議会報告

2013年3月定例市議会 阿部孝二議員

経済文教委員会に付託されました諸議案並びに請願の審査の結果についての報告

◆経済文教委員会委員長・阿部孝二
 私から、本市議会定例会におきまして、経済文教委員会に付託されました諸議案並びに請願の審査の結果につきまして御報告申し上げます。
 審査の結果につきましては、お手元に配布されております経済文教委員会決定報告書のとおり決定した次第であります。
 次に、委員会において論議され、市当局に要望いたしました主なる事項について申し上げます。
 初めに、議案第一号平成二十五年度長野市一般会計予算、歳出、第三款民生費、第二項児童福祉費について申し上げます。
 放課後子どもプラン推進事業については、平成二十五年度において、全五十五校区中、五十一校区で実施される予定であり、全校区実施は、平成二十八年度の見込みとのことであります。
 そこで、残り四校区において、早期実現に向け引き続き学校や運営委員会と協議を重ねるよう要望いたしました。
 次に、第十款教育費、第一項教育総務費について申し上げます。
 学校図書館職員については、学校ごとに図書館運営の状況が異なるため、各学校が個々に契約しており、教育委員会では、そのための費用として、各学校に対し学校図書館運営費補助金を交付しております。
 学校図書館は、児童・生徒が読書活動等を通して言葉を学び、表現力や想像力を高め、豊かな情操を育み、また自ら本で調べることを通して学習効果を高める場であることから、司書資格を有する者を学校図書館職員として配置し、その専門的な知識を生かした図書館運営を行うことが望ましいと考えますが、現況では、八十名の学校図書館職員のうち有資格者は十七名となっております。
 ついては、今後、有資格者の採用に配慮するよう学校へ働き掛けるとともに、市教育委員会における直接雇用についても研究するよう要望いたしました。
 次に、第十款教育費のうち、快適で安全な教育環境の整備について申し上げます。
 学校施設への冷房の設置についてであります。
 現在、学校施設の耐震対策など、校舎を数多く改築しており、その際に、パソコン教室、保健室、図書室、音楽室などの諸室が含まれている場合は、それら諸室に冷房を設置する方針であります。一方、各学校の現在使用している普通教室については、その全てに、暑さ対策として固定式の扇風機が設置されております。
 近年、全国で記録的な猛暑が観測され、本市においても、教室内の温度上昇による、児童・生徒の体調への影響が心配されます。
 ついては、冷房設置事業費を対象としている国の補助制度を積極的に活用するなど、より一層快適な教育環境の整備に努めるよう要望いたしました。
 次に、第二項保健体育費について申し上げます。
 グラウンドの整備についてであります。
 河川敷グラウンドの整備については、計画的な維持管理のため、専用の草刈機を一台新たに配備するとのことであります。その効果を期待しているところでありますが、平成二十六年度以降においては、その効果及び結果を踏まえつつ、引き続き可能な限りグラウンドの整備を実施するよう要望いたしました。
 また、市サッカー協会等から、芝のグラウンドが少ないとった要望もあることから、競技者のみならず、より多くの市民が利用できるよう、サッカーや野球などの新たなグラウンドの整備について、調査を行うことを併せて要望いたしました。
 次に、教育委員会所管事項について申し上げます。
 市立図書館の図書購入費については、平成二十四年度と同額の予算が計上されております。このことは、厳しい財政状況の中において、評価されるところであります。
 昔から、語学力、判断力、読解力などは、読書量に比例すると言われておりますが、小・中学生の読書離れが全国的に進んでいる中、その結果として、こうした力の低下が大変危惧されるところであります。
 ついては、図書購入費の継続的な予算確保とともに、読書活動の推進に関する施策についても併せて取り組むよう要望いたしました。
 さて、現在、教職員の不祥事、いじめや体罰による児童・生徒の自殺などの事件が発生しているため、教育委員会に関しましては、全国的にも大変注目されております。このことは、平成二十四年度の長野市教育委員会の傍聴者数が大きく増加したことからもうかがわれます。
