されるわけですが、申請減免になっている。しかし、現状では申請されている人はごく僅かな状況だと思うんですが、この減免についての更なる拡大について、再度答弁願えれば有り難いんですが、よろしくお願いします。
◎生活部長(金井隆子)
現状の中では、今最大七割減免させていただいています。おっしゃいました一万七千七百八十円を十回に分けてお支払いいただいております。こういった状況がございますので、これ以上ということは今、現状では考えておりません。
今、議員さん御指摘のことにつきましては、ここから先の中でまた改めて検討させていただきたいと思います。
◆阿部孝二
是非市の減免制度についても、大勢の方が適用されるように、内容を是非検討していただくように、よろしくお願いしたいと思います。
子育て支援の実態について
◆阿部孝二
次に、子育て支援は重点政策としてきましたが、実態はどうでしょうか。この間、市立保育園は三輪保育園を皮切りに次々に民営化され、ついに全園民営化方針が示されました。保育に対する公的責任を投げ出し、安上がりな保育を行うためです。また、子供の医療費無料化事業は、切実な年齢引上げの要望があるにもかかわらず、小学校六年生までにとどまり、ついに県下最低となってしまいました。
長野市版放課後子どもプランは、新たな施設の拡充を行わず、学校開放だけで対応しようとしているため、当初希望者全員を小学校六年生まで受け入れることができるとしてスタートしたにもかかわらず、多くの小学校で二年生、あるいは三年生までの留守家庭児童しか受け入れられない事態になっています。
このような子育て支援の遅れをどのように考えているのか、見解を伺います。
◎保健福祉部長(駒津善忠)
初めに、公立保育所の民営化につきましては、安上がりの保育を実施するためではなく、独自の保育理念や民間ならではの発想力を生かし、保護者の多様な保育ニーズに迅速かつ柔軟に対応するために推進しているものでございます。
なお、公立保育所の役割としては、園児数の減少により民間では運営が困難で、かつ他の保育所との統廃合等も困難な施設を維持し、保育サービスを提供するとしており、公立保育所の全園を民営化する方針ではございませんので、御理解をお願いいたします。
次に、子供の福祉医療費給付制度につきましては、子育て世帯の経済的負担を軽減することなどを目的に、今までも順次、対象年齢の引上げを行い、昨年十月からは小学三年生までだった対象を小学六年生までに拡大して実施しております。県内他市と比較すると、議員さんが御指摘の状況であることは十分承知しておりますが、中核市レベルにおきましては、約半数が小学校六年生までを上限としている市が多い状況となっております。
福祉医療制度が子育て支援に果たしている役割は大きいわけでございますが、小学校六年生に拡大してからまだ一年を経過していないことや、拡大には県補助が全く見込めない状況にあることから、対象年齢の引上げについては、更に調査、検討する必要があるというふうに考えております。
続いて、本市の子育て支援の遅れをどう考えているかとの御質問でございますが、平成二十六年度までを計画期間とする、ながの子ども未来プランの中間評価を昨年度実施いたしました結果、子育てを楽しいと感じる保護者の割合が前回調査の平成二十年度と比較し、二十ポイント近い増加となっております。特に、地域における子育て支援サービスの充実及び児童の健全育成の基本施策については、七項目の当初目標値を全て上回っていることから、本市の子供・子育て支援が遅れているとは考えておりません。
なお、新たな子ども・子育て支援制度が平成二十七年度からスタートすることから、本市では、ながの子ども未来プランの後継計画となる、長野市子ども・子育て支援事業計画の作成等の事前準備に万全を期してまいります。
いずれにいたしましても、家庭、地域、事業者、行政等の協力、連携の下、未来の社会をつくり、担う存在である本市の全ての子供が大事にされ、健やかに成長できるような社会の実現に向けて、鋭意取り組んでまいる所存でございます。
◎教育次長(藤沢孝司)
長野市版放課後子どもプランの関係でございますが、これは学習やスポーツなどの各種体験活動も提供する総合的な放課後対策事業として進めておるわけでございますけれども、放課後の居場所の拡充ということで、小学校施設を活用する方針としてございまして、全希望児童の受入れを最終目標としているわけでございます。
具体的な進め方といたしましては、教室保有数でありますとか、使用の状況、児童数の推移など、各小学校区で異なることから、段階的に拡充するということとしておりまして、留守家庭児童の受入れを優先しながら、まずは全五十五小学校区へのプランの早期導入を目指し、進めているところでございます。
