議会報告

2012年12月定例市議会 野々村博美議員

安心できる介護保険制度の実現を求める請願を不採択とすべきものとした福祉環境委員会委員長報告 反対討論

■野々村博美
 三十八番、日本共産党長野市会議員団野々村博美でございます。
 請願第四十一号安心できる介護保険制度の実現を求める請願を不採択とすべきものとした福祉環境委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。
 介護保険がスタートして十一年がたちました。この間、介護サービスの総量は増えましたが、自公民政権の社会保障削減路線の下、負担増やサービス削減、介護報酬削減などが繰り返されてきた結果、制度の矛盾が様々な形で噴出しています。
 特別養護老人ホームに入れない待機者は、市内でも今年三月末で千六百二十人、そのうち、自宅待機者は六百八十三人もいます。介護保険が開始された直後の平成十三年三月当時、五百四十三人との比較でも、三倍にも増えており、施設整備の遅れが待機者を激増させています。その一方で、介護保険料は改定ごとに上がり続け、高い保険料を払いながら、受けたい介護が受けられない、何のための介護保険なのかと怒りの声が寄せられています。
 介護保険料の度重なる値上げは、高齢者の生活を悪化させる大きな要因となっています。値上げの根本原因は、介護保険制度が開始される前、国が五十パーセント負担していた介護費用を介護保険開始と同時に二十五パーセントに削減し、その後、更に二十三パーセントにまで引き下げたことにあります。
 制度に係る国庫負担削減分が全て保険料に跳ね返り、介護サービスの利用が増えれば増えるほど、保険料の値上げが続くことになります。施設整備が進まないのもこのためです。値上げを抑えるためには、介護への国や県、市の公費負担を増やすことが不可欠です。そして今、今後、一層進む高齢化社会を支えていく介護職員の労働環境を改善していくことが喫緊の課題となっています。
 厚労省は、二〇〇七年八月、改正福祉人材確保指針を策定し、介護職員の人材確保に向け、具体的な対策を図るとした改善項目が示されました。しかし、介護労働安定センターの平成二十三年度の介護労働実態調査の結果によると、介護職員の離職率は十六・一パーセントで、従業員不足に悩む事業所は、二年連続で半数を超える状況で、相変わらずの介護人材不足が報告されています。
 政府は介護労働者不足を解消するため、一旦は四万円賃上げを公約しましたが、今年四月の介護報酬改定は実質的にはマイナス改定で、介護保険利用者への介護切捨てと、ヘルパーなど介護労働者へ犠牲を転嫁するなど、改善どころか改悪方向を強めています。この改定により、ヘルパーの生活援助の時間区分は六十分から四十五分に短縮され、利用している方も、ヘルパーも、介護事業所もサービス低下、収入減、経営悪化と様々な問題が表面化しています。
 介護労働安定センターでは、政府は介護労働者に四万円賃上げの公約を守れ、人材不足を解消する緊急措置を実現せよと、運動を強めると同時に、全国的なアンケート調査にも取り組んできました。介護従事者の過不足の状況に関する質問に対しては、大いに不足、不足、やや不足と回答した事業所が合わせて五十三・一パーセント、昨年度から三ポイント近く、一昨年度からは六パーセント近く増加しています。また、その理由では、六十六パーセントの事業所が採用が困難、離職率が高い・定着率が低いが十九・八パーセントとなっています。
 その他、運営上の問題についての質問では、良質な人材の確保が難しいが五十・四パーセントで最も多く、今の介護報酬では人材確保・定着のために十分な賃金を支払えない、四十九・八パーセント、指定介護サービス提供に関する書類作成が煩雑で時間に追われてしまう、三十二・六パーセント、教育・研修の時間が十分にとれない、二十七・六パーセント、経営が苦しく、労働条件や労働環境の改善をしたくてもできない、二十六・三パーセントなどが多数となっています。
 委員会審査の中でも、身内に介護職員がいると発言があり、労働環境の厳しさについては理解しているという発言が相次いで出されました。であるならば、本請願を採択し、国に対し抜本的な介護保険制度の改善を求めていく意見書を上げるべきではありませんか。
 御賛同をお願いし、私の討論といたします。

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