 このような教育を取り巻く状況の中、教育に対する信頼を取り戻すべく、本定例会初日に教育長が議案説明の冒頭で述べた、市民の信頼に応えることができる教育行政の早期実現を強く要望した次第であります。
 続いて、議案第一号平成二十五年度長野市一般会計予算、歳出、第六款農林業費、第一項農業費について四点申し上げます。
 一点目は、耕作放棄地の解消等についてであります。
 農業を取り巻く環境は、農業の担い手の減少や高齢化、農産物の輸入増大等による価格の低迷など、大変厳しい状況におかれております。また、集落機能の低下、耕作放棄地の増大など、農業の多面的機能が失われ、事態はより一層深刻になってきております。
 そのような中に、農業委員会では、耕作放棄地の調査など、農地の保全に積極的な取組を進めており、その活動に対し感謝申し上げる次第であります。
 農業委員会では、去る九月四日に平成二十五年度長野市農林業施策に関する建議書を市へ提出いたしました。建議書の中には、長野市の目指す農業のあるべき姿を明確にし、それに向かうための基本的施策、関係者の責務を定め、農業関係者等の協働によって施策に取り組むとした(仮称)長野市農業振興条例の制定が盛り込まれております。
 本条例の策定に際して、農林部では、農協や市農業青年協議会などからの要望が無く、更なる農業者の意識の醸成が必要であるとしておりますが、条例の制定を見据え、耕作放棄地対策、農地保全への指導強化などを盛り込むことを検討するよう要望するとともに、引き続き人・農地プランに基づく地域農業が抱える問題の解消、農地の保全並びに新規就農促進に積極的に取り組むよう要望いたしました。
 二点目は、野生鳥獣対策についてであります。
 野生鳥獣による被害は年々拡大傾向にあり、農家が農業を今後継続する上で大変深刻な問題となっております。
 電気柵や防護柵による対策に加え、生息数を調査した上での個体数調整による対策も必要であるため、猟友会の方々の協力はなくてはならないものであります。
 現在、狩猟ライセンス取得に対する補助については、取得時のみが対象であり、三年に一度行われるライセンス更新に対する補助は無く、地域対策協議会へ交付している五万円の補助金の中で対応するとのことでありますが、様々な防除対策を必要としている現状においては十分な額とは言えません。
 県では、個体数調整について、熊、イノシシ、鹿について、推計値ではありますが、個体数を把握し、計画的に各市町村の鳥獣対策協議会等の捕獲活動を通じて、個体数調整を行っております。
 そこで、野生鳥獣の個体数の減少につながるよう、対策に関連する補助金額や補助対象の拡大、また交付方法の工夫など、被害防止対策の更なる拡充、強化を図るよう要望いたしました。
 三点目は、農業者育成についてであります。
 新規就農者が抱えている課題として、集約された農地が少ないため、収益を十分得るために必要な農地面積の確保や、住宅の確保が難しいことがまず挙げられます。
 市では、そのような新規就農者に対して、農業委員会地区調査会ごとに設置されている支援会議が相談に応じており、また栽培指導については、就農後五年間にわたり月に一度、長野農業改良普及センターの職員が指導に当たるなどの支援体制を整えております。
 ついては、新規就農者の独り立ちに向け、より一層きめ細かな支援を実施するとともに、意欲ある若者がより多く就農できるよう施策の展開を要望いたしました。
 四点目は、ほ場整備の補助制度についてであります。
 現行の補助制度では、地続きであり、かつ受益者面積が〇・一ヘクタール以上という要件を満たす必要があります。しかし、中山間地域では、飛び地が多く、この面積要件をクリアすることが困難な状況です。
 そこで、本整備事業がより実効性のあるものとするため、受益者面積について、飛び地であっても小字の単位など、地続きでなくとも、ある程度の範囲で集約された土地を整備対象とするなど、要件緩和が必要と考えます。
 ほ場整備は、新規就農者の参入を容易にし、耕作放棄地解消にもつながります。
 ついては、要件緩和に向けた制度の見直し又は新たな制度を研究するよう要望いたしました。