プラン実施前の放課後児童健全育成事業におきましては、児童の受入れにつきまして、ほとんどの校区で留守家庭の一年生から三年生までの児童に限定をしていたわけでございまして、また中には三年生の受入れを一部制限している校区もあったわけでございますけれども、プラン実施後の現在でありますけれども、留守家庭に限定している校区につきましては三十三校区、そのうち六年生までが七校区、五年生までも七校区、四年生までは十校区、三年生までが九校区となってございます。また、留守家庭以外の希望児童の受入れが可能となっている校区でございます。これが十八校区でありまして、そのうち六年生までは十七校区、四年生までは一校区となっておりまして、プラン実施前と比較し、確実に拡充が進んでおります。
今後も、学校の理解と協力を得て、学校施設を活用した更なる居場所の拡充を進めまして、新たに策定いたします、子ども・子育て支援事業計画に合わせ、留守家庭児童の受入れを優先しながら、長野市版放課後子どもプランの最終目標であります、希望する全ての児童の受入れを目指して取り組んでまいりたいと考えております。
◆阿部孝二
中学校までの医療費の無料化をするには一億五千万円掛かると。去年が三年生から六年生というふうにやったと。逆に言うと、遅い実施だったという認識で、そして中学三年生まで大至急やるべきだということを私たちは思っているんですが、そのことへの見解はいかがですか。
◎保健福祉部長(駒津善忠)
県内の状況から見ますと、今、十八市が全て中学校三年生まで、そして長野市が小学校六年生までというような状況でございますが、この八月に伊那市が中学校三年生までになった状況、また四月には松本市、中野市がなった状況を見ますと、決して順番的には私どもが遅れているというようなことはないと思っております。また、中核市等も見ましても、長野市と同じ都市レベルで見てみますと、決して遅れている状況ではないというふうに考えております。
◆阿部孝二
中学校の皆さんの無料化で一億五千万円なんですね。一般会計予算では一千三百億円から一千五百億円、予算からすれば、僅かな金額で子供たちが安心して医療が受けられるということだと思うんですが、その辺の見解はどうですか。
◎保健福祉部長(駒津善忠)
小学校三年生から小学校六年生までに、昨年十月に拡大をいたしました。そのときも市の単独事業費ということで一億五千万円ほど掛かっております。先ほどから申し上げておりますように、まだ、昨年十月から一年たっておりません。そういった状況も踏まえながら、更に調査、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
◆阿部孝二
実施の遅れの認識を是非再確認していただきたいと思います。
それから、放課後子どもプランの問題なんですが、最近のニュースでおじいちゃん、おばあちゃんがいる世帯のところに一緒に、又は近くに住む方が統計では五十パーセントになったということなんですね。共働きが増えているということなんですよね。
そういうことからすれば、留守家庭も当然ですけれども、希望者全員が入れるまでの最終目標というのは、どの程度の目標を持って段階的に進めようとしているのか、その辺のところを明確にしてもらえれば有り難いんですが。
◎教育次長(藤沢孝司)
現在では、まず、全小学校区全てで放課後子どもプランを実施しようということで今進めておりまして、今現在までで五十一校区までまいりました。あと四校区ができれば、全小学校区に導入されるということになります。これにつきましては、もう僅か数年の中で実施をしていこうというふうに考えております。これは学校の施設の建設等の関係もございまして、そんなような事情の中から、実施の時期がそのくらいになるのかなというふうに考えてございます。
その後、留守家庭児童を全員、まずこのプランを活用できるようにして、その次の段階でですね、希望する全ての児童までいきたいというものでございます。
◆阿部孝二
子供たちの成長は待っていられないと思いますので、一日も早く実施するようにお願いしたいと思います。
中山間地対策について
◆阿部孝二
次に、中山間地対策について伺います。
中山間地域は、人口の流出に一層拍車がかかり、学校や保育園の維持ができないなど深刻な事態となっています。この背景には、若者定住のための保育料の軽減策や住宅支援策、高校通学費支援など、次々と中山間地域の支援のための独自施策を切り捨ててきた鷲澤市政の姿勢があります。住民自治協議会に一定の財政的支援をしたとしても、住民の力を引き出すことはできません。合併した旧村から合併しなければよかったと声が上がっています。どのように受け止めておられるか、お伺いします。
