議会報告

2013年6月定例市議会 小林よしかず議員

請願第六号憲法九十六条の発議要件緩和に反対する請願を不採択とした総務委員会委員長報告 反対討論

小林義和
 請願第六号憲法九十六条の発議要件緩和に反対する請願を不採択とした総務委員会委員長報告に反対し、採択を求める立場で討論をいたします。
 昨年の総選挙の結果、国会内では改憲派が多数を占めることになり、改憲勢力が一番の狙いである憲法第九条を改定して、日本、アメリカと共に海外で戦争ができる国に作り変えることを初め、憲法全面改定を実行する突破口として第九十六条の改定、つまり憲法改正手続の緩和を持ち出したわけであります。安倍首相は、憲法第九十六条改定を参議院議員選挙の争点とすると明言し、日本維新の会やみんなの党、民主党の一部も同調してまいりました。
 本議会の総務委員会の論議の経過を申し上げますと、一部委員が、第九十六条改定はこれまで改憲論議に国民が参加する機会がなかった、最終的には国民投票で決めるのだから、国会の発議要件の緩和、つまりハードルを下げた方が良い、第九十六条改定は反対と言えないと発言し、請願者に請願文を反対すべきから慎重な論議を求めるに修正するよう提案する場面もありました。
 請願者に、反対と言わなければ請願採択もあり得るとの趣旨で修正を求めたのですから、請願者には到底受けられるはずはなく、憲法第九十六条改定に反対する請願は、元の請願文のまま採決され、長野市議会総務委員会では、新友会、公明党、改革ながのの二人のうちの一人の委員によって不採択とされました。最後まで第九十六条改定反対を主張し、請願採択を求めたのは、紹介議員の市民ネット、共産党、改革ながのの二人のうちのもう一人の委員でした。
 主張は、おおむね次のような内容であります。
 第九十六条改定は、単なる手続論ではない、近代立憲主義は主権者である国民がその人権を保障するため、憲法によって国家権力を縛るという考え方である、そのため、憲法改定の発議要件は、政権が代わったら、時の権力に都合のいいように憲法がころころ変えられることを難しくしている、これは、アメリカ、フランス、韓国を初め世界の国々で当たり前の大原則になっている、憲法改定発議要件を両院の三分の二から過半数という一般の法律並みにすることは憲法を憲法でなくすること、憲法の破壊、立憲主義の破壊になる。マスコミでも、国民世論調査でも、学者、研究者でも、改憲論に立つ政治家でも、与党内でさえも異論、反対が増えている。
 皆さん、憲法第九十六条改定には、今や立場を超えて反対が広がり続けているのです。一般質問でも申し上げましたが、私どものしんぶん赤旗日曜版のインタビュー記事に、自由民主党元幹事長の古賀誠氏が登場し、憲法改定の国会発議要件を衆参両院の三分の二から過半数に変える第九十六条改定案は絶対にやるべきではない、第九条も平和憲法の根幹で世界遺産だと表明されたのです。
 このことに衝撃を受けたマスコミ各社が次々と報道いたしました。北海道新聞、毎日新聞論説委員のコラム、東京新聞、産経新聞、西日本新聞、共同通信、時事通信、日刊ゲンダイ、そして朝日新聞は天声人語で、また中国でも報道されました。テレビでは、BS朝日、NHKニュースウオッチ9、TBSサンデーモーニングなどの番組で次々としんぶん赤旗日曜版六月二日号が大きな話題になったと、画像入りで報じました。中には、古賀氏に共感を示すテレビ局もありました。
 次に、国民世論の動向を見ても、例えば共同通信の全国世論調査を見てみましょう。憲法第九十六条改定の賛否を問う項目で、三月には賛成四十八・一パーセント、反対四十・二パーセントだった。四月になって、反対四十六・三パーセント、賛成四十二・七パーセントで逆転をした。五月には反対四十八・六パーセント、賛成四十一・五パーセントで、その差を更に広げ、ついに六月一日、二日の調査で、反対が五十一・六パーセントと過半数を超え、反対と賛成の差は十四・一四パーセント、大幅に拡大していることが明らかになりました。
 さて、弁護士や憲法学者、研究者の動向はどうでしょうか。いろいろな考え方の弁護士で構成される日本弁護士連合会は、圧倒的多数で憲法第九十六条の発議要件緩和に反対する意見書を採択いたしました。その後、続々と各地の弁護士会が反対声明を出す動きが広がっております。
 五月十六日、長野県弁護士会も会長声明を出し、強く批判をいたしました。五月二十三日には、九条の会の呼び掛け人である憲法学者の奥平康弘氏や憲法学者の樋口陽一氏ら著名な学者、研究者三十九氏が発起人に名前を連ね、憲法第九十六条改憲反対を呼び掛ける96条の会を発足させ、シンポジウムを開催するなど、精力的に活動しています。
 96条の会にも参画した著名な改憲論者で、自由民主党の憲法学習会に常連で講師を務めていた慶應義塾大学小林節教授は--これもしんぶん赤旗日刊紙と日曜版に登場していただき、憲法の役割とは何か、国の主権者である国民が自らの権利を守り、かつ自らの幸福追求を守ってくれる機関としての国家権力を管理する基本マニュアルが憲法だと言い、この関係を立憲主義と呼ぶ、改憲のハードルを低くして憲法を憲法でなくして、一般法と同じようにしてしまうのは憲法破壊、人類の歴史に対する冒とくである、何に使うかは分からないけれど、私に銃を持たせてくださいというようなものだと、厳しく批判しました。
 日刊スポーツ紙は、保守系の論客に第九十六条改正の不当性を発言させたことが、第九十六条改正を前面に参議院議員選挙を戦う計画だった、自由民主党の戦略を狂わせ、世論に冷静さを与えたと言えると書き、ある自由民主党関係者は、第九十六条はトーンダウン、数か月でがらりと変わってしまった、手続法だから簡単に通ると思っていたが甘かった、改憲派の中にすらまとまらなかったと言っていると、しんぶん赤旗も報じております。
 ついに、安倍首相も十分に国民的議論が深まっているとは言えないと口にせざるを得ず、公明党に配慮して部分的に緩和論を見直す姿勢さえ示したと報じられました。しかし、これは直面する都議会議員選挙や参議院議員選挙を乗り切ろうという見え見えの欺まん的態度に他ならないと思います。
 さきのしんぶん赤旗への古賀氏登場を報じたNHKの番組では、政治部記者が、憲法という根本の政治課題で明確な方針を示すことができないようでは、政党の存在意義が問われると解説をいたしました。
 この言葉は、日本国憲法遵守義務を課せられている政治家である私たち市議会議員一人一人にも、また市長にも鋭く問い掛けられているのではないでしょうか。本請願と同様の請願は、六月議会で既に小布施町議会、坂城町議会でも採択されたとお聞きいたしました。
 改めて、最後に請願第六号憲法九十六条の発議要件緩和に反対する請願を不採択とした総務委員会委員長報告に反対し、長野市議会の良識を発揮して本請願を採択されるよう、全ての議員の皆さんに心から訴え、私の反対討論を終わります。

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