 次に、第二項林業費について二点申し上げます。
 一点目は、親しみの持てる森林づくりについてであります。
 平成十九年に、長野市制百十周年記念事業善光寺の森として、四千五百本の植樹が行われました。
 この事業は、市民と協働で森を育てることにより、森林を守り育てる心を多くの市民が共有できる大変すばらしい事業であることから、新たな場所での実施を検討するよう要望いたしました。
 二点目は、林道舗装についてであります。
 本事業の平成二十五年度の計画は、五か所、五百九十メートルと小規模であります。また、予算額は、一千五百三十六万円と少額であり地元要望に十分応えられる額とは言えません。
 ついては、可能な限り地元要望に応えられるよう積極的な予算確保を要望いたしました。
 さて、平成二十五年度の農林部・農業委員会関係予算の歳出総額を見ますと、平成二十四年度と比較し、六・二パーセント、約一億三千八百万円の減となっております。厳しい財政状況の中ではありますが、売れる・もうかる農業、また、攻めの農業を推進するため、最小の経費で最大の効果を上げることを期待するものであります。
 ついては、農業振興条例の制定が検討されている中において、売れる・もうかる農業を目指し、新たなメニューの創出、既存メニューを実効性のあるものへの見直し、それらを積み上げ、希望の持てる農林行政の予算確保に努めるよう要望いたしました。
 次に、議案第一号平成二十五年度長野市一般会計予算、歳出、第七款商工観光費、第一項商工費について二点申し上げます。
 一点目は、空き店舗対策についてであります。
 中心市街地のうち、権堂地区においては、長野市権堂地区再生計画の実現に向けたごんバルなど、まち全体での取組が功を奏してか、空き店舗が減少しつつあります。一方、錦町通りかいわいでは、他の地域に比べて家賃が高めであることなどから空き店舗が増加しているとのことであります。
 現在、活力とにぎわいのある商店街づくりを推進するため、まちなか空き店舗等活用促進事業補助金などを交付し、空き店舗対策に取り組んでおりますが、空き店舗の解消に向け、空き店舗対策会議を活用し、商店街の実情に応じてきめ細かく対応するなど、対策の強化を図っていくよう要望いたしました。
 二点目は、企業立地の推進についてであります。
 現在、事業所等の設置や工場用地の取得などに対する支援、一定人数以上の常用雇用者を創出する企業に対する支援並びに中心市街地の空きオフィスを解消する支援を鋭意進めております。
 一方、更北地区の大型店撤退や既存企業の市外移転に対して、店舗、企業の撤退防止に資する支援策が十分とは言えず、いわゆる待ちの姿勢になっているように感じられます。
 また、これに関連して、現在権堂にある大型スーパーについても、今後の動向が大変気になるところであります。
 ついては、企業の動向に関して積極的な情報収集を行うとともに、撤退等の防止対策及び存続支援策あるいは影響の緩和策について検討するよう要望いたしました。
 次に、第二項観光費について四点申し上げます。
 一点目は、観光宣伝についてであります。
 観光宣伝については、価値ある観光資源を有していたとしても、十分な宣伝なくしては効果が得られないのが実情です。
 ついては、多額の費用を投じても市税として還元されることを考慮すれば、大幅な事業費拡大も経済効果として期待できることから、平成二十七年の新幹線金沢延伸に向け、更なる予算確保に努めるとともに、現在、企画政策部でシティプロモーションを推進している中において、十分連携を図り、最大の効果を発揮するよう要望いたしました。
 二点目は、観光情報センター等についてであります。
 新幹線金沢延伸を見据え、観光情報センター再整備に要する予算が計上されております。今後、多くの観光客を迎えるに当たり、本センターの再整備はもとより、東西自由通路における観光案内表示の在り方が大変重要であります。
 ついては、長野駅善光寺口の整備に合わせ、担当部署と連携しながら、乗降客にとって観光ルート等の情報が分かりやすい表示についての工夫を検討し、他市に劣らない観光案内をするよう要望いたしました。