◎企画政策部長(柳沢宏行)
長野市は、周辺町村からの合併協議の申入れを受けまして、平成十七年と平成二十二年の二度の合併を行ったわけでございます。合併に伴う市民サービスの水準及び市民負担の調整については、合併後の一体性の確保、また公平の原則に基づいて協議し、長野市の制度に統一することを基本に、双方合意の上、合併協定書の締結に至ったものでございます。
長野市の制度に統一することによりまして、保育料の引上げや高校通学費補助等廃止になったものがあるわけでございますが、しかしながら、一方では、若者定住のために合併町村が建設した公営住宅は、長野市の施設として維持管理するなど、そのまま引き継いでおりますし、旧長野市が実施をしていた高齢者のおでかけパスポート事業や移動図書館の巡回につきましては、合併町村の市域にも拡大をされまして、サービスの向上が図られたものもあるわけでございます。合併後も地域審議会や市民会議等を通じまして、各地域の課題や要望等、地域住民の皆様の声を酌み取りながら進めてまいっているところでございます。
市民負担や市民サービスは、合併により原則一律としておりましたが、並行して導入いたしました都市内分権、これを推進する中で、地域いきいき運営交付金など、各地域が自らの判断で使途を決定できる仕組みもつくってまいりました。人口減少や高齢化が進展する中で、中山間地域だけでなく、市内各地域におきまして様々な課題を抱えておるわけでございますが、地域の実情に応じた取組が可能になるよう、今後とも住民自治協議会の活動を支援し、都市内分権を推進してまいりたいと考えております。
合併によりまして、それぞれの町や村が有する豊かな自然やすばらしい歴史、伝統を引き継いだわけでございます。これらの有形、無形の資産を最大限に生かし、互いの魅力を補完し合いながら、長野市として更に発展するよう、様々な施策を展開し、合併して良かったと市民の皆様に実感していただけるように取り組んでまいりたいと考えております。
◆阿部孝二
合併して大きな市になりました。しかし、現実には中山間地域は、合併市町村のところで多く支援が求められていると思います。より以上の支援を今後とも要求してまいりたいと思います。
以上、今まで鷲澤市政の三期十二年間にわたった検証、重要な問題について、改めて見解を伺いました。私たちは次期市政が新しいリーダーの下で、厳しい時代の中にあっても、長野市が市民一人一人に希望を発信できる温かな市政となるよう、全力を尽くしていきたいと思います。
ごみ焼却灰溶融施設について
◆阿部孝二
次の質問に入ります。
長野広域連合が計画しているごみ焼却灰溶融施設について伺います。
先日、日本共産党長野市会議員団は、灰溶融施設の契約解除を行った京都市の視察を行ってきました。契約解除の相手は住友重工であります。京都市は、平成十七年に日量三百三十トンの焼却灰を千二百度の高温で溶融し、急速に冷却し、スラグを生成することで容量を二分の一にする施設を約百十四億円で建設しました。ところが試運転の開始直後から溶融施設の心臓部であるロータリーキルンの耐火れんがの亀裂や損傷、二次燃焼室のダストの塊が冷却施設に落下し、従業員が負傷するなど、重大なトラブルが発生しました。また、溶融炉以外でも、排水から基準値を大きく超えるダイオキシン類が検出され、設計ミスであるとの原因や対策工事の遅れとトラブルの連続で、八月五日に契約解除になりました。
全国的にも、ランニングコストが高過ぎるなどを理由に休止する自治体が続出しています。これまでも、近隣市民から無駄と危険性について意見が上がっていました。日本共産党市会議員団としても、灰溶融処理技術は新しい技術であり、水蒸気爆発などトラブルが相次いでおり、技術的に未完成の施設であること。高いランニングコストが自治体財政を圧迫し、運転中止の自治体が増加していること。国においても、トラブルの事態を受け、条件が整えば、補助金の返還を求めないなど、灰溶融施設推進方針を変化させてきたことを指摘し、見直しを求めてきました。
今回、改めて京都市の契約解除の事態を受け、長野広域連合が計画している灰溶融施設建設計画を見直すよう強く求めるものですが、市としての考え方と、この施設建設費用とランニングコストについてどう考えているのか伺います。また、焼却施設そのものの規模の見直しはどうか、お伺いします。
◎環境部長(小林博)
