2012年12月定例市議会 小林義和議員
インフルエンザ予防接種自己負担額千円の対象者を子どもにも求める請願を
不採択とした福祉環境委員会委員長報告 反対討論
■小林義和
三十七番、日本共産党長野市会議員団小林義和でございます。
私は、請願第三十七号インフルエンザ予防接種自己負担額千円の対象者を子どもにも求める請願を不採択とした福祉環境委員会委員長報告に反対し、長野市議会として請願者の切実な願いに応えて、採択することを求める立場で討論します。
請願者は、インフルエンザり患時のリスクが高いとされる高齢者には千円の補助制度があると指摘しています。長野市の高齢者インフルエンザ予防接種は、六十五歳以上の高齢者と六十歳以上六十五歳未満で、心臓、腎臓、呼吸器、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害を有する人とし、インフルエンザにり患したときに特にリスクの高い人は年齢を早めています。
また、請願者は、子供の場合もインフルエンザにり患すると脳症やてんかん、発達障害等の後遺症が残るケースがあり、予防接種で防御すべきと指摘しています。さらに、一回の高齢者と違って、子供は自己負担で毎年二回接種しなければならず、この不況下では金銭的負担が重く、接種を控える保護者もいる、集団生活をする幼稚園、保育園、小・中学校等では、毎年のようにインフルエンザが流行し、学級・学校閉鎖も後を絶たない状況です。
是非、経済的な負担を軽減して、もっと多くの子供たちが接種でき、インフルエンザによるリスクを減少させ、流行を防いでほしい、せめて高齢者と同等の自己負担千円で接種できるようにと求めています。
ちなみに、長野市保健所統計資料で、ここ四年ほどを見ますと、インフルエンザと集団風邪によるシーズン中の延べ休園や休校、学級閉鎖数、り患者数は、休園、休校で一校から七十八校、そして二十三学年から八十九学年、学級にすると百七十学級から五百九学級、り患者数は千四百四十人から五千四百四十六人にも上っています。請願者の願いは、至極当然であります。
ところが、委員会論議の中で、採択に反対した委員は、六歳未満児に対するワクチンの効果は二、三割程度。五、六割程度なら資金投入の効果がある。今は個々の判断で実費で接種すべきとの趣旨の意見を述べたと委員長は報告いたしました。つまり、インフルエンザワクチンは効果が低いから、接種するなら個人負担で個人で接種せよというような見解でありまして、私はこれは不適切な発言と考えます。論議の中で、長野市保健所長もワクチンは接種した方がよいと思いますと語られたと聞いております。
私は、ネット上で妊婦や子育て中のお母さんの子育て支援を行っているホームページのインフルエンザに関するQ&Aのコーナーも見てみましたが、そこに書かれていることをかいつまんで申し上げますと、インフルエンザワクチンの有効率は七十パーセント、他のワクチンと比べるとかかる率は高いが、かかっても肺炎や脳炎などの重い合併症になる率は下がる。ワクチン株と流行株が一致するほど有効率は高くなる。最近は一致することが多くなった。A型の方がB型より抗体はよく付く。A型の方がB型よりかかると重くなることが多いので、重くなる人が減る効果がある。
インフルエンザ脳症は、大部分が乳幼児の病気で滅多にかかることはないが、かかるとほとんどが二十四時間以内に悪化して抗インフルエンザ薬が間に合わないことがほとんど。また、抗インフルエンザ薬のタミフルは一歳前の使用が慎重に制限され、乳幼児期はワクチンの効果は確実なものではないが、ある程度免疫が付くと考えられるので、ワクチンが今のところ一番有効である。
現時点では、乳幼児も大人ほどでなくても、有効と考えられている。今のところ、接種した乳幼児に脳炎や脳症にかかる人が少ないので、重症になるのを防ぐ効果もある。より免疫の付く家族が接種して、乳児にうつさないようにするのもよいうんぬんと、ホームページでは医師が書いておりました。
それでは、他の自治体は保護者の願いにどのように応えているのでしょうか。長野市保健所から今年二月に自ら行った季節性インフルエンザワクチン接種に対する助成制度についてという調査資料及び県内における高齢者以外のインフルエンザ予防接種の公費負担実施状況、長野県健康長寿課平成二十二年六月作成を頂きましたので、紹介しますと、その中にはですね、既に中核市は七市で実施し、県内では中野市の他五町六村が公的助成を実施していることが紹介されています。急きょ、私はネット上で調べてみましたけれども、その他にも東京都特別区や全国市町村で助成する自治体が大変増えているように思いました。
実施自治体の状況を見ると、おおむね対象者はゼロ歳児から高校生までの範囲で、それぞれケースは多様でありますが、助成金額は一回千円程度が多いようです。中には、乳幼児の保護者を対象としている自治体もありました。今年度からお隣の須坂市では、助成制度を始めたということであります。
以上、申し上げましたので、既に議員各位には十分な御理解いただいたものと確信をいたします。科学的、医学的観点と、全国・県内自治体の動向及び長野市が進める子育て支援の更なる前進を考慮するならば、全く不採択とする理由の無い請願であります。
本議会において、長野市議会の良識を発揮して、全ての議員が請願採択の立場に立ち、市当局に対して子供のインフルエンザワクチン接種に対する助成制度実現を強く促すよう、心からお訴え申し上げまして、私の討論を終わります。