 三点目は、商工観光部所管のオリンピック関連施設整備についてであります。
 ビッグハットを初めとした長野オリンピックで使用された大規模施設については、建設後十五年以上経過していることもあり、老朽化等による設備等の更新や改修が必要となり、それらに要する経費が計上されております。
 そこで、大規模改修に当たっては、多額の費用が必要となることから、計画的に実施するよう要望いたしました。
 四点目は、豊野温泉りんごの湯についてであります。
 引湯管配管洗浄業務委託として、二千八百四十三万円が計上されており、本年五月の連休明けに事業に着手し、湯量が原因となって休止している露天風呂の再開を目指すとしております。
 洗浄作業は初めての試みということもあり、再開時期の予測は難しいとのことでありますが、心待ちしている市民も多いことから、早期の再開を要望いたしました。また、今後も同様の事態が予想されることから、スケールの除去を課題として捉え、その解決策を検討するよう併せて要望いたしました。
 次に、議案第十六号平成二十五年度長野市戸隠観光施設事業会計予算について申し上げます。
 本予算は、平成二十四年度において、一般会計から十億円を資本注入し、長期借入金を一括返済することから、会計上、大幅な体質改善が反映された予算となっております。しかしながら、多くの委員から、戸隠スキー場について、スキー人口は減少し続けており、経営厳しい現状を勘案すると、スキー場単体での黒字化は容易でないため、収益を見込む企業会計ではなく、スポーツ振興や地元雇用の創出などの産業を支えているといった視点へ切り替えるべきとの意見が多く出されました。
 それに対して、市は、地域において、戸隠スキー場五十周年に合わせて、戸隠スキー場運営協議会の中に専門部会を設け、誘客策について検討されており、指定管理者、市及び地元が一体になって誘客をしたいという気運があること、また、指定管理者の収益を圧迫していた管理経費の縮減を図ること、併せて、地方公営企業法の改正により、平成二十六年度予算から資産を減損すること並びに資本剰余金を収益化することが可能となること、また、これらを踏まえ、今後、収支改善が見込まれることから、平成二十五年度から三年間の経営状況を評価した上で、改善が見られなかった場合、会計の形態を踏まえた事業全体を見直すとの意向を示しました。
 説明を受けた上で、負債がこれ以上膨らまないよう、引き続き施設の経営等の見直しを図るとともに、戸隠スキー場については、飯綱高原スキー場と一体的に考え、会計の形態等を含め、総合的に検討するよう要望いたしました。
 最後に、請願第五号デフレ不況からの脱却と地域経済の振興に向けて最低賃金の改善と中小企業支援策の拡充を求める請願の審査について申し上げます。
 まず、採択すべきものとして、年収二百万円以下のワーキングプアの人たちは一千万人近い状況で、デフレ脱却には、国民全体の懐を暖めることが大事である。安倍首相は経団連や経営者に対して賃上げの要請をしている。また、自動車大手では組合の要求に対し、一時金については満額回答がされており、その点から言えば、企業も国の方向に向いている。最低賃金について、具体的な金額を挙げているわけではなく改善を求め、併せて中小企業支援を求める請願項目であるので、そのとおり目を向けてほしいとの意見が出されました。
 一方、不採択とすべきものして、最低賃金を上げた場合、雇用数の減につながるのが心配、地方議会とすれば慎重になる選択肢があってもいいのでは。現時点では、雇用問題が中心であり、最低賃金を上げたことにより雇用の枠が小さくなることが懸念され、雇用のバランスについて悩む。大企業の下請、孫請の零細企業における、家族以外の従業員の給料を優先せざるを得ないという大変厳しい実態を踏まえると、賛成しかねる。最低賃金を上げたことにより、製造業等において工場の海外移転が進み、結果的に若者の失業率が上がった国もある。企業の撤退にもなりかねないとの意見が出されました。
 以上の論議を踏まえ、採決を行った結果、賛成少数で不採択とすべきものと決定いたしました。
 以上で報告を終わります。

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