初めに、お話のありました京都市が設置を予定しました灰溶融施設はロータリーキルン式で、この方式は、炉を回転させながら、石油等の燃料を使用して焼却灰を溶融するもので、把握した範囲では、ごみ焼却施設での採用事例は全国で五か所のみであります。一方、長野広域連合が計画しております施設は、炉を固定したまま、ごみ焼却により得られた電気により溶融するもので、国内でも最も多く採用されている方式であります。
灰溶融施設の導入は、ダイオキシン類等の有害物質の排出低減、最終処分量の縮減による最終処分場の延命化、資源化率の向上及び最終処分場の環境負荷低減などが図られることから決定したものであります。
また、本市に計画の施設は、焼却設備と灰溶融設備が分離しているもので、受入れの体制に応じ、焼却灰を溶融せず直接セメント原材料などにリサイクルすることも可能であり、併せてランニングコストの縮減も期待できます。
灰溶融炉の安全性につきましては、発生した事故はそれぞれ公表されており、その主な原因は、溶融炉の構造や材質そのものに起因するものや不適切な運転など人為的ミスによるもので、いずれも原因の究明や対策が講じられております。
また、平成十九年度以降に稼働した本市と同じ処理方式による十施設につきましては、事故の報告はなく、技術の向上と併せ、安全性は確実に確保されているものと考えております。
次に、灰溶融施設の建設費につきましては、焼却施設と一体で整備することから、現時点では灰溶融施設のみの建設費を試算することは困難でございますが、同規模施設の契約事例から、十五億円から二十億円程度と試算しております。同様にランニングコストは、年間三億円から四億五千万円程度を見込んでおります。
次に、ごみ焼却施設の規模の見直しにつきましては、基本計画で本市と千曲市に計画する二施設の焼却処理能力は、合計で一日当たり五百五十トンとしております。これは平成二十三年二月の基本計画の見直しにより、当時の稼働目標年度であった平成二十六年度の予測ごみ量を基に施設の稼働率など、国の基準に基づき算定し、災害時に発生する廃棄物処理量も考慮して設定したものであります。
また、本年五月、国では廃棄物処理施設整備計画を見直し、災害時に大量に発生する災害廃棄物の適正かつ迅速な処理を目的として、広域的な視点で処理システムの構築と一定程度の余裕を持った処理能力の確保を求めております。
現在、長野広域連合では、最新データに基づきごみ量予測を行っており、本年十月末をめどに予測結果をまとめ、国の施設整備計画なども考慮した上で、建設発注までには規模を決定してまいりたいと考えております。
◆阿部孝二
国の方針で、産業廃棄物又はそれ等に類似するものを焼却するという話がありましたが、今現在、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済を正すためには、自治体だけでは限界があり、国の責任で生産者に対し、拡大生産者責任制度の強化が求められています。ペットボトル一本でいけば、業者の負担が三十パーセント、税金は七十パーセント、プラスチックトレーでは一キログラム当たり、事業者が三十四パーセント、税金は六十六パーセントです。この拡大生産者責任制度を進めていく上で、長野市としてどういうことが考えられるのか、答弁を求めます。
◎環境部長(小林博)
今、お話しありましたとおり、長野市につきましても特に容器包装に関わる処理につきましては、収集運搬や処理など全部で予算ベースですが、一億四百万円ほど掛かっております。そのうち、ペットボトルにつきましては、有償ということで二千五百万円の歳入を見込んでおりますから、総体的には年間八千万円ほどの処理費が掛かっております。
この経費は、他の自治体も同様に、非常に処理に対するウエートも大きいですので、現在、全国都市清掃会議、これは焼却等廃棄物処理を行っております自治体、現在五百八十自治体や行政組合、それから都道府県など七百の団体で構成する組織でございますが、ここが各地域の課題をまとめまして環境省など国、それから政府与党に要望を出しております。
これが本年七月に要望いたしまして、その内容は、事業者に対し拡大生産者の責任の観点から、一つとして、簡易包装化の推進と指導をすること。それからもう一つ、御提案がありましたそれに伴います収集運搬、それから圧縮こん包等の中間処理に関わる経費について一定の負担を課すること、これを要望しております。
長野市におきましても、関係市町村と協議する中で、この話題がありますので、長野市としても今後もこの要望についても、積極的に参画していきたいというふうに考えております。
◆阿部孝二
業者の責任を明確にしながら、できるだけごみを出さないということを更に強めていただけるようにお願いしたいと思います。
