議会報告

2013年3月定例市議会 小林よしかず議員

議案第一号平成二十五年度長野市一般会計予算の修正案 賛成討論

小林義和
 私は、無所属の西村議員、日本共産党長野市会議員団の共同提案で提出された議案第一号平成二十五年度長野市一般会計予算の修正案に対し、賛成の立場で討論を行います。
 修正予算中、まず市役所第一庁舎・長野市民会館の建替えに関する予算四億九千十四万九千円と十四億七千四百七十六万九千円の全額を削除することについて申し上げます。
 本議会の代表質問、個人質問、委員会論議を通じて大きな問題となったのは、議会や市民に対して説明してきた建設関係事業費総額百三十四億円が議会開会直前の会派説明で十七億円増額され、百五十一億円となり、財政推計も大きく変動した点であります。
 二月十八日の会派説明では、百三十四億円は事業費の概算で、根拠は最近の庁舎、ホールの工事落札額--一平方メートル単価の平均から算出したが、予算化の段階で工区分割発注による経費増一・二億円、設計面積増--ホール五百平方メートル、二・八億円、小ホールを地下に置いたための地下掘削増による経費増三・五億円、コンクリート型枠工の相場高九・五億円、コンクリートは二〇〇七年を百とすると、二〇一二年百十二、型枠工は二〇〇七年を百とすると、二〇一二年七月に百九、十月に百十・五になった等々と説明をされました。

 しかし、三月議会の質疑応答を通じて明らかになったことは、平成二十三年十一月基本設計業務委託は、基本計画に基づき百三十四億円の条件を付して委託契約した。基本設計完了時に設計者から百三十四億円で設計された目標事業費とその内訳が示された。同時に設計者から自身の過去の実績に照らし算出した事業費も提出されたが、金額の根拠に乏しく、事業費として取り上げる対象ではないと判断した。そこで、平成二十四年八月の実施設計業務委託契約も百三十四億円の事業費を条件に委託した。現在、実施設計は継続中だが設計額の見通しがついたら、事業費に関する契約条件を見直す。平成二十四年七月の時点で百三十四億円を超える可能性は認識していた。十月の予算案の編成段階で積み上げた結果、百五十一億円になった。以上のことであります。
 しかし、理由に挙げた設計面積の増加や地下掘削の増加は、既に基本設計の段階で変更になっておりまして、コンクリートは五、六年前から一割上がっていたことも明らかでありまして、そういう説明もありました。型枠工も二〇〇七年七月時点で、対二〇〇七年比の九パーセント増だった。公表していないけれども、設計者から百三十四億円を上回る金額の提出があったという説明。こういったことを総合しますと、実施設計の条件を百三十四億円とした説明には疑念を感じざるを得ません。
 パブリックコメントや市民説明会の時点で百三十四億円は大きく上回ることを認識していながら、市民にも議会にも百三十四億円と言い続け、公表されない予算編成の段階では百五十一億円になったが、そのことは三月議会直前まで伏せられてきた。このことが真実と言わざるを得ません。

 したがって、今求められているのは、これらの経過や設計者の増額提案があった事実、積算根拠等の資料も開示をして、百三十四億円の条件を付しながら、十七億円も増額になった実施設計の内容について明らかにした上、市民合意を得る市民説明会などを実施することであります。それまでは、来年度当初予算案から市役所第一庁舎・長野市民会館予算を削除し、凍結するというのが修正案の提案であります。
 思い起こしていただきたいと思いますが、私どもは、昨年三月議会では、次世代エネルギーパーク整備事業予算を削除する修正案を提案いたしました。議会はこの修正案を否決いたしました。しかし、御存じのとおり、議会論議の中でこの事業については、計画の曖昧さなど、様々な問題が判明をし、市民からも次世代エネルギーパークの見直しを求める請願が提出されました。理事者も答弁の中で説明不足を認め、長野市の次世代エネルギーの在り方を方向付けるものではないと、この事業について述べましたが、議会は予算案を原案どおり可決いたしました。ところが、この事業は年度途中で廃止となり、予算は執行されなかったのであります。
 この教訓を踏まえて、同じてつを踏むことなく、市役所第一庁舎・長野市民会館については一旦削除し、仕切り直しをすることこそ議会のチェック機能の発揮ではないでしょうか。

 次は、議員提案の予算組替えという限界のある中での措置として、来年度は余りに劣悪な長野市版官製ワーキングプア解消に向かうための芽出し予算として、嘱託職員全ての報酬と賃金を、今年度は少額ですけれども、月額二千円アップする提案であります。
 本議会の中で明らかになったのは、長野市が国から押し付けられた集中改革プランで正規職員百六十二人削減、その後の第四次定員適正化計画と称して三十人削減をする。正規職員削減に置き換えて臨時嘱託職員がどんどん増えております。
 平成二十四年四月一日現在の正規職員数は二千八百六十九人、非常勤職員数は千五百五十四人、市全体で非常勤職員の占める割合は三十五・一パーセント、四十一中核市の中で割合の高い方から六番目です。
 特に多い部局は、保健福祉部、正規職員五百六十人に対して、非正規職員九百六十七人、教育委員会では正規職員二百八十九人に対して非正規職員六百七十三人、地域振興部二百五十九人に対して百二十三人。
 保健福祉部を見ると、主な専門職種で介護認定調査員三十三人、ケアプランナー十三人、包括相談支援職--これは、社会福祉士や看護師ですが、十一人、これらは全て非正規職員です。調理員は正規職員六人に対して非正規職員は七十三人、保育士、正規職員二百二人、非正規職員は二百五十人、教育委員会では調理員、正規職員が五十九人に対して非正規職員は八十三人、市立図書館司書は全員非正規職員で四十三人、学芸員は正規職員が十八人に対して非正規職員は二十人、さらにその他パート職員五百三十七人、平成二十三年度の指定管理施設--市有施設で働く職員、これは二千二百人に上っております。

 そして、低賃金の実態も驚くべきものでありました。正規職員と労働時間が同じケースで、中核市の比較を見てみますと、一般事務の嘱託職員は月額十三万四千四百円、六市の中で最低、最高は奈良市の二十万五千七百三十円、保育士は十六万円、これも最低、最高は二十万七千百円。図書館司書は十五万円、最低、最高は横須賀市の十九万一千三百円などなどであります。年収は二百万円前後の正にワーキングプアであります。
 その上、一年雇用で極めて不安定な雇用、女性が多いわけですけれども、育児休業も適用されない。長野市は中核市で最も劣悪な状況にあることを認識した上で、同じ仕事をしていて、賃金や労働条件に差別があるのではないか、これはいいか悪いかという質問に対する市長の答弁は、同じ仕事をしているといっても条件が違う、正規職員は試験採用、非正規職員は正規職員に挑戦していないから仕方がないでありました。
 しかし、長野市はこれらの専門職員は正規職員の募集をしていないのであります。つまり採用試験を受けるチャンスはないのです。非正規職員の皆さんが日々どんな思いで働いているのか。市役所が働く貧困層を大量に生み出していいのでしょうか。このことを直視し、心を寄せ、賃上げと労働条件の改善、非正規職員の正規化などに今こそ取り組む、それが長野市に求められているのではないでしょうか。
 以上、主な二点について言及をし、予算修正案の賛成討論といたします。
 議員各位の御賛同をお願いいたします。

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