議会報告

2013年3月定例市議会 小林よしかず議員

議会第六号環太平洋経済連携協定(TPP)に関する意見書(案) 反対討論

小林義和
  
 議会第六号環太平洋経済連携協定(TPP)に関する意見 書(案)に反対の立場で討論します。
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に反対する意見書(案)と環太平洋経済連携協定(TPP)に関する意見書(案)、原案の二つの意見書(案)が提出された総務委員会の論議を経て、まず申し上げなければならないことは、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に関する意見書(案)、原案の修正版は、幾つかの字句の変更や文の順番の入替えを行ったが、内容は全く変更されないどころか、慎重に交渉することと、慎重という単語を加えて交渉することという字句で結んだものであります。
 総務委員会の論議が行われた日は、くしくも安倍首相の交渉参加表明の前日であり、いまだ交渉参加が表明されていない段階にありながら、長野市議会が前のめりに交渉参加を政府に求めるという異例の意見書案修正経過をたどりました。
 採決では、百八十度違う内容のTPP交渉参加に反対の意見書案と慎重に交渉せよという意見書案の両方に三名の議員が挙手をするという、市議会至上前代未聞の事態が発生したという事実も特筆されなければなりません。
 安倍首相は、日米首脳会談で、聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になったとし、TPP交渉参加を表明、交渉の中で守るべきは守るなどと言明しました。しかし、首脳会談で発表された共同声明は、TPPのアウトラインに示された高い水準の協定を達成するとしており、この意味するところは関税と非関税障壁の撤廃を原則とし、これまで聖域とされてきた米、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産物などの農林水産品についても、関税撤廃の対象とする協定を達成することの明記であります。聖域なき関税撤廃をアメリカに誓約してきたということが、日米首脳会談の真相なのであります。
 国民皆保険、食の安全、ISD条項など、自民党が総選挙で掲げた関税以外の五項目についても、安倍首相は一方的に説明しただけで、アメリカ側からの何の保証も得ていません。TPPに参加すれば、非関税障壁の問題でもアメリカのルールをそのまま日本に押し付けられることになるのは明白であります。
 TPPは、環太平洋経済連携協定と銘打っていますが、アジアを見ても、中国も韓国もインドネシアも加入していません。アメリカが経済覇権主義の立場で、参加国の経済主権を奪って自分たちのルールを押し付けるというような、世界でも類を見ない特異な協定と言えます。
 昨年、新たにTPPに参加したカナダ、メキシコは、現行の交渉参加九か国が、既に合意した条文は全て受け入れる。将来、ある交渉分野について、現行九か国が合意した場合、拒否権を有さず、その合意に従う。交渉を打ち切る権利は九か国にあって、遅れて交渉入りした国には認められない、という三つの極めて不利な条件を承諾した上で、参加を認められたと報道されております。アメリカの担当者は、日本も口を出す余地はなく、サインしてもらうだけと述べ、アメリカ政府はアメリカ内の業界団体に対して、日本は全ての関税を撤廃すると約束したと説明していると、東京大学教授の農学博士の鈴木宣弘氏がそういったことを語っております。
 参加表明後の国会論戦では、新規参入国には対等の交渉権がないこと、既に決定済みの合意事項は覆せないことなどを安倍首相自身が今国会で、先頃認めたということは極めて重要です。
 したがって、今回の交渉参加表明は、自民党の選挙公約、聖域なき関税撤廃を前提とするTPP交渉に反対する、関税以外の五項目でも国益を守る、このことをことごとく踏みにじった、このことを国民は許すことはないでしょう。この先に見えるのは、前政権がたどった道であります。

 さて、長野市議会は昨年の九月議会で、全会一致でTPPに関する意見書を採択し、国会、政府関係機関に送付しております。その内容は、TPP協定に関する関係国との協議で得られた情報の速やかな開示、国益に関わる問題点の国民への分かりやすい説明、国会等における十分な審議、国民的合意が得られるまでは、TPPへの参加はしないことでありました。
 三月議会現時点で、何一つ意見書の要請事項が解決されていないにもかかわらず、今回慎重に交渉することなどと国会や政府に要請することは、市議会史上、将来に禍根を残す、極めて重大な問題ではないでしょうか。後で守れませんでしたと誤って済む問題ではありません。
 JA全中九百六十万人、日本医師会、歯科医師会、薬剤師会、そして、長野県農業会員もみんな反対であります。全国四十四都道府県議会が決議し、十八道県は参加すべきでないという内容であります。市町村議会は、二千百四十四議会が意見書を採択し、一千六百五議会、全体の七十五パーセントが参加すべきでないとしております。今なら、まだ間に合います。長野市議会として、政府安倍政権に対して、TPP交渉参加表明を行ったことに抗議する。それとともに、参加表明の撤回を強く求める意見書に変更することであります。
 私どもは、農林水産業、医療、雇用、食の安全など、日本の経済、そして地域経済を土台から壊し、経済主権、食料主権をアメリカに売り渡すようなTPPの本質をもっと広く国民に知らせ、TPP参加反対の一点で国民的共同をさらに広げるとともに、国際的に貿易や投資が活発となることを重視し、公正かつ民主的なルールが実現できるように力を尽くす決意を申し上げて、討論を終わります。

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