入札及び公共事業について
◆阿部孝二
次に、入札及び公共事業について伺います。
安倍晋三内閣は、デフレ解消、物価二パーセント引上げを目標に三つの矢の政策を行っています。その結果、輸出大企業、大手ゼネコンなど、資本金十億円以上の企業の利益の拡大が進んでいます。この一年で、大企業の上位三十社だけで六兆円の内部留保の増加と報道されています。また、公共事業の大幅な増加事業発注で工事契約が前年度に比べ二十倍以上に拡大と報道もされています。しかし、中小零細業者の売上げ、利益は見えてきません。地元の中小業者に公共事業を発注し、景気の回復と税収増を図ることこそ必要です。
そこでお尋ねします。労務単価の引上げで、今後、増加総額は幾らになるのか。また、その費用負担はどう対応するのか伺います。
次に、工事金額五十万円以下の随意契約工事の発注について伺います。
平成二十三年度の五十万円以下の随意契約の発注総合計は、合計で三千七百八十八件、工事総額は十二億五千四百六十四万八千二百八十四円でした。三十二の行政区の入札登録者が、当該行政区の工事を多く受注されていますが、土木一式でEランクの業者の登録は九十社の参加だけです。建設業者数から見れば、少数にとどまっています。登録業者の促進について答弁を求めます。
そしてまた、住宅リフォーム補助事業は中止になりましたが、僅かな予算で大きな経済効果がありま
◎財政部長(山澤謙一)
労務単価の引上げに伴う増加額につきましては、新単価により積算をし、入札、契約を締結したものは、当初の請負額に反映されております。また、旧単価により積算をし、入札、契約を締結したものは、特例措置によりまして変更契約を締結し、請負額に反映するものとしております。
また、変更契約につきましては、事業者との協議により契約工期中に行うものとしまして、さらに設計変更等の理由による変更が必要な場合は併せて行うものとしておりますので、労務単価増に限った総額を算出することは困難であると考えております。
また、費用負担につきましては、労務費率は請負額の二十パーセント程度で、上昇率が平均十八パーセント程度でございますことから、増加額としましては五パーセント以内になるものと見込んでおりまして、現在のところ既決の予算内で対応できるものと考えております。
次に、入札登録業者の促進についてでございます。
建設工事に係る入札参加資格者名簿の登録事業者数に、近年大きな変化はございません。本市では、登録申請を二年に一度実施しておりますが、より多くの事業者に登録いただきたいと考え、既に登録のある事業者には更新の案内を通知するとともに、広報ながの、市ホームページ等で広く募集を行ってきております。そのような中、事業者の申請に基づき登録を行っておりますので、御理解をいただきたいというふうに思っております。
なお、本市の登録要件が厳しく、特に中小事業者が登録を希望してもできないといったようなことはないというふうに考えてございます。
◎建設部長(藤田彰)
私からは、住宅リフォーム補助事業についてお答えをいたします。
本年三月市議会でもお答えしたとおり、住宅リフォーム補助事業は、緊急経済対策として、平成二十三年度から二か年の限定措置として実施してものであり、昨年度で終了することといたしました。今年度からは、単に経済対策というだけでなく、遅れている住宅の耐震化の促進を図るという政策目的を持って、インセンティブとして住宅耐震補強工事と同時に行われるリフォーム工事に対して補助する住宅耐震補強工事促進リフォーム補助金をスタートしたところでございます。この制度につきましては、今年度から平成二十七年度までの三か年の措置として実施する予定でございます。
したがって、昨年度まで行っておりました住宅リフォーム補助事業の再開については考えておりませんので、御理解をお願いいたします。
◆阿部孝二
労務単価の引上げの支払いが、一次下請、二次下請、孫請にきちっと払われる対策があるのか、答弁を求めます。
また、五十万円以下の随意契約なんですが、建設業者は長野市で平成二十一年で二千三百六十六社あります。これから比べると、九十社というのは少ないと思いますので、一層の登録促進に力を入れていただきたいと思います。
◎財政部長(山澤謙一)
労務単価の引上げに伴う変更契約を締結するに当たりましては、元請と下請の間で締結された請負代金額の見直しや労働者の賃金水準の引上げ等につきまして、適切に対応していただくよう文書で要請しているところであり、理解が得られているものと考えております。
五十万円以下の工事の発注につきましては、私ども工種別の発注標準--業者のランクですが、それと主に近隣事業者という要件を勘案して選定をしておりますので、御理解を賜れればと思います。
公民館の指定管理者制度について
◆阿部孝二
それでは、次の質問にまいります。
公民館の指定管理者制度について伺います。
公民館の目的は、社会教育法で、住民のために実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することとしています。
住民自治協議会は、それぞれの地域につくられていますが、温度差がかなりあります。公民館活動が、全ての地域で目的や役割を果たす市の責任があります。指定管理者制度の導入は、市の責任放棄になります。答弁を求めます。また、本館、分館、地域公民館の耐震診断と耐震補強の計画についてお伺いします。
◎教育次長(藤沢孝司)
市立公民館につきましては、長野市行政改革推進審議会の提言を受けまして、この指定管理者制度の導入について方針が決定されたものでございます。市立公民館は、地域の実情や課題を踏まえまして、講座、学級の開設、地域と連携した事業の開催などを通じて人づくり、地域づくりに取り組んでおります。
住民自治協議会は、コミュニティ再生のための地域づくり、人づくりを進め、地域課題を自ら解決していくための自治組織ということでございまして、地域の皆様が主体的に地域づくりに取り組まれています。
住民自治協議会が目指すものと、公民館が目指すものはこのように同じでございまして、また地域の皆様の自発的な参加が欠かせないものであることから、地域に密着した運営を行うことができる受任者としまして、住民自治協議会を指定管理の相手方とするものでございます。また、公民館を初めとする社会教育施設への指定管理制度の適用につきましては、平成十七年一月に館長業務を含め全面的に委任が可能であるという文部科学省の見解も示されておるところでございます。
住民自治協議会は、地域の特色を生かした事業の実施など、様々な活動をされているわけでございますが、御指摘のとおり各地区の活動に温度差があるということも認識をしておるわけでございまして、そのために指定管理につきましては、一律、一斉ではなく、住民自治協議会の運営体制が整い、活動が成熟し、受任を希望する地区へ、順次導入していく方針としておるわけでございます。
公民館の指定管理者制度導入に向けましては、指定業務の内容をよく説明をいたしまして、事務機器の用意でありますとか、職員体制、会計処理など、業務全般について打合せを密に行いまして、円滑な移行ができるよう助言、指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
また、移行後につきましては、公民館長会、職員研修会などを通しまして、社会教育に関する情報提供、また、直営の公民館との意見交換の場を確保するとともに、生涯学習課の社会教育主事が専門的知識に基づきまして、必要に応じて事業や学習の相談を受ける他、モニタリングを定期的に行いまして、住民のニーズを把握した事業の推進に関する実践的な助言を行うことによりまして、社会教育法に定める公民館の目的を実現してまいりたいというふうに考えております。
次に、市立公民館の本館、分館、それと地域公民館の耐震診断、それと耐震補強の関係でございますが、市立公民館につきましては、長野市の耐震化促進計画に基づきまして、診断と補強を順次進めているわけでございます。耐震診断が必要な施設、三十四棟、今ございますかが、そのうちまだ未実施のところが十四棟、また診断を行って、その後、耐震補強工事がまだ未実施であるものがまだ八棟ございます。これらにつきましては、今後、年次計画を定めまして、また診断、補強工事を行ってまいりたいと考えております。
なお、地域公民館につきましては、地域の皆様が設置、また運営されておりますので、本市といたしましては、地域の皆様が実施する際に、負担の大きな工事費でございますが、これに対しての補助金の交付を行っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
◆阿部孝二
指定管理者制度になると、市の責任が一定程度、管理はあれですが、職員の退職金や共済などの制度についてはどう考えていられるか、再度答弁をお願いします。
◎教育次長(藤沢孝司)
指定管理者となった住民自治協議会の職員の関係ということになるかと思いますけれども、それにつきましては、住民自治協議会の運営の中で対応していくということになろうかと思います。人件費等含めた形での指定管理料を差し上げてまいります。
◆阿部孝二
自治体には人件費の削減につながっていますので……